【実践編】会話で学ぶ!親に相続税対策を持ちかける方法
平成27年に相続税に関し大幅な法改正がなされ、相続税の基礎控除額が引き下げられました。
これによって従来は相続税を支払わなくてよかった人々であっても、相続税を支払わなければならなくなりました。もっとも、せっかく親が頑張って稼いでくれたお金なので、出来ることなら多くのお金を相続したいと思うものでしょう。そのためには、親と協力して相続税対策を行っておかなければなりません。子どもであるあなたが、親が亡くなり相続財産が手に入ることを期待していると思わせることなく、なるべく自然に相続税対策について話し合うきっかけを持ちましょう。
今回は、ご両親に相続税対策をしてもらうための会話例をご紹介します。
この記事の目次 [表示]
1.自分の死後はできれば考えたくない……?相談者に多いのは相続人
これからご紹介する相続税対策は、本来、本人が行わなければなりません。
しかし、ご本人にとって、ご自身の死はあまり想像したくないことであるためか、実際に相続税について考え始めるのはお子さんやお孫さんが先であるケースの方が多いようです。
2.親が元気なうちに一緒にはじめよう!相続税対策
相続が発生するのは、被相続人である親が亡くなった時です。当の本人である親にとっては、「まだ大丈夫」と思ってしまうためか「自分の財産は少ないから相続税なんて発生しない」と考えているためか、相続税対策の重要性について意識している人は少ないようです。
相続税対策と、虫歯予防の位置づけは似ております。
虫歯にならないために、定期検診に行った方が良い!ということはわかっていても、実際に定期検診に行く人は少なく、虫歯になってから歯医者に行く方が多いです。
相続税対策も同じで、対策しておいた方がよいということはわかっていても、後回しにしてしまい結局何も対策を取らず、相続人が苦労するケースが多いのです。
確かに一昔前と違って、今60歳代や70歳代の人が自分の死を意識する機会はあまりないかもしれません。年齢が若ければ若いほど、その傾向は強くみられるでしょう。
しかし、病気についても、病気発覚後に治療するよりも、病気に罹る前に予防することが重要であるように、相続税についても相続発生後に対策するよりも、相続発生前にいろいろと対策をしておいた方が何かとメリットが大きいのです。
相続発生後に対策を一切行えないわけではなく、相続税の減額、納税方法の検討、還付の検討などのような方法を採ることはできます。しかし、相続開始前にも対策を行っておくことで、より効果的な方法となります。このため親の年齢に関係なく、元気でいるうちに相続税対策を行ってもらえた方が良いといえるのです。
3.あなたのケースではどれが合っている?親に相続税対策を意識してもらうきっかけ
(1)ニュースやドラマを見せる
相続税に関する特集がテレビで放映されている時に、「そういえば家でも相続税対策を考えておいた方がいいかもしれないね」と言ってみると、より自然な流れで切り出すことができるでしょう。
相続に絡んだドラマなどでも構いませんし、遺族が争ったという内容であれば、「争うのは嫌なので、相続税対策をきちんとやってほしい!」と訴えかけることでより効果的なきっかけとなるはずです。ドラマであれば、それを録画し親に見せたとしても、親に相続税を考えさせるために見せているとはあまり思われないのではないでしょうか?自分が好きだったドラマを思い返してみても、相続に関するエピソードがあるでしょうから、DVDを借りてくるというのも1つの手ですね。
(2)身近な人の例を出す
日本人というのは、和を尊ぶ国民性であり、調和を大切にする傾向にあります。
このため、周囲がすでに相続税対策をしたという話や周囲で相続に絡むトラブルが起きているという話が予想外に効果を発揮することがあります。
「○○さんは生前に相続税対策をしていたみたい。もし対策をしていなかったら、財産のほとんどを税金として支払わなければならなかっただろうってさ。子ども思いの人だね」とか「○○さんの家では相続税対策をしていなかったばかりに、相続に関するトラブルが起きているんだってさ。イヤだね、身内で揉めるなんてさ」といった話をしてみると良いでしょう。
