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生前贈与のやり方とは?手続きの手順や必要書類・注意点を徹底解説

生前贈与のやり方とは?手続きの手順や必要書類・注意点を徹底解説

生前贈与のやり方には、大きく分けて5つの手順があります。スムーズに進めるためには、全体の手続きの流れや、段階ごとにやるべきこと、必要な書類などをあらかじめ知っておくことが大切です。

この記事では、生前贈与を進める手順について、贈与に強い税理士が詳しく解説します。生前贈与は税務調査で申告漏れが指摘されることもあるため、税務調査の対策として注意しなければならないポイントもご紹介します。

この記事の目次 [表示]

1.生前贈与のやり方5つの手順|目的の決定から贈与税の申告までの流れ

生前贈与は、次の5つの手順で進めます。自分で行う場合も、専門家に依頼する場合も、基本の流れは同じです。

このあと、それぞれの手順について詳しい内容を解説します。

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税理士法人チェスターは、贈与税と相続税専門の税理士法人です。お客様のご要望にあわせて、最適な生前対策をご案内します。また、司法書士法人との連携で、贈与契約書の作成や所有権移転登記もお手伝いします。

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2.手順① 贈与の相手や財産・目的を決める

はじめに、誰に・何を・何のために贈与するのかを決めましょう。

生前贈与は相続とは異なり、財産を与える相手を自由に選べます。配偶者や子のほか、通常は相続人とならない孫にも財産を与えることができます。

贈与する財産は、現預金や不動産などが代表的です。金銭的な価値があり、まとまった額の財産が適しているでしょう。

生前贈与は特に目的や用途を定めなくてもできますが、住宅の取得や結婚・子育てなど一定の目的に合致すると、贈与税が非課税になる制度を使うことができます。

2-1.配偶者控除や住宅取得等資金の非課税制度

贈与税にはさまざまな非課税制度があり、これらを利用すると節税につながります。生前贈与で利用できる非課税制度には、次のようなものがあります。

  • 贈与税の配偶者控除:婚姻期間が20年以上の夫婦間であれば、居住用不動産やその購入資金の贈与について2,000万円まで贈与税がかかりません。
  • 住宅取得等資金贈与の非課税:父母や祖父母など直系尊属から受ける住宅取得等資金の贈与は、住宅の種類に応じて最大1,000万円まで贈与税が非課税になります(2026年12月31日まで)。
  • 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税:父母や祖父母など直系尊属から受ける結婚・子育て資金の一括贈与は、1,000万円まで贈与税が非課税になります(2027年3月31日まで)。

2-2.贈与前に確認したい遺留分と老後資金の備え

生前贈与は、家族との関係や自身の老後の暮らしに影響します。贈与を行う前に、遺留分と老後資金の2点を確認しておきましょう。

遺産の相続では、法律で保障された最低限の取り分があります。これを「遺留分」といい、故人の兄弟姉妹を除く法定相続人に対して認められています。

遺留分を計算するときは、亡くなった時点の遺産だけでなく、過去に特定の相続人が受けた、住宅購入資金や結婚資金などの生前贈与も含めて計算します。この相続人への生前贈与は、原則として亡くなるまでの10年間に行われたものが対象になります。ただし、他人の遺留分を侵害することを知って行った贈与は、10年より前のものも対象になります。

たとえば、子のうち1人に住宅購入資金として多額の生前贈与をすると、将来、他の子が相続する財産が遺留分に満たない場合があります。その場合、他の子は多額の贈与を受けた子に「遺留分侵害額請求」をすることができます。請求をされると、遺留分に満たない分を金銭で支払わなければならず、兄弟どうしの争いのきっかけになることがあります。

そのため、生前贈与を行うときは遺留分への配慮が欠かせません。贈与の前に家族で話し合って、公平になるようにしておくと安心です。

遺留分と遺留分侵害額請求について詳しい解説は、下記の記事をご覧ください。

参考:遺留分をわかりやすく解説!請求できる人・割合・計算方法・放棄

もう一つ、自身の老後資金についての配慮も必要です。

贈与した財産は、原則として戻ってきません。生活費や医療費、介護費用は、想定より多くかかることもあります。まず自身と配偶者の老後に必要な資金を見積もり、そのうえで贈与額を決めるとよいでしょう。

