住宅取得等資金贈与とは
住宅取得等資金とは、自己の居住の用に供する一定の家屋の新築、取得、増改築などに充てる金銭のことであり、住宅取得等資金贈与とは、父母や祖父母などの直系尊属から、そのための金銭を贈与されることを指します。
通常、贈与に対しては贈与税がかかりますが、住宅取得等資金の贈与については一定の条件を満たす場合、一定の限度額まで非課税とされます。この税制上の特例を、住宅取得等資金贈与の非課税の特例といいます。
1.住宅取得等資金贈与の非課税限度額
住宅取得等資金贈与の非課税の特例における非課税限度額は次のとおりです。
- 省エネ等住宅:1,000万円
- 一般の住宅(省エネ等住宅以外):500万円
「省エネ等住宅」とは、省エネ性能、耐震性能、バリアフリー性能を有する住宅をいいます。具体的には以下の条件のいずれかを満たす必要があります。
- 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上
(ただし、中古住宅、増改築を行った住宅、一定の期日までに建築確認を受けたまたは建築された新築住宅は、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上) - 耐震等級2以上または免震建築物
- 高齢者等配慮対策等級3以上
2.受贈者に関する条件
住宅取得等資金贈与の非課税の特例の、贈与を受けた人(受贈者)に関する条件は下記のとおりです。
- 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること
- 贈与を受けた時に贈与した人(贈与者)の直系卑属であること
- 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること
- 贈与を受けた年の年分における受贈者の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築、取得または増改築等をする住宅用の家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、1,000万円以下)であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築、取得または増改築をすること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、または同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること
- 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋を取得したものではないこと、またはこれらの人との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと
- 令和3年以前の贈与税の申告で、旧非課税制度の「住宅取得等資金の非課税の特例」の適用を受けたことがないこと
なお、住宅取得等資金の対象には、その家屋の敷地の用に供される土地や借地権などの取得のための諸費用も含まれます。
ただし、あくまで住宅(家屋)の取得等が前提の制度のため、土地(や借地権)のみの取得の場合は特例の対象となりません。
3.家屋に関する条件
住宅取得等資金贈与の非課税の特例の対象になる住宅用家屋については、家屋の「新築または取得」の場合と「増改築」の場合ごとに、条件が定められています。
家屋の新築または取得の場合の条件は下記のとおりです。
- 日本国内にある住宅用の家屋であること
- 登記簿上の床面積(マンションは専有面積)が40㎡以上240㎡以下であること
- 床面積の2分の1以上を住居として使用すること
- (中古住宅の場合)昭和57年1月1日以後に建築されたもの
- (中古住宅の場合)地震に対する安全性に係る基準に適合することが、一定の書類により証明されたもの
- (4.と5.に当てはまらない中古住宅の場合)住宅の取得日までに耐震改修工事の申請等を行い、贈与の翌年3月15日までに耐震基準に適合すると証明されたもの
家屋の増改築の場合の条件は下記のとおりです。
- 日本国内にある住宅用の家屋であること
- 増改築後の登記簿上の床面積(マンションは専有面積)が40㎡以上240㎡以下であること
- 床面積の2分の1以上を住居として使用すること
- 増改築工事の費用が100万円以上であること。また、費用のうち2分の1以上が住居部分の工事に充てられていること
- 増改築は自己が所有かつ居住している家屋について行われ、一定の工事に該当することについて書類により証明されたものであること
4.申告方法と必要書類
住宅取得等資金贈与の非課税の特例を適用するには、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に、戸籍謄本、源泉徴収票、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなどを添付して、納税地の所轄税務署に申請提出する必要があります。
手続きができるのは、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
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