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相続税の延滞税・加算税の税率は何%?課税されない対策も詳しく紹介

相続税の延滞税・加算税の税率は何%?課税されない対策も詳しく紹介

相続税は、被相続人の死亡から10か月以内に申告と納付を済ませなければなりません。

納税が遅れた場合や申告に不備があった場合は延滞税加算税がかかり、税負担が重くなります。

この記事では、相続税の延滞税と加算税について、どのようなときに何%の税率で課税されるかを詳しく解説します。あわせて、延滞税・加算税を課税されないようにするための対策もご紹介します。

この記事の目次

1.相続税の申告・納付が期限までに正しくできないとペナルティがある

相続税の申告と納付の期限は、被相続人の死亡の翌日から起算して10か月以内です。

「相続税の期限は10か月後の月命日」と覚えておくとよいでしょう。

期限が土日祝日や年末年始にあたる場合は、休み明けの平日が期限となります。

【例】被相続人が8月10日に死亡した場合

相続税の申告・納付の期限は、翌年の6月10日となります。
(6月10日が土曜日の場合は、次の月曜日である6月12日が期限となります。)

相続税の納付が期限に間に合わなかった場合は、納税が遅れたことに対するペナルティとして延滞税がかかります。

また、期限までに申告書を提出しなかったなど申告に不備があった場合は、状況に応じて以下の加算税がかかります。

無申告加算税 期限内に申告をしなかった場合
過少申告加算税 本来より少ない額で申告した場合
重加算税 意図的な脱税など特に悪質な場合

納税や申告をうっかり忘れていたような場合でも、延滞税と加算税は課税されます。

また、延滞税と加算税はそれぞれ別々に課税され、両方課税されることもあります。

なお、脱税行為が特に悪質な場合は重加算税がかけられるほか、懲役刑などの刑事罰が科されることもあります。

意図的に相続税を脱税する行為はやめましょう。

2.「相続税についてのお尋ね」が届いたら要注意!

家族が亡くなってしばらくたった頃に、税務署から「相続税についてのお尋ね」という文書が届く場合があります。

この文書は、一定以上の相続財産があって相続税の申告が必要である可能性が高い人に対して送られます。

「相続税についてのお尋ね」が届いたら、遺産の内容を確認して、必要であれば相続税を申告しましょう。

具体的な対処法は、下記の記事をご覧ください。

(参考)相続税についてのお尋ねとは?税務署から届いたら確認すべき10個のポイント

3.延滞税は納税の遅れに対するペナルティ

延滞税は、税金の納付が遅れたことに対するペナルティで、法定納期限の翌日から課税されます

相続税の法定納期限は、死亡日の10か月後となります。

納めるべき相続税の額に対して年率で課税されるため、納税が遅れれば遅れるほど延滞税は高くなります。

(参考)国税庁ホームページ No.9205 延滞税について

3-1.延滞税の税率は2段階ある

延滞税は、法定納期限の翌日から相続税を納付する日までの日数に応じて計算します。

税率は、納期限の翌日から2か月後を境に2段階に分かれます

延滞税=次の(1)と(2)の合計(100円未満の端数は切捨)

(1)=相続税の額×納期限の翌日から2か月を経過する日までの税率×納期限の翌日から2か月を経過する日までの日数÷365日

(2)=相続税の額×納期限の翌日から2か月を経過した日以後の税率×2か月を経過した日の翌日以後の日数÷365日

(1)と(2)はそれぞれ1円未満の端数は切捨

延滞税の計算では、相続税の額は1万円未満の端数を切り捨てます。

また、納期限までに一部だけ納付した場合は、納付していない残りの部分が延滞税の対象になります。

3-1-1.直近の延滞税率(令和4年)

直近の延滞税の税率は以下のとおりです(いずれも令和4年1月1日~12月31日の割合です)。

  • 納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.4%
  • 納期限の翌日から2か月を経過した日以後:年8.7%

3-1-2.過去の延滞税率

参考として、延滞税の税率を平成26年までさかのぼってご紹介します。

延滞税の税率

期日 納期限の翌日から2か月を経過する日まで 納期限の翌日から2か月を経過した日以後
令和3年1月1日~令和3年12月31日 年2.5% 年8.8%
平成30年1月1日~令和2年12月31日 年2.6% 年8.9%
平成29年1月1日~平成29年12月31日 年2.7% 年9.0%
平成27年1月1日~平成28年12月31日 年2.8% 年9.1%
平成26年1月1日~平成26年12月31日 年2.9% 年9.2%
(参考)原則 年7.3% 年14.6%