3.手順② 贈与に使う制度を選ぶ

生前贈与をすると、財産をもらった人に贈与税がかかります。贈与税の課税には2つの制度があり、どちらを使うかで非課税となる範囲が変わります。贈与の目的や金額に合った制度を選ぶとよいでしょう。

ここでは、制度の選び方と、あわせて知っておきたいルールを確認します。

3-1.暦年課税と相続時精算課税から選択する

贈与税の課税には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの制度があります。

「暦年課税」は、1月1日~12月31日の1年間(暦年)に受けた贈与に対して課税される制度です。1年間に受けた贈与財産の価額が110万円までであれば、贈与税はかかりません。

贈与税の課税基準

「相続時精算課税」は、原則として60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫に贈与する場合に適用できる制度です。1年間に受けた贈与財産の価額が110万円までであれば、贈与税はかかりません。また、110万円を超える部分も、通算で2,500万円になるまで贈与税はかかりません。

ただし、相続時精算課税で贈与した財産の価額は、年間110万円の部分を除いて、贈与者の死亡時に相続税の課税対象になります。

相続時精算課税制度の仕組み

どちらの制度でも、1年間に110万円以下の贈与であれば申告は不要です。申告をする場合、特に手続きをしなければ、暦年課税を選択したことになります。相続時精算課税を選択するときは、贈与する人ごとに初回の申告で届け出をします。

なお、相続時精算課税を一度選択すると、同じ人からの贈与について暦年課税に戻すことはできません。

「暦年課税」と「相続時精算課税」のどちらを選べばよいかは、贈与の相手や金額・目的によって変わります。

  • 孫など、法定相続人ではない人へ贈与したい場合…暦年課税
    暦年課税では、贈与者が亡くなる前の一定期間内の贈与が相続税の対象に加算されますが、法定相続人ではない孫などへの贈与は原則として加算の対象にはなりません。
  • まとまった金額を一度に贈与したい場合…相続時精算課税
    相続時精算課税では、年間110万円+累計2,500万円まで贈与税がかかりません。
  • 将来値上がりしそうな財産を早めに贈与したい場合…相続時精算課税
    贈与した財産は贈与時の価額で相続財産に加算されるため、値上がりした部分には相続税がかかりません。

「暦年課税」と「相続時精算課税」の選択については、下記の記事でも詳しく解説しています。

参考:暦年課税とは│相続時精算課税制度との比較・デメリットも解説

3-2.生前贈与で贈与税がかからない範囲の早見表

ここまでご紹介してきた制度について、贈与税がかからない範囲を早見表にまとめると、次のとおりです。

制度非課税となる範囲申告
暦年課税年間110万円110万円超で必要
相続時精算課税年間110万円+累計2,500万円初回に届出、
110万円超で申告
配偶者控除2,000万円
(暦年課税と併用可)
必要
住宅取得等資金
(2026年12月31日まで)
1,000万円または500万円
(暦年課税・相続時精算課税と併用可)
必要
結婚・子育て資金
(2027年3月31日まで)
1,000万円
(暦年課税・相続時精算課税と併用可)
金融機関経由で届出

住宅取得等資金の非課税金額の上限は、一定の要件を満たす省エネ等住宅については1,000万円、それ以外の住宅については500万円です。

贈与税がかからない場合でも、制度によっては申告が必要です。申告の漏れがないように注意しましょう。

3-3.贈与者が死亡したときは過去7年の生前贈与が相続税の対象になる

暦年課税で生前贈与を行った場合、「生前贈与加算」というルールに注意が必要です。相続税を軽減させるために生前贈与した財産が、相続税の課税対象に加算されてしまうことがあります。

生前贈与加算の仕組み

生前贈与をした人が死亡したときは、死亡前の一定期間内に贈与された財産が相続税の課税対象に加算されます。この加算は、年間110万円以下で贈与税がかからなかった部分も含まれます。ただし、配偶者控除や各種非課税制度を適用した贈与財産は、生前贈与加算の対象になりません。

