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不当利得返還請求とは?時効や請求方法、取り戻せる金額を解説

不当利得返還請求とは?時効や請求方法、取り戻せる金額を解説

「不当利得返還請求(ふとうりとくへんかんせいきゅう)」とは、法律上の正当な理由がないにもかかわらず他人の財産などから利益を得て他人に損失を生じさせた人に対して、利益の返還を求めることです。

遺産相続においては、特定の相続人が被相続人(亡くなった人)の財産を使い込んだと思われる場合に、不当利得返還請求ができます。

この請求が認められると、使い込まれた額のうち相続人の法定相続分(民法で定められた相続人ごとの取り分)に当たる額までを取り戻せます。

今回は、不当利得返還請求の要件や取り戻せる金額、請求の流れ、財産を使い込まれたときの相続税申告などについて相続税専門の税理士が解説します。

この記事の目次 [表示]

1.不当利得返還請求の要件と取り戻せる額の上限

相続財産を残したまま亡くなった人(被相続人)が生前、寝たきりや判断能力がなかった場合、自分でお金を下ろすことはできなかったでしょう。

そんなときに、同居していた相続人が横領したり、定期的にお金を引き出して使い込んでいたりすることがあります。

このように、ほかの相続人に使い込まれてしまった被相続人の預貯金などは「不当利得」に当たる可能性があります。

〇不当利得とは

  • 法律上の原因なく他人の財産や労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼすこと。利益を受けた人(受益者)は、損失を受けた人に利益を返還する義務を負う(民法703条)

特定の相続人によって不当利得が生じたときは、民法703条に定められた「不当利得返還請求」を行えば、横領された相続財産を取り戻せることがあります。

以下では、不当利得が成立する要件、返還請求により取り戻せる金額の上限、死亡後に引き出された預貯金を遺産分割で取り戻す方法を解説します。

1-1.不当利得が成立する4つの要件

遺産を使い込んだ相続人(受益者)に対する不当利得返還請求が認められるのは、不当利得が成立する4項目の要件をすべて満たしている場合です。

各要件を相続財産の使い込みに当てはめた場合の例は、以下のとおりです。

〇不当利得が成立する4項目の要件

要件相続財産を使い込まれた場合の例
相手が利益を得ている被相続人の預貯金を無断で引き出し、自身の口座に移したり支出に充てたりしている
被相続人(死亡後はほかの相続人)に損失がある遺産を使い込んだ相続人以外の相続人の取り分が減った
利益と損失に因果関係がある被相続人の口座から特定の相続人がお金を引き出したことで、ほかの相続人の取り分が減った
利益を得たことに法律上の原因がない被相続人からの贈与や遺言など、その財産を受け取る正当な理由がない

使い込んだ相続人が話し合いで返還に応じないときは、裁判所に訴訟を起こして返還を求めることができます。

訴訟を起こす場合、裁判所に提出する訴状には、4項目の要件に該当しているといえる具体的な事実を書いて主張する必要があります(民事訴訟規則53条1項)。

相続財産を使い込まれたときの対処法について詳しくは、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

参考:相続財産を横領された場合の対処法を解説!預金は取り戻せる?

1-2.取り戻せる金額は請求する相続人の法定相続分が上限

預貯金が無断で引き出され、民法上の要件を満たす場合、口座の持ち主には引き出した人に対してお金を返すよう求める権利(不当利得返還請求権)があります。

口座の持ち主本人が亡くなると、この請求権は法定相続分(民法で決められた取り分)に応じて各相続人に分割・承継されるのが原則です(民法899条)。

そのため、取り戻せる金額は各相続人の法定相続分までとなっています。

たとえば、亡くなった父の相続人が母・長女・次男の3人であり、次男が父の生前に預貯金から2,000万円を無断で引き出していたとしましょう。

法定相続分は母が2分の1、長女と次男が4分の1ずつであるため、母と長女は不当利得返還請求によって次男から以下の金額を上限に返還を求めることができます。

  • 母が請求できる上限:2,000万円×1/2=1,000万円
  • 長女が請求できる上限:2,000万円×1/4=500万円

引き出された2,000万円から、請求できる上限の計1,500万円を差し引いた残りの500万円は、次男自身の法定相続分に当たるため、母と長女は請求できません。

なお、遺言で相続分が指定されている場合は返還してもらえる金額の上限が異なることがあります。

1-3.返還される金額が現存利益までとなる場合もある

使い込んだ相続人が、贈与されたと思い込んでいたなど、法律上の原因がないと知らなかった場合、返還の義務が生じるのは現存利益までとなります(民法703条)。

〇現存利益とは

  • 受益者が受けた利益のうち、今も手元に残っている分。受益者が本来自身で払うはずの生活費などに充てたお金も、出費を免れたとみなされて含まれる

法律上の原因がないことを知っていた場合は、原則として受けた利益の全額に利息を付けて返還しなければなりません。

返還してもなお損害が残る場合は、その損害を賠償する責任も負います(民法704条)。

1-4.死亡後に引き出された財産は遺産分割で取り戻す方法もある

被相続人が亡くなった後に預貯金が無断で引き出されている場合、返還される金額の上限は常に法定相続分となるわけではありません。

引き出しをした相続人以外の共同相続人(被相続人の財産を一緒に受け継ぐ人)の全員が同意した場合、その引き出された金額を遺産に含めて遺産分割をすることもできるためです(民法906条の2)。
※民法906条の2の規定は、令和元年(2019年)7月1日以後に開始した相続に適用されます。

