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遺族年金とは│誰がいくらもらえる?シミュレーション付きで解説

遺族年金とは│誰がいくらもらえる?シミュレーション付きで解説

遺族年金とは、公的年金の加入者が亡くなったとき、生計を維持されていた配偶者や子どもなどの遺族に支給されるものです。

日本では「国民皆年金制度」のもと、原則として20歳以上60歳未満のすべての人が国民年金または厚生年金といった公的年金に加入することになっています。ただし、遺族年金の支給額は年金の加入状況や家族構成によって異なるほか、要件を満たさず支給されないケースもあります。

この記事では、遺族年金の種類や支給額の計算方法、もらえないケースなどを相続税専門の税理士がわかりやすく解説します。

この記事の目次 [表示]

1.遺族年金は、遺族基礎年金・遺族厚生年金の2種類からなる

遺族年金は、国の社会保障制度の一つです。公的年金に加入している人が死亡したとき、所定の要件を満たす遺族に支給されます。

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。これは、公的年金に「国民年金」と「厚生年金」の2種類の制度があることに対応したものです。

加入している公的年金と、受給できる遺族年金の種類の対応は、次のとおりです。

 加入する人受給できる遺族年金
国民年金20歳以上60歳未満(全員)遺族基礎年金
厚生年金会社員や公務員など遺族基礎年金
遺族厚生年金
(※)

(※)厚生年金の加入者は、同時に国民年金にも加入しているため(いわゆる「2階建て」の年金制度)、要件を満たせば遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できます。

まずは、遺族基礎年金と遺族厚生年金について、受給の要件や支給額の決まり方をそれぞれ解説します。

1-1.遺族基礎年金は死亡した人の職業にかかわらずもらえる

遺族基礎年金は、死亡した人の職業にかかわらず、所定の要件を満たす遺族に支給される年金です。

1-1-1.【遺族基礎年金】死亡した人の要件

遺族基礎年金は、死亡した人が次のいずれかの要件を満たす場合に支給されます。

  1. 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
  2. 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
  3. 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

※引用:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」

上記1と2の要件については、死亡日の前日に、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、2036年(令和18年)3月31日までに65歳未満で死亡した人は、死亡した月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。

3の要件については、保険料納付済期間と保険料免除期間、合算対象期間、さらに65歳以降の厚生年金保険の被保険者期間を合算した期間が25年以上あることが条件です。合算対象期間は、受給資格期間には含まれるものの年金額には反映されない期間(いわゆるカラ期間)のことです。

1-1-2.【遺族基礎年金】年金をもらえる人の要件

遺族基礎年金をもらえる人は、死亡した人によって生計を維持されていた次の遺族です。

  • 子のある配偶者(夫でも妻でもよい)
  • 子(両親がともに死亡した場合など)

ここで「生計を維持されていた」とは、死亡した人と同居していた、死亡した人から仕送りを受けていた、死亡した人の健康保険の扶養親族であった場合のいずれかに当てはまることをさします。あわせて、遺族の前年の年収が850万円未満(または年間所得が655万5,000円未満)であることも必要です。

参考:日本年金機構「さ行 生計維持」

「子」とは、18歳になった年度の3月31日までにある人(障害等級が1級・2級の場合は20歳未満の人)をさします。

子のある配偶者が遺族基礎年金を受給する場合や、子に生計を同じくする父または母がいる場合は、子は遺族基礎年金を受給できません。

なお、子のない配偶者や、子が一定の年齢に達している配偶者は、遺族基礎年金を受給できませんが、寡婦年金か死亡一時金のいずれかを受給できる場合があります。

【2028年(令和10年)4月からの制度改正について】

遺族年金の制度は2028年4月から大きく変わります。
子に生計を同じくする父または母がいても、その父または母が遺族基礎年金を受給できない場合は、子が受給できるようになります。

1-1-3.【遺族基礎年金】もらえる年金の額

2026年(令和8年)4月分からの遺族基礎年金の年間支給額は以下のとおりです。

  • 遺族基礎年金の支給額:年額 847,300円+子の加算額
    (昭和31年4月1日以前生まれの人は、年額844,900円+子の加算額)
  • 子の加算額:
    • 1人目と2人目:それぞれ243,800円
    • 3人目以降:1人あたり81,300円

