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【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

一定額以上の遺産を相続すれば、相続税が課税されます。納税は国民の義務であり、正しく計算して、申告・納税するのは当然のことです。しかし、相続税額が多額になると予想される場合、税法上で認められた特例を上手に活用するなど、適法な範囲での「工夫」によって相続税額を減らせる対策があるのなら、それを知りたいと思うのもまた、自然な感覚でしょう。

本記事では、税法上設けられている特例の活用をはじめとして、相続税を適法に圧縮できる可能性がある対策方法をまとめました。これまでに2,000件以上の相続税申告や相続税対策の相談に対応してきた私たちだからこそわかる、リアルに使える対策だけを厳選しています。将来の相続税対策で頭を悩ませている方は、ぜひ参考になさってください。

この記事の目次

1.相続税対策の基本

適切な相続税対策を講じるためには、相続税の基本を理解しておくことが必要です。古来より「彼を知り己を知れば百戦殆からず」ともいわれます。まずは、相続税の基本を確認した上で、相続税対策を理解していきましょう。

1-1.そもそも相続税とは

相続税とは、亡くなった人(被相続人)の遺産(相続財産)が一定額以上ある場合に、遺産を承継した人(相続人)に対して課せられる税金です。相続人が複数いる場合は、各相続人が相続した財産の価額に応じて按分された税額を負担します。

1-2.相続税の基礎控除額

相続税が課されるのは、一定金額以上の財産を相続した場合のみです。相続税には、次の算式で計算する「基礎控除額」が設けられており、相続財産が基礎控除額を超える場合のみ、超えた金額部分に相続税が発生します。

●基礎控除額
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

※法定相続人とは、民法で定められている相続財産を相続できる権利を持つ人のことです。配偶者以外の人については、次の相続順位が定められており、第1順位の人がいる場合に第2順位の人が法定相続人になることはできません。(民法887条889条890条 )。

●相続順位(死亡した人から見た関係) 第1順位:子
第2順位:直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位:兄弟姉妹
※配偶者は、必ず相続人になる
【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

例えば、被相続人の遺族が「配偶者、子、父」である場合、法定相続人は「配偶者、子」の2人となります(父は第2順位であり、第1順位の子がいるため相続人にはなれません)。その場合、基礎控除額は、(3,000万円+(600万円×2人))=4,200万円となります。

仮に、このご家庭の相続財産が4,000万円だった場合、基礎控除額以下なので、相続税は発生しません。

一方、相続財産が5,000万円だった場合には、5,000万円-基礎控除額4,200万円=800万円が相続税の課税対象となります。

1-3.相続税対策の仕組みには、大きく分けて2種類がある

相続税の課税額を減らすための「相続税対策」には、大別すると2種類があります。

1つ目は、相続の開始までに、相続税の課税対象となる相続財産を減らしておく方法です。基礎控除額を超える相続財産が少なくなれば、相続税の課税は圧縮されます。相続財産が基礎控除額以下になれば、相続税はゼロになります。

相続財産を減らすといっても、単に消費をして使ってしまうというだけではありません。

相続税の課税評価上、相対的に評価額が高くなる種類の財産(例えば現預金)を、評価額が低くなる種類の財産(例えば賃貸用不動産)に組み替えておく方法や、贈与をしておく方法なども含まれます。

2つ目は、相続財産を減らすのではなく、税法上で設けられている各種の控除や特例制度を活用して、課税額を減らす方法です。課税の公平を期すため、あるいは政策上の配慮から、相続税には様々な特例措置や控除規定が設けられています。

例えば、長年連れ添った配偶者と、他の相続人を同じ扱いにするのは公平ではないという趣旨から設けられているのが、「配偶者の税額の軽減」です。このような制度を知り、適切に活用することも相続税対策の重要なポイントになります。

(参考):相続税の早見表|相続税がいくらか簡単チェック
(参考):相続税計算シミュレーション!計算方法を知れば自分で計算できる

2.生前贈与を活用した相続税対策

相続で財産を承継するのではなく、被相続人が生きている間に、贈与によって財産を移転することを「生前贈与」といいます。

生前に財産を贈与しておけば、その分、相続財産は減少するため、相続税の節税にはつながります。しかし、贈与には贈与税が課税されます。したがって、生前贈与を活用するためには「相続税と贈与税をあわせて、トータルで考えること」が、最大のポイントです。

なお、贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」とがあります。特別な手続きをしない限りは、自動的に暦年課税となります。

以下では、暦年課税を前提にして説明していき、相続時精算課税については別途項目を設けて解説します。

2-1.毎年コツコツ110万円贈与

暦年贈与には、毎年「110万円」の基礎控除額があります。1年間(1月1日から12月31日まで)に行われた贈与のうち、110万円までは、贈与税がかからず、110万円を超えた贈与をした場合のみ、超えた金額部分が課税対象となります。

この110万円の基礎控除額を活用した生前贈与により非課税で財産を移転する方法は、相続税対策として一般的に広く用いられています。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

2-1-1.対策方法

贈与をする人(贈与者)から贈与を受ける人(受贈者)へ、基礎控除額内になるように110万円以内を振り込みます。

もちろん現金で渡しても生前贈与は成立しますが、税務署に対して生前贈与の事実を証明するためには、記録が残る振込のほうが望ましいでしょう。また「贈与契約書」を作成し、確実に生前贈与を立証できるようにもしておきましょう。

なお、贈与税の基礎控除は「贈与者ごと」でははく、「受贈者ごと」に設定される点に注意してください。

▼贈与税の基礎控除は「受贈者ごと」に設定される

  • 父から、長男と長女に100万円ずつ贈与をした(1年以内)
    →受贈者である長男、長女とも、贈与税の基礎控除の枠内なので、贈与税は非課税。
  • 父から100万円、母から100万円を、長男に贈与した(1年以内)
    →受贈者である長男の贈与税の基礎控除額110円を超えているため、長男に90万円に対する贈与税が課税される。

2-1-2.効果、特徴

「非課税枠が110万円」と聞くと、「たいしたことないな」と思われるかもしれません。しかし、これは1年間分なので、毎年コツコツ110万円ずつ贈与を続ければ、受贈者1人につき、10年間で1,100万円、20年間で2,200万円もの金額を非課税で譲り渡すことが可能になります。

さらに、受贈者の数には制限がないため、2人に贈与すれば上記の2倍、3人に贈与をすれば3倍の効果が得られます。3人の子に20年間、110万円の贈与を続ければ、合計で6,600万円もの財産を、非課税で移転できるのです。非常に高い効果ではないでしょうか?

長期間続けるほど効果が大きいので、節税対策という観点からは、贈与を開始するのが早ければ早いほどよいといえます。

2-1-3.注意点、デメリットなど

暦年贈与の注意点やデメリットには、以下のようなものがあります。

◆2-1-3-1.「定期贈与」と認定されないように注意

「定期贈与」とは、例えば、もともと1,000万円を贈与するつもりであり、これを10年間にわたって100万円ずつに分割して贈与する、というようなものです。この場合、1,000万円を贈与する契約だとみなされて、1,000万円から基礎控除を差し引いた890万円が課税対象とされてしまいます。

生前贈与を毎年同額で、同時期に繰り返していると、税務署から「定期贈与」と認定される可能性があるので、十分に注意しなければなりません。

定額贈与とみなされないためには、毎年一定額ではなく、100万円、80万円など金額を変動させる、違った月に贈与する、毎年1年分の贈与契約書を作成するなどの対策が必要です。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!
◆2-1-3-2.「名義預金」と認定されないように注意

「名義預金」とは、口座の名義と、実質的な所有者が異なる預金のことです。例えば、子や孫の名義の預金口座だけれども、通帳やキャッシュカードを親が管理しているのなら、実質的にその預金の所有者は親だと判断されるでしょう。これが名義預金です。

相続が発生した際、子や孫名義の預金口座であっても、税務署から名義預金だと判断されれば、親の相続財産だと判定されてしまうことになります。贈与をする預金口座が名義預金と判断されないように、注意しましょう。

(参考)名義預金の基礎知識と相続税が追加で発生する条件を解説

◆2-1-3-3.相続開始前3年以内の贈与は相続財産とされる「生前贈与加算」に注意

生前贈与による相続税対策では、贈与するタイミングも重要です。それは、相続または遺贈によって財産を取得した人が、相続開始日前3年以内に受けた贈与については、その贈与額を相続財産に含めなければならない規定があるためです。これを「生前贈与加算」といいます。

簡単にいえば、相続開始前3年以内に相続人が受けた贈与については、税金の計算上では、贈与が「なかったこと」にされて、相続に組み込まれてしまうというわけです。

変な言い方ですが、相続が近いことを察知してから、あわてて贈与をしても無駄だ、ということです。

◆2-1-3-4.家族間のトラブルを引き起こさないように

最後に、相続税対策以外の観点になりますが、生前贈与は家族間の争いにつながりやすいことにも注意しましょう。相続税対策を優先するあまり、特定の相続人にだけ集中して贈与をしてしまうと、他の相続人がよく思わず、後日の争いのタネになります。

また、長期間にわたって生前贈与を続けるほうが節税効果は大きくなりますが、子が若いうちから多くの資産を与えてしまうことが、子のために本当によいことなのかどうかも、考えなければなりません。