たとえば、亡くなった母の遺産が預貯金2,000万円のみで、相続人は長女と次女の2人とします。法定相続分はそれぞれ2分の1ずつです。

母が亡くなった後に次女が500万円を無断で引き出し、残りの遺産が1,500万円になった場合、法定相続分にしたがった取得分は「(1,500万円+500万円)×1/2=1,000万円」です。

次女が引き出した500万円を遺産分割に含める場合は、残りの1,500万円を長女1,000万円、次女500万円と分割します。

遺産分割の方法や手続きの流れについて詳しくは、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

参考:【遺産分割とは】分割方法・割合・手続きの流れ!トラブル対処法も解説

2.相続で不当利得返還請求ができる事例

続いて、不当利得返還請求で使い込まれた遺産を取り戻せるケースをご紹介します。

なお、実際に取り戻せるかどうかは、証拠の有無や時効、相手方の財産の状況などによって変わります。返還の請求を検討している場合は、弁護士などの専門家に早めに相談しましょう。

2-1.被相続人の預貯金を無断で引き出された

不当利得返還請求の対象となる代表的な例が、相続人の1人が被相続人の預貯金を無断で引き出して使い込んでしまうケースです。

たとえば、認知症が進行して施設に入所した父の預金通帳とキャッシュカードを長女が預かり、無断で何度も預金を引き出して自分のために使っていた場合は、不当利得返還請求の対象です。

父が亡くなった後、そのことを金融機関に伝える前に、長女が父のキャッシュカードで預金を引き出して自身の口座へ移した場合も、請求の対象となりえます。

一方、死亡後の引き出しでも、相続人が「預貯金の払戻し制度」(民法909条の2)を利用し、遺産分割の前に単独で一定額まで払い戻した預貯金は、不当利得に当たりません。

相続時に預貯金を調査する流れと、預貯金の払戻し制度について詳しくは、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

参考:【相続の預金調査】何年前までするべき?調査の流れや注意点を解説
参考:相続法改正 ~預貯金の払戻し制度

2-2.不動産の賃料を独り占めされている

被相続人が第三者に貸していたアパートやマンションなどの賃料を、正当な権限や相続人同士の合意がないまま特定の相続人が独り占めして使った場合は、不当利得返還請求の対象となります。

たとえば、亡くなった母が所有していたアパートの賃料を、法定相続人の1人である長男が受け取り、無断で自分のために使っていた場合、ほかの相続人は返還を請求できます。

また、遺産分割協議で賃貸アパートを相続する人が決まっても、遺産分割協議が合意に至るまでに生じた賃料は、その人だけのものにはなりません。

最高裁判所平成17年(2005年)9月8日判決によると、相続開始から遺産分割協議が成立するまでに生じた賃料は、遺産とは別に各相続人が相続分に応じて取得するものとされます。

アパートを相続した人が、その間の賃料を1人で受け取っていた場合、ほかの相続人は自身の相続分に当たる額の返還を請求できます。

2-3.生命保険の解約や株式の売却などで財産が換金された

被相続人が加入していた生命保険を、特定の相続人が勝手に解約し、受け取った返戻金を使い込むようなケースも、ほかの相続人は返還を請求できます。

被相続人が所有していた株式や債券などの有価証券を、無断で売却・処分して現金化し、自分の懐に入れてしまうようなケースも同様です。

一方で、受取人に指定された相続人が受け取った死亡保険金については、その相続人が自由に使ったとしても不当利得に当たりません。

死亡保険金は、保険契約にもとづく受取人固有の財産であり、被相続人の財産ではないためです。

3.不当利得返還請求で取り戻すのが難しい事例

亡くなった人の財産の使い込みが疑われる場合でも、返還請求が認められるとは限りません。

使い道の分からない出金は「使途不明金」と呼ばれますが、その中には被相続人から贈与された金銭や、被相続人の生活費に充てたお金が含まれていることもあるためです。

また、請求が認められても相手方から回収できないこともあります。

ここでは、不当利得返還請求をしても財産を取り戻せない代表的な事例を見ていきましょう。

3-1.被相続人が贈与する意思を示していた

被相続人が「自分の面倒を見る代わりにお金を使ってよい」など、贈与する意思を明確に示していた場合、その範囲で引き出された預貯金は、不当利得返還請求では取り戻せません。

