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不当利得返還請求とは?相続人が相続財産を使い込んでいた!お金は取り戻せる?

相続財産を残したまま亡くなった人(被相続人)が生前、寝たきりや判断能力がなかった場合、自分でお金を下ろすことはできなかったでしょう。

そんなときに、同居していた相続人が横領したり、定期的にお金を引き出して使い込んでいたりということがあります。このようなことはよくあるケースと言えますが、そのまま諦めるしかないのでしょうか?

それともお金は取り戻せるのでしょうか?

1.被相続人の使い込まれたお金は取り戻すことができる?

被相続人が亡くなれば、生前のことを聞くことができません。

しかし、明らかに相続予定の財産金額が違っていたり、知らない多額の引き出しがあったりした場合は、きちんと調査することが大切です。

被相続人の遺言書に指定がない限り、勝手に使い込まれた相続財産は取り戻すことが可能だからです。

不当利益返還請求とは?相続人が相続財産を使い込んでいた!お金は取り戻せる?

2.横領されたお金の取り戻し方

民法703条に定められた不当利得返還請求という手続きを行えば、横領された相続財産を取り戻すことができます。

不当利得返還請求とは?

不当利得返還請求とは、正当な理由もないのに他人に損失を与えて利益を得た人は、損失者に対して利益を返還しなければならないという規定です。

つまり、仮に相続人の一人が正当な理由もなく、被相続人の相続財産を使い込み、他の相続人がそれによって損を与えられたときは、不当利得返還請求により使い込んで得た利益を返還させることができるのです。

3.不当利得返還請求によって取り戻せる金額とは?

取り戻せる金額は、その相続人の法定相続分(民法で決められた取り分)までとなっています。

たとえば、使い込みの金額が2千万円だとしても、相続人の法定相続分が1千万円のときは1千万円までしか取り戻せません。

不当利得返還請求で取り戻せるのは自身の法定相続分

4.不当利得返還請求をするために必要なものとは?

不当利得返還請求をするためには、証拠となる資料を提出する必要があります。通帳からお金を引き出された場合は、被相続人の通帳はもちろんのこと、誰がお金を引き出したのかを証明するものが必要になります。

5.どんな証拠が必要になる?

被相続人の預金口座から、勝手にお金を引き出されている場合には、被相続人名義の銀行の取引明細を取得するべきです。

取引明細の取得は、相続人が行うことができます。

相続人は、銀行に行き、取引明細の開示を請求することで、取得可能になります。

6.銀行は、本当に取引明細を開示してくれる?

過去の裁判例で、以下の判決が下りました。

判例(裁判所 HP)

この判例を簡単にご説明すると、相続人から取引明細の開示依頼があれば、拒否できないということが記載されております。

万が一開示してもらえない場合には、弁護士や、税理士に相談すべきでしょう。

7.被相続人のためにお金を引き出したと言われたら?

被相続人に依頼され、生活費や介護のために引き出したと言われてしまったらどうでしょう。

このようなときは、銀行口座から引き出された金額と実際の生活費や介護費に掛かった費用に差がないかをチェックする必要があります。もし比較した際に差が生じたときは、横領の金額が把握できると言えます。

また、被相続人が重度の認知症であった場合は、いつごろから判断できなくなったかを確認できるカルテや診断書も必要になります。

8.相続財産の使い込みが発覚した場合はどこの裁判所で裁判すればよい?

相続財産の使い込みが発覚した場合は、地方裁判所で裁判をすることができます。相続人の住所地を管轄する地方裁判所で裁判することができますが、横領したとする相続人の住所地を管轄する地方裁判所でも裁判することができます。

9.不当利得返還請求の時効は?

時効は、10年となります。

まとめ

相続財産を横領されるという事はよくある事ですが、法定相続分までであれば取り返すことが可能です。万が一、そのような事態になった場合は、冷静に状況を把握ししっかりと対応を行っていきましょう。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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