手渡しの贈与でも税務署にばれると贈与税がかかる-非課税に収める方法も

振り込みでは記録に残るからと手渡しで贈与をおこなっても、税務署にはばれると考えたほうがよいでしょう。
税務署は、法定調書や税務調査などで贈与税の未申告や申告漏れを発見できるためです。納税義務があるにもかかわらず無申告であることを税務署に気付かれた場合、ペナルティを受けなければなりません。
したがって「手渡しの贈与だから税金はかからない」と考えるのは誤りです。本記事で手渡しの贈与に気付かれる具体的なシチュエーションや、贈与を非課税にする方法をチェックしていきましょう。
この記事の目次
1.手渡しの贈与でも贈与税を納めなければ税務署にばれる
手渡しの贈与を受けたあとに贈与税を納めなければ、税務署にばれる可能性があります。税務署は一定金額以上のお金の流れを把握しているためです。特に贈与については納税逃れがないよう重点的に調査しています。贈与税の申告漏れや無申告はいつかばれることを念頭に置き、申告が必要な場合は必ず申告をしましょう。
1-1.税務署は無申告を見つけるのが得意
税務署は無申告や申告漏れなどをすばやく見つけます。申告漏れや脱税がないか常に目を光らせているためです。例えば、贈与税の納税が正しくおこなわれていない可能性がある場合、税務署は受贈者に対して税務調査をおこないますが、調査を受けた受贈者の非違件数(税務調査により申告漏れや無申告など税務上の違法が発覚した件数)の確率は、高くなっています。
国税庁の『令和2事務年度における相続税調査等の状況』によると、贈与税について税務署が実地調査(税務調査)した1867件のうち、1769件に非違(申告漏れや無申告など税務上の違法)が発覚しています。また、非違のあった1769件のうち1454件(82.2%)は無申告であったと報告されています。
税務署から調査を受けた場合、申告漏れや無申告が発覚する可能性が非常に高くなるのです。
1-2.稼いでいる以上の金額を使っているときにばれやすい
受贈者が稼いでいる以上の金額を使っていると、申告していないことがばれる可能性があります。なぜなら、税務署は『国税総合管理(KSK)システム』を利用し、納税者の年収や保有資産の情報を一元管理しているためです。
国税総合管理(KSK)システムとは以下の目的で導入されたコンピューターシステムのことをいいます。平成13年に全国に導入されました。
全国の国税局と税務署をネットワークで結び、申告・納税の事績や各種の情報を入力することにより、国税債権などを一元的に管理するとともに、これらを分析して税務調査や滞納整理に活用するなど、地域や税目を越えた情報の一元的な管理により、税務行政の根幹となる各種事務処理の高度化・効率化を図る
例えば、受贈者が国税総合管理システムによって把握している年収以上の金額を使って買物をしている場合は、贈与を受けている可能性が高いと判断し、税務署は調査をおこなうことになります。
税務署はお金の動きや使い方を細かく監視し、把握していることを忘れないようにしましょう。
参考:贈与税の税務調査の実態~階級別の状況や特徴を把握しよう~
1-3.生活ぶりが一気に派手になったときにばれやすい
仕事が変わっていないのに、高級外車やマイホームを購入し、生活ぶりが一気に派手になった場合には、申告していないことがばれる可能性があります。税務署は生活を常に監視しさまざまな情報を入手することで、無申告や申告漏れがないか調査しているためです。
例えば、受贈者が高級外車を購入し、そのことをSNSを使って発信した場合、贈与の申告漏れや無申告がないか、また購入資金についても税務署が調査する可能性があります。税務署は一人ひとりの財産状況を細かく調査しているのです。自分は調査対象にならないと考えず、正しく申告しましょう。
2.手渡しの贈与が税務署にばれる具体的なシチュエーション
手渡しの贈与は具体的には以下のようなシチュエーションで税務署にばれる可能性があります。税務署はお金の動きや使い方を細かく監視し把握しているためです。
手渡しの贈与が税務署にばれる具体的なシチュエーション
- 法定調書の金額と納税額に差異が生じているとき
- 相続税の税務調査で財産の動きが精査されたとき
- 不動産の登記名義が変更されたとき
- 税務署からのお尋ね文書に返信したとき
- 関係者が税務署に告げ口をしたとき
2-1.法定調書の金額と納税額に差異が生じているとき
手渡しの贈与は、事業者から税務署に提出する法定調書によってばれることがあります。税務署は法定調書によってお金の流れを把握しているためです。
法定調書とは、所得税法や相続税法といった税法によって、税務署に提出が義務付けられている書面のことをいいます。給与や報酬の支払、保険金の支払をおこなった事業者は税務署に対してお金の動きがあったことを通知する必要があります。
提出された法定調書の金額と納税額に差異が生じている場合、税務署の調査で贈与の申告漏れや無申告が発覚する可能性があるのです。
法定調書は現在60種類あり、代表例は以下のとおりです。
法定調書の代表例
- 給与所得の源泉徴収票
- 公的年金等の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金および賞金の支払調書