贈与されたお金には、受け取る正当な理由(法律上の原因)があり、不当利得には当たらないためです。

たとえば「身の回りの世話や介護をしてくれたら、亡くなった後に財産を渡す」という約束(負担付死因贈与契約)が口頭で交わされていたと裁判で認められた場合は、遺言書がなくても返還を請求できないとされています。

被相続人に十分な判断能力があり、自分の判断でお金を管理し、相手に渡していたと考えられる場合も、不当利得は成立しません。

ただし、住宅の購入資金の援助など、相続人が被相続人から「生計の資本」として受けた贈与は、特別受益に当たる場合があります。

その場合、ほかの相続人は遺産分割協議の際に、贈与された額を遺産に持ち戻したうえで各相続人の相続分を計算するよう、原則として主張できます(民法903条)。

特別受益について詳しくは、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

参考:特別受益とは?該当するケース・時効・持ち戻し免除を税理士が解説

3-2.生活費や医療費など被相続人のために支出した

引き出された預貯金が、被相続人自身の利益のために使われていた場合、社会通念上相当な範囲であれば正当な支出とみなされ、不当利得には該当しません。

被相続人自身のための支出に当たる例は、以下のとおりです。

  • 生活費(食費・衣服代・日用品費・光熱費・電話代など)
  • 医療費・入院費
  • 介護サービス費・介護用品費
  • 住居維持管理費(固定資産税・火災保険料・実家や空き家の管理費など)

被相続人から財産の管理をまとめて任されていた相続人が、被相続人の生活や介護のために必要な範囲で支出したお金も、返還を請求できません。

こうした支出は、財産の管理を任された人が負う「善管注意義務(被相続人のために注意を払って管理する義務)」に沿って発生したと考えられるためです。

領収書や帳簿などが残っていなくても、被相続人の家計簿や年金の受給額、総務省統計局の「家計調査」などから見て日常の生活費として通常かかる範囲の金額は、返還を請求できないことがあります。

一般的な生活費と比較して支出が多額であったとしても、被相続人の生活レベルに見合っていると考えられるために、返還請求が認められないこともあります。

3-3.消滅時効が成立している

不当利得返還請求権は、特定の相手にお金の支払いなどを求める権利である「債権」の一種であり、法律上の消滅時効が定められています。

消滅時効とは、一定の期間、権利を使わずにいると、その権利が消える制度のことです。

時効期間が過ぎた後に、相手方が「もう時効が成立しているので返還には応じません」などと意思表示をすると、不当利得返還請求によって使い込まれたお金を取り戻すことはできません(民法145条)。この意思表示を「時効の援用」といいます。

時効は、遅くとも預貯金を引き出した時から10年で完成します。また、何回かに分けて引き出された場合は、引き出されたそれぞれの日から10年を数えます。

被相続人の預貯金が長い間使い込まれていた場合、早い時期に引き出されたお金から順に時効を迎えるため、一部が請求の対象外となることもあります。

3-4.相手に資力がなく回収できない

不当利得返還請求の訴訟で勝訴した場合や、裁判所で和解が成立した場合でも、相手方が支払いに応じないことがあります。

その場合は、裁判所に「強制執行」を申し立てると、相手方の預貯金や給与などを差し押さえてお金を回収できます。

しかし、相手方が引き出したお金をすでに使い果たし、預貯金や不動産などの財産も持っていない場合は、強制執行をしても回収は難しいでしょう。

相手方の財産が少ない場合は、訴訟や強制執行の費用が回収できる額を上回り、損失が発生する可能性もあります。

4.不当利得返還請求権の消滅時効

不当利得返還請求権の消滅時効は、令和2年(2020年)4月1日施行の改正民法で期間が見直されているため、財産を使い込まれた時期によって適用される規定が異なります。

以下では、時効の期間と完成を防ぐ方法を解説します。

4-1.時効は知った時から5年と行使できる時から10年の早いほう

令和2年(2020年)4月1日以後に財産が使い込まれた場合は、「権利を行使できると知った時から5年」と、「行使できる時から10年」の、いずれか早いほうが経過した時点で時効が成立します(民法166条1項)。

5年と10年の期間を数え始める時点は、それぞれ以下のとおりです。

〇時効の期間を数え始める時点

期間起算点の例
主観的起算点(権利を行使できると知った時)から5年返還を請求できる人が、使い込みと使い込んだ人を知った時(例:取引履歴を取り寄せて、無断の引き出しに気づいた時)
客観的起算点(権利を行使できる時)から10年預貯金が引き出された時

※被相続人が生前に使い込みに気づいていた場合は、その時から数えた5年の期間を相続人が引き継ぎます。

たとえば、認知症を発症した父の預貯金を同居の次男が引き出していたことに、父の死亡後に長女が取引履歴を取り寄せて気づいたとします。それぞれの時期は、以下のとおりです。

