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平成31年度税制改正・配偶者居住権の評価細目等明らかに

2019/05/22

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1.はじめに

民法(相続関係)の大改正のうちの1つに「配偶者居住権」の新設があり、配偶者居住権は2020年4月1日に施行されます。これに伴い、平成31年度税制改正において、配偶者居住権及びその敷地利用権等の評価方法が相続税法第23条の2に法定されました。

また、政令で「建物を一部賃貸している住宅(賃貸併用住宅)」や「自宅建物を配偶者と共有していた場合」の評価方法などの細目が明らかになりました。

2.具体的な評価方法

(1)配偶者居住権の価額

※1:住宅用の法定耐用年数 × 1.5 -建築経過年数(相令5の8➁、相規12の2)

※2:「配偶者居住権の存続年数」は、厚生労働省が定める完全生命表の年齢や性別に応じた平均余命を使うこととされました(相規12の3)。完全生命表は、5年毎に作成されることから、直近の完全生命表に基づく平均余命を使います。

※3:配偶者居住権の存続年数に応じた民法の法定利率によるもの。
具体的には、「法定利率に1を加えた数を配偶者居住権の存続年数で累乗して得た数をもって一を除して得た割合」とされました(相規12の4)。

※4:上記算式の「X」に入るものは、以下のように4つのケースがあります。
(以下の算式の「建物時価」は、配偶者居住権を設定した建物を賃貸していない場合の時価を指します。)

ⅰ)通常のケース(相法23の2➀一)
ⅱ)建物を一部賃貸しているケース(相令5の8➀一)
ⅲ)建物を配偶者と共有しているケース(相令5の8➀二)
ⅳ)建物の一部を賃貸し、かつ、配偶者と建物を共有しているケース(相令5の8➀三)

(2)建物所有権の価額

 

 ※5:建物時価は、配偶者居住権の設定をしていないものとした場合の時価のこと

(3)配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額

 

※6:複利現価率は、配偶者居住権の存続年数に応じた民法の法定利率によるもの
具体的には、「法定利率に1を加えた数を配偶者居住権の存続年数で累乗して得た数をもって一を除して得た割合」とされました(相規12の4)。

※7:上記算式の「Y」に入るものは、以下のように4つのケースがあります。
(以下の算式の「土地等の時価」は、配偶者居住権を設定した建物を賃貸していない場合の時価を指します。)

ⅰ)通常のケース(相法23の2➂一)

  

ⅱ)建物を一部賃貸しているケース(相令5の8➃一)
ⅲ)敷地を他の者と共有しているケース又は建物を配偶者と共有しているケース(相令5の8➃二)

Y=土地等の時価×被相続人の土地又は建物の持分割合(※8)  

ⅳ)建物の一部を賃貸し、かつ、敷地を他の者と共有又は建物を配偶者と共有しているケース(相令5の8➃三)

 ※8:建物、土地両方の持分を有する場合はいずれか低い割合

(4)敷地所有権の価額

3.小規模宅地特例の適用

配偶者居住権に基づく敷地利用権及び敷地所有権のそれぞれが要件を充たせば、小規模宅地特例が適用されます。ただ、敷地利用権と敷地所有権の価額に応じて適用対象面積は按分することとされました(措令40の2➅)。
例えば、以下のように、敷地利用権と敷地所有権に重複して小規模宅地特例が適用されないように調整されます。

《具体例》

敷地面積200㎡、敷地利用権1,000万円、敷地所有権1,500万円の場合。
敷地利用権に対する特例の適用対象面積は、160㎡
(200㎡ × 1,000万円/(1,000万円+1,500万円))。
敷地所有権に対する特例の適用対象面積は、240㎡
(200㎡ × 1,500万円/(1,000万円+1,500万円))。

※本記事は記事投稿時点(2019年5月22日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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