相続した株を売却した場合の税金
相続した株を売却した場合の税金
故人の遺産の中には、株式が含まれていることがあります。株式は法律的には株式会社に対する出資者としての地位を意味します。
つまり、株式を保有している場合には、株式会社に対する出資者として会社の経営についての発言権(議決権)や配当の分配請求権(剰余金の配当請求権)などの権利を持つこととなります。
この権利は上場会社の株式であれ、非上場会社の株式であれ違いはありません。また、株式は現実的な意味としては、上場会社の株式の場合には、特に資産としての側面が強いということができます。
このような株式を相続された場合には当然相続税の負担の可能性が生じえます。特に故人が上場会社の株式を多数保有されていたような場合には、高い評価をされて、他の相続財産の価格と相まって相続税発生の可能性が高まります。
相続税の取得加算費の特例
さらに、ご留意いただきたいポイントとして、相続された株式を売却した場合の「相続税の取得加算費の特例」という制度があります。
これは、相続(遺贈も含みます)によって財産を取得した個人に相続税負担があった場合、相続の開始があった日の翌日から3年10ヶ月経過する日までの間に相続財産を譲渡した場合には、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費に譲渡した財産に対応する相続税額を加算することができるという制度です。
これは、相続税に加えて、譲渡による所得税について課税の負担が過重にならないようにするために設けられた制度です。
特に、相続税を支払うために遺産を売却された方などはこの制度を利用する意味があるということができます。株式の場合にも当然この相続税の取得加算費の特例制度の適用があり、相続された株式を売却して利益が出たとしても、譲渡益にかかる税金が安くなる可能性があります。
株式の相続に関する様々な問題の可能性
株式の相続に関しては、非上場の会社の株式の場合には価格の算定方法が問題となったり、その後に「相続税の取得加算費の特例」制度を利用する場合には、計算が複雑となるなど様々な税務上の問題が生じる可能性があります。
遺産に株式が含まれている場合には、相続発生後は、一度税理士へ相談されることがおすすめできます。
なお、非上場の会社の株式の場合には、会社の方から、買取を求められることも考えられます。一定の場合には買取の請求に応じる義務が生じることもあります(会社法第174条)。
つまり、法務手続き上の問題も生じえます。株式は大きな価値のある遺産ですが、同時に様々な負担が生じる可能性があることを把握することも重要です。
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