〇時効期間の数え方の例

  • 次男が引き出した時:令和5年(2023年)6月
  • 長女が気づいた時:令和7年(2025年)5月
  • 主観的起算点(長女が気づいた時)から5年:令和12年(2030年)5月
  • 客観的起算点(次男が引き出した時)から10年:令和15年(2033年)6月

長女が気づいた時から5年の令和12年(2030年)5月のほうが、次男が引き出した時から10年の令和15年(2033年)6月より早いため、令和12年(2030年)5月に時効が完成します。

4-2.令和2年4月1日より前の使い込みは改正前の規定による

令和2年(2020年)4月1日より前に使い込まれた場合は、改正前の規定が適用され、権利を行使できる時から10年で時効を迎えます。

改正前の規定には、主観的起算点(権利を行使できることを知った時)から5年間で時効を迎えるという規定がないためです。

たとえば、令和元年(2019年)7月に被相続人の預貯金が引き出され、被相続人の死亡後の令和2年(2020年)2月にほかの相続人がその事実に気づいたとしましょう。

この場合、実際に預貯金が引き出された令和元年(2019年)7月から10年後の令和11年(2029年)7月が時効となります。

権利を行使できることを知った時である令和2年(2020年)2月から5年後の、令和7年(2025年)2月では時効を迎えません。

4-3.不法行為にもとづく損害賠償請求の時効との違い

預貯金など相続財産の使い込みは、故意または過失によって他人の権利を侵害し、損害を与える「不法行為」にも当たることがあります(民法709条)。

そのため、不法行為にもとづく損害賠償請求で使い込まれた財産を取り戻せる場合もあります。

不法行為にもとづく損害賠償請求の時効は、損害と加害者を知った時から3年と、不法行為の時から20年のうち、早いほうです(民法724条)。

不当利得返還請求と不法行為にもとづく損害賠償請求の主な違いは、以下のとおりです。

〇不当利得返還請求と不法行為にもとづく損害賠償請求の違い

 不当利得返還請求不法行為にもとづく損害賠償請求
主観的起算点(知った時)知った時から5年損害と加害者を知った時から3年
客観的起算点(行為時)行使できる時から10年不法行為の時から20年
立証が必要な内容不当利得が成立する4項目の要件(故意・過失は不要)相手の故意または過失、権利の侵害、損害の発生と因果関係
弁護士費用の扱い原則として相手に請求できない相当額を損害として請求できる場合がある

不当利得返還請求と不法行為にもとづく損害賠償請求は時効の期間が異なるため、一方の時効が完成していても、もう一方では請求できる場合があります。

たとえば、財産が使い込まれていることに気づいてから3年を過ぎると、不法行為にもとづく損害賠償請求の時効は完成しますが、気づいてから5年以内でかつ引き出しから10年以内であれば、不当利得返還請求はまだ可能です。

反対に、引き出しから10年を過ぎて不当利得返還請求の時効が完成していても、引き出しから20年以内で、使い込みに気づいてから3年以内であれば、不法行為にもとづく損害賠償請求はできます。

4-4.時効の完成を防ぐには催告や訴訟の提起が必要

時効が迫っている場合は、そのまま放置すると不当利得返還請求の権利が消滅してしまいかねません。

そのため、時効を迎える前に裁判所で訴訟を提起するか、内容証明郵便(差し出した日付と内容を日本郵便が証明する郵便)などで相手方に返還を求める催告をしておきましょう。

催告と訴訟の提起には、時効の完成を猶予する効果があるためです。

〇時効の完成猶予とは

  • 催告や訴訟の提起などがあった場合に、法律で決められた一定の期間が過ぎるまで、時効の完成を一時的に先延ばしにする制度

催告をすると、一時的に時効の完成が6ヶ月間猶予されます(民法150条1項)。この間に再び催告をしても猶予期間は延長されず、6ヶ月以内に訴訟を提起しなかった場合、その間に本来の時効期間が過ぎていれば時効が完成します。

訴訟を提起した場合は、裁判が終わるまで時効が完成しません。

判決で権利が確定した場合は、その時点で時効が更新され、それまでに過ぎた期間に関係なく、判決の確定から新たに10年の時効期間が始まります(民法147条2項・169条1項)。

なお、相手方が使い込んだお金を返す義務を認める、一部を返す、返還を約束する合意書に署名するといった「承認」をした場合も、時効が更新されます(民法152条1項)。

5.不当利得返還請求の流れ

使い込まれた相続財産を取り戻す場合は、まず内容証明郵便で相手方に返還を求め、話し合いでの解決が難しいときに訴訟を起こすのが一般的です。請求の手順は以下のとおりです。

〇不当利得返還請求の流れ

  1. 使い込みの証拠を集めて返還を求める金額を計算する
  2. 相手方へ内容証明郵便を送付する
  3. 相手方と直接協議して合意書を作成する
  4. 合意できない場合は不当利得返還請求訴訟を起こす

