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配偶者居住権とは?二次相続で相続税が節税できるって本当?

配偶者居住権とは? 二次相続で相続税が節税できるって本当?

長く連れ添ったご夫婦であれば、妻や夫に対して、「自分に万一のことがあったら、残された妻(夫)はどうなるんだろう。ちゃんと安心して生活していけるのだろうか」と、ご心配をなさったことがあるに違いありません。

そのようなご心配を解決する方法の1つとして活用を検討したいのが、2020年から始まっている「配偶者居住権」という制度です。

配偶者居住権とは、被相続人(亡くなった方)の配偶者が、相続開始後にも自宅に住み続けることができる権利のことです。遺言や遺産分割協議などで、配偶者居住権を設定すれば、配偶者が住む場所を失う心配がありません。また、うまく活用すると相続税を節税できる場合もあります。

本記事では、配偶者居住権とはどんなものか、その要件や、節税になる理由、メリット・デメリット、また注意点など配偶者居住権の仕組み全体について解説します。

動画でも事例を交えて分かりやすく解説しています!

この記事の目次 [非表示]

1.配偶者居住権とは?

最初に、配偶者居住権制度の基本を解説します。

1-1.配偶者居住権が求められた背景

被相続人(亡くなった方)の配偶者が相続人になった場合、夫婦で住んでいた自宅があれば、一般的には、その自宅を配偶者が相続し、引き続き配偶者が住み続ける場合が多いでしょう。

しかし、何らかの理由によって、配偶者が自宅を相続すると困る場合もあります。

【設例1】

相続人:配偶者(妻、80歳)、長男(45歳)、長女(42歳)

相続財産:自宅(3,000万円相当)、預金3,000万円

たとえば、上の【設例1】のような相続のケースにおいて、法定相続分に従って、配偶者が自宅を、長男と長女が1,500万円ずつの現金を相続したとします。

すると、配偶者は現金を相続できません。配偶者自身の蓄えや年金があるとしても、働いて収入を得ることが難しい高齢者が、まとまった現金を相続できないのでは、その先の生活に対する不安が、非常に大きくなるでしょう。

【設例2】

相続人:配偶者(妻、80歳)、長男(45歳)、長女(42歳)

相続財産:自宅(5,000万円相当)、預金1,000万円

また、【設例2】のような相続のケースでは、配偶者が自宅を相続し、長男、長女が預金を均等に相続すると、配偶者5,000万円、長男500万円、長女500万円の相続割合になり、長男、長女が大きな不満を持つ恐れがあります。長男、長女の相続分は遺留分(750万円)にも達していないため、配偶者に対して遺留分侵害額請求がなされる可能性もあります。

設例1の場合も2の場合も、配偶者自身がまとまった資産を保有していれば、問題は生じませんが、資産を保有していない場合、これまでだと自宅を売ること以外での解決は困難でした。

しかし、高齢者が住み慣れた自宅を手放して、別のところに居住するのは、身体的、精神的な負担が大きいものです。

そこで、こういった場合にも配偶者が自宅に住み続けられるように設けられたのが、配偶者居住権制度というわけです。

1-2.配偶者居住権の基本的な仕組み

配偶者居住権を設定すると、自宅の建物に関する権利が、図のように「居住権」(住む権利)と「所有権」とにわけられます。そして、この「居住権」のみを配偶者が相続するというのが配偶者居住権の基本的な仕組みです。なお、配偶者居住権は建物にかんする権利です。土地には適用されません。

1-3.配偶者は自宅を相続しなくても引き続き居住できる

一定の要件(後で説明します)を満たした配偶者が、相続開始時点でその自宅に住んでいるなど後述する一定の要件を満たせば、配偶者は自宅の所有権を相続しなくても居住権だけを相続して引き続き住むことができます。

下の図は相続人が配偶者と子の2人、遺産総額が5,000万円(自宅3,000万円・預貯金2,000万円)のケースで、配偶者居住権が創設される前と後の違いを表したものです。

【設例3】

相続人:配偶者(妻、80歳、保有資産1,000万円の預金)、長男(45歳)

