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延滞税の時効は迎えられない|税金を納めるのが困難な場合に利用できる制度

延滞税の時効は迎えられない|税金を納めるのが困難な場合に利用できる制度

延滞税の支払い期限に間に合わないときは、納税の猶予や免除制度を活用することによりプラスの支出を回避できます。延滞税は5年で時効を迎えますが、その成立は非常に難しいといえます。なぜなら、役所から送られる催告書をもって、時効までの期間はリセットされるからです。

その税率は日を追う毎に高くなり、支払うべき延滞税も増えていきます。延滞税を完納するための手続きはもちろん、本税の支払いが遅れることの予防策が必要です。

不要なペナルティを受けないためにも、しっかり対策をしていきましょう。

1.延滞税の時効は5年-支払う義務はなくならない

延滞税が5年の時効を迎える可能性は、限りなく低いといえます

延滞税とは、所得税や住民税を納付期限までに納めていない場合に、本来納めるべき税金(本税)に加算される税金のことをいいます。

そのため、国税の徴収権である「消滅時効5年」が適用されますが、現実には督促や仮差押えにより時効がストップするため、時効を迎えることはほぼあり得ません。

参考:国税通則法72条|e-Gov 法令検索

そのため、ペナルティを回避しつつ無理のない範囲で完納する方法を知っておくことが必要です。時効に関する基本的な考え方は民法の規定が準用されるため、完成猶予と更新の考え方も同じように適用されます。

時効の完成猶予は、民法改正前は「時効の停止」と呼ばれており、たとえば延滞税を滞納して5年以内に仮差押えを受けると、その時点で時効の進行がストップする規定です。

時効の更新は、民法改正前は「時効の中断」と呼ばれており、たとえば延滞税を滞納して5年以内に支払督促を受けると、それまでの時効期間がリセットされます。

時効の完成猶予と更新の要件は、以下のとおりです。

原因となる事由 時効の完成猶予 時効の更新
裁判上の請求、支払督促
強制執行、競売
調停
仮差押え、仮処分 ×
催告 ×
協議を行う旨の合意 ×
債務の承認 ×

参考:民法147条~152条|e-Gov 法令検索

1-1.督促を受けることにより時効はリセットになる

支払の督促を受けると延滞税の時効はリセットされ、また新たに5年の消滅時効のカウントがスタートします。

督促は税の納付期限を過ぎた場合に「督促状の送付」により行われ、放置をすると財産差押えの対象になることに。

税務署の手違いにより、督促や仮差押えを受けることなく5年が経過するケースもあり得ますが、ほんのわずかな可能性に期待するのは得策ではありません。

1-2.延滞税は本税の納期限の翌日から滞納している日数に応じて課される

延滞税は「本税の納期限の翌日から完納するまでの日数」に応じて課されるため、1日でも早く納める必要があります。

詳しくは後述しますが、本税の滞納から2ヶ月を経過すると延滞税の税率が上がってしまうため、2ヶ月という期間も重要なポイントです。

なお、延滞税の延滞税といった「複利」のような制度はありません。

1-3.延滞税のみの滞納でも差押えあり

本税を完納し延滞税のみが残っている状態であっても、滞納してしまうと差押えの対象になります。延滞税そのものの性質は本税に伴うものですが、差押えのようなペナルティは独立して扱われるからです。

よって「本税を完納したため一安心」と延滞税の納付をおろそかにしていると、思わぬペナルティを課せられることも。なお、差押えの対象となるのは、督促がされている延滞税の部分のみです。

参考:国税通則法37条|e-Gov 法令検索

以上の理由から、本税完納後も速やかに滞納税を納めましょう。

2.本税・延滞税の支払いが困難な場合の対処方法

本税や延滞税の支払いが難しい場合は、税務署への納付の相談が最善の方法です。

税務署の規定にもとづいた、2つの措置を受けられます。

本税・延滞税の支払いが困難な場合の対処方法

  1. 本税の支払い猶予申請
  2. 延滞税の免除

なお、延滞税の免除は「本税の支払い猶予申請」が前提であるため、延滞税の免除だけを単独で申請することはできません。

2-1.本税の支払い猶予申請

一度の納税により生活が困難になったり、災害で財産を失ったりといった事情がある場合は、税務署への申請により納税を猶予の措置を受けられます

支払い猶予には「納税の猶予」と「換価の猶予」の2種類があり、いずれも効果としては同じ措置を受けられますが、要件の違いに注目です。

実際に滞納している者を対象とした換価の猶予に対し、納税の猶予は必ずしも滞納を前提としているわけではありません。

  納税の猶予 換価の猶予
要件 ・納税者本人や家族の疾病により、納税が困難になる程の医療費が掛かった
・納税者が営む事業をやむを得ない事情により休廃業し、納税が困難になった
・一度に納税することにより、生活の維持が困難になる恐れがある
・納税について誠実な意思がある
・猶予を受けようとする国税以外の滞納がない
効果 ・原則として1年間納税が猶予される
・猶予期間中は延滞税が軽減される
・財産の差押えや換価が猶予される

