認知症になる前の相続対策と認知症の相続人がいる場合の相続手続き
相続対策は認知症になってからでは手遅れに!
相続対策として、不動産売買などの大きな法律行為を行う人は増えています。 効果がある相続対策ではありますが、認知症になる前にやっておかないと手遅れになってしまうこともあるため、早めの対策が大事です。
折角の相続対策が無駄になる!?
相続税は、被相続人が死亡時に持っていた財産を対象にして算出します。 そのため、相続税がかからないようにするために、あらかじめ生前対策をしておくという人が増えています。 生前対策としては、養子縁組や不動産売買、生命保険への加入や賃貸借契約の締結、遺言の作成、生前贈与などが挙げられます。 どれも効果的な対策ですが、せっかく対策をしてもそれが無効になってしまう場合があります。 それが、財産の所有者が認知症になってしまったという場合です。
意思能力がなければ法律行為は無効
認知症は、脳や身体に疾患が発生したことによって脳の働きが正常ではなくなり、記憶力や判断力などが低下して日常生活を送ることが困難になるという病気です。 高齢者に多く見られ、最近では毎日のように耳にする病気となりました。 認知症になると記憶障害が発生します。民法上は、意思能力のない者がした法律行為は無効です。 医師の診察や治療を受けている多くの患者が、意思能力がない又は低下している等の判断がなされた場合には、あらかじめ行っていた法律行為が無効になる可能性もあります。 つまり、生前対策をしていてもそれが無効になるということです。これは、生前対策をしていないのと同義ですから注意しなければなりません。
成年後見制度でお年寄りを守る
では、認知症になったら何もできないのでしょうか。 そう不安になる人もいると思いますが、心配はいりません。 認知症のように、精神上の障害によって意思能力がない状態が長いという人が不利益を受けないようにするために、成年後見制度が確立されているのです。 この制度は、家庭裁判所に請求をすることで後見開始の審判が受けられるようになっており、それにより後見が開始します。 後見が開始すると必ず成年後見人が付けられます。 そして、本人、すなわち成年被後見人は単独で有効な法律行為ができなくなります。 つまり、認知症のお年寄りの家に悪質な販売員がやってきて高額商品を買わされてしまったという場合でも、その法律行為は有効にはならないということです。
早めの対策が大事!
成年後見制度は、認知症のようなお年寄りを助けるのに役立ちます。 しかし、相続税の生前対策という点では活用できない場合があるので注意が必要です。 この制度は、認知症患者の財産を安全に管理することや、意思が十分でない時に行った法律行為で損害を受けないようにすることを目的として定められています。 そのため、生前対策のために後見を開始するということはこの趣旨に合っていないのです。 生前対策には不動産売買など様々な財産の処分がありましたが、このような比較的重大な法律行為を行う際には、認知症であれば家庭裁判所による審査を受けなければなりません。 そのため、生前対策は余裕を持って早めに行うべきであり、認知症になる前に対策しておくのが一番だと考えられます。
既に認知症の相続人がいる場合の相続手続きは
認知症の相続人がいる場合の相続手続きは他の相続人以外の代理人を立てて手続きを行っていきます。
そのため十分に本人をカバーできる信頼できる人物を探し出すことが最初の判断になります。
相続の際には多くのケースを含めて手続きを行っていく必要があります。
そのため相続人の中に未成年者がいるケースや障害者がいるケースをしっかり認識して計算していく必要があります。
認知症の方は判断能力が鈍っている方が多く、成年後見人を選任する必要があります、認知症の方で判断能力が低下していて正しい判断が出来ない方には、その代わりにしっかりとした判断では財産の管理や金銭の管理を代行できる方を選定しましょう。
成年後見人が認知症の方の代わりに遺産分割協議
遺産分割の際にも、この成年後見人が認知症の方の代わりに遺産分割協議に一緒になって参加することが求められます。
この際にも成年後見人は、認知症の方を代理して遺産分割を協議を行いますので、認知症の方の分の意向もすばやく組み込んで、円満に解決できる人物の選択が大切な要素になります。
また本人に不利益な内容の遺産分割協議書に署名や押印をすることなどはできません。
成年後見人の住所近くの家庭裁判所にて申し立てを行うことが可能になります。
申し立ては郵送でも可能になりますが、詳しくはお近くの家庭裁判所にお尋ねください。
また専門家に相談することで成年後見人が認知症の方の代わりに遺産分割協議についてスムーズに解決をすることが可能です。
申し立てに必要な書類は申立書
申し立てに必要な書類は
・申立書
・代理人行為目録
・同意行為目録
・本人に関する照会書又は親族の関係や続柄が分かる親族関係図
・親族同意書
・財産目録
・相続財産目録
・遺産分割協議書
・収支目録
・候補者に関する照会書
・本人の登記されていないことの証明
・申立人及び、本人、後見人候補者の戸籍謄本
・本人、後見人の候補者の住民票
・その他の財産に関する資料
が必要になります。
相続人の中に精神的な障碍者がいる場合にも、相続人にならない代表者を代理人にする必要があります。
他の相続人は代理人になることはできないため注意が必要です。
相続の対象になるものには多数のカテゴリわけを行うことが可能になります。
はじめに不動産、車、飛行機、家、貯金、その他の高価な商品など。
一方、マイナス財産としては借金、や車のローンや教育ローン、住宅ローン、未払いの税金や未払いの家賃、地代未払いの医療費なども含まれます。
そのため相続を行うやり方を十分に検討し、家庭裁判所の判断なども含めて検討していきましょう。
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