遺産隠しの可能性あり!相続財産の調査方法・対処法・税務リスクを解説

「兄弟に遺産隠しをされているかもしれない」
「遺産隠しの調査はどうやれば良いの?専門家に依頼すべき?」
この記事をご覧の皆さんは、このようにお悩みではないでしょうか。
結論からいうと、遺産隠しの可能性がある場合は相続財産の調査を行い、新たに相続財産が見つかったら正しく対処しましょう。
遺産隠しは重大な不正行為ですが、兄弟間での相続財産隠しである場合は罪にならない可能性が高く、相続欠格にも該当しませんので、当事者間で解決しなければなりません。
なお、遺産隠しは税務署にバレる可能性が高く、税務調査で「隠蔽・仮装があった」と認定されると、重いペナルティが課せられますのでご注意ください。
この記事の目次 [表示]
1.遺産隠し(相続財産隠し)とは
遺産隠し(相続財産隠し)とは、一部または複数の相続人が、相続財産(預貯金・不動産・有価証券など)の存在を、以下のように意図的に隠匿する行為のことです。

遺産隠しが起こりやすいのは、父親や母親の相続において第一順位の法定相続人(子ども)が複数名いるケースです。
特に被相続人と同居していた相続人がいる場合、通帳や現金の管理を任されることが多く、他の相続人が財産の全体像を把握しにくい状況が生まれてしまいます。
また、「介護や同居をしたのだから財産を多くもらうのは当然」という誤解(寄与分との混同)から、遺産隠しが発生することもあります。
1-1.兄弟間での遺産隠しは刑事事件でない!相続欠格にも該当しない
遺産隠しは相続人間の不公平を生む行為であり、税務調査で隠蔽の事実が把握されれば重加算税や延滞税の対象となり得ます。
しかし、配偶者・直系血族・同居親族間による遺産隠しである場合は、刑法第244条「親族間の犯罪に関する特例」が適用され、罪を犯してもその刑が免除されます。
被相続人(父親や母親)の相続において、同居していた兄弟が遺産隠しをしても、刑事事件(横領罪・窃盗罪・詐欺罪)に発展する可能性は低いです。
なお、民法第891条で定められている「相続欠格」に該当するのは、被相続人等を殺害したり遺言書を隠蔽・破棄したりする、“重大な非行”を行った法定相続人です。
遺産隠しは遺言書の隠匿ではありませんので、相続欠格には該当しません。
参考:【簡単解説】相続欠格とは?欠格事由や相続廃除との違いについて
\\CHECK//
遺産隠しなどの家庭内の相続トラブルは、原則として当事者間で解決を図らなければなりません。
また、相続人に対する遺産内容の開示は法律で義務化されていませんので、全容を解明するためには自分で相続財産の調査を行う必要があります。
遺産隠しをされた可能性がある方は、専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。
2.遺産隠しの疑いがある代表的な4つのケース
遺産隠しが疑われる代表的なケースは以下の通りで、一定の「疑われるサイン」があるのが特徴です。
まずはこの章で、遺産隠しの疑いがあるケースの特徴について確認していきましょう。
2-1.ケース①生前に聞いていた内容よりも相続財産が少ない
遺産隠しの疑いがある1つ目のケースは、生前に聞いていた内容よりも、相続財産が極端に少ない場合です。
例えば、被相続人が生前に「〇〇銀行には1,000万円ある」と言っていたのに、相続開始時の残高が100万円になっているようなケースです。
このように、聞いていた金額よりも遺産が極端に少ない場合は、預金の引き出しや使い込みなどが疑われます。
また、不動産を所有していたはずなのに、相続財産に含まれていなければ、処分されている可能性もあります。
2-2.ケース②不自然な預貯金の引き出しがある
遺産隠しの疑いがある2つ目のケースは、以下のような不自然な預貯金の引き出しがある場合です。
- 相続開始直前のまとまった金額の引き出し
- 相続開始直後のまとまった金額の引き出し
- 被相続人の判断能力がなくなった時期の引き出し
特に特定の相続人が預貯金通帳やカードの管理をしていた場合などは、預貯金を引き出して自分名義の預金通帳に入金している可能性が高いです。