相続財産:自宅(3,000万円相当)、預金1,000万円

このような状況の場合、以前であれば、以下のいずれかになりました。

(1)配偶者が自宅(3,000万円)を相続、長男が預金(1,000万円)を相続。

→配偶者は現金がもらえず、長男は分割が法定相続分よりも不利になるので、それぞれ不満。

(2)配偶者が自宅(3,000万円)を相続し、長男に代償金1,000万円を支払う。

→遺産分割は法定相続分通りになるが、配偶者は資産が亡くなるので不満。

(3)相続財産の自宅を売却して、4,000万円の現金を2,000万円ずつ分割する。

 →遺産分割は法定相続分通りになるが、配偶者は住み慣れた家に住めないため不満。

一方、配偶者居住権の制度を利用した場合、以下のようにできます。

【設例3-2】

相続人:配偶者(妻、80歳、保有資産1,000万円の預金)、長男(45歳)

相続財産:自宅(3,000万円相当 → 居住権1,000万円、所有権2,000万円に分割

預金1,000万円

先に述べたように、居住権と所有権を分割できるところが配偶者居住権のポイントです。

そして、以下のように相続します。

  • 配偶者:自宅の居住権1,000万円+預貯金1,500万円
  • 長男:自宅の所有権2,000万円+預貯金500万円

こうすると、それぞれ2,500万円で法定相続分通りの相続ができます。

また、配偶者は、そのまま自宅に住み続けられる上に、1,500万円の預金が相続されるため、自己の資産と合わせて2,500万円の預金となり、生活資金面での不安が大きく減少するでしょう。

参考:法務省:残された配偶者の居住権を保護するための方策が新設されます。

1-4.配偶者居住権は配偶者が亡くなると消滅する

配偶者居住権は終身の権利です(期間を設定することもできます)。上記のような形で配偶者居住権を設定しておけば、配偶者は自分が亡くなるまで、安心して自宅に住み続けることが可能になります。

配偶者居住権は、所有権を持つ長男が、たとえば「自宅を売りたいから引っ越してほしい」といっても、それを拒否できる法的な権利だからです。

ただし、配偶者居住権は、配偶者の生活の安定を目的とした権利であるため、他人に売却したり譲渡したりすることはできません。また、配偶者居住権を相続した配偶者が亡くなるとその配偶者居住権は消滅します

つまり、所有権を持つ長男が自宅を売却することは、現実上、配偶者が亡くなった後じゃないとできないということです。(制度上は、配偶者居住権のある自宅の所有権を売却することもできますが、買い手が他の用途に転用できないため、現実上は難しいと思われます)。

2.配偶者居住権の要件とは?

相続権などとは異なり、配偶者居住権は相続開始後に配偶者の権利として当然に生じるわけではありません。配偶者居住権が成立して配偶者が自宅に住み続けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

2-1.配偶者居住権の取得方法

配偶者居住権は、相続の発生によって自然に得られるものではありません。配偶者が配偶者居住権を取得する方法は、以下のいずれかによります。

  • 遺産分割(遺言または遺産分割協議)
  • 遺贈
  • 死因贈与
  • 家庭裁判所の審判

特別な事情がない限り、普通は遺言または遺産分割協議によるでしょう。

もっとも確実なのは遺言書に記載しておくことですが、遺言書が遺されていなければ、遺産分割協議で配偶者居住権を設定したい旨を配偶者が主張することもできます。

ただし、実際の相続では、相続人同士で揉めて遺産分割協議が難航するケースがあり、他の相続人が同意してくれるとは限りません。

遺産分割協議で合意できない場合は、裁判所に申立てをおこなえば遺産分割審判によって配偶者居住権の設定が認められる場合があります。また生前に贈与契約を結ぶ死因贈与によって配偶者居住権を設定することも可能です。

参考:死因贈与とは?遺贈との違いやメリット・デメリット、契約手続きの方法を解説

2-2.配偶者が相続開始時に自宅に住んでいることが必要

配偶者居住権を設定するためには、相続開始時点(被相続人が亡くなった日)に配偶者がその建物に住んでいることが必要です。配偶者が別の家に住んでいる場合は要件を満たしません。もし、将来相続が起きたときに配偶者居住権を設定したいと考える場合は、対象となる自宅建物に配偶者が引っ越して、実際に生活しておかなければなりません。

また配偶者居住権を設定できる配偶者とは、婚姻関係にある法律上の配偶者です。いわゆる内縁関係の場合は基本的に対象外です。もちろん、子や親など、配偶者以外の人に配偶者居住権を設定することもできません。