3-1-3.延滞税率の基準

延滞税の税率は、原則では、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年7.3%、納期限の翌日から2か月を経過した日以後は年14.6%です。

しかし、長らく金利の低い状態が続いているため、平成12年からは異なる基準で税率が定められています。

(参考)国税庁ホームページ 延滞税の割合

平成12年1月1日から平成25年12月31日までの期間の税率
  • 納期限の翌日から2か月を経過する日まで
    「前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」
  • 納期限の翌日から2か月を経過した日以後
    「年14.6%」
平成26年1月1日から令和2年12月31日までの期間の税率
  • 納期限の翌日から2か月を経過する日まで
    「年7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
  • 納期限の翌日から2か月を経過した日以後
    「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合

特例基準割合は、銀行の新規の短期貸出金利の平均値をもとにした割合で毎年改定されますが、平成30年分から令和2年分は同じ割合が示されています。

令和3年1月1日以後の期間の税率
  • 納期限の翌日から2か月を経過する日まで
    「年7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
  • 納期限の翌日から2か月を経過した日以後
    「年14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合

延滞税特例基準割合は、銀行の新規の短期貸出金利の平均値をもとにした割合で毎年改定されます。

3-2.税率が上がる基準となる「納期限」

先ほど、延滞税の税率は「納期限の翌日から2か月後を境に2段階に分かれる」とお伝えしました。

延滞税を計算するためには、この「納期限」がいつのことであるかを正しく理解しておかなければなりません。

相続税の申告書を申告期限内に提出した場合は、納期限は法定納期限(死亡日の10か月後)と同じ日になります。

一方、期限後申告や修正申告をした場合のほか、税務署による更正・決定を受けた場合は、納期限は法定納期限と異なる日になります。

申告の種類 納期限
申告期限内に申告書を提出した場合 法定納期限(申告期限=死亡日の10か月後)と同じ日
期限後申告または修正申告の場合 申告書を提出した日
税務署による更正・決定を受けた場合 更正通知書を発した日から1か月後の日

ここでは、申告の種類ごとに図を示して、「納期限」がいつになるかを解説します。

3-2-1.申告期限内に相続税の申告書を提出していた場合

申告期限内に相続税の申告書を提出していた場合は、納期限は「法定納期限(申告期限=死亡日の10か月後)と同じ日」になります

したがって、法定納期限(申告期限)から2か月以内に相続税を納付した場合には、法定納期限の翌日から納付日までの期間について年2.4%の延滞税がかかります。

法定納期限から納付まで2か月を超えた場合は、法定納期限の翌日から2か月間は年2.4%、2か月経過後の期間は年8.7%の延滞税がかかります。

(延滞税の税率は令和4年のものです。)

相続税の延滞税・加算税の税率は何%?課税されない対策も詳しく紹介

3-2-2.自主的に期限後申告または修正申告をした場合

申告期限を過ぎて自主的に相続税の申告書を提出した場合(期限後申告)、または一度申告した内容を修正した場合(修正申告)は、納期限は「申告書を提出した日」となります

したがって、法定納期限(申告期限)の翌日から申告書を提出した日までの間と、申告書提出日の翌日から2か月間は年2.4%の延滞税がかかります。

申告書提出日から2か月経過した後の期間は年8.7%の延滞税がかかります。

(延滞税の税率は令和4年のものです。)

相続税の延滞税・加算税の税率は何%?課税されない対策も詳しく紹介

3-2-3.税務署による更正・決定を受けた場合

税務署による更正・決定を受けて納税する場合は、納期限は「更正通知書を発した日から1か月後の日」となります

したがって、法定納期限(申告期限)から納期限までの間と、納期限の翌日から2か月間は年2.4%の延滞税がかかります。

納期限から2か月経過した後の期間は年8.7%の延滞税がかかります。

(延滞税の税率は令和4年のものです。)

相続税の延滞税・加算税の税率は何%?課税されない対策も詳しく紹介

3-3.災害・コロナなどやむを得ない理由があれば延滞税は免除される

災害などやむを得ない理由があれば申告・納税期限の延長が認められます。

延長が認められている間は、延滞税は免除されます

3-3-1.やむを得ない理由とはどのようなケース?