- 生命保険契約等の一時金の支払調書
- 生命保険契約等の年金の支払調書
2-2.相続税の税務調査で財産の動きが精査されたとき
手渡しの贈与は、贈与者が死亡したあと、相続税の税務調査を受けたときにばれる可能性があります。死亡した人の親族や法定代理人といった届出義務者が死亡届を役所に提出すると、死亡の事実が税務署に通知されるためです。税務署は、相続税が発生するかどうか、死亡した贈与者の過去の所得や預金の流れを調査して検証します。調査の過程で過去に贈与が判明した場合は、さかのぼって贈与税が課税される可能性があるのです。
2-3.不動産の登記名義が変更されたとき
不動産の贈与を受け、不動産の所有者名義を変更する登記をおこなった場合、贈与の事実が税務署にばれる可能性があります。不動産の所有権移転登記を申請すると、その内容は法務局から税務署に提供されるためです。また、税務署は登記申請のときに納める登録免許税からも登記に関する情報を把握しています。不動産の登記に関する情報は税務署が把握しているため、無申告はいずれ見つかるでしょう。
2-4.税務署からのお尋ね文書に返信したとき
贈与を受けたお金で不動産を購入し、税務署からのお尋ね文書が届いた場合は贈与がばれる可能性があります。
不動産を購入した場合、税務署から不動産の購入者へお尋ね文書が発送されることがあるのです。お尋ね文書は『お買いになった資産の買い入れ価額などについてのお尋ね』という題名で発送され、以下の質問が書かれています。
税務署からの質問内容
- 不動産購入者の職業や年収
- 不動産の所在地、売り主の住所・氏名
- 不動産の購入金額
- 購入資金の調達方法(自身の預貯金、借入金、資産の売却代金、贈与など)
お尋ね文書への回答は任意です。しかし回答しない場合贈与の無申告が疑われたり、回答に不備がある場合は申告漏れが疑われたりすることで、税務署から調査を受けた結果、無申告がばれる可能性があります。
2-5.関係者が税務署に告げ口をしたとき
贈与者、受贈者以外の関係者が税務署に告げ口をしたときにばれる可能性があります。例えば、食事会の雑談で高額の贈与を受けたと自慢してしまい、妬んだ人から税務署に報告され贈与の事実を指摘される場合もあるのです。
贈与の事実は思わぬところから発覚することがあると考えておきましょう。
参考:税務署は贈与の密告を待っている!情報提供の方法と活用先について
3.贈与税の基本的な仕組み
贈与税は、個人から贈与として受け取った贈与額が年間(1月1日~12月31日)で110万円を超える場合、原則として受贈者が申告し納付します。贈与をした人と贈与を受けた人の関係性により、財産を『一般贈与財産』と『特例贈与財産』に区別し、贈与税が課税されます。
3-1.個人から受け取った財産に対して納税義務が発生する
贈与税は、個人から財産の贈与を受けた場合に、原則として受贈者が申告し納付する必要があります。法人から財産を受け取った場合は、贈与税はかかりません。不動産や宝石など現金以外の財産を受け取った場合には、贈与税の対象となります。実際に贈与された財産で金銭的な価値があるものは、あらゆるものが贈与税の対象です。
例えば、不動産の贈与をうけた場合は、相続税評価額によって相続税や贈与税の計算をおこないます。
不動産の相続税評価額については以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてみてください。
参考:不動産は贈与と相続どちらが良い?不動産の生前贈与について|税理士法人チェスター
3-2.贈与税の対象から外れる項目もある
贈与を受けた場合でも、贈与税がかからないことがあります。財産の性質や贈与の目的などから贈与税の負担が必要ないとみなされるためです。贈与税がかからない具体例を、以下の表をもとに確認しましょう。
贈与税がかからない財産 | 具体例 |
---|---|
生活費や教育費のための金銭 | 夫婦や親子、兄弟姉妹など扶養義務者から生活費や教育費として必要と認められる金銭を受領した場合 |
祝儀・香典・贈答品など | 香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどの金品で、社会通念上相当と認められるものを受領した場合 |
法人の財産 | 法人から財産を贈与により取得した場合(一時所得として所得税の対象) |
被相続人の財産 | 相続があった年に被相続人から相続や遺贈により財産を取得した場合(相続税の対象) |
3-3.年間110万円を超えた部分にのみ贈与税が発生する
贈与された財産の評価額が、年間(1月1日~12月31日)で110万円を超える場合は贈与の申告と贈与税の納付が必要です。
1年間で110万円以下の贈与であれば、贈与税の申告は必要ありません。
110万円を超える場合は、原則として受贈者が申告し贈与税を納付する必要があります。複数の人から財産の贈与をうけ、それぞれの金額が110万円以下でも合計金額が110万円を超える場合は、贈与税の課税対象になります。

▲複数の人からの贈与で合計金額が110万円を超えると贈与税がかかる
参考:生前贈与の非課税枠は110万円以内!その中に収めれば税金を払わなくて済む?