参考:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」

また、遺族基礎年金を受給するのが子どものみである場合、2人目以降が加算の対象となります。子どもが2人以上いる場合は、総額を子どもの数で割った金額が各人の受給額となります。

家族構成ごとの遺族基礎年金の年間支給額は、以下のとおりです。なお、死亡した人が夫と妻のどちらであっても受給額は変わりません。

遺族の家族構成遺族年金の年間支給額
配偶者と子1人1,091,100円
配偶者と子2人1,334,900円
配偶者と子3人1,416,200円
子1人847,300円
子2人1,091,100円
子3人1,172,400円

※上記の金額は2026年(令和8年)4月分からのものです
※子どもが3人以上いる場合は1人増えるごとに81,300円が加算されます

子どもが一定の年齢に達したなどの理由で遺族基礎年金の支給対象から外れる場合、子の加算額は減額されます。支給対象となる子がいなくなると、配偶者は遺族基礎年金を受給できません。

【2028年(令和10年)4月からの制度改正について】

2028年度以降、子の加算額は、3人目以降の子も1人目・2人目と同額になります。あわせて、上記2026年度(令和8年度)の金額から引き上げられます。

1-2.遺族厚生年金は死亡した人が会社員・公務員だった場合にもらえる

遺族厚生年金は、会社員や公務員など厚生年金に加入していた人が死亡したときに、所定の要件を満たす遺族に支給される年金です。

1-2-1.【遺族厚生年金】死亡した人の要件

遺族厚生年金は、死亡した人が次のいずれかの要件を満たす場合に支給されます。

  1. 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
  2. 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
  3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

※引用:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」

上記1と2の要件については、死亡日の前日に、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、2036年(令和18年)3月31日までに65歳未満で死亡した人は、死亡した月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。

4の要件については、保険料納付済期間と保険料免除期間、合算対象期間(いわゆるカラ期間)、さらに65歳以降の厚生年金保険の被保険者期間を合算した期間が25年以上あることが条件です。

厚生年金の保険料は会社が納めるため、基本的に滞納することはありません。しかし、就職前または退職後の期間で国民年金保険料の滞納があると、受給資格を満たせなくなることがあります。

1-2-2.【遺族厚生年金】年金をもらえる人の要件

遺族厚生年金をもらえる人は、死亡した人によって生計を維持されていた人です。

具体的には、以下の続柄の遺族で最も優先順位の高い人がもらえます。先の順位の人が遺族厚生年金をもらっていれば、後の順位の人はもらうことができません。

順位続柄年齢の要件
第1順位子のある妻要件なし
子のある夫55歳以上(支給は60歳から)(※1)
第2順位子18歳到達の年度末まで(※2)
第3順位子のない妻要件なし(30歳未満は5年間のみ支給)
子のない夫55歳以上(支給は60歳から)
第4順位父母55歳以上(支給は60歳から)
第5順位孫18歳到達の年度末まで(※2)
第6順位祖父母55歳以上(支給は60歳から)

※1 遺族基礎年金があわせて支給される場合は60歳未満でも支給
※2 障害等級1級・2級の場合は20歳になるまで

遺族厚生年金は子どもがいない配偶者でも受給できる場合があります。このように、続柄ごとに年齢の要件はあるものの、遺族基礎年金よりも幅広い範囲の人が受給できるようになっています。

なお、「生計を維持されていた」とは、遺族基礎年金と同様に、死亡した人と同居していた、死亡した人から仕送りを受けていた、死亡した人の健康保険の扶養親族であった場合のいずれかに当てはまることをさします。あわせて、遺族の前年の年収が850万円未満(または年間所得が655万5,000円未満)であることも必要です。