生前贈与加算の対象期間は、以前は3年でしたが段階的に7年まで延長されています。贈与者の死亡日に応じた対象期間は、次のとおりです。

  • 贈与者の死亡日が2026年12月31日までの場合…死亡前3年以内の贈与
  • 贈与者の死亡日が2027年1月1日~2030年12月31日の場合…2024年1月1日以降の贈与
  • 贈与者の死亡日が2031年1月1日以降の場合…死亡前7年以内の贈与

死亡前3年を超えて7年以内に贈与された財産については、合計100万円まで加算の対象外となります。

生前贈与加算の対象期間

なお、生前贈与加算は、相続や遺贈で財産を取得する人への贈与についてのみ適用されます。生前贈与加算による課税を回避するなら、法定相続人とならない孫や子の配偶者へ贈与することも一つの方法です。

生前贈与加算について詳しい解説は、下記の記事をご覧ください。

参考:生前贈与加算とは?対象者・相続税改正内容・生前贈与の注意点を解説

4.手順③ 贈与を受ける人と合意して契約書を作成する

生前贈与は、贈与者が財産を渡すだけでは成り立たず、財産を受ける受贈者との合意があってはじめて成り立ちます。受贈者と合意できれば贈与契約書を作成して、贈与の事実を客観的に証明できるようにしておきましょう。

4-1.生前贈与について受贈者と合意する

贈与について、民法では次のように定められています。

(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

引用:e-Gov法令検索「民法第549条」

贈与が成立するためには、贈与者が「あなたに贈与します」と意思表示をして、受贈者が「はい、贈与を受けます」と受諾する、両者間の合意が必要です。

たとえば、親が子の名義の預金口座に送金した場合では、子がその事実を知らなければ贈与は成立せず、親が自身の財産の保管場所を変えたに過ぎないとみなされます。

4-2.贈与契約書を作成する

贈与をするときには必ず「贈与契約書」を作成しましょう。契約書があれば、贈与者と受贈者が合意して贈与を行った事実を客観的に証明できます。

贈与契約書の作成

贈与契約書は2通作成し、贈与者と受贈者がそれぞれ1通ずつ保管します。契約書の形式に決まりはありませんが、最低限下記の内容を記載しましょう。

  • 贈与する財産(不動産に関する事項は登記事項証明書のとおりに記載)
  • 贈与する財産の引き渡し方法
  • 受贈者が贈与を受諾したこと
  • 贈与の日付
  • 贈与者の氏名・住所
  • 受贈者の氏名・住所

贈与契約書には、贈与者と受贈者が署名し、押印します。実印を使うとより安心です。

受贈者が未成年の場合は、受贈者本人の署名・押印に加えて、親権者などの法定代理人が署名・押印します。受贈者が乳幼児などで文字を書けない場合は、法定代理人が代筆します。

贈与契約書の作成方法は、下記の記事で詳しく解説しています。

参考:【雛形つき】贈与契約書とは?書き方・生前贈与の注意点を解説!

贈与契約書の作成が難しい場合は、司法書士・行政書士・弁護士に依頼してもよいでしょう。

なお、贈与契約書の作成に加えて、受贈者が税務署へ贈与税を申告すると、贈与の証拠として役立つかもしれません。たとえば、110万円をわずかに超える金額を贈与して、少額の贈与税を申告するといった方法があります。

4-3.公証役場で確定日付を取得する

贈与契約書を作成するだけでも贈与の証拠になりますが、より客観性を高めるため、公証役場で「確定日付」を取得することをおすすめします。確定日付が入った契約書であれば、「後から作成したのでは?」と疑われることはありません。

確定日付を取得するには、最寄りの公証役場に贈与契約書を持参します。予約をしておくとスムーズですが、予約不要で先着順に受け付けるところもあります。手数料は700円です。

公証役場に行く人は契約を交わした本人でなくても構いません。委任状や印鑑証明なども不要のため、忙しい場合は代理人に任せましょう。

4-4.毎年の贈与を「定期贈与」とされないよう契約の段階から対策する

年間110万円以下の贈与には贈与税がかからないことから、毎年110万円以下の贈与を数年にわたって続ける「暦年贈与」が広く行われています。ただし、場合によっては「定期贈与」とみなされ、贈与税が課税されることがあるため注意が必要です。

