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相続における寄与分とは?認められる要件・計算方法を解説【判例付き】

相続における寄与分とは?認められる要件・計算方法を解説【判例付き】

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献する、特別な寄与行為を行った法定相続人(寄与者)の相続分を増額できる制度のことです。

寄与分として認められるためには満たすべき5つの要件があり、自ら遺産分割協議で主張する必要があります。

ただし、寄与分を認めた法定相続人は、自己の相続分が減るため、遺産分割トラブルに発展して家庭裁判所の調停や審判に移行するケースもあります。

この記事では、寄与分が認められる要件はもちろん、過去の判例を基に具体的にどのようなケースなら寄与分が認められるのかをご紹介します。

寄与分の請求方法や有力となる証拠、具体的な計算方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次 [表示]

1.相続における寄与分とは?

相続における寄与分(読み方:きよぶん)とは、被相続人の財産の維持や増加について、特別の寄与をした相続人(寄与者)に対して認められる「相続分の増額」のことです民法904条の2)。

被相続人の相続が開始した場合、遺言書がない限り、法定相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

この遺産分割協議では、民法で定められた「法定相続分」を目安として、誰が・何を・どれだけ取得するのかを決めます(法定相続分の通りに遺産分割する義務はありません)。

遺産分割協議

しかし、被相続人と同居をして無償で長年介護をしていた相続人や、事業を手伝っていた相続人が、何の貢献もしていない他の相続人と同じ相続分というのは不公平です

そこで、被相続人に特別の寄与行為をした相続人は、遺産分割協議において寄与分を主張し、それが認められれば自己の相続分を増やすことができます。これが寄与分です。

寄与分

寄与分を主張すると、他の相続人の相続分が減ることとなるため、遺産相続トラブルに発展することも多々あります。

そのため、寄与分を主張する際には、寄与行為があったことを証明する証拠を準備した上で、具体的な寄与分を計算しておくことが大切です。

1-1.【民法改正】寄与分を主張できる時効が定められた

寄与分を主張した場合、他の共同相続人の相続分が減ることとなるため、断固として寄与分を認めない人もいます。

共同相続人の誰か1人でも遺産分割協議に合意しなければ、遺産未分割のまま、時間だけが過ぎてしまいます。

しかし民法改正により、令和5年4月1日以降は、具体的相続分(寄与分の主張)による遺産分割ができる期限(時効)は、「相続開始から10年経過後」と定められました(民法第904条の3)。

しかし、時効成立前に家庭裁判所に遺産分割請求をした場合は、引き続き寄与分の主張が可能となります。

時効成立が近い場合は、なるべく早い段階で弁護士に相談をし、遺産分割調停の申立てを行いましょう。

詳しくは「相続開始から10年経過後の遺産未分割の取扱い~民法改正による見直しが施行~」をご覧ください。

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2.寄与分が認められる5つの要件

寄与分が認められるためには、以下の5つの要件をすべて満たしている必要があります。

この章で、上記5つの要件の詳細を確認していきましょう。

2-1.共同相続人であること

寄与分が認められる1つ目の要件は、共同相続人であることです

共同相続人とは、複数の相続人がいる遺産相続において、遺産分割協議が終わるまでの法定相続人全員のことを指します。

共同相続人

法定相続人は家族構成によって異なり、それぞれの法定相続分も変動するため、必ず誰が法定相続人になるのかを確認しておきましょう。

法定相続人について、詳しくは「法定相続人の範囲を図解で解説!相続割合・複雑なケースも紹介」をご覧ください。

2-2.被相続人の財産の維持または増加に貢献したこと

寄与分が認められる2つ目の要件は、被相続人の財産の維持または増加に貢献したことです

民法第904条の2では「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法」とされていますが、実務では以下の5つに分類されます。

  • 家事従事型(被相続人の事業の手伝いを行っていた)
  • 金銭等出資型(被相続人に資金や不動産の援助を行っていた)
  • 医療看護型(被相続人の介護を行っていた)
  • 扶養型(被相続人の生活費等を援助していた)
  • 財産管理型(被相続人所有の財産の管理を行っていた)

次章で判例などを元に、判定ポイントを詳しく解説します。

2-3.通常期待される程度を超える「特別」な寄与行為であること

寄与分が認められる3つ目の要件は、通常期待される程度を超える「特別」な寄与行為であることです

民法では以下のように親族の義務が定められており、この「義務の範囲内」とみなされる行為は、特別な寄与行為には該当しません。

  • 直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない(民法730条
  • 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法752条
  • 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある(民法877条