ただし、被相続人の入院費用や葬儀費用として引き出した可能性もありますので、領収書などの提示を求めると良いでしょう。
2-3.ケース③特定の相続人やその家族への多額の生前贈与がある
遺産隠しの疑いがある3つ目のケースは、特定の相続人やその家族への多額の生前贈与がある場合です。
被相続人が生前贈与したことも考えられます。
生前贈与である場合は、遺産分割協議の際に「特別受益」として指摘すれば、生前贈与を受けた相続人の相続分を減らすことが可能です。
参考:特別受益とは?対象となるケース・時効や計算方法・持ち戻し免除をわかりやすく解説
2-4.ケース④相続財産に関わる資料の開示を拒否される
遺産隠しの疑いがある4つ目のケースは、被相続人の相続財産に関わる、以下のような資料の開示を拒否される場合です。
- 銀行の預金口座の残高証明書
- 証券会社から届いた年間取引報告書
- 固定資産税の納税通知書
- 登記済の権利証
これらの資料の提示は義務ではありませんが、遺産分割協議をする際の前提資料となる、財産目録を作成するための必須書類です。
相続財産に関わる資料の開示を拒否するということは、隠したい財産の存在が疑われます。
3.遺産隠しが疑われる場合の相続財産の調査方法
相続で財産隠しが疑われる場合は、まずは財産を隠している疑いがある人と話し合って、本当は遺産がいくらあるかを聞き出します。
頭ごなしに犯人扱いしては話し合いにならないため、冷静な対応が必要です。
話し合いの前、または並行して、今すぐできる証拠の確保を行うことも非常に重要です。相手が財産を移動・処分する前に、通帳・郵便物・権利証などをスマホで写真に撮っておくだけで、後の調査や交渉における強力な根拠になります。
今すぐできる証拠集めのポイント
以下のものを見つけたら、すぐに写真に撮っておきましょう。
| 対象 | 撮影のポイント |
|---|---|
| 預貯金通帳・証書 | 全ページ(特に直近の出金履歴)を撮影 |
| 郵便物 | 金融機関・保険会社からの封筒は隠し口座発見の端緒に |
| 不動産関連書類 | 権利証・固定資産税通知書を撮影 |
| 貴金属・現金・高級品 | 「そこにあった」事実を記録する |
注意点
- スマホの撮影日時(メタデータ)がそのまま日付の証明になります
- 新聞と一緒に撮影すると、日付の証明がより確実です
- 他人の家宅へ無断で侵入しての撮影は不法侵入となるリスクがあるため、自分が正当に立ち入れる場所での撮影に限りましょう
- 相手が財産を隠す恐れが強い場合は、裁判所を通じた保全処分の検討もおすすめです
なお、相手が話し合いに応じない場合などは、以下のような方法で相続財産の調査を行いましょう。
| 相続財産 | 調査方法 |
|---|---|
| 預貯金 | 金融機関に「取引履歴」を開示請求 |
| 貸金庫 | 金融機関に「貸金庫契約の有無」を照会 |
| 有価証券等 | 証券保管振替機構(ほふり)に問い合わせる |
| 不動産 | 市区町村役場で「名寄帳」を取り寄せる |
また、どの相続財産の調査であっても、被相続人の戸籍謄本(法定相続情報一覧図)などの「相続人であることを証明する書類」の提出が求められますので、予め準備しておきましょう。
参考:【相続財産調査とは】誰がするの?かかる費用や調査方法をプロが解説
3-1.預貯金の調査方法
銀行の預貯金については、以下のような資料を元に該当する金融機関を探して、「取引履歴」の開示請求を行い調査します。
- 金融機関の通帳やキャッシュカード
- 金融機関からの郵便物やメール
- 金融機関のノベルティグッズ
- スマホアプリの確認
- 口座開設時の書類等
一般的な相続財産の調査では、金融機関に「残高証明書」の発行を依頼することとなりますが、これだと相続開始日の口座残高しか確認できません。
取引履歴の開示請求を行えば、過去10年分(原則)の対象口座の入出金の記録を確認できますので、被相続人の預貯金口座の入出金の流れを知ることができます。
なお、取引履歴の開示請求は、被相続人が取引していた銀行毎に個別に行う必要があります。
参考:共同相続人が単独で被相続人の預金口座の開示を請求可能か?