2-3.第三者に対抗するためには登記が必要になる

配偶者居住権の成立要件として、登記は必要なく、未登記でも権利としては成立します。しかし登記をしていないと第三者に対抗することができません。

たとえば、所有者である長男が、居住している配偶者に知らせないまま、自宅を売却してしまい、第三者が建物を取得して家から出ていくようにいわれてしまう恐れがあります。このような場合でも居住権を法的に主張できるよう、配偶者居住権はしっかりと登記をしておくことが大切です。

3.配偶者居住権を使うと節税になる場合がある

配偶者居住権のメリットのひとつが、うまく活用すると相続税を節税できる場合があることです。以下では節税になる理由や計算例を紹介します。ただし、後述するように配偶者居住権にはデメリットもあるので、実際に活用するかどうかは節税以外の視点も考慮して決める必要があります。

3-1.配偶者が死亡した場合、配偶者居住権は消滅するので課税されない

相続は、「一次相続」と「二次相続」とに分類されます。たとえば、「夫婦と子」の家庭の場合、夫婦のどちらが亡くなって配偶者と子が相続人になるときが「一次相続」、その配偶者が亡くなって、子が相続人になるときが「二次相続」と呼ばれます。

そして、配偶者居住権に対する相続税の課税の扱いは、一次相続と二次相続とで異なります。

一次相続では、配偶者が相続した配偶者居住権は相続税の課税対象になりますが、二次相続では課税されません。なぜなら、前述のとおり配偶者が死亡した時点で配偶者居住権は消滅するため、そもそも存在しないからです。

仮に、自宅の価値が変わらないとすると、課税対象は以下のように変わります。

たとえば自宅3,000万円を一次相続で配偶者が相続し、二次相続で子が相続した場合、通常の二次相続では、3,000万円が相続税の課税対象になります。

しかし、一次相続で、配偶者が配偶者居住権1,000万円を、子が所有権2,000万円を相続した場合は、二次相続の際に配偶者居住権は消滅するため、二次相続時における子の課税対象額が3,000万円から0円になります。

3-2.配偶者居住権に期間が設定されていた場合は?

なお、配偶者居住権に期間が設定されており、設定期間が満了して配偶者居住権が消滅した場合、配偶者居住権の金額分の贈与が、所有者に対して行われた扱いなどにはなりません。つまり、贈与税課税なども発生しません。

ただし、あらかじめの期間設定ではなく、配偶者と所有者の合意により消滅した場合や配偶者が配偶者居住権を放棄した場合は税金がかかる場合があります。

3-3.配偶者居住権を活用した節税の計算例

では、二次相続まで含めて考えたとき、配偶者居住権を利用しない場合と、利用した場合とで、どれくらい税額が変わってくるのか、シミュレーションをしてみましょう。

【設例4】

相続人:配偶者(妻、80歳)、長男(45歳)。

相続財産:自宅(8,000万円相当)

(配偶者居住権を設定する場合は、その評価額は敷地利用権も含めて4,800万円、建物と土地の所有権は3,200万円とします。)

注:

  • 配偶者居住権は建物だけに関する権利ですが、実際には建物が建っている土地も利用するため、土地利用権を含めて評価します。
  • 他の相続財産はないものとします。
  • 自宅の価額は変化しないものとします。
  • 配偶者の税額軽減以外に減税措置などの適用はないものします。

【シミュレーション1】配偶者居住権を利用しない場合

▼一次相続

  • 配偶者が自宅を相続する。
  • 相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×2)=4,200万円
  • 課税遺産総額=8,000万円-4,200万円=3,800万円
  • 相続税額の計算:3,800万円は、配偶者の税額軽減の適用範囲(1億6,000万円)内なので、相続税課税は発生しない。

相続税額:なし

▼二次相続

  • 子が自宅を相続する。
  • 相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×1)=3,600万円
  • 課税遺産総額=8,000万円-3,600万円=4,400万円
  • 相続税額の計算:4,400万円×税率20%-控除額200万円=680万円

(税率、控除額は国税庁Webサイト「相続税の速算表」による。以下同)