特別な寄与行為であるか否かは、原則として共同相続人間での話合いによって決めます。

どうしても決められない場合は、遺産分割調停・審判で決められることとなります。

2-4.無償で寄与行為をしたこと

寄与分が認められる4つ目の要件は、無償で寄与行為をしたことです

生活費・報酬・給与などを受け取っていた場合は、寄与行為とは認められません。

ただし、「受け取っていた金額」と「第三者に対して支払われる金額」に大きな乖離がある場合などは、無償に近い行為として認められることもあります。

2-5.一定の期間以上継続して貢献したこと

寄与分が認められる5つ目の要件は、一定期間以上継続して被相続人に貢献したことです

民法において「○年以上継続すること」といった定めはなく、継続性は個々の事情によって異なります。

しかし、実務においては3年以上特別な寄与行為をしている場合に、継続性があるとみなされることが多いです。

「入院期間だけ被相続人の世話をした」「ヘルパーが不在の1週間だけ被相続人の介護をした」といったケースは、寄与分が認められません。

3.相続の寄与分における5つの寄与行為【具体例・判例付き】

相続において寄与分が認められるためには、前章でご紹介した要件をすべて満たす必要があります。

しかし、実際にどの程度の寄与行為であれば、寄与分が認められるのかイメージできないかと思います

この章では、過去の判例などを元に、相続の寄与分が認められる具体例についてご紹介します。

3-1.家事従事型

相続において寄与分が認められるのは、家事従事型の寄与行為を行った場合です

ここでいう家事とは、掃除や洗濯など身の回りの世話のことではなく、農業・漁業・飲食店・開業医といった家業のことを指します。

過去の判例では、家事従事型の寄与行為について、以下のような決定がなされています。

家事従事型の寄与分が認められた判例
相続人は、単に夫婦間の協力扶助義務に基づいて家事や育児等に従事しただけでなく、約46年間、主体となって家業である農業に従事したため、相続財産の大部分を占める農地の取得・維持について、家事従事型の寄与分が認められました(福岡高等裁判所昭和52年6月21日判決)。
家事従事型の寄与分が認められなかった判例
相続人は低額の給与で被相続人が経営していた郵便局に務めていたため、被相続人の財産形成に対する特別の寄与に該当すると主張したものの、被相続人が当該相続人の食費や家賃等も支出していたことなどから、家事従事型の寄与分は認められませんでした(札幌高等裁判所平成27年7月28日判決)。

上記の判例から分かる通り、家事従事型の寄与分が認められるためには、財産維持や増加・特別・無償・継続などのポイントを、総合的に満たすことが大切といえます。

3-2.金銭等出資型

相続において寄与分が認められるのは、金銭等出資型の寄与行為を行った場合です。

例えば…

  • 被相続人の不動産に関する資金の援助をしていた
  • 被相続人の借金返済を肩代わりした

不動産に関する資金援助とは、被相続人名義の不動産購入時の頭金や、新築・リフォーム費用の援助が該当します。

金銭等出資型の寄与分が認められた判例
相続財産である宅地と居宅は被相続人名義であるものの、資金の90.6%相当は配偶者の収入から出資されていたため、配偶者の出資に対する金銭等出資型の寄与分が認められました(和歌山家庭裁判所昭和59年1月25日判決)。

なお、被相続人が経営している会社への資金援助は、寄与になりません。また、同じリフォーム費用であっても、会社が所有しているマンションのリフォーム費用は対象外です。

3-3.療養介護型

相続において寄与分が認められるのは、療養介護型の寄与行為を行った場合です

以下は、寄与分が「認められた期間」と「認められなかった期間」が明白化された判例ですので、参考にしてください。

療養看護型の寄与分が認められた事例
相続人は被相続人の隣家に住んでおり、平成元年から被相続人の日常的な世話をしていました。平成14年に被相続人の認知症の症状が顕著になり、相続人は3度の食事をとらせて排泄の介助などもするなど、相続開始までの約3年間献身的に介護をしました。
大阪家庭裁判所は、平成元年から平成14年までの期間は扶養義務の範囲内であるとし、特別の寄与とはいえないと判断をしました。しかし、被相続人が認知症を発症してから行った約3年間の介護については、療養介護型の寄与分であると認められました(大阪家庭裁判所 平成19年2月8日審判)。