3-4.贈与金額が増えるほど高い税率が適用される
贈与税は、贈与をした人と贈与を受けた人の関係性により、財産を『一般贈与財産』と『特例贈与財産』に区別し課税されます。
税率 | 関係性 | 具体例 |
---|---|---|
一般贈与財産 |
|
|
特例贈与財産 |
直系尊属から成年者への贈与 (贈与される年の1月1日に受贈者が20歳以上であること) |
|
一般贈与財産の税率が適用されるのは、直系尊属以外から贈与を受けた贈与額が、年間で110万円(1月1日〜12月31日)を超えるケースです。例えば夫婦間・兄弟姉妹間で贈与された場合は、一般贈与財産の税率が適用されます。
また、父母・祖父母など前の世代で直通する系統の親族を意味する「直系尊属」からの贈与でも、受け取る子どもや孫が20歳未満の場合、適用する税率は一般贈与財産です。一般贈与財産の税率は下記の速算表に従い計算します。
一般贈与財産の速算表
基礎控除後の課税価格 (贈与額から110万円を差し引いた金額) |
税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1500万円以下 | 45% | 175万円 |
3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円超 | 55% | 400万円 |
参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
一般贈与財産の贈与税額を計算してみましょう。
例えば、夫から妻へ800万円贈与した場合、課税価格は690万円(800万円−110万円)となります。一般贈与財産の速算表を確認すると、課税価格が690万円の場合の税率は40%、控除額は125万円です。
一般贈与財産の速算表
基礎控除後の課税価格 (贈与額から110万円を差し引いた金額) |
税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
贈与税額は以下計算式のとおり、151万円となります。
贈与税額 | 計算式 |
---|---|
151万円 | (800万円−110万円)×40%(速算表の税率)−125万円(控除額) |
特例贈与財産の税率が適用されるのは、直系尊属から20歳以上の直系卑属が贈与を受けた場合で、贈与額が年間(1月1日~12月31日)110万円を超えるケースです。例えば父母から子ども、祖父母から孫といった直系尊属への贈与で、受け取る子どもや孫が20歳以上の場合、特例贈与財産の税率を適用します。
特例贈与財産の税率は下記の速算表のとおりです。税率は一般贈与財産に比べ特定贈与財産のほうが低く、控除額が大きくなります。
特例贈与財産の速算表
基礎控除後の課税価格 (贈与額から110万円を差し引いた金額) |
税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1500万円以下 | 40% | 190万円 |
3000万円以下 | 45% | 265万円 |
4500万円以下 | 50% | 415万円 |
4500万円超 | 55% | 640万円 |
参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
特例贈与財産の贈与税額を計算してみましょう。
例えば、父母から20歳以上の子どもへ800万円贈与した場合、課税価格は690万円(800万円−110万円)となります。特例贈与財産の速算表を確認すると、課税価格が690万円の場合の税率は30%、控除額は90万円です。
特例贈与財産の速算表
基礎控除後の課税価格 (贈与額から110万円を差し引いた金額) |
税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000万円以下 | 30% | 90万円 |
贈与税額は以下計算式のとおり117万円となります。
贈与税額 | 計算式 |
---|---|
117万円 | (800万円−110万円)×30%(速算表の税率)−90万円(控除額) |
参考:贈与税の速算表を使って試算しよう。一般税率と特例税率の違いは?
