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毎年のコツコツ贈与で財産を圧縮

暦年贈与をベースに考える

 生前贈与の計画は、暦年贈与を基本に立てていきましょう。

 暦年贈与は、手軽に、そして誰に対してもできる自由度が高い方法です。

 暦年贈与の基礎控除は110万円ですから、その枠内で贈与する便宜を考えると、贈与しやすいのはキャッシュです。財産の構成で預金の割合が大きい人は、暦年贈与が向いているといえるでしょう。

 また、今回の税制改正では相続税の基礎控除が下がりましたが、それにギリギリひっかかる人が「調整のために財産を減らしたい」というケースにも、暦年贈与が適しています。

 暦年贈与の基礎控除は、特例での贈与に比べれば小さな額です。しかし、10年行えば最大1100万円になりますし、1年間でも10人に贈ればやはり1100万円の財産が移動できます。

 よく紹介される相続対策として、「孫養子や嫁養子をとって、基礎控除の額をひきあげる」というものがありますが、それで増える基礎控除は1人あたり600万円。暦年贈与を6年間おこなっても、同じ効果を得られます。また、養子をとれば、もとからの相続人の権利が減り、相続トラブルの原因になりますが、暦年贈与にはそのリスクがありません。

暦年贈与のデメリット

 一方、暦年贈与のデメリットは、一つには、贈る額と時期を工夫しないと、課税されてしまうことです。

 毎年同じ時期に同じ金額を贈ると、税務署は「最初の年に、同じ時期に同じ金額を贈る約束をした」とみなします。その場合、「財産を受け取る権利を贈った」として、その後贈られた財産の全額に対して課税されます。

 この対策としては、贈る時期、贈る金額を年ごとに変えていくこと。それが税逃れ対策であるとわかっても、税務署にはそれを証明するすべがないので、課税はされません。

 もう一つのデメリットは、相続前3年分は相続財産に持ち戻されてしまうこと。その対策は、第一には、早く始めてその期間にかからないようにすることですが、もう一つ、税制の穴を狙う方法もあります。

 相続税制では、持ち戻しは相続人に対する規定として存在します。これはつまり、相続人以外はその規定の対象外だということ。相続人の配偶者や孫へ贈与しておけば、持ち戻されることなく、節税効果を維持できます。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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