高齢や病気で介護が必要になった家族の面倒を見るのは、扶養義務の範囲内です。

そのため、日常生活の中で食事の世話をしたり、入院先へお見舞いに行ったりする程度では、寄与分は認められません。

長年無償でつきっきりの看護や介護に従事していた場合は、療養看護型の寄与分が認められる可能性があります。

3-4.扶養型

相続において寄与分が認められるのは、扶養型の寄与行為を行った場合です

血縁関係であれば扶養義務があるため、通常の範囲内であれば扶養していたとしても寄与分が認められることはありません。例えば、同居している・食事を作っているというだけでは、扶養の範囲内です。

しかし、被相続人が暮らしを維持するのに必要な金銭を継続的に渡していたなら、寄与分と認められる可能性が高いでしょう。

扶養型の寄与分が認められた事例
相続人は約15年間、自己の給与全額を被相続人の家計に入れ、被相続人が管理をしていました。なお、他の相続人はそれぞれの収入を被相続人の家計に入れていませんでした。東京高等裁判所は、相続人が受け取っていた小遣いや食費等の出費を考慮した上で、扶養型の寄与分であると認めました(東京高等裁判所平成22年9月13日判決)。

3-5.財産管理型

相続において寄与分が認められるのは、財産管理型の寄与行為を行った場合です

財産管理型の寄与分とは、相続人が被相続人の財産を管理することを指します。

代表的なのは、被相続人が所有している賃貸不動産の管理が挙げられますが、単に共用部分の掃除をしたという程度だけでは寄与分の対象外です。

賃借人とのやり取りや、不動産売却のサポートなども担っている必要があります。加えて、これらを相続人が無償で担当することで財産の維持や増加に貢献していれば、寄与分を主張して差し支えないでしょう。

財産管理型の寄与分が認められた事例
被相続人の土地を売却するにあたり、相続人は借家人との立退き交渉や家屋の取り壊し、土地の売買契約締結などを尽力しました。長崎家庭裁判所は、売却等に努力した事実に基づき、財産管理型の寄与分を認めました(長崎家庭裁判所諫早出張所昭和62年9月1日審判)。