もし、その後親子関係が悪化したり、親自身に財産上のトラブルが生じたりして「贈与したお金を返してくれ」といっても、子が応じてくれる可能性は低いでしょう。

生前贈与を実施する場合は、相続税対策という観点以外の点にも留意しておきましょう。

2-2.毎年110万円を超える贈与で大幅節税

財産額が多額の場合は、基礎控除の110万円を超えた贈与をする方法もあります。110万円を超える部分には、贈与税の課税負担が生じますが、それを考えても、トータルで計算すると、節税につながる場合が多いのです。

判断の基準は、相続税率と贈与税率を比較して、どちらが高くなるかです。それぞれの税率を見てみましょう。

相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

贈与税の速算表(特例税率)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

なお、贈与税率は、贈与者と受贈者の関係性によって2種類の体系が設けられています。「特例税率」は贈与者が18歳以上で受贈者の直系尊属である場合の税率です。相続税対策としての贈与であれば、多くの場合は特例税率に該当するでしょう。

特例税率以外の場合に用いられる「一般税率」については、ここでは省略します。

2-2-1.対策方法

贈与税の基礎控除額を超える財産を贈与すれば、そのぶん、相続税が課税される遺産は減ります。その減った遺産に対する相続税額と、増えた贈与額に対する贈与税額をトータルで考えたときに、いくらの贈与をするのがベストなのかをシミュレーションして贈与を実施します。

2-2-2.効果、特徴

数値例で考えてみましょう。

相続税が課税されるのは、遺産のうち、相続税の基礎控除を超える価額です。この部分を「課税遺産総額」と呼びます。

いま、将来の課税遺産総額が5,000万円になると見込まれているとします。

ここで、次の3つのケースで比較してみましょう。

  • (A)生前贈与をしない
  • (B)毎年110万の贈与を10年続ける
  • (C)毎年500万の贈与を10年続ける

なお、単純化のために、財産額は増減しないものとします。また、生前贈与加算など、他の制度は考慮しません。

パターン 課税額
(A)生前贈与をしない 課税遺産総額5,000万円に対する相続税は、5,000万円×20%-200万円=800万円になります。
贈与税額は0です。
トータルの課税は800万円になります。
800万円
(B)毎年110万の贈与を10年続ける 課税遺産総額は、5,000万円-(110万円×10年)=3,900万円です。
それに対する相続税は、3,900万円×20%-200万円=580万円です。
一方、贈与税は、非課税枠内なので0です。
トータルの課税は、580万円になります。
580万円
(C)毎年500万の贈与を10年続ける 課税遺産総額は、5,000万円-(500万円×10年)=0です。
相続税は0です。
一方、毎年の贈与税は、(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5000円です。10年では485万円になります。
トータルの課税は、485万円になります。
485万円

このように、想定される遺産が大きい場合は、贈与税の基礎控除額以上の贈与を続けたほうが、相続税とトータルで考えた場合に、節税になることあります。

2-2-3.注意点、デメリットなど

上記の計算は、遺産総額が変化しないといった仮定のもとによる例です。実際に、いくらの贈与を、何年すれば、もっとも節税効果が高くなるのかは、詳細なシミュレーション計算が必要です。

また、相続はいつ発生するかわかりません。贈与をしたときから、3年以内に相続が発生すれば、「生前贈与加算」の対象にもなってしまいます。

いずれにしても、多額の生前贈与を検討するのであれば、相続税にくわしい専門家へ相談してシミレーションしてもらうことが望ましいでしょう。

(参考)相続税対策には生前贈与を活用しよう! 贈与税の6つの非課税枠って?

2-3.相続時精算課税制度で収益不動産を贈与

収益不動産とは、自分が住むためではなく人に貸し出して、家賃収入を得ることを目的に所有する不動産のことです。

一般的に不動産は財産価値が大きくなります。それに加えて、収益不動産は賃貸収入を発生させ続けるので、相続財産を増大させる効果もあります。そのため、優先的に相続税対策を講じておきたい財産です。その際に有効なのが、相続時精算課税制度の活用です。

「相続時精算課税制度」は、暦年課税と選択できる、贈与税の制度の1つです。60歳以上の親や祖父母などから、18歳以上の子や孫へ贈与された財産について、贈与者1人あたり、2,500万円までの贈与については、贈与税が非課税になります。

そして、相続時精算課税制度の対象になった贈与財産については、贈与者が亡くなって相続が発生した際に、贈与時の価額を相続財産に足し戻して相続税額の計算がなされます。

相続時に精算されるので、「相続時精算課税制度」という名前になっています。

なお、相続時精算課税制度は、「贈与者」ごとに設定される制度です。贈与者が1度相続時精算課税制度を選択すると、以降は、その贈与者から受けるすべての贈与に相続時精算課税制度が適用され、暦年課税の110万円の基礎控除は利用できなくなります。

また、2,500万円を超える贈与額については、一律20%の贈与税がかかります。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

相続時精算課税制度を用いると、贈与時には2,500万円までが非課税となるものの、相続時には相続財産に繰り戻されて課税されるので、いわば「課税の繰り延べ」です。

一見すると、損も得もないように思えますが、収益不動産を贈与すると有効性が高くなります。

2-3-1.対策方法

贈与者(親など)が所有する収益不動産を、受贈者(子など)へ贈与します。その評価額が2,500万円までであれば、贈与時の、贈与税は非課税です。

2,500万円では、収益不動産の土地と建物を両方贈与することが難しい場合も多いでしょう。その場合、建物のみを贈与することが一般的です。建物を贈与する際の建物評価は固定資産税評価額で計算しますので、多くのケースでは2,500万円以内となります。

賃料収入は建物の名義人に帰属しますので、贈与後に受贈者に名義変更して、賃貸人を変更します。その後は、受贈者が賃貸物件を管理していくことになります。

2-3-2.効果、特徴

収益不動産を、被相続人となる親が所有したままであれば、その物件から年々生じる収益が、そのまま親の相続財産に加算されていきます。

例えば、年間に300万円の純収益を生む不動産だとすれば、それを親が10年間所有し続ければ、相続財産が3,000万円増えるということです。

一方、その不動産を子に贈与しておけば、収益として増加する3,000万円は、子の所得になります。つまり、相続税から切り離されるということです。これが、相続時精算課税制度を利用して、収益不動産を早期に贈与しておくことの大きな効果です。

2-3-3.注意点、デメリットなど

相続時精算課税制度の注意点には、以下があります。

◆2-3-3-1.相続時点での実際の評価額よりも、高い財産評価がされる場合がある

相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産額は、贈与者の相続税計算の際に持ち戻さなければなりません。つまり、「課税の先送り」であり、その不動産物件に関する相続税を直接圧縮する効果はほぼない点に注意しましょう。

ただし、持ち戻し計算に使用する金額は贈与時の価額であるため、贈与された不動産の価額が贈与時よりも相続時に上昇している場合、その値上がり分に対する相続税は節税できます。

しかし、建物については、経年劣化により価値が下落することはあっても上昇することは通常考えられません。むしろ、相続時よりも価値の高い時点で贈与する場合のほうが多いでしょう。

収益不動産の相続時精算課税制度による相続税対策は、あくまで、贈与後から発生する賃貸収入を受贈者に移すことを主眼とした対策であることを理解しておきましょう。

◆2-3-3-2.建物のみを贈与した場合、相続される土地の評価が自用地評価になる

贈与者が収益不動産として土地と建物の両方を所有して死亡した場合、その土地は、「貸家建付地」として、自用地よりも減額された相続税評価額になります。

しかし、建物のみを贈与した場合、贈与者に残った土地については、自用地としての相続税評価額になってしまいます。

(参考)相続時精算課税制度とは何か?メリットやデメリットも全て解説!

2-4.教育資金の一括贈与特例で1,500万円まで非課税に

直系尊属から30歳未満の子や孫へ、教育資金の一括贈与があった場合に、1,500万円まで贈与税がかからないという制度です。正式名称は「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」といいます。

もともと、扶養義務者である親が子の学費を出すことは当然です。そのため、必要な教育資金をその都度贈与する行為には、贈与税は課税されません。

では、この特例制度が存在する意義はなんなのかといえば、将来にかかる教育費を「前倒しで一括贈与」した場合にも、非課税になる点です。

例えば、高齢の祖父母が孫のために教育資金を贈与したいと思っても、孫が教育資金を必要にするタイミングを待っていては、相続を迎えてしまう可能性があります。そんな場合に、一括してまとまった金額を非課税で贈与できるのが、この制度のメリットです。

2-4-1.対策方法

教育資金の一括贈与特例を利用する場合には、贈与者と受贈者で贈与契約を締結します。そして、金融機関で教育資金口座を開設し、所轄の税務署に教育資金非課税申告書を提出します(提出は一般的に金融機関が代行してくれます)。

受贈者は教育資金が必要になる都度、領収証などを金融機関に提出して資金を口座から引き出して利用します。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

なお、本制度により贈与された資金(「管理財産」といいます)を受贈者が非課税で利用できるのは、原則として30歳に達するまでです。

贈与者が健在であり、かつ、受贈者が30歳に達した場合には贈与契約は終了します(受贈者が在学中などの場合は、例外あり)。

2-4-2.効果、特徴

本制度を利用すれば、最大で1,500万円の財産を非課税で移転することができ、その分、相続財産を減らすことができます。また、使途が教育資金に限定されているため、一般的な暦年贈与と違って、“無駄遣い”される心配がない点もメリットでしょう。