【2028年(令和10年)4月からの制度改正について】

2028年4月以降は、遺族厚生年金をもらえる人の要件について、性別による違いが解消されます。

  • 子のある配偶者:現行のとおり
  • 子のない配偶者(夫・妻とも):60歳未満で死別したときは原則5年間の有期給付、60歳以上で死別したときは無期給付(現行のとおり)
  • ただし、子のない妻については急激な変化を避けるための経過措置があり、死別の年齢について、2028年度は「40歳未満」から始まり、20年かけて段階的に「60歳未満」まで引き上げる
  • 5年間の有期給付には「有期給付加算」が上乗せされ、支給額は現行の約1.3倍相当になる
  • 5年間の有期給付の終了後も、障害のある人や収入が十分でない人は継続給付を受けられる
  • 5年間の有期給付に限り、年収850万円以上でも受給できる

1-2-3.【遺族厚生年金】もらえる年金の額

遺族厚生年金の年間の支給額は、死亡した人が厚生年金に加入していた期間の報酬(給与や賞与)の金額から計算されます。

原則では次の【1】の計算式で計算しますが、平成6年の水準で標準報酬を再評価した【2】の計算式で計算した金額(従前額)の方が高い場合は、【2】の計算式で計算します。

【1】 {平均標準報酬月額 ×(7.125/1000)× 平成15年3月までの被保険者期間の月数
+ 平均標準報酬額 ×(5.481/1000)× 平成15年4月以後の被保険者期間の月数} × 3/4

【2】 {平均標準報酬月額 ×(7.5/1000)× 平成15年3月までの被保険者期間の月数
+ 平均標準報酬額 ×(5.769/1000)× 平成15年4月以後の被保険者期間の月数}× 1.082(※)× 3/4
※昭和13年4月1日以前に生まれた人は1.084

計算にあたっては、次の点に注意が必要です。

  • 平均標準報酬月額とは、平成15年3月までの各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月までの被保険者期間の月数で割った額です。賞与は含まれません。
  • 平均標準報酬額とは、平成15年4月以後の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以後の被保険者期間の月数で割った額です。
  • 死亡した人の要件が、在職中の死亡、初診日から5年以内の死亡、障害等級1級・2級の障害厚生年金受給中の死亡にあたるときは、厚生年金の被保険者期間が300か月(25年)未満の場合でも、300か月あるものとして計算します。
  • 昭和21年4月1日以前に生まれた人は、平均標準報酬月額・平均標準報酬額にかける給付乗率(7.125/1000など)が異なります。

なお、65歳以上で自身の老齢厚生年金を受け取る権利がある人が、配偶者の死亡によって遺族厚生年金を受け取るときは、次のいずれか高いほうが遺族厚生年金の額となります。

  • 死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の額
  • 死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の1/2と自身の老齢厚生年金の1/2を合算した額

参考:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」「は行 報酬比例部分」

遺族厚生年金の年間の支給額の目安は、次のようになります。

収入の額
(平均標準報酬額)
厚生年金の加入期間
25年30年35年40年
10万円123,323円147,987円172,652円197,316円
20万円246,645円295,974円345,303円394,632円
30万円369,968円443,961円517,955円591,948円
40万円493,290円591,948円690,606円789,264円
50万円616,613円739,935円863,258円986,580円

(注)計算を簡単にするため報酬はすべて平均標準報酬額とし、上記【1】の式(平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者期間の月数×3/4)で計算しています。

個別の正確な支給額は、年金事務所で確認してください。

1-2-4.【遺族厚生年金】中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算

遺族厚生年金の中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算は、死亡した人の妻であって一定の要件を満たす人に支給されます。これらの加算は妻がもらうことを前提としており、死亡した人の夫は対象になりません。

中高齢寡婦加算は、40歳以上であって遺族基礎年金が受給されない妻の年金を補うものです。

次のいずれかの要件を満たす人は、遺族厚生年金に年額635,500円(令和8年(2026年)4月分から)が加算されます(遺族基礎年金の4分の3に相当します)。

  • 夫が死亡したときに40歳以上65歳未満であって、遺族基礎年金の支給対象となる子がいない。
  • 40歳になった時点で子がいるため遺族基礎年金を受給していたが、子が支給対象から外れたことで遺族基礎年金が受給できなくなった。

