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相続した空き家を売却!譲渡所得税に係る2つの特例の選択ミスに注意

2024/07/16

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1.はじめに

相続によって取得した空き家を売却して譲渡益(譲渡所得)が出ると、譲渡所得税が課税されます。

空き家を売却した相続人が相続税の申告・納付をしている場合、「相続税の取得費加算の特例」を適用することで、譲渡所得税を軽減できる可能性があります。

しかし、近年は空き家が増加していることもあり、国は「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」を設け、譲渡所得税の負担を軽減させることで、相続した空き家の売却を促しています。

ここで問題となるのは、2つの特例のどちらも適用できるケースです。

「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」は適用要件が複雑で、税制改正によって見直しが繰り返されていることもあり、特例の選択ミスも散見されます。

本稿では、相続によって取得した空き家の売却に係る2つの特例と、特例の選択ミスを回避するための予防対策についてご紹介します。

 

2.空き家の総数は900万戸!過去最多を記録

総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 」によると、空き家の総数が900万戸となり、過去最多を記録しました。

前回の調査(平成30年)から、空き家の総数は51万戸増加しており、そのうちの37万戸は「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」です。

【出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 」】

この「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」とは、居住世帯が長期不在になっている住宅や、建替えのために取り壊す予定がある住宅などを指します。

2-1.空き家を取得した経緯は「相続」が半数以上

国土交通省「我が国の空き家の現状と最新の政策動向について 」によると、空き家を取得した経緯は「相続」が54.6%とされています。

さらに所有者の約3割は遠隔地に居住しており、所有世帯の家計を支える人の6割超が、65歳以上の高齢者とされています。

【出典:国土交通省「我が国の空き家の現状と最新の政策動向について 」】

空き家の増加に伴い、国は「空家等対策の推進に関する特別措置法 」を制定して、空き家対策に取り組んでいます。

 

3.相続した空き家を売却した際に適用できる2つの特例

相続した空き家を譲渡(売却)して譲渡益(譲渡所得)が出ると、譲渡所得税が課税されます。

この譲渡所得税の計算をする際に、「相続税の取得費加算の特例」や「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」を適用できれば、譲渡所得税の負担を軽減できます。

では、上記2つの特例の概要や適用要件を確認していきましょう。

相続不動産の売却について、詳しくは「相続不動産を売却!手続きの流れ・税金シミュレーション・確定申告について 」や「相続した不動産を売却するときに適用できる3つの特例とは?適用要件を徹底解説 」もあわせてご覧ください。

3-1.相続税の取得費加算の特例

相続税の取得費加算の特例とは、相続により取得した土地・建物などを、相続税の申告期限から3年(相続開始から3年10ヶ月)以内に売却した場合、譲渡所得税の計算式において、相続税の一部を「取得費」として加算できる特例のことです租税特別措置法第39条 )。

譲渡所得税の課税対象となる譲渡益を減らすことに繋がるため、譲渡所得税が軽減されます。

取得費加算の特例を適用するためには、相続や遺贈で財産を取得していること、財産の取得者に相続税が課税されていること、相続開始から3年10ヶ月以内に売却していることなどの要件を、全て満たす必要があります(国税庁のチェックシートはコチラ )。

取得費加算の特例について、詳しくは「取得費加算の特例で節税!計算方法や注意点、併用可能な特例をわかりやすく解説 」をご覧ください。

3-2.空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例(以下、空き家の譲渡特例)とは、相続によって取得した空き家を、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却した場合、課税される譲渡益を最大3,000万円まで控除できる特例のことです租税特別措置法第35条第3項 )。

譲渡所得税の課税対象となる譲渡益から、最大3,000万円の特別控除を差し引くことができるため、譲渡所得税が軽減されます。

空き家の譲渡特例は節税効果が高い反面、「家屋要件」や「譲渡要件」など多くの適用要件が設けられており、これらを全て満たす必要があります(国税庁のチェックシートはコチラ )。

令和5年度税制改正により、空き家の譲渡特例の適用期間が令和9年12月31日まで延長されました。

また令和6年1月1日以降に譲渡を行う場合は適用要件が緩和され、譲渡日の翌年の2月15日までに譲受側(購入者)が耐震リフォームや除却をすれば、空き家の譲渡特例の適用を受けられます。

詳しくは「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除~老人ホーム等に入所でも適用できる~ 」や「【令和5年度税制改正】空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例の見直し 」をご覧ください。

 