相続税額:680万円

【シミュレーション2】配偶者居住権を利用する場合

▼一次相続

  • 配偶者が配偶者居住権を相続し、子は所有権を相続する。
  • 相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×2)=4,200万円
  • 課税遺産総額=8,000万円-4,200万円=3,800万円
  • 相続税額の計算

①課税遺産総額を法定相続分(1/2ずつ)でわける → 配偶者1,900万円、子1,900万円。

②1人当たりの相続税額=1,900万円×税率15%-控除額50万円=235万円。

③相続税の総額235万円×2=470万円。

④③の総額を実際の相続割りに応じて按分。

  • 配偶者の相続税:470万円×(4,800万円/8,000万円)=282万円
     →配偶者の税額軽減の適用範囲内なので、相続税課税は発生しない。
  • 子の相続税:470万円×(3,200万円/8,000万円)=188万円

相続税額:188万円

▼二次相続

  • 配偶者の配偶者居住権は消滅する。その他に相続財産はないため、相続税は課税されない。

相続税額:なし

【結果】配偶者居住権を利用したほうが、492万円、相続税額が低くなる。

以上、計算をシンプルにするために、さまざまな仮定をおいたシミュレーションですが、一次相続、二次相続を合計すると、配偶者居住権を利用したケースのほうが、相続税額は低く抑えられています。

なお、配偶者居住権は建物の利用に関する権利ですが、同時に敷地も利用することになるため相続税評価では建物と敷地の両方が対象になります。

そして、配偶者居住権の相続税評価方法は、建物の時価と、その建物にあとどれぐらい住めるかを数値で表した指標(建物の残存耐用年数、配偶者の平均余命など)をもとにおこなわれます

相続税評価の具体的な計算方法は複雑なのでここでは割愛しますが、くわしく知りたい方は下記の記事を参照下さい。

(参考)「配偶者居住権の相続税評価は「あとどれだけ自宅に住めるか」がポイント

いずれにしても、節税効果に着目して配偶者居住権の利用を検討する場合には、配偶者居住権の相続税評価方法や相続税の計算方法にかんする、専門的な知識が必要になります。税理士法人チェスターでは生前の相続対策のご提案から相続税申告のサポートまで幅広くおこなっていますので、相続のことでお困りの方はぜひ一度ご相談ください。

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4.敷地には小規模宅地等の特例も適用できる

小規模宅地等の特例とは、居住用や事業用などの土地を家族が相続する場合に、一定の条件を満たすとその土地の相続税評価額が最大80%減額される特例制度です。

配偶者居住権にもとづく敷地利用権、および敷地所有権については、要件を満たせば小規模宅地等の特例を適用できます。

自宅の敷地の場合、減額割合は80%、減額される土地の面積の上限は330㎡です。限度面積の判定では以下の計算例のように利用権と所有権のそれぞれの価額に応じて面積を分配します。

【設例5】

敷地面積は300㎡で、敷地利用権の価額は900万円、敷地所有権の価額は1,100万円である場合。

・敷地利用権は135㎡として特例を適用

300㎡×900万円÷(900万円+1,100万円)=135㎡

・敷地所有権は165㎡として特例を適用

300㎡×1,100万円÷(900万円+1,100万円)=165㎡

なお、小規模宅地等の特例の適用を受けるに際しては、さまざまな要件などが定められています。くわしくは、下記の記事を参照ください。

(参考)小規模宅地等の特例とは?適用要件・計算・申告などわかりやすく解説

5.配偶者居住権を使う際の注意点(デメリット)

配偶者居住権は、メリットばかりではありません。以下のような注意点やデメリットもあります。利用の検討に際しては、メリットとデメリットをよく理解しておくことが大切です。