このほか、死亡した夫が老齢厚生年金の受給権者であった、もしくは受給資格期間を満たしていた場合は、夫の厚生年金の加入期間が20年以上(中高齢者の期間短縮の特例に該当する場合はその期間以上)あったことが必要です。

夫が、在職中の死亡、初診日から5年以内の死亡、障害等級1級・2級の障害厚生年金受給中の死亡にあたるときは、夫の加入期間の要件はありません。

なお、妻が65歳になると自身の老齢年金をもらえるようになるため、中高齢寡婦加算はなくなります。

経過的寡婦加算は、中高齢寡婦加算を受けていた妻のうち昭和31年4月1日以前に生まれた人に対して65歳から支給されます。また、昭和31年4月1日以前に生まれて65歳になってから遺族厚生年金をもらえるようになった妻にも支給されます(夫の加入期間の要件があります)。

かつて専業主婦の年金制度への加入は任意であったため、その期間に年金制度に加入していなかったことで減少する老齢基礎年金を補う目的があります。年間の支給額は妻の生年月日によって異なり、生年月日が遅くなるにつれて減少します。

【2028年(令和10年)4月からの制度改正について】

性別による保障の違いを解消するため、中高齢寡婦加算は2028年4月から25年かけて段階的に縮小され、将来的には廃止されます。
この改正は2028年4月1日以降に新たに中高齢寡婦加算の受給権が発生する人が対象であり、同日より前から加算を受けている人への影響はありません。また、改正後も、一度受けた中高齢寡婦加算は65歳まで受け取ることができます。

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2.遺族年金がいつまで・いくらもらえるかのシミュレーション

ここまで、遺族基礎年金・遺族厚生年金のそれぞれの受給要件と支給額の計算方法を解説しました。

ここからは、よくある家族構成をもとに、死亡した人が自営業者であった場合と、会社員であった場合に分けて、遺族年金がいつまで・いくらもらえるかをシミュレーションしてみましょう。

2-1.死亡した人が自営業者であった場合

まずは、死亡した人が自営業者であり、厚生年金に加入した期間がなかった場合の遺族年金を試算します。

【例】以下のモデルケースにおける遺族年金を算出します。

  • 死亡した人:夫(自営業者・過去に会社員の経験なし)
  • 遺族:妻(45歳)と子ども3人(長女21歳・長男17歳・次女15歳)
    ※子どもにいずれも障害はない

上記のケースにおいて子どもは3人いますが、長女は21歳であるため遺族基礎年金の支給対象にはなりません。また、子どもが18歳になると支給対象から外れるため、遺族基礎年金の年間支給額は次のとおりとなります(金額は2026年度(令和8年度)分)。

時期(※1)受給者年間支給額
夫死亡~長男18歳配偶者1,334,900円(※2)
長男18歳~次女18歳配偶者1,091,100円(※3)
次女18歳~支給停止0円

(※1)「18歳」とは、18歳になってから迎える次の3月末をさす
(※2)847,300円+子の加算額243,800円×2人
(※3)847,300円+子の加算額243,800円

死亡した人が自営業者であった場合の遺族年金シュミレーション

2-2.死亡した人が会社員であった場合

続いて、死亡した人が会社員であった場合の遺族年金を試算します。

【例】以下のモデルケースにおける遺族年金を算出します。

  • 死亡した人:夫(会社員)
  • 厚生年金の加入期間:30年
    ※すべて平成15年4月以降
  • 平均標準報酬額:30万円
  • 遺族:妻(45歳)と子ども3人(長女21歳・長男17歳・次女15歳)
    ※子どもにいずれも障害はない
    ※妻の生年月日は昭和31年4月2日以降で経過的寡婦加算の対象ではない

平均標準報酬月額が30万円、厚生年金の加入期間が30年である場合の遺族厚生年金の年間支給額は以下のとおりです。

  • 遺族厚生年金の年間支給額=30万円×5.481/1000×30年×12か月×3/4=443,961円

また、遺族基礎年金の支給額については、以下のとおりです(金額は2026年度(令和8年度)分)。

時期(※1)受給者年間支給額
夫死亡~長男18歳配偶者1,334,900円(※2)
長男18歳~次女18歳配偶者1,091,100円(※3)
次女18歳~支給停止0円