4.相続において寄与分を主張する方法

相続における寄与分は、自ら主張しなくてはなりません。具体的には、以下の流れで寄与分の主張を行います

仮に自ら主張しなかった場合は、特別な寄与行為を行っていたとしても、相続分の増額はありませんのでご注意ください。

調停や審判について、詳しくは「遺産相続トラブルを裁判で解決!調停・審判の流れをわかりやすく解説」でも解説しております。

4-1.まずは遺産分割協議で寄与分を主張する

被相続人の介護や事業への貢献に対する寄与分を認めてもらいたいなら、まずは遺産分割協議で寄与分を主張しましょう

どのような特別な寄与行為(貢献)を、どのくらいの期間続けてきたのか、正確に伝えるのがポイントです。

口頭で主張するのではなく、証拠を提示して事実関係を提示するとなお良いでしょう。

遺産分割協議

法的には寄与分に当てはまらない内容でも、相続人間の合意があれば、寄与分として認められるかもしれません。

共同相続人が合意した内容は、遺産分割協議書に記載しておけば、将来的な相続トラブル回避に役立ちます。

寄与分をプラスした遺産を引き継ぐことと、今後寄与行為について財産上の請求をしないことを含め、必ず遺産分割協議書を作成しておきましょう。

詳しくは「【ひな型付】遺産分割協議書の書き方とは?基礎から応用まで詳しく解説」をご覧ください。

4-2.遺産分割調停で寄与分を主張する

他の共同相続人が寄与分の主張を認めない場合は、遺産分割調停(寄与分を定める処分調停)で寄与分の主張をすることとなります

調停では、裁判官や調停委員に当事者全員が事情を話し、証拠となる資料などを提出します。

そして裁判官や調停委員は解決策を提案し、解決するためのアドバイスをしてくれます。

遺産分割調停で寄与分を主張する

遺産分割調停に当事者全員が合意した場合は、調停調書に従って遺産分割がなされます。不成立の場合は、遺産分割に係る紛争である、審判に移行することとなります。

詳しくは、裁判所「寄与分を定める処分調停」をご覧ください。

4-3.調停不成立の場合は審判手続きに移行する

遺産分割調停が不成立の場合は、審判手続きに移行します

審判では、家庭裁判所の調査官が行った調査結果や、証拠となる書類を基に、法定で裁判官が判断を下すことで解決を図ります。

審判手続き

審判が成立したら、審判に従って遺産分割がなされます。希望と異なる審判・判決を下されて、その内容に不服があれば即時抗告を行う必要があります。

5.相続において寄与分を主張する場合は証拠となる書類の準備を

寄与分を主張するときには、確かに特別な寄与行為をしたことの証拠となる書類の準備が欠かせません

単に口頭で主張しただけでは受け入れてもらえない可能性もありますし、家庭裁判所に調停や審判を申し立てるときにも証拠になります。

なお、遺産分割協議が終わった後では、寄与分の主張ができないため、早めに準備しておくと役立ちます。

5-1.【家事従事型】確定申告書などを証拠にする

家事従事型の寄与分を主張する際には、無償性・継続性・専従性・特別な貢献を示す証拠が必要です

証拠になる代表的な書類は、下記の通りです。

  • 寄与者の確定申告書や給与明細書
  • 寄与者の預金通帳
  • 寄与者の日記
  • 寄与者の業務日報やタイムカード
  • 被相続人の確定申告書
  • 被相続人の預金通帳
  • 家業の税務申告書や会計帳簿など