被相続人が亡くなった後は、生前のお金の使い道を本人に聞くことができません。

相続する予定の財産の金額が聞いていた額と明らかに違っていたり、知らない多額の引き出しがあったりした場合は、きちんと調査することが大切です。

以下では、手順ごとの進め方を解説します。

5-1.使い込みの証拠を集めて返還を求める金額を計算する

まず、被相続人の預金通帳を入手し、いつ・いくら引き出されたのかを確認しましょう。

財産を使い込んだ相手方が通帳を持っていて見られない場合や、記帳されていない期間がある場合は、金融機関から取引履歴を取り寄せて確認する方法があります。

預金通帳や取引履歴を見て、入院していて本人が引き出せなかった時期の出金など、疑わしい取引を日付と金額ごとに書き出して合計しましょう。

あわせて、被相続人の入院費なども、通帳を管理していた相続人に尋ねたり、領収書を見せてもらったりして確認します。

返還を請求する金額は、疑わしい出金額の合計から、被相続人のために使われた支出の合計額を差し引いた残りに自身の法定相続分をかけて計算するためです。

たとえば、相続人が妻と長男の2人(法定相続分は各2分の1)で、長男が夫の生前3年間に引き出した1,000万円のうち、200万円は夫の入院費などに使われたとしましょう。

この場合、妻が長男に返還を求められる金額の上限は「(1,000万円−200万円)×1/2=400万円」です。

5-2.相手方へ内容証明郵便を送付する

前の手順で計算した金額をもとに、返還を求める文書を作成しましょう。文書に書く主な項目は、以下のとおりです。

〇返還請求の文書に書く主な項目

  • 請求の根拠(民法703条)
  • 使い込まれた金額と引き出しの日付
  • 返還を求める金額
  • 支払期限

作成した文書は、いつ・どのような内容の文書を送ったのか記録が残るよう配達証明付きの内容証明郵便で相手方に送付しましょう。

先述のとおり、返還を求める催告が相手方に届いた時から6ヶ月間は時効が完成しません。

配達証明を付けておくと、文書が相手方に届いた日も証明できるため、時効が完成する前に請求したことを示しやすくなります。

5-3.相手方と直接協議して合意書を作成する

内容証明郵便を送った後は、返還を求める金額と取引履歴を示して相手方と話し合いをし、合意した内容を書面にまとめ、双方が署名・押印します。

話し合う内容と合意書に記載する項目は以下のとおりです。

〇合意書に書く主な項目

  • 返還する金額
  • 支払方法(一括・分割)と支払期限
  • 支払いが遅れた場合の扱い
  • ほかに請求し合わないことの確認(清算条項)

分割払いとする場合は、支払いが滞ったときに判決を得なくても強制執行を申し立てられる「強制執行認諾文言付きの公正証書」を、公証役場で作っておくとよいでしょう。

当事者同士で作った合意書だけでは原則として強制執行ができず、裁判での判決などを別途得る必要があるためです。

遺産分割がまだ終わっておらず、財産を返してもらう代わりに相手方が受け取る遺産を減らして精算する場合は、合意した内容を遺産分割協議書に記載しましょう。

遺産分割協議書の書き方は、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

参考:遺産分割協議書は自分で作成できる!【ひな形付き】書き方・注意点も解説

5-4.合意できない場合は不当利得返還請求訴訟を起こす

話し合いで合意できない場合は、相続財産を使い込んだと思われる相続人を相手に「不当利得返還請求訴訟」を起こすことを検討しましょう。

被相続人の死亡後に引き出された預貯金は、一定の要件を満たせば民事訴訟によらず、家庭裁判所の遺産分割調停や審判で遺産分割の対象として扱える場合があります。

訴訟は簡易裁判所または地方裁判所で提起し、遺産分割調停・審判は家庭裁判所に申し立てをします。

〇手続きと取り扱う裁判所

 取り扱う裁判所
請求する金額が140万円以下の不当利得返還請求訴訟簡易裁判所
請求する金額が140万円を超える不当利得返還請求訴訟地方裁判所
遺産分割調停・審判家庭裁判所

遺産分割調停について詳しくは、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

参考:遺産分割調停とは?申し立ての方法から流れ・費用まで解説

訴訟や遺産分割調停の手続きは、原則として相手方の住所地を管轄する裁判所で行います。

不当利得返還請求の訴訟は自身の住所地にある簡易裁判所・地方裁判所、遺産分割調停は相手方と合意した家庭裁判所で行うことも可能です。

判決が確定しても相手方が支払わない場合は、判決にもとづいて裁判所に強制執行を申し立てられます。一方、裁判で和解が成立し、判決の前に訴訟が終わるケースもあります。

6.不当利得返還請求に必要な証拠と書類

不当利得返還請求をするためには、証拠となる資料を提出する必要があります。通帳からお金を引き出された場合は、被相続人の通帳はもちろんのこと、誰がお金を引き出したのかを証明するものが必要になります。