(※1)「18歳」とは、18歳になってから迎える次の3月末をさす
(※2)847,300円+子の加算額243,800円×2人
(※3)847,300円+子の加算額243,800円

次女が18歳になると遺族基礎年金の支給は停止されますが、妻が遺族厚生年金を受給できる場合、65歳まで中高齢寡婦加算を受けられます。また、妻が65歳になると老齢基礎年金が支給されます。

これらの支給額を合計すると、以下のとおりとなります(金額は2026年度(令和8年度)分)。

 時期(※1)年間支給額
夫死亡~長男18歳1,778,861円(※2)
長男18歳~次女18歳1,535,061円(※3)
次女18歳~妻65歳1,079,461円(※4)
妻65歳~1,291,261円(※5)

(※1)「18歳」とは、18歳になってから迎える次の3月末をさす
(※2)遺族基礎年金1,334,900円+遺族厚生年金443,961円
(※3)遺族基礎年金1,091,100円+遺族厚生年金443,961円
(※4)遺族厚生年金443,961円+中高齢寡婦加算635,500円
(※5)遺族厚生年金443,961円+老齢基礎年金847,300円(満額受給の場合)

死亡した人が会社員であった場合の遺族年金シュミレーション

3.遺族年金をもらえないケースとは

公的年金に加入している人が死亡しても、遺族年金をもらえないケースがあります。代表的な事例は、以下のとおりです。

  • 保険料を納めていない期間が全体の3分の1を超える
  • 死亡した人と生計維持関係がない
  • 配偶者が再婚している
  • 18歳未満の子どもがいない(遺族基礎年金のみ)

3-1.保険料を納めていない期間が全体の3分の1を超える

死亡した人が公的年金に加入していた期間のうち、保険料を納めていない期間が全体の3分の1を超える場合、残された家族は遺族年金をもらうことができません。

ただし、2036年(令和18年)3月31日までに65歳未満で死亡した人については、死亡した月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなく、他の要件を満たしていれば、残された家族は遺族年金をもらうことができます。

3-2.死亡した人と生計維持関係がない

遺族年金をもらうことができるのは、原則として死亡した人に生計を維持されていた遺族です。

生計を維持されていた人の例としては、死亡した人と同居していた人や、死亡した人から仕送りを受けていた人、死亡した人の健康保険の扶養親族であった人が挙げられます。

そのため、死亡した人と別居しており仕送りも受けておらず、健康保険の扶養親族でもなかった場合、遺族年金をもらうことはできません。

また、生計を維持されていたことの要件には収入要件もあります。死亡した人と同居していたり、仕送りを受けていたり、健康保険の扶養家族であったとしても、前年の年収が850万円以上ある人や年間所得が655万5,000円以上ある人は、遺族年金をもらうことができません。

【2028年(令和10年)4月からの制度改正について】

2028年4月以降は、原則60歳未満で死別した「子のない配偶者」に支給される遺族厚生年金の5年間の「有期給付」に限り、年収850万円以上であっても、他の要件を満たしていれば受給できるようになります。
また、「子のある配偶者」が年収850万円以上の場合は遺族基礎年金を受給できませんが、2028年4月以降は、子が遺族基礎年金を受給できるようになります。

3-3.配偶者が再婚している

遺族年金をもらう権利のある人が再婚すると、その権利は消滅します。そのため、死亡した人との間に子がいる配偶者でも、再婚をしたあとは遺族年金をもらうことができません。この場合の再婚は、法律上の婚姻関係だけでなく事実婚をはじめとした内縁関係も含まれます。

ただし、配偶者の再婚後も子どもが所定の要件を満たしていれば、子どもが遺族年金をもらうことができます。遺族年金をもらうことができる子どもの要件は、以下のとおりです。

  • 18歳を迎えた最初の3月31日を迎えていない、または20歳未満であり障害等級1級または2級に認定されている
  • 婚姻していない
  • 直系血族または直系姻族以外の人の養子になっていない
  • 再婚した配偶者と生計をともにしていない(遺族基礎年金のみ)