本制度で利用できる「教育資金」は、以下の表のように、支払い先により2種類に大別されており、非課税となる上限額が異なります。

支払い先 非課税の上限額 主な使途の対象項目
学校等 1,500万円
  • 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など
  • 学用品費、修学旅行費、学校給食費
  • 通学定期券代、オンライン授業の実施に伴うパソコン購入費用など、学校等における教育に伴って必要な費用など
学校等以外の者(塾、習い事など) 500万円
  • 学習塾などに直接支払われるもの
  • スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
  • 習い事に使用する物品の購入に要する費用(楽器や用具など)
  • 習い事に通うための通学定期券代
  • 留学渡航費、学校等に入学、転入学、編入学するために必要となった転居の際の交通費

なお、本制度は「生前贈与加算」(相続発生前3年以内に贈与された財産の相続財産への持ち戻し)の対象外となります。この点もメリットです。

2-4-3.注意点、デメリットなど

まず注意すべきは、資金の使途です。

もし、教育資金以外に使用した場合には贈与税がかかります。「教育資金だと思って使ったけれど、実は違っていた」ということにならないように、十分に確認してから資金を使用しましょう。

さらに、該当する項目であっても領収書などがない場合には、非課税と認められない点も、注意が必要です。

◆2-4-3-1.契約終了時に、口座に資金が残っていた場合

受贈者が30歳になると、教育資金贈与契約は終了します。その際に管理財産の残額があれば、「贈与者に戻す」か「受贈者が受け取る」か、どちらかを選択できます。

「贈与者に戻す」場合には、贈与者の預金口座に、残額を振り込んで契約終了となります。

「受贈者が受け取る」場合、残額が110万円を超えていれば贈与税が課税されるので、申告・納税が必要となります。

◆2-4-3-2.契約期間中に贈与者が死亡した場合

契約期間中に贈与者が死亡した場合には、管理財産の残高は、原則として相続財産となり相続税の課税対象になります。その際、受贈者が贈与者の孫やひ孫であれば、相続人にはならないため、相続税額の2割加算の対象になります。

ただし、いずれも例外規定があります。教育資金贈与はここ数年で税制改正が度々行われており、拠出時期(贈与された時期)によって、贈与者死亡時における一定の管理残額の相続財産への加算や相続税の2割加算の対応が異なるため注意が必要です。くわしくは以下の記事を参照ください。

(参考):教育資金贈与はいつまで?対象項目や改正における注意点【最新版】

なお、契約期間中に受贈者が死亡した場合には、管理財産の残高は単に贈与者へ戻されて契約終了となります。

2-5.結婚・子育て資金の一括贈与特例で、1,000万円まで非課税に

直系尊属から、18歳以上50歳未満の子や孫の結婚や子育てに使うための資金を一括贈与した場合、1,000万円(結婚費用については300万円)まで贈与税が非課税になる制度です。正式名称を「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」といいます。

もともと、親や祖父母が子や孫の結婚資金(結婚式や披露宴の費用)や子育ての費用をある程度援助しても、必要な都度の贈与である場合には贈与税は課税されません。しかし、「必要になったら使いなさい」などといって、まとまった資金を前渡ししておけば、それは贈与税の課税対象となります。

ところが、本特例を利用すれば、最大1,000万円(結婚費用については300万円)までの費用をまとめて前渡ししても、非課税になるのです。この制度の基本的な設計は「教育資金の一括贈与特例」と似ています。

2-5-1.対策方法

結婚子育て資金の一括贈与の適用を受ける場合の手続きも、上で解説した教育資金の一括贈与と似ています。まず贈与契約を締結し、金融機関で結婚子育て資金口座の開設、結婚・子育て資金非課税申告書の提出をおこないます。

その後、受贈者が結婚や子育て目的で口座資金を利用したい際には、その支出を証明できる領収書などを金融機関に提出して引き出します。

なお、次のような場合になると、金融機関と締結した結婚・子育て資金管理契約が終了し、非課税の適用も終了します。

  • 受贈者が50歳になった
  • 受贈者が死亡した
  • 口座の残高が0になり、かつ契約を終了することに合意した
【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

2-5-2.効果、特徴

本制度を利用すれば、最大で1,000万円(または300万円)の財産を一括で、非課税で移転することができ、その分、相続財産を減らすことができます。

適用対象となる使途は、以下のようなものです。

分類 非課税の上限額 主な使途の対象項目
妊娠、出産、育児に必要な費用 1,000万円
  • 不妊治療や妊婦健診に要する費用
  • 分娩費用や産後ケアに要する費用
  • 子の医療費、幼稚園・保育所などの保育費用(ベビーシッター代を含む)

なお、令和3年度の税制改正において、結婚子育て資金の範囲に一定の認可外保育施設へ支払う保育料も追加されました。

結婚に関連して支払われる費用 300万円
  • 挙式費用・衣装代など結婚披露のための費用
  • 家賃・敷金等の新居の費用や転居費用

(結婚情報サービスの利用料や結納式の費用、婚約指輪・結婚指輪の購入費、新婚旅行の費用などは非課税の対象になりません。新居の費用についても、光熱費や家具・家電の購入費などは非課税の対象になりません。)

 

なお、本制度は「生前贈与加算」(相続発生前3年以内に贈与された財産の相続財産への持ち戻し)の対象外となる点もメリットです。

2-5-3.注意点、デメリットなど

当然ながら、結婚子育て資金の一括贈与の適用を受けた金額については、結婚や子育てにかかる費用に使用しなければなりません。

結婚子育て資金として認められている費目以外に使用した場合には、贈与税が課税されるので注意しましょう。また、領収書を紛失したなどで提出できない場合にも非課税扱いになりません。

◆2-5-3-1.契約終了時に、口座に資金が残っていた場合

受贈者が50歳に達したとき、または合意により契約が終了したときは、結婚子育て資金口座に残高があると、贈与税が課されます。

ただし、(相続時精算課税を適用していなければ)暦年課税の基礎控除額110万円は適用されるため、残高が110万円以下であり、その年に他の贈与を受けていなければ、非課税です。

◆2-5-3-2.契約終了中に贈与者が死亡した場合

結婚子育て資金の一括贈与の契約期間中に、贈与者が死亡した場合には、金融機関にその旨を届け出なければなりません。死亡時点での口座残高については、相続財産に組み入れられて、相続税の課税対象になります。

相続税課税の際、受贈者が孫や曾孫であった場合には、原則として、相続税額の2割加算の対象にもなる点にも注意しましょう。

なお、契約期間中に受贈者が死亡した場合には、口座残高は課税対象になることはなく、単に贈与者へ戻されて契約終了となります。

(参考)結婚・子育て資金の一括贈与は1,000万円まで贈与税が非課税に!

2-6.住宅取得等資金贈与の特例で、1,000万円まで非課税に

直系尊属から、18歳以上の子や孫が自宅の新築または増改築などのために使う資金の贈与を受けた場合には、最大1,000万円まで贈与税が非課税になる制度です。正式名称を「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」といいます。

贈与された資金は、住宅や住宅建築土地の購入のほか、増改築(リフォーム)にも利用できます。

2-6-1.対策方法

対象となる受贈者に資金を贈与し、受贈者は、その「全額」を、住宅や住宅建築用土地の購入のほか、増改築費用などの支払いにあてます。(使い残した資金には、贈与税が課せられます)。

住宅取得等資金贈与の特例を利用するには、「受贈者」「贈与によって購入等する住宅」「居住時期」などについて細かい要件が定められています。ここでは、主なものを掲載します。

受贈者に関する要件
    • 贈与者の直系卑属(子や孫)であること
    • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
    • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅の場合には、1,000万円以下)であること

など

住宅に関する要件
    • 日本国内にある住宅であること
    • 床面積が40平米以上240平米以下で、その2分の1以上が受贈者の居住用に使われるもの(例外あり)
    • 中古住宅の場合は、築20年以内、または築25年以内(耐火建築物)であること

など

居住時期に関する要件
  • 贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、贈与された住宅取得等資金で住宅を購入し、実際に住み始めること。
  • 3月15日までの居住ができない場合は、遅くても、贈与を受けた年の翌年12月31日までに居住すること(居住しないと、特例は受けられない)。

なお、課税額贈与の翌年の3月15日までの間に贈与税申告をおこなう必要があります。

2-6-2.効果、特徴

最大で1,000万円の財産を非課税で移転することができ、その分、相続財産を減らすことができます。

また、本特例を用いた贈与は、通常の暦年贈与と異なり、「生前贈与加算」(相続発生前3年以内に贈与された財産の相続財産への持ち戻し)の対象外になる点も特徴です。そのため、相続が近い時期の贈与でも利用するメリットがあります。

◆2-6-2-1.相続時精算課税制度は併用可能

住宅取得等資金贈与の特例は、相続時精算課税との併用が可能です。併用すれば、最大で3,500万円まで、非課税で贈与できることとなります。

2-6-3.注意点、デメリットなど

本制度の注意点には、以下のようなものがあります。

◆2-6-3-1.贈与の翌年3月15日までに引渡し等を済ませる必要がある

本制度を利用して、建売住宅や分譲マンションを購入した場合、贈与税の申告期限である「贈与を受けた年の翌年3月15日」までに引渡しを受けていなければなりません。予想外に工事が伸びて、引渡しができなかったといった場合は、適用を受けられないので、十分に注意してください。