3-2.貸金庫の調査方法
被相続人が銀行の貸金庫を利用していたか否かは、被相続人が生前に利用していた銀行の窓口で「貸金庫契約の有無」を照会すれば判明します。
なお、貸金庫の利用料は、定期的に銀行口座から自動引き落としされるのが一般的ですので、預金通帳や取引履歴を確認されるのも良いでしょう。
被相続人の貸金庫は原則として単独で開けることができず、法定相続人全員の同意や立ち合いが必要となります。
仮に特定の誰かが貸金庫を開けた可能性がある場合は、「開扉履歴」を請求することで、誰がいつ貸金庫を開けたのかを確認できます。
参考:貸金庫を相続する方法│3つの開け方と手順・解約方法まで解説
3-3.有価証券等の調査方法
被相続人名義の有価証券等は、証券保管振替機構(ほふり)に「登録済加入者情報の開示請求」を行えば、証券会社や信託銀行を特定できます。
具体的なやり方については、証券保管振替機構「ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合」をご覧ください。
なお、被相続人が所有していた銀行口座の取引履歴から、配当金の入金の有無などを確認すれば、証券会社を特定できることもあります。
そして該当した証券会社や信託銀行に対して、相続開始日の残高証明書と、取引明細の開示請求(保有銘柄などの詳細)を行います。
参考:株を相続するときの手続きや遺産分割、評価額、納税方法は?初心者にもわかりやすく解説
3-4.不動産の調査方法
被相続人が所有していた不動産(土地や家屋等)は、市区町村役場にある固定資産税担当の窓口で「名寄帳(固定資産課税台帳)」を取得すれば判明します。
名寄帳とは、各市区町村にある土地や家屋を所有者別にまとめた台帳のことです。
なお、複数の市区町村をまたぐ場合は、各市区町村役場で名寄帳の取得申請をする必要があります。
名寄帳で不動産の所在がわかれば、最寄りの法務局等で「登記事項証明書」を取得して、不動産の詳細を調べることができます。
参考:【名寄帳とは】取得できる人・取得方法・必要書類・見方について解説
3-5.【コラム】税務署に通報して税務調査を誘発する方法もある
税務署にあえて通報して税務調査を誘発し、隠されている遺産をあぶり出すというのも1つの方法です。
被相続人が自宅で保管していた現金・タンス預金・貴金属等は、正直なところ、調査をしても見つけるのは困難です。
しかし、遺産隠しをしている場合、無申告・申告漏れをしている可能性が考えられます。
相続税の申告義務があるにもかかわらず、無申告や申告漏れをしているという情報を税務署が把握すれば、事実確認をするために、税務調査が実施される可能性はあります。
参考:【相続税の税務調査】故意の財産隠しで重加算税が課せられた4つの事例
4.遺産隠しが発覚!新たに財産が見つかった場合の対処法
遺産隠しが発覚して当事者が相続財産の存在を認めた場合、その新たに見つかった財産について、遺産分割協議をしなくてはなりません。
遺産分割協議が成立していない段階であれば、隠されていた財産も含めた全財産についての遺産分割協議をすることとなります。
しかし、すでに遺産分割協議が成立している場合は、以下のような対応をすることとなります。
新たに遺産が見つかった場合の対処法
まずは隠された遺産が見つかった場合の、対処法について確認していきましょう。
4-1.新たに見つかった財産についての遺産分割協議を行う
遺産分割協議の成立後に財産の存在が発覚した場合は、その見つかった財産についてのみ、遺産分割協議を行うのが一般的です。
ただし、すでに分割方法が決まっている(分割完了した)財産については、予め決められた方法にて分配されます。
遺産隠しが発覚したことで、すでに決まった遺産分割協議の内容に納得いかない場合は、次により対処します。
4-2.遺産分割協議そのものをやり直す
遺産分割協議の成立後に遺産隠しが発覚し、法定相続人全員が合意する場合は、遺産分割協議そのものをやり直すこともできます。