再婚した配偶者と生計をともにしている子どもは、遺族基礎年金をもらえなくなりますが、遺族厚生年金は引き続きもらえます。

【2028年(令和10年)4月からの制度改正について】

2028年4月以降は、再婚した配偶者と生計をともにしている子どもであっても、遺族基礎年金をもらえるようになります。

3-4.18歳未満の子どもがいない(遺族基礎年金のみ)

死亡した人との間に18歳未満の子どもがいない配偶者(子のない配偶者)は、遺族基礎年金をもらうことができません。

遺族厚生年金は、要件を満たしていれば、子のない配偶者でももらうことができます。ただし、30歳未満で死別した妻は、遺族厚生年金をもらえる期間が5年に限定されます。また、55歳未満で死別した夫は、遺族厚生年金をもらうことができません。

【2028年(令和10年)4月からの制度改正について】

2028年4月以降は、60歳未満で死別した「子のない配偶者」は、夫か妻かを問わず原則5年間の有期給付となります(5年経過後も、一定の配慮が必要な場合は継続給付を受けられます)。
ただし、子のない妻については経過措置があり、死別の年齢について2028年度は「40歳未満」から始まり、20年かけて段階的に「60歳未満」まで引き上げられます。

4.その他死亡が原因で支給されるもの

死亡した人が自営業者であった場合は、もらえる遺族年金は遺族基礎年金だけで、支給対象になる子どもがいなければもらうことすらできません。

ただし、自営業者など国民年金の第1号被保険者が死亡して遺族基礎年金をもらえない場合は、寡婦年金と死亡一時金のどちらかをもらうことができます。

4-1.寡婦年金

寡婦年金(かふねんきん)とは、死亡した夫がもらえるはずであった老齢基礎年金の一部を妻に支給するものです。

一定の要件を満たすと、妻は60歳から65歳になるまで夫の第1号被保険者の期間だけで計算した老齢基礎年金の4分の3の金額をもらうことができます。

寡婦年金をもらうための条件は以下のとおりです。

死亡した夫の要件

  • 国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間(免除期間も含む)が10年以上あった
    (2017年(平成29年)7月までに死亡した場合は25年以上あった)
  • 老齢基礎年金・障害基礎年金をもらったことがない
    (2021年(令和3年)3月までに死亡した場合は、老齢基礎年金をもらったことがない、または障害基礎年金をもらえるようになったことがない)

寡婦年金の受給資格

  • 夫の死亡時に65歳未満である
  • 夫によって生計を維持されていた
  • 結婚の期間が10年以上続いていた(内縁・事実婚でも可)
  • 繰り上げ支給の老齢基礎年金をもらっていない

4-2.死亡一時金

死亡一時金は、自営業者であった人が老齢基礎年金や障害基礎年金をもらわないまま死亡した場合に一度だけ支給されるものです。死亡した人の第1号被保険者としての保険料納付済期間(一部免除の期間も含む)が36か月以上あったことが要件となります。

死亡一時金は、死亡した人と生計が同じであった遺族(生計を維持されていなくてもよい)が次の順番でもらうことができます。

(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹

ただし、遺族基礎年金をもらえる遺族がいるときは、死亡一時金をもらうことはできません。

死亡一時金の金額は、保険料納付済期間に応じて以下のとおり定められています。付加保険料を36か月以上納めていた場合は一律8,500円が加算されます。

保険料納付済期間(※)死亡一時金の金額
36か月以上180か月未満120,000円
180か月以上240か月未満145,000円
240か月以上300か月未満170,000円
300か月以上360か月未満220,000円
360か月以上420か月未満270,000円
420か月以上320,000円

(※)保険料が4分の1免除された月は4分の3か月、半額免除された月は2分の1か月、4分の3免除された月は4分の1か月として数えます。全額免除された月は含めません。

