【エリア別】火葬(直葬)費用の相場は?葬儀の流れや費用を抑える方法
火葬(直葬)とは、お通夜・告別式をせずに火葬のみを行う形式の葬儀です。近年増加傾向にありますが、費用相場はどれくらいなのでしょうか?
公営の火葬場では10万円以下、民間の葬儀社では20~40万円程度がボリュームゾーンで全国平均は約20万円です。ただし、ドライアイス・寝台車など別料金がかかることがあります。
火葬(直葬)は通常の葬儀より簡素化されるため「お金がない」という場面以外でも利用されます。例えば「遺族が高齢で長時間参加できない」「コロナ禍なので集団感染を防ぎたい」といったケースに対応できます。
本記事では火葬(直葬)費用の相場、民間・公営の葬儀社の費用の比較、火葬(直葬)の流れ費用をおさえる方法などについて解説していきます。
この記事の目次 [表示]
1.火葬(直葬)とは?費用の相場と公営の火葬場・民間葬儀社の比較
火葬とは火葬のみを行う形式の葬儀で「火葬式」「直葬」とも呼ばれています。
一般的な葬儀ではお通夜・告別式がありますが、火葬(直葬)では儀式を行いません。
「墓地、埋葬等に関する法律」では遺体は亡くなってから24時間以後に自治体に許可を得て埋葬することが定められています。
条例により土葬ができない地域もあることから、日本では99%超の人が火葬を選ぶという現状があります。
経済的に一般葬ができない、簡素に執り行いたいケースで火葬(直葬)を選ぶ遺族が増えています。多くの場合、参列者は遺族や故人と近しい人などごく少数です。
火葬(直葬)は近年増加傾向にあります。
2017年に公正取引委員会が行った「葬儀の取引に関する実態調査報告書」によると、「増加傾向にある葬儀の種類」の中で直葬は家族葬に次いで2位となっています。
回答数 割合 家族葬 554 51.1% 直葬 284 26.2% 一日葬 185 17.1% 一般葬 58 5.4% 社葬 3 0.3% 合計 1,084 100.0%
続いて火葬(直葬)費用の相場を見ていきましょう。
1-1.火葬(直葬)費用の相場
火葬(直葬)費用の相場は下記の通りです。
公営の火葬場 | 全国平均 | 民間の葬儀社 |
---|---|---|
10万円以下 ※火葬費用のみ | 20万円程度 | 20~40万円程度 |
公営の火葬は民営の業者より費用が安く、地方自治体によって費用は異なります。
住民は無料という自治体もあります。東京都は特別区区民葬儀運営協議会の指定を受けた葬儀業者が、運営協議会が取り決めた料金で「区民葬儀」として火葬を行う事ができます。区民葬儀の火葬費用は一律で大人59,600円、子供(満6歳以下)は34,500円です。
参考:区民葬儀の案内|江東区
全国平均は20万円程度ですが、民間の葬儀社は業者によって30~40万円程度になることもあります。
1-2.民間葬儀社の火葬(直葬)費用の比較
民間の葬儀社5社の火葬(直葬)費用は以下の通りです。
葬儀社 | 費用(税込み) |
---|---|
A社 | 203,500円 |
B社 | 209,000円 |
C社 | 170,500円 ドライアイス・寝台車・火葬料などは別料金です。 |
D社 | 187400円 火葬炉前の読経や戒名の手配、遺影作成は別料金です。 |
E社 | 162800円 火葬炉前の読経・骨壺などは別料金です。 |
20万円を下回る場合、火葬料などが別料金となる葬儀社が多いです。
民間の葬儀社の中には、過去に火葬プランで「追加料金一切不要」と謳いながら実際は追加料金が発生するとして消費者庁に景品表示法違反として措置命令を受けた会社があります。
参考:株式会社ユニクエストに対する景品表示法に基づく措置命令について|消費者庁
葬儀社を選ぶ際には、料金体系が明確である会社を選び事前に追加料金を確認しておきましょう。
1-3.公営の火葬(直葬)費用の比較
地方自治体のホームページに掲載されている公営の火葬(直葬)費用です。
エリア | 火葬費用など |
---|---|
東京都23区 | 火葬費用:大人59600円 遺骨収納容器代:大人用10780円又は11990円 |