4.手渡しの贈与で申告を怠ると贈与税に加えてさらに税金がかかる
贈与を手渡しでおこない申告を怠ったり誤ったりした場合、贈与税に加えて延滞や無申告に関するペナルティとして以下の税金がかかる可能性があります。
手渡しの贈与で申告を怠ったり、誤ったりした場合にかかる税金
- 申告期限から遅延したとき-延滞税
- 納税額が少ないとき-過少申告加算税
- 申告をしていないとき-無申告加算税
- 故意に偽装していたとき-重加算税
参考:【事例で見る】贈与税を支払わなかった場合における加算税の全てを徹底解説!
4-1.申告期限から遅延したとき-延滞税
贈与税の申告期限から遅延した場合、本来の納付期限の翌日(贈与を受けた翌年の3月16日)から贈与税を納付した日までの日数に対して、『延滞税』が課税されます。
延滞税の計算式と税率は次のとおりです。
延滞税の計算式 |
---|
追加で納める税額×延滞税の割合(税率)×日数÷365日 |
延滞税の割合(税率)は、修正申告の本来の納付期限の翌日から起算して2ヵ月を経過しているかどうかで異なります。令和3年1月1日以後の税率は以下のとおりです。
期間 | 令和3年1月1日以後の税率 |
---|---|
納付期限から2ヵ月以内 |
年7.3%または『延滞税特例基準割合+1%』の いずれか低い割合 |
納付期限から2ヵ月経過 |
年14.6%または『延滞税特例基準割合+7.3%』の いずれか低い割合 |
延滞税の税率は毎年変動します。銀行の『新規の短期貸出約定平均金利』という指標に連動しているためです。
平成26年から令和3年の延滞税の税率は、以下のとおりです。
期間 |
第1段階 (納期限から2ヵ月以内) |
第2段階 (納期限から2ヵ月以上) |
---|---|---|
令和3年1月1日~ 令和3年12月31日 |
年2.5% | 年8.8% |
平成30年1月1日~ 令和2年12月31日 |
年2.6% | 年8.9% |
平成29年1月1日~ 平成29年12月31日 |
年2.7% | 年9.0% |
平成27年1月1日~ 平成28年12月31日 |
年2.8% | 年9.1% |
平成26年1月1日~ 平成26年12月31日 |
年2.9% | 年9.2% |
4-2.納税額が少ないとき-過少申告加算税
期限までに贈与税の申告をしたあと、税務署の指摘(税務調査の事前通知を受けたあと)により追加納付の必要が発覚し、修正申告をして贈与税を追加で納める場合は、延滞税に加えて『過少申告加算税』が課税されます。過少申告加算税の計算式は次のとおりです。
過少申告加算税の計算式 |
---|
追加で納める税額×過少申告加算税の税率 |
過少申告加算税の税率は以下のとおり条件によって異なります。税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税は免除されます。申告の誤りに気付いたときは、速やかに修正申告をしましょう。
申告 期限 |
追加で納める 贈与税額のうち |
税務調査の 事前通知より前に 自主的に申告した場合 |
税務調査の事前通知を 受けてから税務調査を 受けるまでに申告した場合 |
税務調査を 受けてから 申告した場合 |
---|---|---|---|---|
平成28年 以前 |
期限内に申告した額と 50万円のいずれか 多い方以下の部分 |
なし | 10% | |
期限内に申告した額と 50万円のいずれか 多い方を超える部分 |
15% | |||
平成29年 以降 |
期限内に申告した額と 50万円のいずれか 多い方以下の部分 |
なし | 5% | 10% |
期限内に申告した額と 50万円のいずれか 多い方を超える部分 |
10% | 15% |
▲過少申告加算税の税率は条件によって異なる
4-3.申告をしていないとき-無申告加算税
贈与税の申告期限を過ぎてから自主的に申告したときや、税務調査を受けてから申告した場合は、無申告加算税が課税されます。
無申告加算税の計算式は次のとおりです。
無申告加算税の計算式 |
---|
追加で納める税額×無申告加算税の税率 |
無申告加算税の税率は以下のとおりです。
申告 期限 |
贈与税額のうち | 税務調査の事前通知より 前に自主的に申告した場合 |
税務調査の事前通知を 受けてから税務調査を 受けるまでに申告した場合 |
税務調査を受けてから 申告した場合 |
---|---|---|---|---|
平成28年 以前 |
50万円以下の 部分 |
5% | 15% | |
50万円を 超える部分 |
20% | |||
平成29年 以降 |
50万円以下の 部分 |
5% | 10% | 15%(※) |
50万円を 超える部分 |
15% | 20%(※) |