参考:国税通則法46条・46条の2国税徴収法151条・151条の2|e-Gov 法令検索

本税の支払い猶予を受けられた場合の納税方法としては、納税額全額が1年間据え置かれる方法、もしくは猶予期間中に分割して納める方法があり、申請時に選択します。

2-2.延滞税の免除

納税の免除が認められると、本税の支払い猶予期間中に掛かる延滞税の一部もしくは全額が免除されます

延滞税の免除が認められるのは、以下のような場合です。

延滞税の免除が認められる要件

  • 本税の支払いに充てるべき納税者の資金が本税の未納分を下回っており、延滞税の納付が見込めない
  • 納税者が債務超過に準ずる状態にいたっており、財産の状況が著しく悪い
  • 不要不急の資産の処分、経費の節約などの相当の努力をしたにもかかわらず、延滞税の納付を困難とするやむを得ない理由がある

納税の猶予もしくは換価の猶予を受けた場合に、猶予対象となった国税にかかる延滞税の納付が困難であると認められるときは、延滞税が免除されます。

3.延滞税完納のために知っておくべきこと

延滞税の性質や税率を理解することにより、完納に向けての具体的な計画を立てられます。

本税の滞納を解消することはもちろん大切ですが、延滞税も国税である以上は本税と同じく完納しなくてはなりません。

「延滞税は利息のようなもの」と思い込み、本税だけを完納して安心しきってしまうと、差押え通知が送られる事態になりかねないため注意してください。

3-1.滞納から財産の差押えまでの流れ

実際の滞納処分の流れを把握することにより、差押えや延滞税の発生を回避できます

滞納処分の流れ

  1. 納期限
  2. 督促
  3. 財産調査
  4. 差押え
  5. 公売・換価
  6. 滞納者本人の税に充当

納付額の確定後、納期限までに納めなければ期限の翌日から延滞税が発生します。

差押えの前提となる督促は、納付催告としての趣旨です。そのため、督促状の発送から10日経過しても納付できなかった場合に、差押えの執行がなされます。

3-2.差押えの対象|滞納者の所有物に限られる

差押えの対象となる財産は、税務署による財産調査が行われたのちに決まります。

対象となる財産は、差押えの際に滞納者が所有しているものに限られ、換金性の高いものほど優先される傾向です。

ただし、生活をするうえで最低限必要なものは差し押えの対象になりません。

対象となるもの 対象とならないもの
  • 預貯金・株・債権
  • 給与(手取りの1/4まで)
  • 不動産
  • 自動車
  • テレビなどの娯楽家電
  • 生活に欠かせない衣類・家具・家電
  • 2ヶ月分の生活費(66万円未満)
  • 1ヶ月分の食料・飲料
  • 飼っているペット
  • 受給した国民年金・厚生年金

(参考:民事執行法131条・152条|e-Gov 法令検索

3-3.延滞税の税率|本税の滞納から2か月経過後は課税額アップ

延滞税の時効は迎えられない|税金を納めるのが困難な場合に利用できる制度

▲延滞税の税額(令和3年1月1日~令和3年12月31日)

延滞税は納期限の翌日から発生し、納期限から2ヶ月を経過すると税率が3倍以上に膨れ上がるため、最低でも2ヶ月以内に完納することが必要です

延滞税の税額は、納期限から2ヶ月経過するまでの税額と経過後の税額を別々に計算して、合算します。

税率については、銀行の短期金利などをもとに算出される「延滞税特例基準割合」により、毎年変動します。

3-4.信用情報への影響|ローン審査で考慮されることも

税金の滞納は、信用会社に提出した情報に滞納履歴が含まれていると住宅ローン審査に影響する可能性があります

ローン審査時における個人信用情報の登録対象には、税金の納付情報は含まれません。

ただし、住宅ローンや不動産担保ローンの場合は、納税証明書の提出を求められることが多いです。税金の滞納歴がある場合、未納状況が納税証明書に記載されてしまうため、審査に通りづらくなります。