災害その他やむを得ない理由による申告・納税期限等の延長は、国税通則法第11条で定められています。

国税通則法基本通達では、次のとおり「災害その他やむを得ない理由」の例が示されています。

(1) 地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地滑りその他の自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通途絶その他の人為による異常な災害
(3) 申告等をする者の重傷病、申告等に用いる電子情報処理組織(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第三条第一項に規定する電子情報処理組織をいう。)で国税庁が運用するものの期限間際の使用不能その他の自己の責めに帰さないやむを得ない事実
(引用:国税通則法基本通達 第11条関係 災害等による期限の延長

 

これらの理由により手続きができない場合には、申告・納税期限等の延長が認められます。

3-3-2.新型コロナでも延長が認められる

新型コロナウイルス感染症についても同様で、感染拡大の影響で申告と納税が困難な場合には期限の延長が認められます

感染拡大の影響の例

  • 新型コロナウイルス感染症に感染した
  • 体調不良により外出を控えている
  • 居住地の自治体から平日の在宅勤務を要請されている
  • 感染拡大により外出を控えている など

新型コロナウイルス感染症の影響による申告・納付期限の延長手続きについては、下記の国税庁の資料を参照してください。

(参考)相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続の具体的な方法

3-3-3.延長の期間はどれぐらい?

災害その他やむを得ない理由による申告・納税期限等の延長期間は、その理由がやんだ日から2か月以内です(国税通則法第11条)。

延長の期間は、国税庁が地域や対象者を指定して決定する場合と、納税者からの申請により決定する場合の二通りがあります。

納税者が申請する場合は、原則として災害などがやんだ日から1か月以内に申請をする必要があります。

3-3-4.申告と納付の順序に注意

災害その他やむを得ない理由で申告・納付期限が延長された場合は、申告と納付の順序に注意が必要です。

やむを得ない理由で申告・納付期限が延長された場合は、期限後申告や修正申告と同様に申告書を提出した日が納期限となります

相続税の申告書を提出して1週間後に納付した場合は、1週間分の延滞税がかかってしまいます。

したがって、期限の延長が認められた場合は、相続税を納付してから申告書を提出するようにしましょう

申告書を提出する前に納付をしても問題はありません。

3-4.延滞税の計算期間の特例(免除期間)

延滞税の計算期間が1年以上の長期にわたる場合は、計算期間から一定の期間を除く特例があります(国税通則法第61条)。

これは、申告期限から税務調査の実施までに時間がかかり、原則のとおりに計算すると延滞税が多額に及ぶことから設けられた特例です。納税者ごとに税務調査の時期が異なることによる不公平を救済する目的もあります。

3-4-1.自主的に修正申告をした場合の免除期間

相続税の延滞税・加算税の税率は何%?課税されない対策も詳しく紹介

期限内申告または期限後申告をしたのちに自主的に修正申告をした場合は、次の期間が延滞税の計算期間から除かれます。

  • 「法定納期限(期限後申告日)から1年を経過した日の翌日」から「修正申告書の提出日」まで

3-4-2.税務署による更正・決定を受けた場合の免除期間

相続税の延滞税・加算税の税率は何%?課税されない対策も詳しく紹介

期限内申告または期限後申告をしたのちに税務署による更正・決定を受けた場合は、次の期間が延滞税の計算期間から除かれます。

  • 「法定納期限(期限後申告日)から1年を経過した日の翌日」から「更正通知書が発された日」まで

3-4-3.申告後に減額更正がありその後修正申告・増額更正があった場合の免除期間

上記のほか、申告後に減額更正があり、その後さらに修正申告または増額更正があった場合も、延滞税の計算期間に特例があります。

減額更正が職権による場合は、修正申告・増額更正があるまで延滞税は課されません。

減額更正が更正の請求による場合は、減額更正から1年間は延滞税が課され、その後は修正申告・増額更正があるまで延滞税は課されません。

この規定の対象になる本税の税額は、修正申告・増額更正により納付すべき税額のうち、当初の申告で納付されていた部分に限られます。

この規定は、平成29年1月1日以後の期間に対応する延滞税について適用されます。

3-4-4.重加算税が課された場合は免除期間はない

税務調査によって仮装・隠ぺいがあったと判断されて「重加算税」が課された場合は、延滞税の計算から除外される期間はありません

3-5.延滞税に時効はある?

相続税の時効は、原則として相続税の法定納期限(申告期限)から5年、意図的に仮装・隠ぺいをしていたなど悪質な場合は7年です。

延滞税は遅れている相続税額に対して課税されるため、相続税の時効と同じく5年または7年が時効と考えられます。

しかし、時効を迎えるのを待って相続税と延滞税を納税しないで済ませることは、ほぼ不可能と言ってよいでしょう

税務署は被相続人の財産内容や相続人の口座情報を調査する権限を持っており、時効を待っている間に必ず税務署から指摘があります。時効を迎えるのを待っている間に税務調査が行われ、悪質と判断されれば、延滞税に加えて重加算税が課されることになります。

(参考)相続税の時効は5年?6年?7年?時効まで待つことのペナルティは?