定期贈与とは、「最初に一定の総額を贈与する約束をして、その総額を分割して渡している」と判断される贈与のことです。たとえば、「毎年110万円を15年間贈与する」と約束して贈与を行うと、最初の年に1,650万円の贈与を受ける権利を取得したとみなされ、総額に対して贈与税が課税される可能性があります。

毎年の贈与が定期贈与とみなされる可能性

定期贈与とみなされないためには、契約の段階で次のような対策が必要です。

  • 贈与のたびに、新しく贈与契約書を作成する
  • 贈与する金額や時期を、毎年同じにしない
  • 将来の贈与を約束せず、その都度、贈与の意思を確認する

定期贈与とみなされないための対策については、下記の記事でも詳しく解説しています。

参考:定期贈与(連年贈与)と判断されない3つの回避方法│税理士が解説

5.手順④ 財産を移す(その1)現金の贈与は銀行振込で

贈与契約書を作成できれば、贈与する財産を受贈者へ移します。

財産を移す方法は、財産の種類によって異なります。この章では現金を移す方法を、次の章では不動産を移す方法を解説します。

5-1.現金の手渡しは避ける

現金の贈与を行う場合には、必ず銀行の振込で実施しましょう。現金による手渡しでの贈与もできますが、あとでトラブルに発展する可能性があります。

現金を手渡しすると、その記録は残りません。しかし税務署が調査を行うと、現金を手渡しするために預金を引き出した記録が見つかってしまいます。その結果、税金逃れのために現金で手渡ししたのではないかと疑われるかもしれません。

また贈与者が贈与のつもりで現金を手渡ししても、受贈者は単に生活費を受け取っただけと考えているケースもあるでしょう。生活費の受け取りであれば贈与税はかかりませんが、贈与であれば課税の対象になります。両者の認識のずれによって、本来贈与税の申告が必要であるにもかかわらず申告が漏れてしまうトラブルも考えられます。

5-2.本人が管理する口座に振り込みをする

贈与するお金は、受贈者本人が管理する本人名義の口座へ振り込むこともポイントです。口座の名義が受贈者になっていても、贈与者がその口座を開設して管理している場合は、「名義預金」とみなされる可能性があります。

名義預金とされた場合、受贈者の名義であっても実質的な所有者は贈与者であり、贈与は行われていないと判断されます。その結果、贈与者が亡くなったときに相続税の対象となります。

このような状態を避けるためには、口座の開設も管理も受贈者本人が行います。口座にあるお金が手付かずのままでも名義預金と疑われやすいため、少し使っておいてもよいでしょう。

名義預金とみなされる具体例と口座管理のポイントは、「8.税理士が教える生前贈与の成功・失敗事例」で詳しく解説します。

5-3.年間110万円以下の現金を贈与する手順

1年間に受けた贈与財産の価額の合計が110万円以下であれば、贈与税はかからず申告も不要です。そのため、年間110万円以下の贈与が広く行われています。

年間110万円以下の現金を贈与する手順は、次のとおりです。

  1. 贈与の内容について、贈与者と受贈者で合意する。
  2. 金額、贈与の日付、振込先の口座を記載した贈与契約書を2通作成し、贈与者と受贈者が各1通保管する。
  3. 贈与者の口座から、受贈者本人が管理する受贈者名義の口座へ振り込む。
  4. 振込明細や通帳の記録を保管する。

なお、1年間に複数の人から贈与を受けた場合、贈与税の課税はそれらの合計額で判定します。他の人からの贈与も含めて、受贈者の1年間の受け取り額が110万円を超えないか確認しましょう。

先ほど解説したように、贈与税がかからなくても、贈与者が亡くなる前の一定期間の生前贈与は相続税の対象に加算される場合があります。このほか、毎年同額の贈与を続けていると「定期贈与」とみなされて、贈与の総額に課税される恐れがあるため、注意が必要です。