大阪府大阪市 | 火葬費用 市民:大人10,000円 市民ではない方:大人60,000円 遺体預かり料金:1夜800円 会場使用料:昼間1回3000~40000円 ※会場によって異なる |
北海道札幌市 | 火葬費用 市民:無料 市民ではない方:大人49,000円 特別控室使用料:1室23,000円 |
岐阜県関市 | 火葬費用 市民:大人10000円 市民ではない方:大人40,000円 待合室利用料:2500~15000円 ※広さ、市内居住者もしくは市外居住者によって異なる |
愛知県岡崎市 | 火葬費用 市民:無料 市民ではない方:大人50,000円 |
福岡県福岡市 | 火葬費用 市民:大人 20,000円 市民ではない方:大人70,000円 待合室利用料:5000円 |
エリアによって料金が異なり、東京都は比較的高額となっています。
1-4.火葬(直葬)にかかる費用の内訳
火葬(直葬)を行う際には、葬儀業者と火葬場に料金を支払います。それぞれの内訳を見ていきましょう。 葬儀業者へ支払う費用の内訳の例は以下の通りです。
- 棺・納棺
- 骨壺
- 枕飾り一式
- ドライアイス
- 寝台車
- 遺体安置保管料
- 役所・火葬手続き代行
- スタッフの人件費
葬儀業者によって内訳は異なり、セットに含まれていない場合には追加料金を支払います。
火葬場に支払う費用の内訳は主に以下の2つです。
待合室使用料
棺・骨壺の支給を有料で行っている公営火葬場もあり、一般的に民間業者より費用が安い傾向にあります。
2.火葬(直葬)の流れ
一般的な火葬(直葬)の流れを見ていきましょう。
2-1.遺体の搬送・安置
ご逝去後に遺体を寝台車で安置場所に搬送します。安置場所は主に自宅又は葬儀社の保管所です。遺体を安置している間はドライアイスで防腐処理を行います。
2-2.納棺・出棺
火葬の当日に遺体を棺に移します(納棺)。棺の中に故人にゆかりにある物など副葬品を入れることができます。棺の中に入れると、爆発・遺骨の損傷などが起こりやすくなるものがありますので事前に下記の表をチェックしておきましょう。
■お棺の中に入れてはいけないもの(一例)
ドライアイス 出棺時に必ず取り出してください 爆発する恐れのあるもの スプレー缶、ライター、密封してあるビンや缶 等 燃えないもの 金属製品、陶磁器類、缶類、ビン類、ゴルフクラブ、釣竿 等 燃えにくく、お骨をいためやすいもの 分厚い布団、毛布、そばがらやプラスチック入りの枕、衣服(着用されているもの以外)、靴などの革製品、本類、くだもの 等 溶けて、お骨に付着しやすいもの メガネや鏡などのガラス製品、プラスチック製品、ゴム製品、ペットボトル 等
その後は遺体が納められた棺を、火葬場に運びます(出棺)。
2-3.火葬
火葬場へ到着し、棺を火葬炉の前に移動します。遺族が焼香を行い故人と最期のお別れをします。葬儀社のプランによっては僧侶が読経することもあります。
棺を見送った後は遺体を荼毘に付し(火葬し)ます。
2-4.収骨(骨上げ)
火葬終了後は遺骨を骨壺に納める「収骨」を行います。「骨上げ」「骨拾い」とも呼ばれます。
足の骨から上半身の骨という順番で収骨し、故人と縁の深い人が最後にのど仏の骨を拾い収めます。
一般的に関東では全ての遺骨を骨壺に納めますが、関西は一部の遺骨を納めます。
遺族が骨壺を受け取り、解散です。
一般葬では、納棺の後にお通夜・告別式があり、火葬・収骨の後に初七日法要や精進落としなどがありますが、火葬(直葬)の流れは上記のようにシンプルです。
一般的な葬儀の費用相場は以下の記事をご参照ください。
葬儀費用の相場は本当に200万円? 葬儀費用の仕組みと目安を解説
3.火葬(直葬)の費用をおさえたい方が知っておきたい制度3つ
3-1保険組合の葬祭費を利用する
故人が被保険者となっている健康保険組合、管轄の後期高齢者医療広域連合で葬祭費・埋葬費が支給されることがあります。
国民健康保険の葬祭費は東京都23区では7万円で、地域によって支給額が異なります。
