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地価公示とは?土地の適正価格を決める「公示価格」について解説

国土交通省が、毎年3月下旬、地価公示を公表(昨年は令和6年3月27日)していますが、地価公示とはどういうもので、どういう役割を担っているのでしょう?
以下、国土交通省HPの「地価公示」、「地価公示制度の概要」を引用してご説明いたします。
1.地価公示とは
地価公示とは、地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示(令和6年地価公示では、26,000地点で実施)するもので、社会・経済活動についての制度インフラとなるものです(地価の公示は、相当数の標準地を選定し、その価格について行うこととされています。)。
標準地の公示価格は、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格算定の際や、国土利用計画法に基づく土地取引の規制において土地価格の審査の際の規準(規範となる標準の意味)とされます。
2.地価公示の主な役割
地価公示の主な役割は、次のとおりです。
- 一般の土地の取引に対して指標を与えること
- 不動産鑑定の規準となること
- 公共事業用地の取得価格算定の規準となること
- 土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること
- 国土利用計画法による土地の価格審査の規準となること 等
(引用:国土交通省HP「地価公示」)
※下線は税理士法人チェスターによる
3.地価公示の対象区域
地価公示は、都市計画法 (昭和43年法律第100号)第4条第2項に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域(国土利用計画法(昭和49年法律第92号)第12条第1項の規定により指定された規制区域を除く。以下「公示区域」という。)において実施することとされています(地価公示法(昭和44年法律第49号。以下「法」という。)第2条第1項)。
(引用:国土交通省HP「地価公示制度の概要」)
※下線は税理士法人チェスターによる
4.標準地とは
標準地とは、法によれば「自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地」でなければならない(法第3条)とされ、地価公示法施行規則(昭和44年建設省令第55号。以下「規則」という。)では、「土地の用途が同質と認められるまとまりのある地域において、土地の利用状況、環境、地積、形状等が当該地域において通常であると認められる一団の土地」と説明されています(規則第3条)。
なお、ここでいう「一団の土地」とは、同一使用者によって同一使用目的に供されている連続した一区画の土地のことをいうと説明されています。
5.標準地の選定基準
標準地は、特に次の点に留意して選定されます。
(1)標準地の代表性
標準地は、市町村(都の特別区及び政令指定都市の区を含む。)の区域内において、適切に分布し、当該区域全体の地価水準をできる限り代表しうるものであること。(2)標準地の中庸性
標準地は、当該標準地設定区域内において土地の利用状況、環境、地積、形状等が中庸のものであること。(3)標準地の安定性
標準地は、標準地設定区域内における安定した土地の利用状況に配慮したものであること。また、標準地が土地の利用状況が安定的に推移している地域内にある場合にあっては、そのような変化に十分に配慮したものであること。(4)標準地の確定性
標準地は、明確に他の土地と区別され、範囲が特定できるものであること。また、選定する標準地の特性を踏まえ、範囲の特定する方法を広く考慮することで、範囲の特定が容易な地点に偏ることがないように配慮すること。
(引用:国土交通省HP「地価公示制度の概要」)
6.標準地の価格の判定
公示されるのは、毎年1月1日における標準地の単位面積(1㎡)当たりの正常な価格です(法第2条第1項、規則第2条)。
「正常な価格」とは、「土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格」(法第2条第2項)、すなわち、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格、換言すれば、売手にも買手にもかたよらない客観的な価値を表したものです。
正常な価格の判定は、標準地に建物がある場合や標準地に関して地上権その他当該土地の使用収益を制限する権利(以下「建物等」という。)が存する場合には、これらの建物や権利がないものとして(つまり更地として)行われます(法第2条第2項)。
その趣旨は、例えば、標準地に建っている現状の建物を前提に評価を行うと、建物の築年の違いや構造、階層、用途の違いといったその土地の属性と関係のない特徴が土地の価格に反映されることになるからです。
したがって、土地の本来の価値を示すため、現存する建物等の形態にかかわらず、その土地の効用が最高度に発揮できる使用方法(最有効使用)を前提として、評価を行うこととなります。
正常な価格は、土地鑑定委員会が、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って判定することとされています(法第2条第1項)。
また、土地鑑定委員会は、地価公示の円滑な実施のため、鑑定評価員に委嘱した不動産鑑定士を都道府県毎の区域または都道府県を2以上に区分した地域に設置した分科会に配し、標準地選定の原案の検討、土地鑑定委員会からの業務日程の連絡、経済動向や地価動向に関する意見交換・情報交換、価格形成要因の分析などの検討を行います。
なお、不動産鑑定士が標準地の鑑定評価を行う際は、取引事例比較法、収益還元法及び原価法の3手法により求められる価格を勘案して鑑定評価を行うものとされています(法第4条)。
7.標準地の鑑定評価を行う際に用いる3手法の内容