なお、請負契約による新築の場合は、翌年3月15日までに引渡しが終わらなくても、「棟上げ」が終わった状態であればよいこととされています。

(なお、新型コロナウイルス感染症の影響により工期が遅れた場合には、特例措置があります)。

◆2-6-3-2.小規模宅地等の特例が適用されなくなる

被相続人の所有する自宅に、被相続人と同居していた相続人は、相続の際に、その自宅土地については、小規模宅地等の特例(後の項目で出てきます)を受けられる可能性があります。

ところが、相続人が本特例を用いて贈与を受けマイホームを所有してしまうと、被相続人の自宅土地についての小規模宅地等の特例が受けられなくなります。

どちらのほうが節税効果が高くなるのかは、地価などにもよるので一概にはいえませんが、場合によっては、本特例を利用するよりも、そのまま同居して、小規模宅地等の特例の適用を受けたほうが節税になる場合もあることは覚えておきましょう。

◆2-6-3-3.適用期限は令和5年(2023年)12月31日まで

なお、記事執筆時点で、本特例は、令和5年(2023年)12月31日までの贈与に適用されるという期限が定められています。(期限が延長される可能性もあります)。

(参考)住宅資金贈与は最大3,000万円(※)が非課税に!贈与税の特例をわかりやすく解説

2-7.おしどり贈与特例で配偶者に贈与

「おしどり贈与特例」とは、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」のことです。婚姻期間が20年以上の夫婦間での贈与に適用できる制度であることから、「おしどり贈与」という通称が付いています。

本特例を適用すれば、夫婦間で自宅の贈与が行われた場合に2,000万円までが非課税とされます。

2-7-1.対策方法

本特例の適用要件は、次の通りとなっています。

  • 婚姻期間が20年以上の夫婦間での贈与であること
  • 贈与財産が居住用不動産(自宅)または居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与の翌年3月15日までに贈与の対象となった居住用不動産に受贈者が居住していること

上記の該当する夫婦において、自宅の名義を配偶者に変更する、または自宅の購入資金を配偶者に振り込んだ場合、2,000万円を上限として非課税になります。

なお、本特例は同一配偶者からの贈与では一度しか適用できません。

また、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税申告をおこなう必要があります。

2-7-2.効果、特徴

おしどり贈与特例は生前贈与の基礎控除額110万円との併用が可能であるため、贈与額2,110万円まで贈与税が非課税となります。

贈与した分、贈与者の相続財産を減らすことが可能になるため、贈与者に相続が発生した場合、相続税が圧縮される効果があります。

また、本制度を利用して贈与された財産は、「生前贈与加算」(相続開始前3年以内の贈与財産の加算)が適用されない、特別受益の持ち戻しの対象にならない(2019年7月1日以降に贈与された財産から)といったメリットもあります。

2-7-3.注意点、デメリットなど

もともと、配偶者については「配偶者の税額軽減」(後の項目で説明します)が適用されるため、原則として1億6,000万円までの財産の相続は非課税になっています。

また、本制度を利用して配偶者に自宅住居を贈与してしまうと、その住居については、相続の際に「小規模宅地等の特例」が適用できなくなります。あわせて、相続時で自宅を承継した場合に比べて、登録免許税・不動産取得税などのコストが高くなるといったデメリットもあります。

さらには、配偶者が自宅に住み続けられるようにするという観点では、近年整備された「配偶者居住権」制度も利用できます。

おしどり贈与特例の利用を検討する場合は、上記のような他制度を適用した場合と十分に比較して、課税上の有利・不利や、争続防止について慎重に判断する必要があります。

なお、本制度での婚姻期間とは法律婚のみを指し、事実婚(いわゆる内縁関係)の場合は適用できません。

(参考)おしどり贈与とは?特別受益になるか?メリット・注意点についても解説

2-8.生前贈与を使った相続税対策の注意点

ここまで、生前贈与によって相続財産を減らす対策を主に解説してきました。

生前贈与は自分が生きている間に、確実に実行できるものであり、また、活用の仕方によっては大きな節税効果があることから、多くの人が利用しています。

しかし、誤った生前贈与をおこなってしまうと、老後資金が不足して困ることになったり、税務署からの指摘によって想定外の税金が発生したりするリスクがある点に注意しなければなりません。

生前贈与は、計画的な実施が何よりも重要な相続税対策なのです。

2-8-1.相続税と贈与税の一体化が進む

令和3年度の税制改正大綱には、「相続税と贈与税をより一体的に捉え、中立的な税制の構築に向けて本格的な検討を進める」との文言が記載されて話題になりました。

現在(2022年)は、政府税制調査会において、相続税・贈与税のあり方が見直されており、将来の相続税・贈与税の一体化が検討されています。

あくまで推測ではありますが、相続税・贈与税の一体化として、以下のような法改正があるのではないかといわれています。

  • 生前贈与加算の持ち戻し年数を3年から一生涯へ
  • 生前贈与の基礎控除額110万円の撤廃
  • 相続時精算課税制度の強制適用

もしこれらの改正が実現すれば、生前贈与をしても相続財産にすべて持ち戻され、相続税の課税対象になるということになります。今後、大きく制度が変わり、今までの生前贈与のメリットが使えなくなる可能性もあるので、ニュースには注意をしておきましょう。

3.生命保険を活用した相続税対策

生前贈与と並んで、相続税対策によく用いられているのが生命保険です。以下、代表的な生命保険の活用術を2つ紹介します。

「自分は高齢なので、今から生命保険に加入するなんて無理」とあきらめている人がいるかもしれませんが、実際には相続税対策での活用を念頭において、90歳まで加入できるような生命保険商品もあるので、検討してみましょう。

3-1.まずはこれ!「500万円×法定相続人の人数」までの保険金には相続税がかからない

生命保険には、様々な契約のタイプがありますが、まず、もっとも一般的な下記の契約タイプを想定します。

保険契約者(保険料を支払う人) 被相続人(父など)
被保険者(保険の対象となる人) 被相続人(父など)
保険金受取人 相続人(子など)

3-1-1.相続人が受け取る生命保険金は「みなし相続財産」とされる

上記タイプの生命保険契約において被保険者が死亡し、相続人に生命保険金が支払われた場合、その生命保険金は、被相続人が所有していた財産ではありません。死亡後に保険会社から、相続人に直接支払われるものです。

そのため、民法上は、生命保険金は相続財産には該当せず、「受取人固有の財産」とされています。

しかし、もし生命保険金が相続財産として課税されないこととなると、被相続人が多大な生命保険に加入すれば、相続税の課税無しで財産を移転できることになってしまいます。

そこで、本来は相続財産ではない生命保険金ですが、税法上は、それを相続財産と「みなし」て、相続税の課税対象とすることになっています。

このような財産を、「みなし相続財産」と呼びます。

みなし相続財産としての生命保険金は、本来の相続財産ではないことから、下記の非課税枠が設けられています。

●生命保険金の非課税枠

500万円×法定相続人の数

ここで「法定相続人の数」は、「生命保険金を受け取った人の数」ではない点に注意してください。例えば、法定相続人が3人で、そのうち、生命保険金を受け取った人が1人であれば、その1人が受け取った生命保険金に対して、500万円×3=1,500万円の非課税枠が設定されるということです。

この非課税枠を利用すれば、相続税課税を圧縮できます。

3-1-2.対策方法

被相続人を保険契約者・被保険者とし、相続人を保険金受取人とする終身タイプの生命保険契約を締結します。

一般的には、「一時払い終身保険」という保険商品を利用されます。一時払い終身保険は、保険料を一括で支払うことによって保険料の総額が安くなる上に、保険料が一括で払い込まれることにより保険会社の資金の安定性が高くなることから、契約後5年程度の早い段階で解約返戻率がピークを迎える特徴があります。保険料を支払った時点で終身にわたって保険金額が保証される保険になるため、元本割れのリスクもなく安心して対策をおこなうことができるからです。

3-1-3.効果、特徴

下記の設例を用いて計算してみましょう。

  • 保険契約者・被保険者:父
  • 生命保険金:2,000万円
  • 法定相続人:長男、次男、長女
  • 保険金受取人:長男
  • 一時払い保険料:2,200万円

被相続人となる父は、自分の財産から一時払い保険料の2,200万円を支払います。すると、相続財産が2,200万円減少しますので、ここで相続税の圧縮効果が生じます。

その後、相続が発生すると、長男は生命保険金2,000万円を受け取ります。その際、500万円×法定相続人3名で1,500万円の非課税枠が適用できます。

課税対象は、2,000万円-1,500万円=500万円となります。

つまり、この生命保険に加入していなければ相続税が課税されていたはずの2,200万が課税対象外になり、その代わりに生命保険金のうちの500万円が課税対象になった、ということです。トータルで1,700万円の課税遺産総額が圧縮されました。

生命保険を利用しない 父の財産の2,200万円は、相続財産として課税対象になる
生命保険を利用する 生命保険金のうち、500万円がみなし相続財産として課税対象になる

ちなみに、生命保険金の受取人が、長男と次男とで1,000万円ずつになっていた場合はどうなるでしょうか? この場合、非課税枠の1,500万円は等分され、長男、次男それぞれ750万円ずつの非課税枠を利用でき、1,000万円-750万円=250万円ずつの課税対象となります。2人計で500万円なので、長男だけが受け取る場合と、節税効果は同じです。