申請の期限は葬儀の日の翌日から2年以内となっていますので、早めに管轄の役所に申請しましょう。
後期高齢者医療広域連合もエリアによって支給額が異なり、国民健康保険と同様に役所の窓口に申請します。
ただし、「火葬のみ」では葬祭費が支給されないエリアがありますので役所に問い合わせ確認してみましょう。
多くの会社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)では、亡くなった被保険者により生計を維持されており、埋葬を行う方に「埋葬料」として5万円が支給されます。
埋葬を行った方に対して「実際に埋葬に要した費用(霊柩車代・霊柩運搬代・霊前供物代・火葬料・僧侶の謝礼など)」を5万円以内で支給します。
身近な人が亡くなった時には健康保険組合に資格喪失の届け出を行う必要があります。死亡の通知とあわせて葬祭費・埋葬費に関しても確認しましょう。
参考: 国民健康保険の葬祭費について教えてください。|中央区
葬祭費(後期高齢者医療制度)|北区
葬祭費|富士宮市
3-2.地方自治体の補助金制度を活用
地方自治体によっては火葬料の補助制度があり補助金を貰うことができます。
エリア | 要件・補助金額 |
---|---|
和歌山県田辺市 | 要件:龍神村に在住しみなべ町斎場で火葬(改葬骨)を行った又は本宮町に住み清浄苑で火葬(大人・小人・死胎・改葬骨)を行った方 補助金額:5000~10000円 |
神奈川県横浜市 | 要件:故人が横浜市民であり、西寺尾火葬場で火葬し、火葬料金を支払った方 補助金額:16,000円(10歳以上の場合) |
千葉県木更津市 | 要件:火葬場が工事により休場していた、故障中、予約で一杯であったため他市の火葬場を利用した場合 補助金額:他市の火葬場使用料と木更津市の火葬場使用料との差額(限度額53,000円) |
国民健康保険の葬祭費と同様に火葬だけでは補助金が支給されず、指定された葬儀場で葬儀をすることで使用料として補助金が貰える地区もあります。
3-3.葬祭扶助制度
葬祭扶助制度とは生活保護法に基づき経済的に困窮している方に対して、ご遺体の検案・運搬・火葬(埋葬)・納骨、葬祭のために必要な費用を支給するものです。
生活保護法第18条によると①故人に身寄りがなく残された財産では葬儀ができない、②故人に身寄りがなく生活保護を受けていたことが要件となります。
葬祭扶助は知人・近隣住民などが「自発的に」葬儀をする場合に支給されるものです。よって、例えば民生委員が市町村等の依頼により行った場合には葬祭扶助は認められないとされています。しかし、実際には多くの自治体で民生委員や葬祭扶助費を受け取る業者などが葬儀執行者として葬祭扶助を申請しているという実状があります。
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4.火葬(直葬)の注意点
火葬(直葬)は費用がおさえられるというメリットがあります。飲食を伴わないため、新型コロナウイルス感染予防の観点から火葬(直葬)を選ぶ人が増えているというデータもあります。
しかし、「儀礼をともなわず十分なお別れができない」「故人と親しかったのに参列できなかった」など異なる意見もあります。
火葬(直葬)は周囲の人に相談し故人と親しかった人に直葬にする旨を伝えた上で執り行う事をおすすめします。
参考:葬儀業界の現状|内閣府
5.まとめ
火葬(直葬)の費用平均は20万円程度で、公営火葬場では10万円以下、民営の葬儀社では20~40万円程度です。
費用が足りない場合は、健康保険組合の葬祭費や地方自治体の補助金制度などを活用しましょう。
葬儀の他にも、身近な人が亡くなった後の届け出や手続きは多岐に渡ります。相続手続きの相談は司法書士法人チェスター、税金関連の相談は税理士法人チェスターをご活用ください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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