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特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等のどちらに該当するのか迷った事例

1.はじめに

先日、税理士法人チェスターのお客様から、相続によって取得した不動産について、小規模宅地等の特例の「特定居住用宅地等」と「貸付事業用宅地等」のどちらに該当するのかというご相談をお受けしました。

小規模宅地等の特例は、宅地等(土地や敷地権)の相続税評価額を大幅に軽減できる特例として知られていますが、適用の要否判定に迷いやすい事例が沢山あります。

本稿では、お客様から頂いたご相談内容を元に、小規模宅地等の特例における「特定居住用宅地等」と「貸付事業用宅地等」の適用についてご紹介します。

 

2.小規模宅地等の特例とは

小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住していた土地や事業をしていた宅地等(土地や敷地権)について、一定の要件を満たせば、相続税評価額を最大80%減額できる特例のことです。

小規模宅地等の特例は、相続開始の直前における宅地等の利用区分が4種類あり、それぞれ適用要件・限度面積・減額割合が異なります。

【出典:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例) 」】

では、今回のご相談内容である「特定居住用宅地等」と「貸付事業用宅地等」の適用要件について、確認していきましょう。

小規模宅地等の特例の概要について、詳しくは「小規模宅地等の特例のすべて 」や「小規模宅地等の特例とは~概要・要件・よくあるQ&Aなどすべて解説~ 」でも解説しております。

2-1.特定居住用宅地等の適用要件

特定居住用宅地等とは、相続の開始直前まで「被相続人」や「被相続人と生計を一にしていた親族」が、居住の用に供されていた宅地等のことを指します。

被相続人が居住の用に供していた宅地等である場合、特定居住用宅地等を適用するための要件は、以下の通りとなります。

なお、被相続人と同居をしていない別居親族が相続する場合は、相続開始3年前までに一定の持ち家に住んだことがないといった“家なき子特例”の適用要件を満たす必要があります。

特定居住用宅地等の要件について、詳しくは「特定居住用宅地とは?適用要件と添付書類 」や「『家なき子特例』は親と同居しなくても小規模宅地等の特例が使える制度 」で解説しておりますので、あわせてご覧ください。

2-2.貸付事業用宅地等の適用要件

貸付事業用宅地等とは、被相続人や生計を一とする親族が、貸付事業を営んでいた宅地等のことを指します。

貸付事業用宅地等の適用要件は、以下の通りとなります。

なお、平成30年度の税制改正により、相続開始前3年以内に不動産貸付事業用に供された場合は、原則として小規模宅地等の特例の対象外となります。

貸付事業用宅地等の要件について、詳しくは「貸付事業用宅地等とは?小規模宅地等の特例を適用するための生前対策について解説 」で解説しておりますので、あわせてご覧ください。

 

3.特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等のどちらを適用するか迷った事例

税理士法人チェスターのお客様から、ご相談いただいた事例の概要をご紹介します。

被相続人は生前から、4階建ての建物と、その敷地(土地)を所有していました。

なお、建物は区分所有されておらず、相続発生時は以下のような利用状況となっていました。

今回のご相談者様は、被相続人の長男(相続人)であり、上記の建物と土地を単独相続される予定です。

なお、長男は被相続人の生前に毎月家賃を支払っており、この家賃は3階・4階の賃貸部分と同水準です(使用賃貸ではない)。

また、被相続人と長男は、生計を別としていました。

3-1.適用を迷うのは長男居住の2階部分の敷地

長男が居住している2階部分に係る敷地については、小規模宅地等の特例における「特定居住用宅地等」と「貸付事業用宅地等」のどちらにも該当するように思えます。

長男は被相続人に家賃を支払っていたため、長男が2階部分を居住用として利用していたことは否定されず、申告期限まで保有・居住すれば、特定居住用宅地等が適用されると考えられます(租税特別措置法第69の4条第3項二イ租税特別措置法施行令第40の2条第4項 )。

しかし、長男が被相続人に他の賃貸部分と同水準の家賃を支払っていたのであれば、貸付事業用宅地等にも該当するようにも考えられます。

3-2.2階部分の敷地に貸付事業用宅地等は適用できない

長男が居住している2階部分に係る敷地については、貸付事業用宅地等を適用することはできません租税特別措置法第69の4条第3項四イ) 。

この理由は、貸付事業用宅地等には、「申告期限まで被相続人の貸付事業を継続して保有していること」という、事業継続要件が設けられているためです。

長男は被相続人に家賃を支払っていましたが、長男が建物と土地を単独相続することで、相続発生後は長男が「貸主」であり「借主」となります。

つまり、2階部分に居住している長男が建物と土地を相続することで、家賃のやり取りがなくなり、貸付事業用宅地等の要件である「貸付事業の継続」を満たすことができないと考えられるのです。

3-3.1階も2階も特定居住用宅地等に該当する

本事例においては、長男が居住している2階部分に係る敷地については、被相続人が居住していた1階部分に係る敷地と同様に、「特定居住用宅地等」に該当すると考えられます。

なお、3階と4階の賃貸部分に関しては、長男が事業継続要件と保有要件を満たせば、「貸付事業用宅地等」に該当します。

特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等は併用できますが、どの宅地等を優先させるかで限度面積の計算方法に違いがある点には留意が必要です。

詳しくは「小規模宅地等の特例を併用する場合の計算方法とパターン 」で解説しておりますので、あわせてご覧ください。

 

4.さいごに

小規模宅地等の特例においては、「特定居住用宅地等」と「貸付事業用宅地等」のどちらに該当するのかで迷うケースがあります。

本事例においては、被相続人に家賃を支払って長男が居住していた建物に係る敷地には、貸付事業用宅地等は適用できませんでした。

しかし、建物と土地を取得したのが長男ではなく、他の相続人であった場合は、貸付事業用宅地等の特例が適用できると考えられます。

小規模宅地等の特例の要件は複雑ですので、適用の要否判定で迷われる方は、必ず相続税に強い税理士に相談されることをおすすめします。

※本記事は記事投稿時点(2023年1月2日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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