3-1-4.注意点、デメリットなど

生命保険金の非課税枠は、生命保険金の受取人が相続人の場合のみ適用される点に注意しましょう。

例えば、被相続人の子の配偶者(息子の妻など)や、孫(代襲がない場合)は相続人ではないため、生命保険金を受け取っても、非課税枠は利用できません。

また、相続放棄した人が生命保険金を受け取った場合も、非課税枠の適用はありません。

ただし、相続放棄をした人も、民法上は法定相続人の数には含まれます。例えば、上記の例で、相続放棄をした次女がいたとすると、500万円×4名=2,000万円が非課税枠となるということです。混同しやすい点なので、注意しましょう。

なお、生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象にはなりますが、受取人固有の財産であるため、遺産分割協議や、遺留分侵害の対象にはなりません。この点も誤解しがちな点なので留意してください。

3-2.生前贈与と生命保険を組み合わせた対策

生命保険契約には、保険契約者、被保険者、保険金受取人の3つの立場が登場します。誰がこの役割を担うのかの組み合わせを変えることで、課税関係が変わってきます。

そして、上記とは異なる節税対策も考えられます。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説! 【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

ここでは、被相続人が生前に贈与した資金で、相続人が保険料の支払いをする形の生命保険契約を紹介します。

3-2-1.対策方法

具体例で見ていきましょう。

まず、父が子へ、暦年贈与により贈与します。贈与金額は、いくらでもいいのですが、非課税枠の110万円とします。子はその資金により、以下のようなタイプの生命保険に加入します。

  • 保険契約者:子
  • 被保険者:父
  • 保険金受取人:子

父が死亡すると、子に生命保険金が支払われますが、子自身が契約をしている保険なので、保険金は相続税の対象にはなりませんし、みなし相続財産にもなりません。保険金は、子の一時所得として、所得税の課税対象になります。

3-2-2.効果、特徴

まず、生前贈与により、父の相続財産を減らし、相続税を圧縮する効果があります。非課税枠内なので、課税0で子に財産を移転できます。ここまでは、すでに説明した生前贈与の効果です。

生前贈与で、早くから現金を子に渡してしまうと、無駄遣いをする心配があります。しかし、保険料として払い込むことにしていれば、手元に置かれないため安心して贈与できるというメリットがあります。

子が一時金として受け取る生命保険金は、一時所得となり、下記の算式で課税額が計算されます。

保険契約締結の時期と相続発生時期、保険金の額などによっても変化するため、一概にはいえませんが、一時所得は、税額計算上、2分の1になるため、相続税で課税されるよりも節税となる場合が少なくありません。

●一時所得の生命保険金の税額計算

(生命保険金-既払込保険料-特別控除額50万円)×1/2

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

3-2-3.注意点、デメリットなど

生前贈与の項目で説明した注意点と同様になりますが、「定期贈与」や「名義預金」とみなされないように贈与をすることが最大のポイントになります。

(参考)生命保険に相続税はかかる?相続税対策に効果的な保険の加入方法まで徹底解説

4.不動産を活用した相続税対策

相続税対策の中でも、大きな節税効果を発揮できるのが不動産を活用した対策です。不動産を活用した相続税対策は、以下の考え方が基本となります。

相続財産は、相続税評価額で評価計算されて、相続税の課税対象になります。不動産の相続税評価額は、基本的に次の計算方法によります(自宅の土地、建物の場合)。

▼不動産の評価方法

建物 固定資産税評価額
土地 国税庁が定めた路線価に面積と補正率を乗じて計算する「路線価方式」(主に都市部)、または、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算する「倍率方式」(路線価が設定されていない地域)のいずれか

これらの方法で評価されると価額は、土地で時価の80%程度、建物は時価の60~70%程度になります。

現金や預貯金の相続税評価額は、額面金額そのまま、つまり1億円の現金があれば「評価額1億円」です。しかし、この1億円で1億円の土地を買っておけば、それだけで「評価額8,000万円」になる、つまり2,000万円分の課税対象財産を減らすことができるというわけです。

4-1.賃貸マンション・アパート建築・購入で大幅節税

不動産は、賃貸用にしていると、自宅の場合よりも評価額が下がります。それは賃借人に一定の権利が生じるので、その権利の分を割り引くためです。賃貸不動産の購入による相続税対策は、この評価減を利用する方法です。

▼賃貸不動産の評価方法

建物(貸家) 建物の固定資産税評価額 × (1-借家権割合※1×賃貸割合※3)
土地(貸家建付地) 自用地の評価額 ×(1-借地権割合※2×借家権割合×賃貸割合)

※1 借家権割合とは、借りた建物を使用する権利のこといい、全国一律30%となっています。
※2 借地権割合とは、借りた土地の上に自身で建物を建設した場合の借りた土地の権利のことをいい、地域によって30~90%で定められています。
※3 賃貸割合とは、賃貸建物の賃貸状況を表す割合のことをいいます。例えば、全部で10室ある賃貸アパートのうち5室に入居者がいる場合には50%、満室の場合には100%となります。

4-1-1.対策方法

賃貸アパート、マンションなどを取得して、現預金などを、賃貸不動産に組み替えて、人に貸します。すると、以下の図のように評価額が下がります。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

4-1-2.効果、特徴

具体例で見てみましょう。

例えば、現金1億円で共同住宅を建てます。仮にその住宅を自己利用した場合、相続税評価額は6,000万円ですが、賃貸をした場合は4,200万円になります。1億円だった相続財産を半分以下の評価額にできるのです。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

4-1-3.注意点、デメリットなど

賃貸不動産を所有するということは、賃貸不動産業という事業を経営をすることです。

賃貸不動産を購入して相続税の節税はできたとしても、空室が多く、事業として「赤字経営」になり、持ち出しのほうが多ければ、節税のメリットも消えてしまいます。

節税効果だけに目を奪われるのではなく、事業として成り立つ不動産物件なのかどうかを見極めることが重要です。

4-2.ワンルームマンション購入は節税効果が高い

賃貸不動産の中でもマンションの1室を購入(区分所有)して賃貸に出す方法であれば、相続税評価額は、時価の1/3程度になるといわれており、さらに節税効果が高くなります。

これは、区分所有マンションの場合、相続税評価額が高くなりやすい土地の所有割合が低くなるため、相続税評価額が大きく減額されるためです。

4-2-1.対策方法

利便性のよい場所にあり需要が見込める賃貸用ワンルームマンション(1部屋1,000万円~3,000万円程度)を購入(区分所有)します。すると、以下の図のように評価額が下がります。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

4-2-2.効果・特徴

具体例で見てみましょう。

●購入価額3,000万円
(内訳:土地1,500万円、建物1,500万円)

●相続税評価額
【土地】

  • 路線価評価
    1,500万円×80%=1,200万円
  • 貸家建付地評価
    1,200万円×約80%=約1,000万円
  • 小規模宅地等の特例の適用※
    1,000万円-(1,000万円×50%)=500万円

※被相続人の貸付事業用に使われている土地であることから、小規模宅地等の特例の貸付事業用宅地等に該当し、200㎡まで50%減額されます。

【建物】

  • 固定資産税評価額
    購入価額の50%として750万円
  • 貸家評価
    750万円×(1-30%)=約500万円
【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

3,000万円で購入したワンルームマンションですが、相続税評価額は1,000万円となり、3,000万円の30%程度の金額になりました。つまり、相続財産を2,000万円圧縮できたことになります。仮に相続税率が30%だとすれば、600万円程度の相続税圧縮となっています。

4-2-3.注意点、デメリットなど

上の「不動産を活用した相続税対策」の項目で述べたのと同様です。不動産賃貸は事業であるので、そのワンルームマンションに、今後長期間の入居需要があるかどうかを見極めることがポイントです。

4-3.タワーマンション節税の注意点

タワーマンションの購入も、相続財産を不動産に換えることによって相続税評価額を下げる方法です。

タワーマンションの購入は、他の一般的なマンションを購入するよりも、相続税圧縮効果が高いことから、「タワマン節税」として注目されていました。しかし、近年、行き過ぎた節税策を否認する裁判判決も出ていることから要注意です。

4-3-1.対策方法

タワーマンション購入が、相続税の節税効果が高いことは、以下の2点の理由によります。

①低層・小型マンションに比べて、同じ土地面積により多くの住戸があるため、1住戸あたりの土地の持分割合が低くなる。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

②高層階は人気があるため、いわゆる「プレミアム価格」が上乗せされ、通常の不動産よりも時価と相続税評価額との乖離が大きくなる。

そこで、タワーマンションの高層階を購入するのが、タワマン節税のポイントです。

4-3-2.効果、特徴

下の図を見てください。

タワーマンションの相続税評価額は何階であっても3,200万円と同じです。しかし、市場価値としては高層階になるほど高くなる傾向があるため、40階では8,000万円、10階では4,000万円と倍の差が付いています。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

4-3-3.注意点、デメリットなど

タワーマンション節税は効果が高いことから、国税庁も注視し、一定の防止策が講じられました。それは、平成30年4月1日以降に販売されるタワーマンションの固定資産税については、高層階のほうが割高になるように算定方法が見直されたことです。相続税評価額についての改正はまだありませんが、今後、高層階の評価方法が見直される可能性もあるでしょう。

4-3-4.過度な節税対策のリスクに注意

タワマンの購入による相続税対策を否認した国税当局と、納税者との間で争われた裁判に対して、令和4年4月19日に、最高裁判決が出され、過度な節税策を否認した国税庁の処分が妥当とする判決が出されました。

裁判の原告は、首都圏のタワーマンションを購入し、時価と相続税評価額の差額を利用した相続税対策をおこないました。これに対して税務署は行き過ぎた相続税対策であると主張し訴訟に発展していました。