挙げた書類を全て揃えられないなら、代わりになるものはないか考えてみましょう。

例えば、タイムカードがなければ、取引先とやり取りしたメールでも参考にできるはずです。

5-2.【金銭等出資型】通帳や売買契約書などを証拠にする

金銭等出資型の寄与分を主張する際には、相続人から被相続人へのお金の流れが分かる証拠が必要です

例えば、不動産購入の資金援助が確かにあったと証明するためには、下記の書類があれば良いでしょう。

  • 不動産売買契約書
  • 増改築の明細書
  • 被相続人の預金通帳
  • 寄与人の預金通帳や振込通知書
  • クレジットカードの利用明細書

ほかにも被相続人の家計簿や、被相続人が要扶養状態にあったと分かる非課税証明書などもあると役立つはずです。

5-3.【療養介護型】医療記録や介護記録などを証拠にする

療養介護型の寄与分を主張する際は、無償性・継続性・専従性・特別な貢献・介護の必要性を示す証拠が必要です

具体的には、以下のような書類を準備できれば、療養看護をした証拠として認められる可能性が高まります。

  • 被相続人の診断書
  • 被相続人の要介護認定の書類
  • ヘルパーが作った連絡ノート
  • 療養看護者が作った日記

無償で長期にわたり介護を行っていたとしても、義務の範囲内と捉えられてしまい、寄与分が認められないケースも多いです。

しかし、特別な寄与と言えるような療養看護をしていたことが、客観的に証拠となる書類を準備できれば、寄与分を認められる可能性が高まります。

5-4.【扶養型】扶養に至った事情を証明する資料や診断書を証拠にする

扶養型の寄与分を主張する場合、実際に扶養していたという証拠になる書類が必要です

  • 被相続人の預金通帳
  • 相続人の預金通帳
  • 被相続人の診断書
  • 扶養するに至った事情を説明するための資料

この他にも、仕送りをしていた場合は振込明細書、同居をして扶養をしていた場合は家計簿などがあると良いでしょう。

5-5.【財産管理型】賃貸借契約書や売買契約書などを証拠にする

財産管理型の寄与分を主張する場合、財産を管理していたという証拠になる書類が必要です

例えば、被相続人が所有する賃貸不動産を管理していた場合、以下のような書類があると良いでしょう。

  • 賃貸借契約書
  • 賃借人とのやり取りの記録
  • 預金通帳
  • カード決済の記録
  • 公租公課等の領収書
  • 修繕費などの記録

仮に被相続人所有の不動産を売却した場合は、売買契約書や交渉記録などがあると良いでしょう。

6.寄与分がある場合の相続分の計算方法

寄与分がある相続人と寄与分がない相続人のそれぞれの相続分は、以下のように計算します。

寄与分がある場合の相続分の計算方法

まず遺産総額から寄与分を差し引いた価額を、相続人それぞれの法定相続分で分割し、寄与分がある相続人には寄与分をプラスする仕組みです。

6-1.寄与分の計算方法

寄与分の計算方法は、どのような特別な寄与行為を行ったのかで計算式が変わります。

被相続人の事業に係る労務提供の場合
【家事従事型】寄与者が受け取るべき年間給与額×(1-生活控除割合)×寄与年数
【共同経営型】(通常得られる報酬+利益分配)-現実に得た報酬
被相続人への財産提供の場合
【金銭銭の贈与】贈与当時の金額×貨幣価値変動率×裁量的割合
【不動産取得のための金銭贈与】相続時の不動産価格×(寄与者の出資金額÷取得時の不動産価格)
【不動産そのものの贈与】相続開始時の不動産価格×裁量的割合
【不動産の無料貸与】相続開始時の賃料相当額×使用年数×裁量的割合
被相続人の療養介護の場合
【療養看護】介護福祉士やヘルパーの日当額×療養看護日数×裁量的割合
【費用を負担】費用負担額がそのまま寄与分

寄与分の計算式にある「裁量的割合」とは、個別の事案によって裁判所が判断する割合のことです。

様々な事情によって割合が決められますが、療養介護型の場合は0.5~0.8とされるのが一般的です。

7.相続と寄与分に係るよくある質問Q&A

相続における寄与分に係る、よくある質問をまとめました。

7-1.相続人以外の親族に寄与分はないの?

相続人以外の親族に寄与分は認められませんが、特別寄与料を請求することは可能です

特別寄与料とは、相続人以外の親族が、被相続人の財産の維持又は増加について無償で特別の寄与をした場合、その親族(以下、特別寄与者)が各法定相続人に対して、その寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払いを請求することが認められます(令和元年7月1日から施行)。

例えば、被相続人の息子の妻が、息子本人に代わって献身的な介護を無償で行っていたとします。これにより介護費用を大きく抑えられたのであれば、息子の妻が相続人に対して特別寄与料を請求できます。

詳しくは「特別寄与料とは?相続税の課税対象?要件や相場、計算方法を解説」をご覧ください。

7-2.相続人以外の人に寄与分を請求できる?

相続人以外の人に、寄与分は請求できません

相続人以外の人が遺産を取得したということは、遺言書による指定相続分による遺産分割が行われたはずです。

遺言書の内容が不公平であっても、仮に特別な寄与行為を行っていたとしても、遺言内容が優先されるため、相続人以外の人(受遺者や受遺法人)に寄与分の請求はできません。

ただし、遺留分を侵害されている場合は、遺留分侵害額請求を行うことで、自己の遺留分を取り戻すことは可能です。

詳しくは「遺留分侵害額請求とは?調停や訴訟の手続きの流れ・時効・弁護士費用を解説」をご覧ください。

7-3.寄与分と特別受益の違いは何?

寄与分と特別受益は、どちらも遺産分割協議において、相続人の相続分を調整する制度です

一番の違いは、寄与分は特定の相続人の相続分を「増額」する制度であり、特別受益は特定の相続人の相続分を「減額」する制度ということです。

どちらも相続人の相続分を公平にするための制度ですので、寄与分と特別受益の両方が考慮されるケースもあります。

詳しくは「特別受益者と特別寄与者について」をご覧ください。

7-4.寄与分の上限は?他の相続人の遺留分を侵害したらどうなる?

相続財産の内容や寄与分の金額によっては、他の法定相続人の遺留分が侵害されることも考えられます

しかし、原則として寄与分は遺留分で制限されるものではないものの、寄与分を定める際に考慮すべき一切の事情であり、遺留分侵害についても考慮しなければならないと判断されています(東京高等裁判所平成3年12月24日判決)。

この事案では「絶対に寄与分は遺留分を超えてはいけない」と判断された訳ではありませんが、実務では他の相続人の遺留分を侵害しないという取扱いです。

8.まとめ

被相続人に特別な寄与行為を行った法定相続人は、遺産分割協議において自己の寄与分を主張できます。

しかし、口頭で主張しただけでは、他の法定相続人が納得しないことも想定されます。

まずは要件を満たしているかを確認した上で、証拠となる書類を事前に準備し、具体的な寄与分や相続分を計算しておくことが大切です。

遺産分割協議で寄与分を認めてもらえない場合は、時効成立までに、家庭裁判所の遺産分割調停の申立てを行いましょう。

8-1.チェスターグループにご相談を

チェスターグループには、相続トラブルを専門に取り扱う法律事務所と連携しています。

遺産分割協議における相手方との交渉はもちろん、遺産分割調停・審判のサポートも承ります。

寄与分の主張を検討されている方は、まずはお気軽にチェスターグループまでご相談ください

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