為替取引における確定申告の必要条件-相続税申告時の適用レートについても解説

外貨預金やFX(外国為替証拠金取引)などで年間20万円を超える利益を得た場合は、所得税の確定申告が必要です。
個人が得た為替差益とはいえ、税務署は内容を把握している可能性が高いでしょう。そのため「ばれないだろう」と高を括らず確定申告をしましょう。
本記事では、為替取引で確定申告が必要になる条件や、外貨預金を相続する際の換算方法について解説します。
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1.為替取引の確定申告は年間20万円超の利益が基準
外国為替取引で得た利益は、基本的に年間20万円を超えると確定申告が必要となります。為替取引で生じた利益は『為替差益』と呼ばれ、雑所得の一部です。そのため、原則20万円を超える利益があれば、国税庁が定める条件にのっとり確定申告をおこないましょう。ただし、以下の場合は例外的に金額に関係なく確定申告が必要となります。
必要書類あり | 必要書類なし |
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e-Taxで申告する場合や、為替差益を事業所得とする場合、必要書類はありません。一方、為替差益を雑所得とし、なおかつ確定申告書を紙で提出する場合は、金融機関が発行する報告書や明細などを用意しておきましょう。
金融機関が発行する報告書や明細は、為替差益が生じたことを証明する書類として利用します。必須ではありませんが、為替差益を『雑所得』とし、紙面で申告する場合はいつでも添付できるよう準備しておきましょう。
また提出の必要はありませんが、事業所得として申告する場合は、確定申告書を作る資料として入出金明細や請求書を手元に保管しておくと便利です。
2-3.申告遅延や漏れがあった場合のペナルティを確認する
確定申告が必要となる条件を満たしているにもかかわらず為替取引で得た差益を申告しなかった場合は、ペナルティとして『無申告加算税』が課されます。
無申告加算税の割合

このほか、期限内に申告していても実際より所得を少なく申告していた場合は、5~15%の『過少申告加算税』が課されます。
なお、仮装や隠ぺいにより申告をしなかった場合や所得を少なく申告していた場合は、無申告加算税、過少申告加算税の代わりに、重加算税(無申告なら40%、過少申告なら35%)が課されます。
加えて、確定申告期限までに納税しなかった場合は、期限の翌日から『延滞税』も発生します。
故意の無申告だけでなく、不注意によって申告を忘れていただけでもペナルティが課されるため、確定申告は時間の余裕をもって確実におこないましょう。
参考:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁
参考:加算税の概要|財務省
3.外貨預金の相続税申告時に利用する為替レートとは
外貨預金を保有している人が死亡した場合は、その外貨預金に相続税が課税されます。相続税の申告では、外貨預金を円に換算しなければなりません。
ここでは、外貨預金の相続税申告時に利用する為替レートについて解説します。
3-1.預入先金融機関が公表しているレートを使用
外貨預金は、預入先の金融機関が公表する、預金保有者の死亡日におけるレートで換算します。
(邦貨換算)
4-3 外貨建てによる財産及び国外にある財産の邦貨換算は、原則として、納税義務者の取引金融機関(外貨預金等、取引金融機関が特定されている場合は、その取引金融機関)が公表する課税時期における最終の為替相場(邦貨換算を行なう場合の外国為替の売買相場のうち、いわゆる対顧客直物電信買相場又はこれに準ずる相場をいう。また、課税時期に当該相場がない場合には、課税時期前の当該相場のうち、課税時期に最も近い日の当該相場とする。)による。
(中略)
(注) 外貨建てによる債務を邦貨換算する場合には、この項の「対顧客直物電信買相場」を「対顧客直物電信売相場」と読み替えて適用することに留意する。
引用:財産評価基本通達|国税庁
3-2.相続税の申告では外貨を円に替えるレートを使用
金融機関が公表する為替レートには、主に以下の3種類がありますが、相続税の申告では基本的に『TTB』(対顧客直物電信買相場)を使用します。ただし、外貨建ての債務については『TTS』(対顧客直物電信売相場)で換算します。
為替レートの種類
為替レートの種類 | 特徴 | 使う場面 |
---|---|---|
TTS(対顧客直物電信売相場) | 金融機関が外貨を販売する際の為替レート | 円を外貨に替えるとき 外貨建債務の相続税申告 |
TTM(対顧客直物電信相場仲値) | TTSとTTBの平均を取った為替レート | 外貨建取引の確定申告 |
TTB(対顧客直物電信買相場) | 金融機関が外貨を買い取る際の為替レート | 外貨を円に替えるとき 外貨預金・外貨建資産の相続税申告 |
これらの為替レートは、TTMに為替手数料を足したものがTTS、TTMから為替手数料を引いたものがTTBといった関係になります。為替手数料は米ドルの場合1円で設定されていることが多く、例えばTTMが1ドル100円だった場合のTTSは101円、TTBは99円となります。

▲TTMに為替手数料を足したレートがTTS、TTMから為替手数料を引いたレートがTTB
参考:相続税計算における外貨の評価方法|外貨建て資産の相続で注意すべきこと
4.為替差益の申告条件を把握し間違いなく手続を-不明点があれば即相談
為替差益の確定申告は、通常の所得に比べて複雑です。そのうえ、計算を間違えたり申告期限に遅れたりするとペナルティが課せられます。為替差益の確定申告に不安のある人や、外貨預金の相続税に関して不安のある人はぜひ税理士法人チェスターへお問い合わせください。実績豊富な税理士がご相談に対応いたします。
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