6.手順④ 財産を移す(その2)土地や家の贈与は所有権移転登記が必要

土地や家など不動産の贈与の手続きは、現金とは異なり、「所有権移転登記」(名義の書き換え)が必要です。

6-1.必要書類を集めて法務局で所有権移転登記をする

不動産の贈与では、登記簿の名義を書き換える「所有権移転登記」を行います。この手続きは法務局で行います。

贈与による所有権移転登記に期限はなく、法律による義務づけもありません。ただし、贈与されたにもかかわらず所有権移転登記をしていなければ、第三者から見ると不動産の所有者は贈与者のままです。

仮に贈与者が第三者へ売却したり、贈与者の債権者が差押えをしたりした場合に先に登記が行われれば、受贈者は不動産を失うおそれがあります。そのようなトラブルを未然に防ぐためにも、所有権移転登記は速やかに実施しましょう。

所有権移転登記の手続きには、下記のものを準備します。

  • 登記申請書
  • 贈与契約書
  • 贈与者が持っている登記済証(登記識別情報通知)
  • 贈与者の印鑑証明書
  • 受贈者の住民票の写し
  • 不動産の固定資産評価証明書
  • 登録免許税に相当する収入印紙(または金融機関で納付した領収証書)
  • (代理人に手続きを依頼する場合)委任状

所有権移転登記の手続きは自分でもできますが、複雑なケースでは必要な書類が多く、不慣れな場合は時間がかかります。また、法務局の窓口は、基本的に平日のみの対応です。

手続きが難しい場合や時間が取れない場合は、司法書士に依頼することをおすすめします。

6-2.不動産の贈与にかかる費用

不動産を贈与すると、所有権移転登記のときに「登録免許税」、登記のあとに「不動産取得税」がかかります。

登録免許税は、登記の申請時に納めるもので、税額は固定資産税評価額の2%です。評価額が2,000万円であれば、税額は40万円になります。

不動産取得税は、都道府県から届く納税通知書にしたがって納めます。原則として申告は不要です。税額は、固定資産税評価額(土地は固定資産税評価額の1/2(※))に税率(土地・住宅3%(※)、住宅以外の建物4%)をかけて求めます(※いずれも2027年3月31日までに取得の場合)。要件を満たすと軽減措置を受けられます。

このほか、登記の手続きを専門家に依頼する場合は報酬が必要で、贈与財産の総額が年間110万円を超える場合は贈与税がかかります。

7.手順⑤ 必要に応じて贈与税を申告・納税する

生前贈与を受けた場合は、必要に応じて贈与税の申告・納税を行います。ここでは、どのようなケースで贈与税の申告が必要になるかをご紹介します。

7-1.贈与税の申告時期と必要書類

贈与税の申告は、財産を受け取った受贈者が、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日の間に行います。納税も同じ期間に行います。

贈与税の申告・納付時期

申告書は、税務署への持参、郵送、e-Taxのいずれかの方法で提出します。申告書のほか、マイナンバーの確認書類と本人確認書類が必要です。

各種非課税制度を利用するときは、税額が0円になる場合でも贈与税の申告が必要です。

贈与税の配偶者控除の適用には、贈与税の申告書のほか、「戸籍謄本」「戸籍の附票の写し」「対象となる不動産の登記事項証明書」「贈与された不動産の評価証明書」が必要です。

住宅取得等資金の非課税の適用には、贈与税の申告書のほか、「戸籍謄本」「対象となる不動産の登記事項証明書」「住宅取得の契約書の写し」などが必要です。

ただし、結婚・子育て資金の非課税については贈与税の申告は必要なく、資金を預ける金融機関を通して税務署に申請します。

7-2.暦年課税で年間110万円を超えた場合

暦年課税により、1年間に110万円を超える贈与を受けた場合は、贈与税の申告が必要です。

贈与税申告書の書き方については、下記の記事で詳しく解説しています。

参考:【自分でできる】贈与税の申告方法・申告書の書き方・必要書類をすべて解説

贈与税申告書の書き方は比較的シンプルで分かりやすいため、現金の贈与であれば自分で申告書を作成することもできます。ただし、不動産の贈与を受けた場合は、財産の価額を評価しなければならないため、税理士に依頼することをおすすめします。