不動産鑑定士が標準地の鑑定評価を行う際に用いる3手法の内容は、標準地の鑑定評価の基準に関する省令(昭和44年建設省令第56号)に定められており、要約すれば次のとおりとなります。
(1) 取引事例比較法
取引事例比較法とは、多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、対象不動産の試算価格を求める手法であり、これにより求められた試算価格を「比準価格」といいます。

(出典:国土交通省HP「取引事例比較法のイメージ」)
(2) 収益還元法
収益還元法とは、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であり、これにより求められた試算価格を「収益価格」といいます。
なお、地価公示では標準地に最有効使用の建物を想定し、その想定された不動産から得られる総収益から総費用を控除して全体の不動産の純収益を試算し、さらに、当該不動産のうち建物に帰属する純収益を控除して土地に帰属する純収益を求め、当該土地に帰属する純収益を還元利回りで還元して試算価格を求める方式(土地残余法)を採用しています。
(3) 原価法
原価法とは、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法であり、これにより求められた試算価格を「積算価格」といいます。
8.公示価格の効力等
標準地の価格等が公示されると、次のような効果が発生します。
(1) 不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準としなければなりません(法第8条)。
公示価格を規準とするとは、対象土地の更地としての価格を求めるに際して、当該対象土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる1又は2以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいいます(法第11条)。
この場合、対象土地の価格判定の基準日と標準地の価格判定の基準日(毎年1月1日)とは異なるのが通例と思われますが、その際には、二つの基準日の間の地価の変動を考慮して、必要に応じていわゆる時点修正を行わなければなりません。
(2) 土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、公示区域内の土地を当該事業の用に供するため取得する場合(当該土地に関して地上権その他当該土地の使用又は収益を制限する権利が存する場合においては、当該土地を取得し、かつ、当該権利を消滅させる場合)において、当該土地の取得価格(当該土地に関して地上権その他当該土地の使用又は収益を制限する権利が存する場合においては、当該権利を消滅させるための対価を含む。)を定めるときは、公示価格を規準としなければなりません(法第9条)。
(3) 収用委員会は、収用に係る土地に対する補償金の額を算定する際には、事業の認定の告示の時における相当な価格に権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて算定することとなっていますが、公示区域内の土地について、この相当な価格を算定するときは、公示価格を規準として算定した当該土地の価格を考慮しなければなりません(法第10条)。
(4) 公示区域内において、土地の取引を行う者は、公示価格を指標として取引を行うように努めなければなりません(法第1条の2)。
(5) 地方公共団体、土地開発公社等は、公有地の拡大の推進に関する法律(昭和47年法律第66号)の規定に基づいて、公示区域内の一定の土地を有償で譲渡しようとする土地の所有者等が都道府県知事に届出又は申出した土地を買取ろうとする場合は、公示価格を規準としなければなりません(公有地の拡大の推進に関する法律第7条)。
(6) 都道府県知事は、公示区域内の土地について国土利用計画法の規定に基づいて基準価格(許可申請に係る土地の所有権の価額、不許可の場合の土地の所有権の買取り価額、届出に係る土地の所有権の価額及び遊休土地の買取り価額)を算定する場合は、公示価格を規準として算定しなければなりません(国土利用計画法第16条第1項第1号、第19条第2項、第27条の5第1項第1号、第27条の8第1項第1号、第33条)。
(7) 土地基本法第16条の公的土地評価の適正化等の規定を踏まえ、土地の相続税評価及び固定資産税評価については、公示価格を基準等として、その一定割合程度を評価割合として評価が行われます。
◎ チェスターの視点
土地の相続税評価額(路線価、評価倍率)は、土地基本法第16条の公的土地評価の適正化等の規定を踏まえ、公示価格を基準等として、その一定割合程度を評価割合として作成されます。
したがって、間もなく公表される令和7年の地価公示価格は、令和7年分の土地の相続税評価額(路線価、評価倍率)の基準となります。地価公示価格の動向は、すなわち、令和7年分の土地の相続税評価額(路線価、評価倍率)の動向につながりますので、注視する必要があります。
種類 | 地価公示価格 | 基準地標準価格 | 路線価 | 固定資産税評価額 |
---|---|---|---|---|
主務官庁 | 国土交通省 | 都道府県 (国土交通省が全国分を取りまとめて公表) | 国税庁 | 全市町村 (東京都23区内は東京都) |
価格時点 | 毎年1月1日 | 毎年7月1日 | 毎年1月1日 | 3年ごとの1月1日 |
公表時期 | 毎年3月下旬 | 毎年9月下旬 | 毎年7月上旬 | 基準年の3月 |
備考 | 適正な時価 | 地価公示価格 と同一水準 | 地価公示価格の80% | 地価公示価格の70% |
それぞれの土地の価格の決め方について、詳しくは「一つの土地に4つの価格」をご覧ください。
※本記事は記事投稿時点(2025年3月17日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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