ただし、遺産分割協議をやり直すタイミングや財産内容によっては、以下の点に注意が必要です。
遺産分割協議をやり直すと…
- ×相続登記のやり直しが必要になる
- ×贈与税や譲渡所得税が課税される
当初の遺産分割協議において不動産を取得することが決まり、すでに相続登記をしている場合、そのまま新たな名義人への所有権移転登記が認められないため、一時的に所有権抹消登記が必要です。
この場合、本来であれば1回の課税で済む登録免許税が、2回課税されてしまうというデメリットがあります。
また、相続税申告書を提出後の遺産分割協議のやり直しは、税法上は「一旦確定した資産が移転した」とみなされ、贈与税や譲渡所得税の課税対象となる場合があります。
例えば、当初の遺産分割協議によって相続人Aが取得した財産を、再協議によって相続人Bが取得すると変更したとします。
この場合、相続人Bが相続人Aに対価を支払っているならば「譲渡所得税」が、対価を支払っていないならば「贈与税」が課せられます。
参考:遺産分割協議のやり直しは可能!時効・5つの具体例・手続きを解説
4-3.遺産分割協議無効確認の調停・訴訟をする
遺産分割協議そのものを取り消したい場合は、遺産分割協議無効確認の調停・訴訟を提起できます。
この理由は、遺産隠しという行為は、民法で定められている「詐欺」や「錯誤」に該当するためです。
| 詐欺 | 遺産隠しをされたまま遺産分割に同意した場合(民法第96条) |
| 錯誤 | 遺産内容について重要な勘違いをしたまま遺産分割に合意した場合(民法第95条) |
詐欺・錯誤によって遺産分割協議が無効となり、遺産分割協議をやり直すこととなった場合は、贈与税や譲渡所得税は課税されません。
詐欺や錯誤があったとして、すでに成立した遺産分割協議のやり直し(取消権)を行使できる期間(時効)が定められていますのでご注意ください。
参考:相続で揉めたら裁判?実際の事例・費用・訴訟までの流れを解説
5.遺産隠しの可能性大!当事者が財産の存在を認めない場合の対処法
遺産隠しが発覚したものの、当事者が財産の存在を認めない場合や、そもそも財産を使い込んでいる場合は、遺産分割の前提となる事実に関わる紛争の解決をしなくてはなりません。
この章でご紹介する対処法は、専門性が非常に高くなりますので、必ず弁護士に相談して対応しましょう。
5-1.遺産の範囲に争いがある場合
遺産隠しの疑いがあるものの、当事者が認めない場合などは、遺産の範囲を確定するために、遺産確認の調停・訴訟を起こす必要があります。
遺産の範囲に争いがある事例
- 相続発生前に被相続人の不動産の名義が特定の相続人の名義に変更されていた
- 相続発生前に被相続人から特定の相続人の銀行口座に多額の振込があった
- 被相続人が管理していた名義預金がある
遺産隠しで特に問題となるのが、相続財産を隠した可能性がある特定の相続人が、その存在を認めないことです。
遺産分割協議や調停は、あくまでも遺産をどのように分けるかを決めるためのものであり、前提として遺産がいくらあるかが確定していなければなりません。
そのため、遺産分割の前提となる事実関係を明白にするために、遺産確認の訴訟を行う必要があります。
この間、遺産分割調停等は一旦取り下げる、他の相続財産のみ遺産分割協議をするなどの対応が必要となります。
5-2.遺産の使い込みが疑われる場合
遺産隠しのみならず、その遺産の使い込みが疑われる場合は、不当利得返還請求をします。
不当利得返還請求とは、正当な理由なく他人に損失を与えて利益を得た人が、損失者に対して利益を返還することです。

不当利得返還請求で取り戻せる金額は、損失を与えられた相続人の法定相続分までです。
例えば、遺産の使い込みの金額が2,000万円であっても、相続人の法定相続分が1/2であれば、1,000万円までしか取り戻せません。
参考:不当利得返還請求とは?時効と請求方法│相続財産は取り戻せる?