【2028年(令和10年)4月からの制度改正について】

2028年4月以降は、父または母と生計をともにしている子どもであっても、遺族基礎年金をもらえるようになります。
ただし、2026年(令和8年)4月1日から2028年3月31日までに権利が発生した死亡一時金を父または母がもらった場合は、生計をともにしている子どもの遺族基礎年金は支給停止となるため、注意が必要です。

4-3.寡婦年金と死亡一時金はどちらか一方のみ

寡婦年金と死亡一時金の両方をもらえる場合でも、実際にもらえるのはどちらか一方のみです。

死亡一時金をもらうことができるのは死亡日の翌日から2年以内と定められているため、その間にどちらをもらえばよいかを考える必要があります。

5.業務での死亡は労災保険からも支給される

業務の途中や通勤の途中で死亡した場合や、業務が原因となる傷病で死亡した場合は、労災保険からも遺族年金や一時金をもらうことができます。

5-1.労災保険の遺族(補償)年金

労災保険の遺族(補償)年金は、死亡した人によって生計を維持されていた配偶者、子、父母などに支給されます。年金をもらう人が妻であれば条件はありませんが、子や夫、父母などがもらう場合は年齢や障害の有無などの条件があります。

遺族(補償)年金にあわせて、遺族特別年金と遺族特別支給金も支給されます。それぞれの支給額は、遺族の人数や死亡した人の給与・賞与の金額によって決まります。

給付の種類算定基準受給資格者数
1人2人3人4人以上
遺族(補償)年金給付基礎日額(※1)153日分(※3)201日分223日分245日分
遺族特別年金算定基礎日額(※2)153日分(※3)201日分223日分245日分
遺族特別支給金-一律300万円(1回のみ支給)

(※1)直近3か月の給与を日割り計算した金額
(※2)直近1年間の賞与を日割り計算した金額
(※3)55歳以上の妻、または一定の障害がある妻は175日分

なお、遺族基礎年金や遺族厚生年金が支給される場合は、遺族(補償)年金の金額が下記の割合に減額されます。遺族特別年金と遺族特別支給金は満額支給されます。

支給される遺族年金の種類遺族(補償)年金の支給割合
遺族基礎年金88%
遺族厚生年金84%
遺族基礎年金+遺族厚生年金80%

 

【2027年(令和9年)4月からの制度改正について】

労災保険の制度は2027年4月から変わります。
遺族(補償)年金等について夫に適用されていた支給要件(妻の死亡時に55歳以上または一定の障害がある)は、撤廃されます。
また、遺族が1人の場合の年金額について、現行では153日分(55歳以上の妻、または一定の障害がある妻は175日分)ですが、改正後は一律175日分となります。

5-2.労災保険の遺族補償一時金

遺族(補償)年金が受けられない場合、つまり死亡した人が遺族の生計を支えていなかったときは、遺族に遺族(補償)一時金などが支給されます。

給付の種類支給額
遺族(補償)一時金給付基礎日額(※1)の1,000日分
遺族特別一時金算定基礎日額(※2)の1,000日分
遺族特別支給金一律300万円

(※1)直近3か月の給与を日割り計算した金額
(※2)直近1年間の賞与を日割り計算した金額

6.遺族年金をもらうための手続き

遺族年金をもらうためには、遺族が請求の手続きをする必要があります。手続きの場所は、次のとおりです。

  • 遺族基礎年金のみをもらう場合:死亡した人の住所の市区町村役場
  • 遺族厚生年金をもらう場合:近くの年金事務所または街角の年金相談センター

必要な書類は以下のとおりです。詳しいことは提出先の窓口で確認してください。

  • 年金請求書
  • 戸籍謄本(※)
  • 世帯全員の住民票の写し(※)
  • 死亡した人の住民票除票の写し(世帯全員の住民票の写しに含まれる場合は不要)
  • 請求者の収入が確認できる書類(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)(※)
  • 子の在学証明書または学生証など(高校生の子がいる場合)(※)
  • 死亡診断書(死体検案書)のコピー
  • 受け取りを希望する預金口座の通帳など
  • 他の公的年金で年金をもらっている場合は年金証書
    (死亡の原因が交通事故など第三者の行為による場合は別途必要な書類があります)

(※)印の書類は、マイナンバーを記入すれば添付を省略できます(戸籍謄本については、死亡した人の配偶者または子が請求する場合のみ)。

労災保険からの給付を受ける場合についても同様の書類が必要です。ただし、勤務先の証明が必要になるため、詳しくは勤務先に確認してください。

7.遺族年金と老後の年金は両方もらえる?