(※)過去5年以内に贈与税で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合の税率は、50万円以下の部分は25%、50万円を超える部分は30%となります。
▲無申告加算税の税率(申告期限が平成29年1月1日以降の場合)
無申告加算税の税率は、税務調査の事前通知を受ける前に自主的に申告しているかどうかで異なります。また過去5年以内に無申告があった場合には、さらに税率が加算される仕組みです。
税務調査の事前通知を受ける前、自主的に贈与税の期限後申告した場合は、無申告加算税が5%課せられます。しかし、法定申告期限内に納付だけ済ませているといった要件を満たし、かつ1ヵ月以内に期限後申告すれば課税されません。
4-4.故意に偽装していたとき-重加算税
贈与税の課税を免れるために財産を隠し虚偽の申告をした場合や証拠書類を偽装した場合は、重加算税が課税されます。重加算税は過少申告加算税や無申告加算税の代わりに課税されます。
重加算税の税率は以下のとおりです。過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、10%税率が加算されます。
右記以外の場合 | 申告期限が平成29年以降で、 過去5年以内に贈与税で無申告課税または 重加算税を課されたことがある場合 |
|
---|---|---|
無申告の場合 | 40% | 50% |
過少申告の場合 | 35% | 45% |
▲過少申告加算税や無申告加算税の代わりに重加算税
5.贈与において税金がかからない方法とは
贈与を検討している場合には、受贈者に贈与税の負担がかからないような方法を検討しましょう。以下の方法で贈与税の負担を抑えられる可能性があります。
贈与において税金がかからない方法
- 非課税枠の範囲内に収まるよう分割して贈与する
- 贈与税の非課税制度を適用する
5-1.非課税枠の範囲内に収まるよう分割して贈与する
贈与を受けた財産が年間(1月1日~12月31日)で110万円以下であれば、贈与税の申告は必要ありません。その制度を利用し、年間110万円以下になるよう分割して贈与することで、贈与税がかからなくなります。
また、相続が発生した場合の相続税課税対象金額を抑えることが可能です。しかし毎年の贈与額が同額となる場合は『定期贈与』とみなされてしまい、受贈者に贈与額がかかる可能性もあります。定期贈与とみなされないよう、贈与する際には贈与契約書を作成しましょう。
また贈与から3年以内に贈与者が死亡した場合、110万円以下の贈与でも相続財産と判断され、相続税の課税対象財産となる場合があります。特例や制度の利用で、非課税条件を満たす場合もあるため事前の確認が大切です。
5-2.贈与税の非課税制度を適用する
贈与税がかかる場合でも、贈与をした人と受けた人の関係性や財産の種類により贈与税の負担が減る可能性もあります。以下の非課税制度や特例を利用できるためです。
贈与税を節約できる5つの制度
- 教育資金の一括贈与
- 結婚や子育てに関する資金の一括贈与
- 特別障害者の扶養に関する資金の信託
- 住宅の購入や新築に関する費用の贈与
- 居住用不動産の配偶者控除
贈与税や相続税の対策について、詳しくは以下の記事で解説しています。
参考:【相続税対策17選】税理士が厳選!相続税ゼロ円完全ガイド|相続税のチェスター
6.手渡しの贈与でも税務署にばれるケースは多いため納税義務はきちんと果たそう
手渡しの贈与は税務署にばれる可能性があります。税務署は法定調書や国税総合管理(KSK)システムなどでお金の流れを把握し、税務調査によって贈与税の未申告や申告漏れを発見できるためです。
納税義務があるにもかかわらず無申告であることを税務署に気付かれた場合、ペナルティを受けなければなりません。贈与税の申告漏れや無申告はいつかばれる可能性があることを念頭に置き、申告が必要な場合は必ず申告をしましょう。
また贈与税を計算するためには、財産の種類の区別を適切に把握したうえでの正しい計算にくわえ、期限内に忘れず申告することも大切です。非課税枠や特例の適用で節税につながる場合もあります。
なお正しい贈与税の計算と申告をおこなうためには、相続を専門とする税理士への相談をおすすめします。
贈与税の計算が心配な場合や、特例を適用できるかの判断が難しい場合は、ぜひ一度税理士法人チェスターにお問い合わせください。贈与に詳しい専門税理士に任せることで、不安を解決できるでしょう。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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