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贈与はあくまで「公平に」を基本としよう

公平の考え方は?

 贈与は、贈る側の意思で行うものです。自分の財産を誰にいくらあげるかは自由に決めてかまいませんし、相続と違い、分配のめやすが法律で決まっているわけでもありません。

 しかし親世代から生前贈与の相談を受けた際、私たち税理士はこうアドバイスします。

「特段の事情がなければ、お子さん全員に公平に行ってください」

 税制上の処理や、相続トラブルを考えあわせると、それが最も安全だからです。

 もっとも、公平を保つのは言うほどかんたんではありません。

 たとえば、2人の子のうち、下の子が家を新築することになったとしましょう。一方、上の子はすでにマイホームを手に入れ、住宅取得の資金は必要ありません。

 この場合、下の子だけに住宅資金を贈与すると、二つの点で不公平が生じます。

 一つは金額的な不公平。これはすぐわかるものですが、もう一つ気づきにくいのが、相続税の不公平です。

 下の子が受け取る贈与は、相続税を算出する際、特例で「持ち戻しをしなくてよい」とされています。

 一方、遺産分割を配分する際は、特別受益として、相続財産に持ち戻されます。その結果、贈与を受けなかった上の子には、相続財産が厚く分配されます。

 するとどうなるかというと、相続税が、上の子の方が多く課される事態になるのです。

 住宅資金などの贈与の特例は、一部の子しか適用できないことが、しばしばあります。その場合、ほかの子には別のかたちで贈与を行い、バランスを保つことが大切です。

 では、「孫全員に教育資金を均等に贈与したい」というケースは、どうでしょうか。

 孫一人ひとりからみれば公平な贈与でも、子によって孫の数が異なる場合、家族単位でみれば不公平が生じます。

 ケースバイケースではありますが、基本は、孫全員に等しい金額を贈るのがいいでしょう。教育費は一人ひとりにかかるものですし、税負担も同様です。利益も税負担も等しく与える方が、公平感があるのではないでしょうか。

 とはいえ、「何をもって公平とするか」についてはさまざまな考え方があり、正解があるわけではありません。

 どうすれば「これなら公平だ」と皆が納得できるか、親子で話し合うことをおすすめします。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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