6.遺産隠しの調査は弁護士に依頼がおすすめ
遺産隠しをされている可能性がある場合、財産調査の段階から、専門家である弁護士に依頼されることをおすすめします。
預貯金・有価証券・不動産の情報が一切ない状態で、被相続人の相続財産の調査を自分でするのは大変なうえ、調査漏れする可能性もあります。
複雑な相続問題にも対応している弁護士なら、財産調査のノウハウがあるため、調査漏れの心配も少ないでしょう。
6-1.弁護士はより正確な遺産隠しの調査ができる
弁護士には、弁護士法第23条の2に基づく「弁護士会照会」という権限が与えられています。
弁護士会照会とは
弁護士が弁護士会を通じて、官公庁や企業などに事実を問い合わせる照会ができる制度のこと。弁護士会照会を受けた官公庁や企業などは、正当な理由がない限り回答を拒否できない。
弁護士会照会は、弁護士が証拠や資料を収集して事実を調査するなど、弁護士活動を円滑に行うために設けられた権限です。
遺産隠しの調査を個人でするよりも、正確に事実関係を把握できる可能性が高まります。
6-2.調査を弁護士に依頼する場合の費用
遺産隠しの調査を弁護士に依頼する場合、以下のような弁護士費用が発生します。
| 相談料 | 30分5,000円~ |
| 着手金 | 20~30万円 |
| 成功報酬 | 経済的利益の額で変動 |
| 実費 | 1~5万円程度 |
上記はあくまで遺産隠しをされている可能性がある場合に、弁護士に調査を依頼した場合の費用目安です。
遺産隠しが発覚した後の対処法は様々ですので、別途弁護士報酬が上乗せされる可能性もあります。
まずは弁護士に相談をしてみて、実際に発生する費用について見積もりを出してもらうことをおすすめします。
参考:遺産相続・遺産分割の弁護士費用の相場を解説|誰が払う?安くできる?
7.遺産隠しは税務署にバレる!ペナルティを課せられないための対処法
相続税の申告義務があるケースにおいて遺産隠しをすると、税務署に脱税とみなされる確率が高くなりますので、状況にあわせて適切な対処法をとることが重要です。
税務調査によって遺産隠しの事実が見つかり、さらに悪意があると認定された場合は、最も重いペナルティである「重加算税」と「延滞税」が課税されます。
重加算税の税率は、相続税を過少申告した場合は35%、相続税を申告しなかった場合は40%です。過去5年以内に無申告加算税・重加算税を課されたことがある場合、重加算税の税率はさらに10%加重され、過少申告で45%、無申告で50%となります。
相続税の隠蔽行為のペナルティを課せられる前に、税理士に相談した上で適切な対処法を行いましょう。
参考:相続税の重加算税とは【令和7年度版】事例・税率・計算方法を税理士が解説
7-1.遺産隠しの全容が解明できていない場合
相続税の申告義務があることは分かっているものの、遺産隠しの全容が解明できていない場合もあります。
しかし、「遺産の全容が分からないから」という理由で相続税申告をしないと、無申告として扱われてしまい、ペナルティが課せられてしまいます。
そのため、判明している財産について、一旦法定相続分で分割したと仮定する相続税の申告・納税をする「未分割申告」をします。

未分割申告では、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付します。
この分割見込書を添付することで、申告期限から3年以内に遺産分割方法が決まった場合に、修正申告や更正の請求を行います(配偶者控除や小規模宅地等の特例も適用できます)。
期限内に申告書を提出しているため、無申告加算税や延滞税などのペナルティも課せられることはありません。
参考:【相続税の未分割申告】時効・デメリット・書き方などを解説!