審査のマイナスポイントをなくすためにも、ローン申し込み時には税金を完納しておくことが必要です。

4.本税の納期限-延滞税を課されないための対策

本税のなかでも自分で申告・納付が必要なものは、納期限や延滞税を発生させないための対策を押さえておきましょう。

主な本税と延滞税を課されないための対策

  1. 相続税|延納もしくは物納をする
  2. 所得税|税務署へ納付相談をする
  3. 贈与税|延納制度を利用して利子税の支払いをする
  4. 住民税|減免や納付猶予の制度を利用する

4-1.相続税|延納もしくは物納をする

相続税を一度に納めることが難しい場合は、延滞税を発生させないために延納もしくは物納の手続きを検討しましょう。相続税は、相続・遺贈・死因贈与により被相続人の遺産を取得した場合に、申告・納税する義務があります。

遺贈は「遺言によって(主に相続人以外に)遺産を贈与すること」であり、死因贈与とは「相続人の死亡を原因とする贈与契約」を指し、いずれも相続税の対象です。

なお、相続財産の合計額が遺産に係る基礎控除額に満たない場合は、相続税の申告・納付は不要です。

基礎控除額の計算式 3000万円 +(相続人の数 × 600万円)

相続税は一度に納める額が大きくなりがちのため「延納もしくは物納」が認められています。延納は、納税額を5~20年に分けて納付する方法で、遺産の種類や延納期間に応じて利子がつく方法です。

物納は、不動産や株など相続した遺産そのもので納付する方法を指します。

4-2.所得税|税務署へ納付相談をする

所得税の納付が難しい場合は、延納について税務署に納付相談をしましょう

個人事業主やフリーランスの場合、所得を「事業所得」として確定申告が必要です。

また、給与所得者であっても一定の場合には所得税の申告が必要になります。

確定申告が必要となる主なケース

  • 公的年金控除と基礎控除の合計額を超える額の公的年金を受け取っている
  • 株取引で48万円(源泉徴収口座やNISA口座での取引は120万円)を超える利益を受け取っている
  • 不動産の譲渡、不動産の貸し付けによる所得があった
  • 給与所得者で、年間の給与所得が2000万円を超えた
  • 給与所得者で、副業による所得が年間20万円を超えた
  • 複数の会社から給与を受けている場合、年末調整されなかった収入が20万円を超えた

「支払いの意思はあるものの、やむを得ない事情により納付が難しい」との旨を伝えることにより、1年間の分納が認められるケースがあります。

認められる明確な基準はありませんが、少しでも多く納める気持ちを示し、誠実な態度で臨むことが大切です。

4-3.贈与税|延納制度を利用して利子税の支払いをする

贈与税には最長5年間に分けて分納できる延納制度が設けられているため、積極的に活用すべきです。

贈与税は、年間110万円まで非課税になる基礎控除や配偶者控除などの軽減措置がありますが、それでもなお高額になる可能性も。

贈与税の延納は、税務署の承認を受けて最長5年間に分けて納付し、分割納付期間中は延滞税に代えて利子税を支払う制度です。

延滞税が2ヶ月経過後から税率が上昇するのに対して、利子税は年間を通して一定です。また、延滞税よりも低率(令和3年は1.1%)であるため、積極的に利用したい制度といえます。

参考:最長5年!贈与税の分割納付方法と延納制度の仕組みについて|税理士法人チェスター

4-4.住民税|減免や納付猶予の制度を利用する

住民税の納付が困難である場合は、減免や納付猶予制度の利用を検討しましょう。

住民税は前年の所得に対して課税され、会社勤めの人は給与から天引きされます。

そのため、会社勤めからフリーランスになって収入が安定していない初年度に、住民税の納付通知を見て驚くのもよくあるケースです。

住民税は地方税であり、自治体によって制度や手続きが異なります。

まずは、お住まいの自治体の窓口に、どのような減免や猶予措置があるのかを確認してください。そのうえで、要件に合致する救済措置を受けられる場合、積極的に活用しましょう。

5.延滞税の納付が難しい場合は猶予・免除を利用して支払いを最小限にできる

現実に延滞税が発生している場合はもちろん、納付困難になる見込みがある場合でも、延納や免除について知っておくことは大切です。しかし、さまざまな種類の税について、すべての要件や手続きを把握することは困難な側面も。また、延納や免除について税務署に相談するにしても、どのように行動すればよいのか不安な面もあります。

延滞税の納付が厳しくても、そのままにしておくのは得策ではありません。

納税の相談、あるいは税務署とのパイプ役の意味でも、専門家である税理士に相談することが、解決への第一歩です

税理士法人チェスターは、相続税専門の税理士法人である強みを活かして、延滞税の相談から延納・免除の手続きまでを全面的にサポートします。延滞税や納税の猶予措置に関する不安な点について、依頼者に寄り添って解消することが可能です。ぜひ一度、税理士法人チェスターにお問い合わせください。

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