以下では、立証の責任を負う側や証拠の集め方、反論を受けたときの対処、訴訟で提出する書類を解説します。

6-1.使い込みを立証するのは返還を請求する側

不当利得返還請求の訴訟で、不当利得が成立することを証拠で示す責任(立証責任)を負うのは、返還を請求する側です。

請求する側は、相手方が預貯金を引き出して利益を得たことや、被相続人や請求する側に損失が生じたこと、その引き出しに正当な理由がないことなどを示す必要があります。

相続財産を使い込まれたと思われる事実があったとしても、不当利得があったことを示す証拠がなければ裁判で返還は認められません。

また、「使い道の分からない出金がある」と指摘するだけでは不十分であり、いつ・いくら引き出されたのかを取引履歴などで具体的に示す必要があります。

とはいえ、被相続人の通帳や領収書などは財産を管理していた相手方が持っていることが多く、請求する側が簡単に入手できないケースも少なくありません。

また、時間が経過するほど、領収書などの書類が処分されたり関係者の記憶が薄れたりして、不当利得を客観的に証明するのが難しくなります。

そのため、不当利得返還請求をする際は、金融機関や医療機関に残っている記録など、相手方の手元にない証拠を早めに集めましょう。

6-2.預貯金の取引履歴やカルテなどの証拠を集める

相続財産の使い込みが疑われる場合は、被相続人の判断能力が分かる医療や介護の記録も入手しておくとよいでしょう。

寝たきりだった時期や判断能力がなかった時期は、被相続人が自分でお金を下ろすことはできなかったと考えられるためです。

証拠となりえる主な資料は、以下のとおりです。

〇使い込みの立証に用いる主な資料

 確認できること主な取り寄せ先
預貯金の取引履歴出金の日付と金額被相続人が口座を持っていた金融機関
払戻伝票窓口で出金の手続きをした人の筆跡被相続人が口座を持っていた金融機関
カルテ(診療記録)・診断書被相続人の判断能力が低下した時期や、入院などで外出できなかった時期被相続人が受診していた医療機関
介護認定記録被相続人の認知機能や日常生活の状況要介護認定をした市区町村
介護記録被相続人の日常生活の状況や受けていた介助被相続人が利用していた介護事業者

払戻伝票の筆跡から窓口で手続きをした人を特定できます。

ATMで引き出された場合でも、通帳を管理していた相続人の自宅近くのATMが使われていれば、その相続人が引き出したと主張できる場合があります。

被相続人が重度の認知症であった場合は、いつごろから判断できなくなったかを確認できるカルテや診断書も必要になります。カルテや介護認定記録は、被相続人が引き出しに同意できなかったことや、自分で預貯金を引き出せなかったことを裏付ける有力な証拠です。

あわせて、返還を請求する自身が相続人であることを証明するため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と自身の戸籍謄本も取り寄せておきましょう。令和6年(2024年)3月1日からは、自身や配偶者、父母、子などの戸籍謄本であれば、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました。

個人では取り寄せにくい金融機関の記録や介護認定記録などは、弁護士に依頼し、所属する弁護士会を通じて照会してもらう「弁護士会照会」(弁護士法23条の2)で集める方法もあります。

相続財産の調査方法については、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

参考:遺産隠しの可能性あり!相続財産の調査方法・対処法・税務リスクを解説

6-3.銀行に預貯金の取引履歴の開示を請求する方法

被相続人が所有していた預貯金口座の取引履歴は、金融機関へ開示を請求できます。請求をする相続人は、ほかの相続人の同意を得る必要はありません。

過去の裁判例では、相続人の1人から取引履歴の開示を求められた場合、金融機関は原則として拒否できないという判決が出ています。

万が一開示してもらえない場合は、弁護士や税理士に相談すべきでしょう。

通帳が見つからなくても、被相続人が利用していた金融機関が分かっている場合は、口座の有無を調べてもらったうえで取引履歴の開示を請求できます。

開示請求をするためには、被相続人の死亡と自身が相続人であることが分かる戸籍謄本などが必要です。

手数料は金融機関ごとに異なっており、「1ヶ月分につき330円」「1年分につき1,100円」などとされています(令和8年(2026年)9月時点)。

なお、取引履歴で確認できるのは、多くの金融機関で請求した日から10年前までの履歴です。

たとえば、被相続人が亡くなってから5年後に請求した場合は、亡くなる前の5年間しか確認できません。

特定の相続人が相続財産を使い込んでいる疑いがある場合は、金融機関に対して早めに取引履歴を請求しましょう。

6-4.被相続人のために引き出したといわれたときの対処方法

証拠を集めて不当利得があることを主張しても、相手方から「被相続人に依頼され、生活費や介護のために引き出した」「本人から贈与された」などと反論されるケースが少なくありません。