5-1.配偶者居住権は売却・譲渡できない

配偶者居住権はあくまで自宅に居住する配偶者に認められた権利であり、他人に売却や譲渡をすることはできません。

たとえば、老人ホームへの入居費用を確保するために、配偶者居住権を売却して資金を得るといったことはできないということです。

相続からしばらく経ってから、多額の現金が必要となり自宅を売却しなければならないような事態が想定されるのであれば、配偶者居住権の設定には慎重な検討が必要です。

さほど遠くない時期に自宅を売却しなければならないのであれば、配偶者居住権を設定するよりも、むしろ相続の際に、売却を検討したほうがいいかもしれません。

5-2.大規模なリフォームには所有者の同意が必要になる

配偶者居住権を設定すれば配偶者は自宅に住むことができますが、あくまで所有者は別の者(子など)です。所有者に無断で、賃貸したり、増改築したりすることはできません。

たとえば、体が不自由になってバリアフリー住宅への大規模なリフォームをしたいと思ったときには、所有者の同意が必要です。

通常であれば、所有者がそれを拒否することは考えにくいですが、なんらかの理由で所有者との関係性が悪化しているような場合は、注意が必要です。

5-3.配偶者居住権を途中で放棄すると税金がかかる場合がある

配偶者居住権を設定した後に、途中で放棄することは可能です。この場合には配偶者から所有者に対して贈与があったものとみなされ、配偶者居住権の価額に対して贈与税が課税されます。また配偶者居住権を放棄する際に所有者が対価を払う場合は、配偶者が受け取る対価は譲渡所得の扱いとなり所得税の課税対象となります。

配偶者居住権を設定する際には途中で放棄する可能性がないかを、十分に検討する必要があります。もし、その可能性があるなら、5年や10年などと、期間を定めた配偶者居住権を設定することも手です。先にも触れましたが、期間が定められた配偶者居住権の期間満了時には、贈与税は課されません。

5-4.相続放棄をした場合は配偶者居住権を相続することはできない

相続放棄をすると配偶者居住権を相続することはできません。ただし、前述のとおり、配偶者短期居住権は認められているため、建物の所有者から「配偶者短期居住権の消滅の申入れ」を受けてから6か月間は無償で住み続けられます。

5-5.再婚の場合は誰に権利を渡すかに注意

再婚をして後妻との間には子がおらず、前妻との間に子がいる場合、配偶者居住権と所有権を分離せずに後妻が自宅を相続すると、前妻との間の子に自宅が渡りません。後妻の住む場所を確保しつつ最終的には子に自宅が渡るようにしたければ、後妻が配偶者居住権を、前妻との子が所有権をそれぞれ取得するという方法が考えられます。

ただし前述のとおり、前妻との子と後妻の関係が良くないような場合は、配偶者居住権の利用に支障が出る可能性があります。

また配偶者居住権を後妻に遺贈して所有権を後妻の連れ子に遺贈するようなケースでは、遺産の相続権を持つ前妻の子との間で相続トラブルが起きる可能性もあります。いずれにしても、慎重な検討が必要です。

6.配偶者居住権とは別物! 「配偶者短期居住権」も理解しておこう

配偶者居住権と似た権利に「配偶者短期居住権」があります。名前は似ていますが、配偶者居住権とは異なる権利です。これは、簡単にいえば、住んでいた自宅が相続や遺贈で他人のものになったとしても、すぐに出ていけというのは酷だから、しばらくはタダで住んでいいですよ、というものです。

配偶者短期居住権とは、被相続人が所有する建物に無償で住んでいた配偶者は、下記の日までは引き続き無償で住んでよいとする権利です。

①遺産分割がおこなわれる場合

遺産分割が成立した日、または相続開始から6か月が経過した日のいずれか

②遺言などにより、自宅について配偶者の相続分がないことが指定されている場合(他の相続人へ相続されたり、他人に遺贈されたりした場合)

取得した人から「配偶者短期居住権の消滅申入」を受けた時から6か月が経過した日。

なお、配偶者短期居住権は相続開始により当然に生じる権利であり、配偶者居住権のように遺言や遺産分割協議などで権利として設定する手続きは必要ありません

7.配偶者居住権を使った節税の検討は相続専門の税理士に相談を!

配偶者居住権は比較的新しい制度であり、その使い方についての理解が広く浸透しているとはいえないかもしれません。しかし、うまく活用すれば、夫婦のどちらかが亡くなった後の、配偶者の生活基盤を確保することができます。

しかし一方ではデメリットは注意点もあり、うかつに設定してしまうと、相続人間のトラブルの原因ともなりかねません。

また、配偶者居住権を設定した場合の税額についても、その評価には専門的な知識が必要になります。

そこで、その実施を検討される場合は、ぜひ相続専門の税理士法人チェスターにご相談ください。税理士法人チェスターでは生前の相続税対策から相続開始後の相続税申告まで相続に関するサポートを幅広くおこなっています。

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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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