7-3.相続時精算課税を選択する場合

相続時精算課税を選択する場合は、贈与する人ごとに「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出します。たとえば、父から贈与を受けて相続時精算課税選択届出書を提出しても、翌年に母からの贈与に相続時精算課税を選択するときは、改めて届出書を提出する必要があります。

提出の期間は、最初の贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日です。提出のときは、受贈者の戸籍謄本など所定の書類を添付します。

なお、贈与を受けた金額が110万円以下の場合は贈与税の申告が不要となるため、相続時精算課税選択届出書と添付書類のみを提出します。

8.税理士が教える生前贈与の成功・失敗事例

生前贈与のやり方を間違えると、せっかくの贈与が認められなかったり、思わぬ課税をされたりすることがあります。ここでは、成功と失敗の事例をもとに、押さえておきたいポイントを確認します。

8-1.【成功】暦年課税と住宅取得等資金の非課税の併用で贈与税を抑える

非課税制度を上手に利用すれば、贈与税の負担を抑えてまとまった資金を贈与できます。生前贈与の成功例として、親から子に住宅の購入資金を贈与したケースをご紹介します。

Aさん(65歳)は、長男(35歳)が一定の要件を満たす省エネ等住宅を新築するにあたり、住宅取得等資金として1,000万円を贈与しました。この金額は、住宅取得等資金の非課税制度の限度額の範囲内であるため、贈与税はかかりません。さらに、同じ年に暦年課税で110万円を贈与し、合計1,110万円を贈与税の負担なく渡すことができました。

8-1-1.非課税制度適用のポイント

上記の事例で贈与税を軽減できたポイントは、次の2つです。

  • 住宅の種類(省エネ等住宅かそれ以外の住宅)に応じた限度額の範囲内で贈与した。
  • 贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日までに、必要書類をそろえて贈与税の申告書を提出した(税額が0円でも申告書の提出が必要)。

なお、住宅取得等資金の非課税制度を適用した1,000万円は、贈与者が死亡したときに生前贈与加算の対象にならない一方、残りの110万円は生前贈与加算の対象になる点に注意が必要です。

8-2.【失敗】孫への贈与が名義預金とみなされ相続税が課される

Bさん(70歳)は、孫(8歳)のために孫名義の預金口座を開設し、毎年110万円を10年間にわたって入金し続けました。孫がまだ幼かったこともあり、通帳と印鑑はBさんが保管し、孫に口座の存在と入金の事実を告げていませんでした。

Bさんが亡くなると、相続税の税務調査でこの口座の存在が確認されました。口座の名義は孫でも、実質的な所有者はBさんのままであると判断され、名義預金として相続財産に加算されました。その結果、相続税の修正申告が必要になり、追加の税金に加えて、過少申告加算税と延滞税も課されました。

8-2-1.名義預金とみなされないための口座管理のポイント

贈与が成立するためには、贈与する人と贈与を受ける人の双方の合意が必要です。上記の事例では、孫は贈与されたことを知らなかったため、贈与の成立は認められませんでした。

振り込んだお金が名実ともに受贈者のものになっているかどうかは、次のような点から総合的に判断されます。

  • 受贈者が贈与を受けた事実を知っているか
  • 口座の開設手続きを受贈者本人(未成年の場合は親権者)が行っているか
  • 受贈者が通帳、キャッシュカード、届出印を管理しているか
  • 受贈者が自分の意思で預金を引き出しているか
  • 贈与者が口座の入出金を管理していないか

名義預金とみなされないための対策としては、贈与契約書を作成したうえで、受贈者名義の口座へ振り込みます。通帳や印鑑は受贈者に渡しましょう。受贈者が未成年の場合も親権者に任せるなどして、贈与者が口座を動かせないようにしておくことが大切です。