よくある反論と対処方法は、以下のとおりです。

〇よくある反論と対処方法の例

相手方の反論対処方法の例
被相続人に頼まれて引き出して本人に渡したカルテや介護記録で、出金当時の被相続人が自分でお金を管理できなかったことを示す
被相続人の生活費や医療費、介護費に充てた使い道の説明と領収書などの裏付けを求め、被相続人のための支出かを1件ずつ確認する
被相続人から贈与された贈与契約書など贈与を裏付ける資料を見せるよう相手方と交渉し、出金当時の被相続人に判断能力がなかったことをカルテなどで示す

※表の対処方法は一例です。個別の事情に応じた対処方法は、弁護士などの専門家にご相談ください。

生活費や医療費に充てたと主張された場合は、説明に不自然なところがないかを以下の3項目で確認できます。

〇使い道の説明を受けたときに確認すること

  • 相手方から説明された金額と領収書などの額が一致しているか
  • 支払先が被相続人の利用していた施設や病院になっているか
  • 引き出したお金を相手方名義の車の購入や家賃の支払いなどに充てていないか

あわせて、銀行口座から引き出された金額と実際の生活費や介護費にかかった費用に差がないかもチェックする必要があります。もし比較した結果、引き出された金額のほうが多い場合は、横領の可能性があることを裏付ける証拠の1つとなりえます。

「相手方が領収書などを見せてくれない」「話し合いに応じてくれない」など自身で解決するのが難しい場合は、相続トラブルに詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼すると、相手方との交渉や訴訟の手続きを任せられます。

6-5.訴訟を起こす際に提出する書類

不当利得返還請求訴訟を起こす際は、裁判所に訴状を提出します。取引履歴など、請求の根拠となる重要な証拠書類の写しもあわせて提出します。

遺産の返還を求める相続人自身が訴訟を起こす場合、紙の訴状を提出するほか、民事裁判書類電子提出システム(mints)を利用してオンラインで提訴することも可能です。

訴状には、返還を求める金額(請求の趣旨)と、不当利得が成立する4項目の要件に当たる事実(請求の原因)などを記載します(民事訴訟法134条)。

令和8年(2026年)5月21日以後に新たに民事訴訟を起こす場合、訴え提起の手数料と郵便費用相当額を合算した額は、原則としてPay-easy(ATMやインターネットバンキングで支払えるサービス)で納めます。

7.使い込みがあった場合の相続税申告

特定の相続人による使い込みと思われる場合でも、正味の遺産額が相続税の基礎控除額(「3,000万円+600万円×法定相続人の数」)を超えるのであれば、相続税の申告が必要です。

以下では、申告の期限と方法、使い込まれた財産や取り戻した財産の扱いを解説します。

7-1.もめていても相続税の申告期限は延びない

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内です。

たとえば、被相続人が4月15日に亡くなった場合は、翌年の2月15日が申告期限です。

遺産分割協議や不当利得返還請求で相続人同士がもめていたとしても、相続税の申告期限は延びません。

相続税の申告が必要であるにもかかわらず、期限内に適切に申告手続きをしなかった場合は加算税や延滞税が課されることがあります。

相続税の申告期限については、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

参考:相続税の申告期限・納付期限は10か月!間に合わない時の対処法や期限の数え方も解説

7-2.遺産分割が決まらない場合は未分割申告をする

相続税は各相続人が取得する遺産の額をもとに計算するため、遺言や遺産分割で取得額が決まらないうちは本来の税額が確定しません。

また、相続税の負担を軽減する「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」といった特例を適用するためには、原則として遺産分割が終了している必要があります。

不当利得の返還をめぐる話し合いや遺産分割協議がまとまらず、期限までに相続税申告をすることが難しい場合は、「未分割申告」をしましょう。

〇未分割申告とは

  • 遺産分割が終わる前に各相続人が法定相続分どおりに財産を取得したと仮定して行う相続税の申告

期限内に未分割申告と納税を済ませておけば、無申告加算税や延滞税は課されません。

また、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておくと、申告期限から3年以内に遺産分割が合意に至った場合に、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用できます。

特例を適用したことで納税額が減少したのであれば、遺産分割が終了したことを知った日の翌日から4ヶ月以内に「更正の請求」をすると、納めすぎた相続税が還付されます。

未分割申告について詳しくは、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

参考:【相続税の未分割申告】時効・デメリット・書き方などを解説!