最高裁が出した判決の結論としては、財産評価基本通達第1章総則6項の適用により、マンションの相続税評価額は著しく不適当であるとして、約3億3,000万円と申告されていた相続税評価額を約12億7,300万円と評価し直し、約3億3,000万円の追徴課税とした国税庁の主張を認めています。

この裁判でポイントとなったのが、財産評価基本通達第1章総則6項です。通称、「総則6項」とも呼ばれます。そこには、以下のように書かれています。

「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」

引用:第1章 総則(この通達の定めにより難い場合の評価)|国税庁

つまり、適法に評価した相続税評価額であっても、著しく不当とみなされる場合には、国税庁長官の指示で相続税評価額を変えられてしまうということです。

強力などんでん返しになることから、国税庁の「伝家の宝刀」と呼ばれています。行き過ぎた節税策を講じれば、いつ「伝家の宝刀」が抜かれるかわからないという点には、十分にご注意ください。

4-4.郊外から都心に引っ越し(土地の組み替え)で小規模宅地等の特例効果を増加

小規模宅地等の特例とは、相続に際して、自宅として居住している土地など、一定の土地について、原則として同居の親族が相続をした場合に、一定面積まで、相続税評価額が最大80%減額できる制度です。

正式には「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」といいます。

一般的に、土地は相続税評価額が高く、相続財産の中で占める割合も大きなものです。それが最大80%も減額できる本特例は、適用できれば高い節税効果が得られます。実際によく利用されている制度です。

本特例が適用できる土地には大きく分けて3種類がありますが、以下では、特定居住用宅地等(自分の居住用の土地)を前提として説明します。

4-4-1.対策方法

小規模宅地等の特例には、以下2点の特徴があります。

  • 何万円という「金額」でななく、何パーセントという「割合」で評価が減額される。
  • 適用できる面積に上限がある(特定居住用宅地等の場合、330平米まで)

この特徴を利用して、郊外の地価の低い土地から、都市部の地価の高い土地に転居することで、特例による減額を大きくするのがこの方法です。

4-4-2.効果、特徴

設例で見てみましょう。

【設例1】
●現在の自宅

  • 郊外の660平米の土地
  • 相続税評価額1億円

●転居先

  • 都市部の330平米の土地
  • 相続税評価額1億円

小規模宅地等の特例が適用できるのは330平米までなので、現在の自宅では、特例適用後の評価額は以下のようになります。

5,000万円(特例が適用されない330平米分の評価額)+(5,000万円×20%(80%減額の特例が適用される330平米分の評価額))=6,000万円

ここで、この土地を1億円で売却し、都市部に330平米で1億円の土地を購入して転居するとします。

すると、特例適用後の土地の評価額は以下のようになります。

1億円×20%=2,000万円

同じ評価額1億円の土地ですが、適用できる面積に違いがあることから、4,000万円もの差額が生じるのです。

【設例2】 ●現在の自宅

  • 郊外の330平米の土地
  • 相続税評価額5,000万円
  • 預金1億円

●転居先

  • 都市部の330平米の土地
  • 相続税評価額1億円

この場合、現在の自宅では、小規模宅地等の特例適用後の評価額は以下のようになります。

5,000万円×20%=1,000万円

それ以外に預金が1億円あるので、トータルの相続財産評価額は、下記になります。

1,000万円(土地)+1億円(預金)=1億1,000万円

ここで、この土地を5,000万で売却し、さらに預金から5,000万円を出して、都市部に330平米で1億円の土地を購入して転居します。すると、特例適用後の土地の評価額は以下のようになります。

1億円×20%=2,000万円

一方、土地の購入に預金を5,000万円使ったので、預金の残りは5,000万円です。するとトータルの相続財産評価額は、下記になります。

2,000万円(土地)+5,000万円(預金)=7,000万円

トータルの相続財産評価額が大きく減額されることで、相続税が大きく圧縮できます。

4-4-3.注意点、デメリットなど

小規模宅地等の特例が適用できる要件を満たしていないと特例が適用できません。

小規模宅地等の特例は、適用できる土地が3種類(居住用、事業用、賃貸事業用)あり、それぞれ適用要件が異なります。

また適用できる相続人も、原則として同居親族とされていますが、例外規定もあるなど、全体的にはかなり複雑な制度です。要件は十分に確認しておく必要があります。

くわしくは以下の記事を参照ください。

(参考)土地を相続するとき、必ずチェックすべき小規模宅地等の特例とは?

4-5.500㎡以上の土地(三大都市圏)は地積規模の大きな宅地の評価で大幅減額

広大な土地は利用方法が限定されるため、資産価値が下がることを加味して相続税評価額を計算することとされています。

4-5-1.対策方法

三大都市圏で、面積が500平米以上ある宅地、三大都市圏以外で1,000平米以上の宅地で、一定の要件に該当する場合には、「地積規模の大きな宅地の評価」という評価方法の適用が可能になります。具体的には下記のような計算になります。

(1) 路線価地域に所在する場合

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

(国税庁Webサイトより引用 No.4609 地積規模の大きな宅地の評価

(2) 倍率地域に所在する場合

下記①②のどちらか。

①その宅地の固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した価額
②その宅地が標準的な間口距離および奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額に、普通住宅地区の奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額

なお、その土地が次の1から4に該当しないことが条件となります

  1. 市街化調整区域内の土地
  2. 工業専用地域に指定されている地域内の土地
  3. 指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域内の土地
  4. 財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地

4-5-2.効果、特徴

地積規模の大きな宅地の評価は、面積が広くなればなるほど評価が低くなる計算式になっており、最大で相続税評価額が約20%以上も減額されます。

4-5-3.注意点、デメリットなど

宅地の評価単位は基本的に、利用の単位となっている1画地ごとに評価します(財産評価基本通達7-2)。

ただし、土地を分割して相続する場合には分割後の土地を1画地として評価するため、「地積規模の大きな宅地の評価」の適用を受けたい場合には、分割後の土地面積に注意しましょう。

4-6.不動産を活用した相続税対策の注意点

ここまで、不動産を活用した相続税対策を解説してきました。

不動産を活用した相続税対策の特徴は、投資額も、節税効果も、どちらも大きくなる点です。相続税の節税も重要ではありますが、相続後も残る不動産の資産価値や賃貸不動産の事業価値にも目を向けておくことがより重要になります。

また、不動産による相続税対策は節税効果が非常に大きいことから、いわゆる「租税回避行為」と紙一重な面がある点に注意しなければなりません。

大きく節税している分、税務署に否認された場合の追徴課税も大きくなります。節税のみを追求した過度な対策は、税務当局から否認を受けるリスクもある点も、十分に注意しましょう。

いずれにしても、不動産を活用した相続税対策を検討する場合は、相続税にくわしい税理士などの専門家へ相談しておくことが望ましいでしょう。

4-7.【動画で解説!】アフターコロナでどうなる!?節税対策と不動産

新型コロナウイルス感染症は、不動産にも大きな影響を与えました。地価は全国的に下落し、特にインバウンド効果が大きかった観光地の地価の下落は著しいものがありました。しかし、令和4年7月に発表された路線価では前年比で上昇したエリアが多数あり、全国的に回復傾向にあります。

アフターコロナに入った令和4年、そしてこれからの相続税対策と不動産について、税理士法人チェスターの代表社員である荒巻が動画で解説します。

5.会社設立による相続税対策

株式会社や合同会社などの法人を設立し、法人を通した資産の流れを作ることで、相続により財産を承継するよりも、低い税率で資産の移転が可能にできることがあります。

ここでは、被相続人の資産の管理を目的とする会社(資産管理会社)を設立し、収益不動産を会社に移転させる方法を紹介します。

5-1.対策方法

収益不動産は、保有している間、賃貸収入が入り被相続人の相続財産を増加させ続けます。そこで、会社を設立し、収益不動産の名義を会社名義に変更します。そして家族を社員とします。

会社には賃貸収入が入るようになるので、その収益で家族へ給与を支払います。そうすると、収益不動産から得られた収益を相続財産としてではなく、給与として家族に移転できます。

被相続人は株主になりますが、取締役となることもできます(家族を取締役にすることもできます)。取締役になれば、役員報酬を受け取ることもできます。

その後、被相続人が死亡すると、収益不動産ではなく資産管理会社の株式が相続財産になります。

5-2.効果、特徴

資産管理会社を設立することによって、次のような効果があります。

  • 不動産の相続税評価額より、株式の相続税評価額のほうが低くなり、相続財産を圧縮できる。
  • 個人の所得が高額な場合、個人の所得税よりも、法人税の税率のほうが低くなる(個人の所得が低い場合は、法人税のほうが高くなる場合があります)
  • 賃貸収入による相続財産の増大を防ぐことができる
  • 賃貸収入を給与の支払いによって家族に分散できる。その際、給与所得控除が利用できるため、課税額が減らせる
  • 被相続人を取締役として、死亡退職金を設定すれば、死亡退職金の非課税枠を活用できる(非課税枠についてくわしくは後述します)

5-3.デメリット、注意点など

法人の設立と運営には、様々な手続きが必要であり、費用もかかります。また個人事業形態よりも経理や申告などの事務作業が煩雑となり、税理士費用なども必要になります。

相続を察してから駆け込みでの相続税対策を防止するために、取得後3年以内の不動産については、会社の純資産価額を計算する際には、相続税評価額ではなく通常の取引価額で評価しなければなりません。不動産の時価と相続時評価額の差額を利用した節税メリットは少なくなってしまいます。