公的年金には、遺族年金のほかにも「老齢年金」や「障害年金」があります。このうち老齢年金は、原則として65歳になるともらえるようになります。

老齢年金には、国民年金の加入者が受給できる「老齢基礎年金」と、厚生年金の加入者が受給できる「老齢厚生年金」があります。厚生年金の加入者は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方をもらうことができます。

ここでは、遺族年金と老齢年金を同時にもらうことができないケースや併給が認められているケースを確認します。

7-1.原則1人が受け取れる公的年金は1種類

1人が受け取れる公的年金は、原則として1種類と決められています。支給事由(遺族・老齢・障害)が異なる年金を受給できる権利がある場合は、1つを選択する必要があります。

特に、遺族基礎年金については老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらとも併給が認められていません。そのため、遺族基礎年金と老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)の両方を受給できる権利がある場合は、受給額の高さや税金の少なさで受給する年金を選ぶと良いでしょう。

7-1-1.受給額が高い方を選ぶ

老齢年金を受給する人が国民年金にしか加入しておらず、厚生年金に加入していたことがない場合は、原則として65歳以降に老齢基礎年金のみが支給されます。一般的には、老齢基礎年金よりも遺族基礎年金のほうが、受給額は高くなります。そのため、両方を受給する権利がある場合は遺族基礎年金を選ぶと良いでしょう。

ただし、遺族基礎年金が支給されるのは、子どもが18歳を迎えて最初の3月31日になるまでです。そのため、自分自身が65歳になるときに子どもがすでに18歳を超えている場合や、もともと子どもがいない場合は、遺族基礎年金はもらえないため、必然的に老齢基礎年金をもらうことになります。

老齢年金を受給する人が厚生年金に加入していたことがある場合は、所定の要件を満たすと老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できます。老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計受給額が遺族基礎年金を上回っているのであれば、老齢年金を選ぶと良いでしょう。

7-1-2.税金が少ないほうを選ぶ

遺族年金には所得税や住民税が課税されません。それに対して老齢年金は、年金の受給額が一定金額を超えると雑所得として課税の対象となります。

そのため、受給額が同程度である場合、遺族年金を選ぶほうが手元に残る金額が多くなることがあります。

7-2.老齢年金と遺族年金の両方をもらえるケース

老齢年金と遺族年金は、例外的に同時にもらえることがあります。たとえば、老齢基礎年金を受給する権利がある場合、死亡した人が厚生年金に加入しており、遺族厚生年金の受給要件を満たしているのであれば、両方をもらうことができます。

また、自分自身が厚生年金に加入していたことがあり、65歳以降に老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取れる場合、遺族厚生年金と同時に受け取ることもできます。

具体的には、遺族厚生年金の受給額が老齢厚生年金を上回っている場合は、「老齢厚生年金の全額」と「遺族厚生年金と老齢厚生年金の差額」を受け取ることができます。

老齢年金と遺族年金の両方をもらえるケース

8.まとめ

遺族年金は、国民年金や厚生年金の加入者が死亡したとき、その人によって生計を維持されていた遺族に支給される年金です。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、支給要件や支給額の計算方法が異なります。

死亡した人によって生計を維持されていた子ども、または子どもがいる配偶者は、所定の要件を満たすと遺族基礎年金が支給されます。また、死亡した人が厚生年金に加入していれば、残された家族に遺族厚生年金も支給されます。遺族厚生年金であれば、条件があるものの子どもがいない配偶者にも支給されることがあります。

家計を支える人が亡くなったあとの生活において、遺族年金は必要不可欠な制度です。養っている家族がいる方は、遺族年金の受給要件や受給額の計算方法などを把握することが大切です。わからないことがあるときは、近くの年金事務所や街角の年金相談センターに相談することをおすすめします。

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