名義預金の判定基準や名義預金とみなされないための対策については、下記の記事でも詳しく解説しています。

参考:【名義預金の相続】相続税がかかるケース・対策を税理士が解説

8-3.生前贈与の落とし穴と対策のまとめ

生前贈与にありがちな落とし穴とその対策を、簡単な表にまとめてご紹介します。記載の数字は、詳しい解説の見出し番号を示しています。

落とし穴起こること対策
名義預金(5-2)贈与者の相続財産になる受贈者が口座を管理
定期贈与(4-4)総額に贈与税課税の可能性贈与のつど契約書作成
現金の手渡し(5-1)贈与が認められない銀行振込をする
生前贈与加算(3-3)贈与者の相続財産に加算早めの贈与・相続人以外への贈与
遺留分・老後資金(2-2)家族間のトラブル・老後資金の不足事前の話し合い・老後資金の計画
不動産贈与の費用(6-2)費用の見落とし事前に費用を確認

9.自分で手続きできる範囲と専門家に依頼すべきケース

生前贈与する財産が現金のみであれば、自分だけで手続きを進めることができます。不動産でも自分だけで手続きをすることはできますが、書類が多い場合や贈与税の申告で不動産の価額の評価が必要な場合は、専門家への依頼も検討しましょう。

9-1.生前贈与の手続き別の窓口・依頼先の早見表

生前贈与に必要な主な手続きの窓口と、依頼できる専門家は次のとおりです。

手続き窓口依頼先
贈与契約書の作成-司法書士・行政書士・弁護士
確定日付の取得公証役場(誰でもよい)
所有権移転登記法務局司法書士
贈与税の申告税務署税理士

相続や生前贈与を専門にしている事務所では、他の専門家と提携していることが多く、一つの窓口であらゆる依頼に対応できます。

9-2.税理士への相談をおすすめするケース

次のようなケースでは、税理士への相談をおすすめします。

  • 贈与する金額が大きい、または複数の人へ継続的に贈与する予定がある
  • 暦年課税と相続時精算課税のどちらを選ぶべきか迷っている
  • 不動産や株式など、評価が必要な財産を贈与する
  • 住宅取得等資金などの非課税制度を利用する
  • 過去の贈与について、契約書がないなど不安がある
  • 将来の相続税の見込みもふまえて、贈与の計画を立てたい

生前贈与は、制度の選択や贈与のタイミングによって、税負担が大きく変わります。

不動産については、生前贈与より相続の方が税負担の軽減になる場合もあります。故人の自宅・事業用の宅地は「小規模宅地等の特例」で相続税の負担を大幅に軽減できますが、この特例は生前贈与した宅地には適用できません。

相続や生前贈与に強い税理士に相談することで、手続きの不備による贈与の否認や思わぬ税負担を回避できるでしょう。

10.流れを知って正しい生前贈与を円滑に進めよう

生前贈与は、贈与の相手や目的を決める、利用する制度を選ぶ、契約書を作成する、財産を移す、必要に応じて贈与税を申告するという流れで進めます。

目的に沿った生前贈与を行うためには、あらかじめ手続きの流れや制度の詳細を確認しておきましょう。

また、税務調査で思わぬ課税をされないためにも、契約書の作成や受贈者の口座への振込などの対策を行いましょう。特定の目的に使う資金であれば、非課税で贈与できる制度も利用できます。

10-1.チェスターにご相談を

自分で生前贈与の手続きをすることに不安がある方は、ぜひチェスターにご相談ください。

税理士法人チェスターは、贈与税と相続税専門の税理士法人です。お客様のご要望にあわせて、最適な生前対策をご案内します。また、司法書士法人チェスターとの連携で、贈与契約書の作成や所有権移転登記もお手伝いします。

生前贈与をお考えの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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相続対策は「今」できることから始められます

「相続税の納税額が大きくなりそう」・「将来相続することになる配偶者や子どもたちが困ることが出てきたらどうしよう」という不安な思いを抱えていませんか?

相続専門の税理士法人だからこそできる相続税の対策があります。
何から始めていいか分からない方もどうぞご安心ください。
様々な状況をご納得いく形で提案してきた相続のプロフェッショナル集団がお客様にとっての最善策をご提案致します。

まずはチェスターが提案する生前・相続対策プランをご覧ください。

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