4.加算税は申告の不備に対するペナルティ

加算税は、税金の申告が遅れたり申告金額が少なかったりと、申告に不備があったことに対するペナルティです。

不備の内容に応じて以下の税が課税されます。

無申告加算税 期限内に申告をしなかった場合
過少申告加算税 本来より少ない額で申告した場合
重加算税 意図的な脱税など特に悪質な場合

これらの加算税は納めるべき税額に対して所定の税率で課税されますが、税率は申告のタイミングや納めるべき税額によって変動します。

4-1.期限内に申告しなかった場合は無申告加算税

無申告加算税は、申告期限までに申告しなかったことに対するペナルティです。

期限を過ぎてから自主的に申告したときや、税務調査を受けてから申告したときに課税されます。

4-1-1.無申告加算税の税率

無申告加算税の税率(申告期限が平成29年1月1日以降の場合)は次の表のとおりです。

相続税額のうち 税務調査の事前通知を受ける前に自主的に申告した場合 税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでに申告した場合 税務調査を受けてから申告した場合(※)
50万円以下の部分 5% 10% 15%
50万円を超える部分 15% 20%
(※)過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は税率が10%加算され、50万円以下の部分は25%、50万円を超える部分は30%となります。

税務調査の事前通知を受ける前に自主的に申告した場合は税率が低く、税務調査を受けてから申告した場合は税率が高くなります。

さらに、過去5年以内に無申告があった場合には税率が加算されます。

なお、申告期限から1か月以内に自主的に申告した場合は、法定納期限までに納税されていることや過去に無申告がなかったことなどを条件に無申告加算税は免除されます。

4-2.本来の税額より少なく申告した場合は過少申告加算税

過少申告加算税は、当初の申告が本来の税額より少なかったことに対するペナルティです。

修正申告で税金を追加で納めるときや、税務署による更正を受けて税金を納めるときに課税されます。

4-2-1.過少申告加算税の税率

過少申告加算税の税率(申告期限が平成29年1月1日以降の場合)は次の表のとおりです。

追加で納める税額のうち 税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告した場合 税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでに修正申告した場合 税務調査を受けてから修正申告した場合または更正を受けた場合
当初の納税額と50万円のいずれか多い方以下の部分 なし 5% 10%
当初の納税額と50万円のいずれか多い方を超える部分 10% 15%

税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告した場合は、過少申告加算税は免除されます。

4-3.意図的な脱税など悪質なケースは重加算税

重加算税は、課税を免れるために財産を隠した場合や証拠書類を偽装した場合など特に悪質な場合に、過少申告加算税や無申告加算税の代わりに課税されます。

4-3-1.重加算税の税率

重加算税の税率は次の表のとおりです。

申告書提出の有無 税率
申告書を提出していた場合(過少申告) 35%
申告書を提出していなかった場合(無申告) 40%

過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、税率が10%加算されます。

5.延滞税・加算税を課税されない(軽減する)ための対策

続いて、延滞税や加算税を課税されないための対策をご紹介します。

課税されることになった場合でも、速やかに対応すれば金額を軽減することができます。

5-1.できるだけ早く納税する

延滞税を課されないようにするには、相続税の税額が計算できれば申告書の提出前であっても納税することをおすすめします

相続税の納税の期限は申告期限と同じ日ですが、申告と納税の順番は決められていません。

先に納税しておくと、申告を済ませたのに納税を忘れて延滞税がかかることを防げます。

なお、相続税には連帯納付義務があり、他の相続人や遺言で財産をもらった人が相続税を滞納した場合は、その人の分を代わりに払わされることがあります。他の人がきちんと納税しているかどうか確認することも重要です。

(参考)連帯納付義務制度とは? 他人の相続税を払わされることも!!