7-3.使い込まれた財産も相続税の申告に含める

相続税の課税対象は、原則として被相続人が亡くなった時点で持っていた財産すべてであり、お金を返してもらう権利(債権)も含まれます。

特定の相続人によって使い込まれた相続財産は、引き出された時期に応じて、以下の形で相続税の申告に含めましょう。

〇使い込まれた財産を申告に含めるときの扱い

  • 死亡後に使い込まれた預貯金:相続開始日の預貯金(財産評価基本通達203)
  • 生前に使い込まれた預貯金:被相続人が持っていた不当利得返還請求権(債権)

使い込まれたお金がまだ返ってきていない場合や、返還をめぐって裁判で争っている最中でも、原則として使い込まれた財産は相続税の申告に含める必要があります。

実際に、生前の引き出しに対する不当利得返還請求権を申告に含めなかった相続で、裁判所がこれを相続財産と認めた例があります(東京地方裁判所令和5年(2023年)2月16日判決)。

この裁判では、引き出しに関わっていない相続人にも、申告漏れに対する過少申告加算税が課されました。

一方で、税務署の処分に納得できない人の申し立てを審査する「国税不服審判所」が、引き出された金銭は不当利得に当たらないとして、相続税の課税処分を取り消した例もあります。

請求権が申告の対象になるかどうかは状況によって変わるため、特定の相続人による使い込みがあった場合の相続税申告については相続税専門の税理士に相談するとよいでしょう。

7-4.取り戻した財産や受け取った和解金の申告での扱い

不当利得返還請求によって取り戻した財産や受け取った和解金の金額などによっては、修正申告や更正の請求をすることがあります。

たとえば、未分割申告をした後、取り戻した財産を含めて遺産分割をした結果、各相続人の取得額が法定相続分と異なるようなケースです。

この場合、未分割申告のときより税額が増える相続人は修正申告をして不足する相続税を納めます。税額が減る相続人については更正の請求をすると、納めすぎた相続税の還付を受けられます。

修正申告や更正の請求では、返還請求により取り戻した財産や和解金を含めて、相続人ごとの相続税を計算し直さなければなりません。

引き出されたお金が被相続人の生活費に使われていた場合など、申告に含めなくてよいこともあるため、使い込みが疑われるときは相続税専門の税理士に相談するとよいでしょう。

8.不当利得返還請求についてよくある質問

最後に、不当利得返還請求についてよくある質問に回答します。

8-1.不当利得返還請求をされた場合に無視するとどうなりますか?

預貯金などを使い込んだとして、ほかの相続人から返還を求められたにもかかわらず、無視を続けた場合は、訴訟を起こされて不利な判決を受けるおそれがあります。

内容証明郵便が届いたときは、請求額とその根拠などの記載内容を確認し、納得できない点には反論しましょう。

また、訴状が届いた後に「答弁書(反論を書いた書面)」を出さずに裁判を欠席すると、相手が主張した事実を認めたとみなされます(民事訴訟法159条3項)。

そうなると、相手の主張どおりの判決を言い渡される可能性があり、強制執行によって財産を差し押さえられてしまいかねません。

ほかの相続人から不当利得返還請求をされたときは、放置せず適切に対処するようにしましょう。自身では対応が難しい場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

8-2.不当利得返還請求訴訟の費用はいくらですか?

不当利得返還請求の訴訟にかかる主な費用は、裁判所へ納める手数料と弁護士費用です。

裁判所へ納める手数料は、請求する金額(訴額)が大きいほど高くなります。主な訴額の手数料は、以下のとおりです。

〇訴訟の手数料の例

請求する金額書面で申し立てる場合オンラインで申し立てる場合
100万円1万2,500円1万1,400円
500万円3万2,500円3万1,400円
1,000万円5万2,500円5万1,400円

出典:裁判所「手数料額早見表」
※令和8年(2026年)9月時点の額で郵便費用相当額を含みます。
※表の請求額は一例です。表にない請求額の手数料は「手数料額早見表」で確認できます。

弁護士費用には、依頼したときに払う「着手金」と解決したときに払う「報酬金」があります。

金額は依頼先によって異なりますが、着手金は請求額、報酬金は実際に取り戻せた額をもとに計算する事務所が多いようです。

8-3.使い込んだ相続人が刑事罰に問われることはありますか?

被相続人の配偶者、子や孫などの直系血族、同居の親族による生前の使い込みは、預かった財産を横領する罪に当たる場合、原則として刑が免除されます(刑法244条1項・255条)。

ただし、キャッシュカードを無断で使ってATMから引き出した行為は、預金を管理する金融機関に対する窃盗罪に当たる可能性もあります。

また、刑が免除される場合でも、使い込んだ財産を返還する義務は残ったままです。

9.使い込みも相続税申告も相続税専門の税理士に相談しよう

特定の相続人によって使い込まれた相続財産は、不当利得返還請求で取り戻せる場合があります。ただし、返還を請求できるのは自身の法定相続分までであり、時効が成立してしまうと請求自体ができなくなります。

また、遺産の使い込みがあると、相続税の計算や申告書類の作成なども複雑になりやすいため、相続税に精通した税理士に相談しましょう。

税理士法人チェスターは、相続税申告を専門とする業界トップクラスの税理士法人です。令和7年度(2025年度)の年間申告実績は3,076件で、一般的な税理士事務所の年間平均申告件数(約6件)を大きく上回ります。

不当利得返還請求はグループ内の法律事務所と連携して進めることも可能なため、遺産の使い込みでお困りの方は、一度税理士法人チェスターへお問い合わせください

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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