会社設立による相続対策は、いずれにしてもかなり複雑なスキームとなるので、課税上のメリットを含めて税理士への相談は必須です。

6.その他の相続税対策

これまでに説明してきた「生前贈与」「不動産」「生命保険」「会社設立」は、メジャーで効果の大きい、いわば「王道」ともいえる相続税対策です。ここからは、それ以外のやや細かい対策や、適用できる場合が限定される対策について解説していきます。

6-1.お墓や仏壇を生前に購入

原則的に、被相続人に帰属していたすべての財産や権利は相続税の課税対象になります。しかし、例外的に、相続税の課税対象にならない「非課税財産」があります。その代表が、お墓や仏壇、仏具などです。

相続税法第12条には、「墓所、霊廟および祭具並びにこれらに準ずるもの」は相続税の課税価格に参入しないと規定されています。

6-1-1.対策方法

お墓や仏具など、相続発生後に必要となる祭祀に関するものを、相続前に購入し、支払いを済ませておきます。

6-1-2.効果、特徴

例えば、生前に300万円のお墓を購入します。すると、現金300万円が減り、お墓という財産300万円が増えることになりますが、お墓は相続税の課税対象にならないため、相続財産300万円分にかかる相続税を節税することができます。

6-1-3.注意点、デメリットなど

名目的には、仏具などであっても、骨董価値があるものや商品として所有しているような財産は課税対象になります。例えば、純金の仏像を購入し、相続後に売却するケースなどは課税対象となります。

通常であれば、お墓などを第三者に売却することは想定できないことから、「売却することができるか否か」がひとつの判断基準になります。

また、都市部では墓所も高額になるので、ローンで購入される場合もあるでしょう。相続税の計算には正味の遺産総額を計算する際に、遺産総額から借入金や未払金などのマイナスの財産を差し引く債務控除がありますが、非課税財産を購入するためのローンについては対象になりません。

6-2.死亡退職金の非課税枠

先に、生命保険金の非課税枠について説明しました。それと似ているのが、死亡退職金に対する非課税枠です。

死亡退職金とは、会社で働いていた(役員、従業員)本人の死亡を契機として、遺族に支払われる退職金です。

これは、民法上の相続財産ではありませんが、相続人が受け取る生命保険金と同様に「みなし相続財産」として、相続税法上は課税対象とされます。そして、生命保険金の場合と同様に、法定相続人1人つき、500万円の非課税枠が設定されています。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

6-2-1.対策方法

死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は相続財産とみなされ、相続税の課税対象として非課税枠の適用があります。非課税枠は、下記の通りです。

500万円×法定相続人の数

ご自身が会社経営者の場合、死亡退職金は、ある程度自由に設定することができます。非課税枠を意識して決定すると良いでしょう。ただし、同業他社の水準などからかけ離れた多額の退職金は、過大退職金として、会社の損金に算入できなくなる恐れがあるので、その点は留意しましょう。

従業員、一般の役員の場合は、死亡退職金は勤め先の会社によって規定されているため、受取人側がどうこうできるものではありませんが、万が一に備えて、会社の退職金規定で死亡退職金の金額を調べておきましょう。

6-2-2.効果、特徴

具体例で計算してみましょう。

  • 被相続人:父
  • 死亡退職金:2,500万円
  • 死亡退職金受取人:母
  • 法定相続人:母、子3人

この場合の死亡退職金の非課税枠は2,000万円(500万円×4人)です。死亡退職金のうち500万円(死亡退職金2,500万円-非課税枠2,000万円)が、相続税の課税対象になります。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

6-2-3.注意点、デメリットなど

死亡退職金の非課税枠は、受取人が相続人の場合のみ、適用されます。例えば、子の配偶者や孫などは相続人ではないので、これらの人が受け取ると、非課税枠は適用されません。

また、死亡後3年以降に支給が確定した死亡退職金については、一時所得として所得税の課税対象になり、相続税の非課税枠は無関係になります。その際、「支給日」ではなく、「支給が確定した日」が基準になる点にも注意してださい。

なお、いわゆる「お悔やみ」として会社が遺族に支払う「弔慰金」は、死亡退職金とは異なる性質のものであり、課税関係も別の扱いになるので、混同しないように注意してください。

6-3.養子縁組を活用した相続税対策

法定相続人の数が増えることにより、

  • 相続税の基礎控除額の計算
  • 生命保険金、死亡退職金の非課税枠の計算
  • 相続税の税額算出の計算

に影響を与えます。

そこで養子縁組を利用して法定相続人の数を増やして相続税対策をしようというのがこの方法です。

養子は、民法上は、実子(嫡出子)と変わらず、法定相続人になり、養子にできる人数にも制限はありません。

しかし、相続税法上は、法定相続人として計算することができる養子の数に制限があります。これは養子を無制限に法定相続人として認めてしまうと、課税逃れにつながるためです。ただしこれは「普通養子」の場合です。養子縁組には下記の2種類の形態があり、「特別養子」は、相続税法上も法定相続人として算入できる数に制限はありません。

普通養子縁組 実親(産みの親)との法律上の親子関係が継続する(養子になった人は、養子先の親と実親の、両方の子になります)
特別養子縁組 実親(産みの親)との法律上の親子関係が消滅する(養子になった人は、養子先の親のみの子となります)

6-3-1.対策方法

相続開始までに養子縁組をおこないます。

6-3-2.効果、特徴

相続税の基礎控除額、生命保険金と死亡退職金の非課税枠は、次の算式で計算されます。

●基礎控除額
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

●非課税枠
500万円×法定相続人の数

よって、養子縁組をして法定相続人が1人増えると、基礎控除額が600万円、非課税枠が生命保険金と死亡退職金それぞれに500万円ずつ増えるということになり、最大で相続税がかかる相続財産を1,600万円減らすことができます。

また、相続税の計算では、遺産総額から基礎控除を引いた課税遺産総額を、法定相続人が法定相続分に応じて取得したとみなして、それぞれの取得金額に相続税率を乗じ、各相続人の相続税額を算出します。その際の税率が、取得金額が高ければ税率が高くなる超過累進税率であるため、法定相続人が増えることで、相続人各人の取得金額が少なくなると、適用される税率が低くなる場合があります。すると、結果として相続税額が下がることになります。

6-3-3.注意点、デメリットなど

民法においては、養子縁組の人数制限は設けられていません。しかし、相続税法においては養子縁組を増やすことによる租税回避行為を防止するため、法定相続人の数に含めることができる養子の人数に制限が設けられています(相続税法第15条)。

普通養子については、

  • 実子がいる場合は、1人まで
  • 実子がいない場合は、2人まで

が、相続税法上は、法定相続人としてカウントできる数になります。つまり実子が1人いる人が、普通養子を2名設けても、基礎控除の計算などを増加させることができるのは、1名分のみということです。

ただし、特別養子については、上記の人数制限はありません。

また、連れ子養子(再婚した配偶者と前の配偶者との間に生まれた子を、再婚後に養子にした場合)も、人数制限はありません。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!
◆6-3-3-1.争続には十分注意が必要

養子縁組をして法定相続人が増えれば、実子などのもともといた相続人の相続分が減ることになります。後から養子になった人に、「財産を取られた」と感じる実子も出てくるかもしれません。

安易な養子縁組は、相続税は減らすことができても“争続”のタネになることがある点にもご注意ください。

6-4.1世代飛ばした財産承継で課税機会を減らす

相続は通常、「親→子→孫」と続いていきます。同じ相続財産に対して、「親→子」の相続時と、「子→孫」の相続時とで、2回相続税が課税されることになります。

そこで、相続財産の一部または全部を、親から孫へと直接承継させれば、課税される機会を1回減らせるというのが、この対策の考え方です。

6-4-1.対策方法

孫に直接財産を移転するには、生前贈与で孫に贈与する方法、遺言書による指定で孫に遺贈をする方法、また、孫を普通養子にして、相続人にして相続させる方法などがあります。

孫養子にする方法では、1世代飛ばした財産承継ができる上に、法定相続人の数も増えるため、上で解説した養子縁組による相続税対策も同時に実現できます。

6-4-2.効果、特徴

相続税の課税機会が1回減ることになります。どれくらいの節税効果があるのかは、どのような方法を採るか、また、財産のうちどれくらいを孫に承継させるのかによって異なります。

6-4-3.注意点、デメリットなど

相続税には、相続人ではない人が遺贈などにより遺産を承継した場合、相続税額が2割加算されて計算される規定があります。相続人ではない孫に遺贈する場合も、この規定が適用されます。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

なお、孫を養子にした場合には1親等の血族になりますが、相続税計算においては例外として2割加算の対象となるという規定があるので、注意しましょう(代襲相続の場合を除く)。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

また、特定の孫に財産を承継させることにより、他の相続人に不満が生じる可能性もあります。安易な対策で“争続”を引き起こさないよう注意しましょう。

6-5.財産の寄附(遺贈)により非課税となる特例

相続により財産を承継した相続人が、その相続財産を、相続税申告期限までに国や地方公共団体などに寄附した場合には、寄附した相続財産は相続税の課税対象になりません。

6-5-1.対策方法

相続税の申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)までに、寄附先として認められている次の団体または組織へ、相続財産をそのままの形で寄附します。そのままの形とは、例えば絵画であれば絵画をそのまま寄附するということです。