7-2.期限内申告をした後に遺産隠しが発覚した場合
期限内に相続税の申告をした後に遺産隠しが発覚した場合は、速やかに修正申告を行いましょう。
修正申告とは、すでに提出した相続税申告書に誤りがあり、本来よりも税額が少なかった場合に、新しい税額に修正して不足分の相続税を納付する手続きのことです。
引用:国税庁「相続税の修正申告書」
当初の申告が過少であった場合、税務署の指摘を受けて修正申告をすると「過少申告加算税」と「延滞税」が課税されます。
しかし、税務調査の事前通知を受けるまでに、自主的に修正申告した場合は、過少申告加算税は課税されません。
参考:相続税の修正申告を税理士が解説!やり方・期限・必要書類など
7-3.申告期限を過ぎてから遺産隠しが発覚した場合
相続税の申告義務がないと思い込んでいたものの、申告期限を過ぎてから遺産隠しが発覚した場合は、速やかに期限後申告を行いましょう。
期限後申告をした場合、無申告加算税と延滞税というペナルティが課せられます。

無申告加算税の税率は5~30%で、「どのタイミングで期限後申告をしたのか」で税率が変動します。
自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税や延滞税を軽減できますので、無申告に気づいたら速やかに税理士に相談をしましょう。
参考:【相続税の期限後申告とは】ペナルティはある?特例の適用も解説
8.遺産隠しに関わるよくある質問(Q&A)
遺産隠しにまつわるよくある質問をまとめたので、参考にしてください。
8-1.遺産隠しは何年前まで指摘できる?時効はある?
遺産隠しが数年前にあったことが発覚した場合、時効が成立していなければ指摘することができます。
不当利得返還請求権の時効は「権利を知った時から5年(権利発生から10年)」、遺産分割協議の取消権(錯誤・詐欺)の時効は「事実を知った時から5年(行為時から20年)」です。
なお、内容証明郵便を送付することで、これらの時効の完成を6か月間猶予できます。
8-2.どうして税務署は遺産隠しを見抜けるの?
複数の相続人がいる場合、相続人全員による「共同申告(共同提出)」が原則ですが、別々に申告することもできます。
しかし、「遺産隠しをしている相続人」と「他の相続人」が別々に相続税申告すると、相続財産の総額などの申告内容が一致しません。
同じ被相続人の財産内容であるにもかかわらず、遺産隠しによって申告内容が異なっている場合は、税務調査が行われる可能性が高くなります。
参考:相続税申告は相続人ごとに別々でできる!リスクやデメリットの対処法
9.まとめ
遺産隠しされた可能性がある場合は、弁護士に相談をして相続財産の調査を行いましょう。
兄弟間での遺産隠しは罪に問うことが難しく、相続欠格にも該当しませんので、当事者間で解決を目指さなくてはなりません。
なお、相続税の申告義務があるにもかかわらず申告を行わない場合、税務調査によって遺産隠しをしている事実がバレる可能性が高まります。
税務調査で脱税と認定されれば重いペナルティが課せられますので、遺産隠しが発覚した時点で適切な税務処理を行うことが大切です。
9-1.チェスターグループにご相談ください
兄弟間による遺産隠しのトラブルは、相続業務に特化したチェスターグループにご相談ください。
チェスターグループには、相続税を専門とする税理士法人チェスターと、遺産相続の紛争解決を専門とする法律事務所が所属しております。
法務と税務の2つのニーズに、相続専門の専門家がワンストップで対応させていただきます。
すでに相続が発生しているお客様でしたら、初回面談が無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
相続税申告は相続専門の実績あるチェスターで安心。
税理士法人チェスターは相続に関する業務のみに特化している専門事務所であり、創業からこれまで培ってきた知見やノウハウがずっと引き継がれているため、難解な案件や評価が難しい税務論点にもしっかり対応致します。
初回面談から申告完了まで担当スタッフがお客様専任として対応しているので、やり取りもスムーズ。申告書の質の高さを常に追求しているからこそ実現できる税務調査率が1%であることも強みの一つです。
相続税申告実績は年間3,000件超、税理士の数は100名とトップクラスの実績を誇るチェスターの相続税申告を実感してください。
今まで見たページ(最大5件)
関連性が高い記事
カテゴリから他の記事を探す
相続税編