5-2.生前から相続税の納税資金を確保しておく

生前の相続税対策では、税額を軽減することに注力するあまり、納税資金の準備は忘れられがちです。

相続税をできるだけ早く納税するためには、生前から相続税の納税資金を確保しておくことも重要です。

財産を現金に換えておくほか、生前贈与や生命保険の活用といった対策が考えられます。

(参考)相続税の支払いに慌てないために、納税資金の準備方法

5-3.特例の適用は納付がなくても申告する

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用して相続税が0になる場合は、納付はなくても申告が必要です

相続税の申告書が提出されていなければ、これらの特例を適用したことにはなりません。

のちに税務調査で申告漏れが発覚すれば、追徴される相続税は特例を適用しないで計算され、さらに、その税額をもとに延滞税・無申告加算税が計算されます。

相続税が0になると安心していても、申告に不備があれば多額の税金を払うことになります。

申告が必要かどうかは十分に確認しましょう。

5-4.無申告・税額の誤りに気づいたらすぐ自主的に申告する(時効まで乗り切ることは不可能)

相続税の時効は申告期限の翌日から5年以内です。

ただし、意図的に申告しなかったなど特に悪質な場合は7年に延長されます

時効を迎えると税務署は調査ができなくなりますが、相続税を申告しないで時効まで乗り切ることは不可能です。

税務署には強力な調査権限があり、時効を迎えるまでには必ず税務調査が行われます。

相続税の無申告に気づいたときは、ただちに申告・納税をしましょう。

また、税額の誤りに気付いたときは、修正申告をして不足分を納税しましょう。

税務申告を受けてからでは加算税が高くなるため、自主的に申告することをおすすめします。

5-5.相続税専門の税理士に依頼する

相続税の申告を相続税専門の税理士に依頼すると、延滞税や加算税を課されるリスクは極めて少なくなります。

ここで注意しなければならないのは、相続税の申告実績が豊富な税理士に依頼するということです。

税理士の多くは主に所得税や法人税の申告を扱っており、相続税には詳しくない場合があります。

相続税申告の経験が浅い税理士に依頼すると、財産評価や税額計算を誤り、延滞税や加算税を課されるリスクが高くなります。

6.現金で納付できない場合の対処法

相続税は納期限までに現金一括で納付することが原則ですが、現金で納付できない場合は延納物納で納めることができます。

実際には財産を換金したり融資を受けたりといった対処法もありますが、ここでは、相続税の延納と物納について簡単にご紹介します。

(参考)
相続税の延納・物納とは?国が定めた相続税支払いの猶予策
【相続税】延納・物納はどうしたら使える?国税庁の審査方法とは。

6-1.延納制度

相続税の延滞税・加算税の税率は何%?課税されない対策も詳しく紹介

延納は、一定の条件のもと相続税を分割して納付できる制度です

相続税が多額になっても一括納付しなくてよく、納付を先延ばしできますが、利息に相当する利子税がかかります。

相続税の延納ができる条件は、次のとおりです。

  • 相続税の税額が10万円を超えること
  • 金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
  • 延納税額・利子税額に相当する担保を提供すること
    (延納税額が100万円以下でかつ延納期間が3年以下の場合は不要)
  • 申告期限までに延納申請書と担保提供関係書類を税務署に提出すること

申告期限から10年以内であれば、延納から物納に切り替えることもできます(特定物納)。

(参考)
相続税は延納できる?全額払えないときの「延納」7つのポイント
相続税の延納とは?4つの要件や手続き方法をわかりやすく解説

6-2.物納制度とは

相続税の延滞税・加算税の税率は何%?課税されない対策も詳しく紹介

物納は、現金一括で納税ができず、延納をしても現金で納税できない場合に認められる納税方法です。

物で納税する物納は、相続税にだけ認められています

相続税の物納ができる要件は、次のとおりです。

  • 延納によっても金銭で納付することが困難であり、その納付困難な金額の範囲内であること
  • 物納する財産は、相続税の対象になった財産で一定の要件を満たすものであること
  • 申告期限までに物納申請書と物納手続関係書類を税務署に提出すること

物納する財産は、相続税の課税対象となった相続財産のうち日本国内にあるものに限られ、財産の種類ごとに優先順位があります。

不動産、船舶、国債、地方債、上場株式等が第1順位であり、非上場株式等は第2順位、動産は第3順位となります。

担保として差し出されているものや権利に争いがあるもの、遺産分割ができていない財産などは、物納することができません。

なお、物納する財産の価格は相続税評価額で評価されるため、財産を換金して納税するほうが有利になる場合もあります。

(参考)相続税の支払い方には、物納がある!?物納を理解するための7つのポイント

7.まとめ

以上、相続税の延滞税と加算税について解説しました。

延滞税は納税が遅れたことに対するペナルティで、加算税は申告に不備があったことに対するペナルティです。

それぞれ性質が異なるため、両方併せて課税されることもあります。

相続税の誤りや無申告、滞納に気づいた場合は、速やかに申告・納税の手続きをしましょう。

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