4.相続した空き家の譲渡所得税に係る2つの特例の選択ミスに注意

「取得費加算の特例」と「空き家の譲渡特例」は併用できませんので、どちらの要件も満たす場合は、いずれか一方の特例を選択しなくてはなりません。

しかし、2つの特例の選択ミスにより、税理士が依頼者から過大納付税額について、損害賠償請求を受けた事例もあります。

相続した空き家の売却に係る譲渡所得税を計算する際には、特例の選択ミスをしないよう注意が必要です。

4-1.特例の選択ミスで税理士が損害賠償請求された事例

相続税の申告を依頼された税理士は、申告書の作成時において、被相続人が居住していた家屋が空き家になったことは認識していました。

令和4年に相続税の申告書を提出し、同年に依頼人は相続した空き家を更地にして売却しました。

令和5年の2月某日、依頼人は相続税申告を担当した税理士に、空き家の売却に係る譲渡所得の申告を依頼しました。

しかし、税理士は「相続財産を売却した場合は取得費加算の特例しか適用できない」と思い込んでおり、空き家の譲渡特例の適用を検討することなく、取得費加算の特例を適用して、確定申告書を作成・提出したのです。

その後、依頼人から問い合わせがあり、「空き家の譲渡特例」を適用していた方が有利であったことに気付きます。

本事例は、「空き家の譲渡特例」の適用要件を全て満たしていました。

確定申告を依頼された際に受け取った必要書類から、依頼人が空き家を更地にして売却したことは、税理士も認識していたはずです。

確定申告をする前に特例の適用ミスに税理士が気付いていれば良かったのですが、確定申告をした後では「更正の請求」によって特例を変更することもできません。

本事例においては、過大納付税額について、税理士は損害賠償請求を受けることとなりました。

 

5.特例の選択ミスを回避するための予防対策

「取得費加算の特例」と「空き家の譲渡特例」の選択ミスを回避するためには、税理士がしっかりヒアリングをした上で、2つの特例の適用可能性について検討することが大前提です。

しかし、相続税申告の段階で空き家の売却について相談していなかったものの、数年後に空き家を売却することが決まることもあります。

また、相続税申告と確定申告を、別々の税理士に依頼する可能性もあります。

この章では、「相続税申告の段階」「空き家を売却することが決まった段階」「確定申告の段階」でできる、具体的な予防対策をご紹介しますのでぜひ参考にしてください。

5-1.相続税申告の段階でできる予防対策

相続税申告を依頼する段階でできる予防対策は、税理士に以下の内容を共有した上で、2つの特例のどちらを適用できるのか、またどちらを適用した方が有利なのかを相談することです。

・相続した空き家の売却予定があること
・相続した空き家の建築年や耐震基準
・相続した空き家の利用状況(相続開始直前~現在まで)

税理士に「取得費加算の特例」と「空き家の譲渡特例」の適用を検討してもらった後は、それぞれの適用要件を元に、依頼人のみなさんが「いつまでに」「どのような形で売却すべきか」を知ることが大切です。

5-2.空き家を売却することが決まった段階でできる予防対策

空き家を売却することが決まった段階でできる予防対策は、税理士に以下の内容を共有した上で、2つの特例のどちらを適用できるのか、またどちらを適用した方が有利なのかを相談することです。

・空き家を取得した経緯
・相続税の申告をしたこと
・相続した空き家をいつまでに売却したいのか
・相続した空き家の建築年や耐震基準
・相続した空き家の利用状況(相続開始直前~現在まで)

税理士に「取得費加算の特例」と「空き家の譲渡特例」の適用を検討してもらった後は、それぞれの適用要件を元に、依頼人のみなさんが「いつまでに」「どのような形で売却すべきか」を知ることが大切です。

5-3.譲渡所得税の確定申告の段階でできる予防対策

譲渡所得税の確定申告の段階(売却後)でできる予防対策は、税理士に以下の内容を共有した上で、2つの特例うちどちらを適用できるのか、またどちらを適用した方が有利なのかを相談することです。

・空き家を取得した経緯
・相続税の申告をしたこと
・空き家を売却した日
・売却した空き家の建築年や耐震基準
・空き家を売却した時の状態
・相続した空き家の利用状況(相続開始直前~売却日まで)

税理士に「取得費加算の特例」と「空き家の譲渡特例」の適用を検討してもらった後は、税制改正による見直しの有無はもちろん、見直しがあった場合はその施行日も確認してもらうことが大切です。

 

6.まとめ

相続した空き家の売却に係る譲渡所得税を計算する際には、一定の要件を満たせば「取得費加算の特例」や「空き家の譲渡特例」を適用できます。

しかし、空き家の譲渡特例は適用要件が複雑な上に、税制改正による見直しも繰り返されており、適用の判断が難しい特例でもあります。

2つの特例のどちらも適用できるケースにおいては、特例の選択ミスを回避するためにも、空き家の建築年数・売却予定時期・利用状況を、税理士に共有することが大切といえるでしょう。

※本記事は記事投稿時点(2024年7月16日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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