  1. 国や地方公共団体
  2. 公益を目的とする事業をおこなう特定の法人または認定非営利活動法人(認定NliO法人)
  3. 特定の公益信託の信託財産とするために支出

6-5-2.効果、特徴

寄附した相続財産には、相続税がかかりません。例えば、3億円の相続財産のうち、1億円を寄附すれば、相続税の課税対象が2億円になります。

6-5-3.注意点、デメリットなど

特例の適用対象になる寄附先は詳細に規定されています。寄附した後に対象外だったということがないように、事前に寄附先や税務署、税理士などによく確認しておきましょう。

また、本特例は相続人が寄附をしたものが対象です。被相続人が生前に寄附をした場合は、被相続人において、所得税の寄附金控除の対象になります。

6-6.自宅のリフォームや建物修繕による相続税対策

被相続人が、生前に自宅のリフォームや大規模な修繕などを実施してその費用を支払えば、その分相続財産を減らすことができます。

また、現金で費用を支払うのではなく、リフォームローンを利用した場合も同様に、相続時に借入金というマイナスの相続財産が存在することになるため、相続財産を減らす効果があります。

6-6-1.対策方法

相続開始までに自宅のリフォームや修繕をおこないます。現金で支払っても、借入金で支払っても効果はほぼ同じですが、借入金のほうが利息や手数料が発生するため、より多く相続財産を減らせます。

6-6-2.効果、特徴

リフォームや修繕にかかった費用で相続財産を減らすことができるため、その分、相続税課税額が減ります。

一方、リフォームや修繕がすでに施されており、相続後に修繕などの追加費用がすぐには不要な住宅を相続人が相続をすることができます。すると、相続人が自ら居住するにしても、賃貸にするにしても、相続後すぐに有効利用することができます。実質的には、工事費用を生前贈与するのと同様の効果があります。

6-6-3.注意点、デメリットなど

自宅の床面積が増える増築や、自宅の価値が上がるリフォームをおこなった場合には、固定資産税評価額が増えることにより、相続税評価額も上昇します。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

一方、雨漏りの修繕や外壁の補修などは、価値を増やすものではない「通常の修繕」とされ、相続税評価額に加味させる必要はありません。

そのリフォームや修繕が、住宅の資本的な価値を増やすものなのか、「通常の修繕」なのかの線引きは意外と難しいので、迷った場合は、税理士などの専門家の判断を仰いだほうがいいでしょう。

6-7.究極の対策? 海外に永住すれば日本の税金は無関係に

相続税は原則として日本国内にある相続財産に対してかかります。相続税がかからない、もしくは相続税率が低いタックスヘイブン(租税回避地、国)に移住して、資産を移転する方法です。

ただ、単純にタックスヘイブン国に相続財産を移転させるだけでは相続税対策になりません。次の要件を満たす必要があるため注意しましょう。

  • 国籍が海外にある
  • 被相続人と相続人の両者が10年以上海外に住んでいる(その間、日本に一度も住所を有していない)
  • 相続財産が海外にある

6-7-1.対策方法

相続税が非課税の国として、以下のような国があります。

  • シンガポール
  • マレーシア
  • オーストラリア
  • カナダ
  • 香港

など

例えば、シンガポールの国籍を取得し、相続人と共に10年以上居住し続け、相続財産のすべてを移せば、相続税は課税されません。

6-7-2.効果、特徴

相続税がない国に、一家で移住して、その国の国籍を取得し、財産もすべて移転させて、どれだけ高額な相続になったとしても相続税は0ということになります。

6-7-3.注意点、デメリットなど

非常に大掛かりな対策であり、多額の費用も必要です。資産が相当かなり多額な人でなければ困難な方法でしょう。

7.相続税の7つの控除、その他、知っておきたい知識

相続税には、特定の人や特定の場合に適用できる「税額控除」の規定があります。

税額控除とは、相続税額から直接差し引ける控除であるため、適用できれば、大幅な節税につながります。

相続税の控除は、要件にあてはまる人なら誰でも適用でき、事前の準備などは特に必要ありません。自分に適用できるものがないかを確認しておきましょう。

7-1.配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減は、被相続人の配偶者が相続する場合に適用される制度で、次の金額のいずれか多いほうの金額にかかる相続税を控除することができます。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分※

※法定相続分とは、相続人が複数いる場合に、法定相続によってそれぞれの相続人に相続されることになる相続財産の割合をいい(民法887条889条890条 )、配偶者の法定相続分は、他の相続人との関係性によって次の通り変動します。

被相続人の相続財産形成に配偶者も貢献していること、残される配偶者の相続後の生活への配慮から設けられている制度であることから、大きな控除額が設けられています。

なお、ここでいう配偶者とは、法律上の婚姻関係にある人のみで、事実婚(内縁関係)の場合には適用されません。

また、婚姻期間は要件にありません。仮に、婚姻届を出した翌日に相続が発生した場合でも、適用されるのです。事実婚関係であるなら、配偶者の病気などにより、近い将来の相続が予見されてから入籍をしても、間に合います。

参考記事:「相続税の配偶者控除で1.6億円が無税!ただし子供にデメリットも?!

7-2.未成年者控除

未成年者控除は、相続人が未成年者の場合に適用できる制度です。次の算式で計算した控除額を相続税額から差し引くことができます。未成年者は成人になるまで養育費がかかることから、それを補う趣旨で設けられている制度です。

10万円×(18歳※-相続開始日の年齢)

※令和4年3月31日以前の相続については20歳

なお、民法上は、胎児にも相続権がありますが、相続税申告までに生まれていない場合は、いないものとして相続税計算をおこないます。そして、出産後に、相続人として加えられ、相続税の修正申告をおこなうことができます。その際にも、未成年者控除の適用を受けることができます。

7-3.障害者控除

相続人が障害者の場合に受けられるのが、障害者控除です。障害者は生活費や医療費などが健常者よりも多く必要であることから設けられている制度です。

控除額は障害の程度によって2種類に分けられています。

●一般障害者
10万円×(85歳-相続開始日の年齢)×10万円

●特別障害者
20万円×(85歳-相続開始日の年齢)×20万円

一般障害者と特別障害者は、障害の症状や程度によって次の通り区分されています。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

(参考):「知っておきたい相続税の障害者控除のすべて~要件・控除額・対象者等を解説~

7-4.相次相続控除

相次相続(そうじそうぞく)控除とは、10年以内に連続して相続が発生した場合に、相続開始前10年間のうちに被相続人が支払った相続税のうち、一定額が控除できる制度です。

相続が続けて発生すると、短期間のうちに同じ相続財産に対して相続税が二重にかかることになります。相次相続控除によって、相続税負担が過重になることを軽減します。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

相次相続控除の計算方法は次の通りです。

【相続税対策22選+7つの控除】注意点・節税効果を税理士が解説!

計算式は、1次相続において2次相続(今回)の被相続人が納税した相続税額をベースに計算するようになっており、1年につき10%減額した金額が2次相続で相次相続控除として相続税額から差し引かれます。

1次相続から2次相続までの期間が短いほど控除額が大きくなるということです。

(参考):「「相次相続控除」10年以内に連続で相続が発生した人必見!

7-5.贈与税額控除

相続開始前3年以内に被相続人から受けた贈与額を相続財産に加算させる「生前贈与加算」が適用された場合に、その対象となった生前贈与のとき納めていた贈与税があった場合には、贈与税額控除によって相続税から控除します。

贈与税と相続税の二重課税が起こらないようにするための措置です。

7-6.外国税額控除

外国税額控除とは、相続財産が海外にあり、海外での相続税がかかった場合において、日本の相続税から海外の相続税を控除する制度です。相続税が、日本と海外で二重にかかることを防ぐ目的で設けられています。

外国税額控除は、次のいずれか少ないほうの金額になります。

  • 海外で支払った相続税
  • 相続税額×海外にある財産額/相続人の相続財産額

(参考):「相続税の外国税額控除を知って相続税の二重払いを回避

7-7.相続時精算課税制度贈与税額の控除

被相続人からの相続時精算課税制度を適用した贈与を受け、贈与税を支払っていた場合には、その贈与税額を相続税額から控除できます。上で解説した贈与税額控除と同じく、二重課税を防止するために設けられている税額控除です。

(参考):「相続時精算課税制度とは?必要書類・手続きなどをわかりやすく解説!

7-8.その他、知っておきたい知識

その他、相続税の控除について知っておきたい知識は、下記の記事を参照してください。

(参考):「相続税対策で節税バッチリ!?知って得する11の特例と7つの控除 ほか

8.まとめ:ご自身の状況にマッチした相続税対策を知ろう

相続税対策は、ご自身やご家族の状況に合った方法を見つけることが重要です。そこで、どんな相続税対策があるのか、その全体像を把握していただくために、今回は、25選もの相続税対策を一挙に解説しました。

ただし、多くの対策を紹介しているために、各対策の特に重要なポイントに絞って紹介しています。もし、ご自身の状況と照らして使えそうな、あるいは気になる相続税対策があれば、各テーマの詳細解説をしている記事を参照してください。

9.相続税対策はチェスターへ

税理士法人チェスターは、相続税対策に特化した業界トップクラスの実績を誇る専門家集団です。どれだけ高度で複雑な事案であっても全力でご対応させていただきます。相続税対策を思い立ったら、まずは税理士法人チェスターへご相談ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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