嘘はいけませんが、案外相続に関するトラブルは身近で起きているものなので、探せば何かしらそういった話題が見つかる可能性があります。
(3)名義預金を説明する
名義預金とは、親族に名義を借りて、預金をしているに過ぎない預金のことです。
ケースによっては、専業主婦の方が生活費を抑えてコツコツと自分名義の口座で貯金をしていたのに、生計の担い手である夫が亡くなったときに相続税の課税対象となる場合があります。このような場合、相続財産が少ないと思っていても、名義預金を含めると基礎控除額を超えてしまうことがあります。名義預金がありそうなご家庭では、名義預金の説明をすることで、我が家でも相続税対策が必要だと両親に思ってもらえるかもしれません。
名義預金についての詳細は、下記サイトをご参照ください。 |
では、父、母、姉、弟といった家族を想定して、いよいよ具体的に会話例をご紹介しましょう。
(4)実践会話例1 両親がともに健在な場合はこちら
≪ケース1≫
母親が老後のことをどう考えているにしろ、お金が必要なことは事実でしょう。
たとえば老人ホームに入所するとしても、家で余生を過ごすにしても、多くのお金が必要です。そのお金が子どもたちの負担にならないためにも、少しでも多く相続財産を取得できるように、なるべく早めに相続税対策を行っておいた方がよいでしょう。
≪ケース2≫
ドラマを見終わった後に、冗談交じりにこういった話をすれば、関係性を壊すことなく、考えてもらえるきっかけを与えることはできるのではないでしょうか?
≪ケース3≫
お墓や仏壇のような祭祀財産は相続税の対象とならないので、対象となる現金が祭祀財産に変われば、支払うべき税金が減ります。つまり、生前にお墓を買っておくことは相続税対策になるのです。死を連想させるお墓の購入を勧めるのが躊躇われるなら、上記会話例のように、自分のお墓であることを強調して購入を促してみてはいかがでしょうか?
≪ケース4≫
相続税に関するセミナーがあれば、一緒に行くことを提案してみても良いでしょう。
(5)実践会話例2 両親の片方がすでに亡くなっている場合はこちら
では、次に母、姉、弟といった家族を想定して、会話例をみましょう。基本的には会話例1と変わりません。相続税まつわるドラマやセミナーなどのパンフレットを一緒に見ながら、打ち明けてみると良いでしょう。
このとき、大事なことは「たくさんお金が欲しいから対策して!」ではなく「身内で揉めたくないから対策しておいてね」という気持ちを伝えることです。
また、会話例2の場合、父親が亡くなったときに、母親も相続について考えているでしょうから、両親がともに健在であるケースよりも真剣に考えてもらえる可能性が高いといえるかもしれません。
たとえば「お父さんが亡くなった時、相続で嫌な思いしちゃったね……。もうあんな思いはしたくないから、お母さんの時にはちゃんと対策しておいて」という説得が効果的である場合もあるでしょう。
(6)相続税を把握したいと伝える
相続税は、相続財産に対し発生するので、その財産が多ければ多いほど納税額は高額になります。
不動産が多い家庭では、手持ちの財産で税金を支払い切れないケースもあります。大切な不動産を手放してしまわないように、あらかじめ相続税の総額を把握し、納税資金を準備しておきましょう。そして、納税資金を確保するという目的を伝えて、早めの対策を促すというのも1つの手です。
ご家族の関係性や状況によって、今ご紹介した会話例は必然と変わってくるでしょう。大切なことは、今後の関係性を悪化させてしまわないようにすることです。「お金が欲しい」という目的を直接的に伝えることはせず、早めに対策を行うことが親にとっても良いことであると思ってもらえるように気を付けてください。
まとめ
相続対策をしてもらうための会話例をご紹介しました。
対策をしておけばよかった!と後悔する方が減っていけば幸いです。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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