相続の相談は司法書士へ|業務範囲と費用、選び方を解説

相続の相談ができる専門家は、司法書士のほか税理士や弁護士などがあります。それぞれの専門家には得意な業務がある一方、規制などによりできない業務もあります。
この記事では、相続に関して司法書士に相談できることや、手続きを依頼するときの費用の目安のほか、司法書士を選ぶときのポイントについて解説します。
どの専門家に相談すればよいか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次 [表示]
1.司法書士は相続手続きで頼れる専門家

司法書士は、司法書士法に規定された業務を行う国家資格です。下記のように、登記や供託に関する手続きの代理や、法務局へ提出する書類の作成などが法定業務として認められています。
- 登記または供託に関する手続きの代理
- 法務局へ提出する書類の作成
- 法務局長に対する登記、供託の審査請求手続きの代理
- 裁判所や検察庁へ提出する書類の作成、法務局に対する筆界特定手続書類の作成
- 以上に挙げた事務について相談に応じること
相続に関しては、相続人の調査から遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更まで、幅広い手続きを一括して依頼できるのが特徴です。
まずは、相続に関して司法書士に依頼できることをご紹介します。
1-1.相続人の調査・法定相続情報一覧図の作成を依頼できる
家族が亡くなって相続が始まったときは、はじめに誰が相続人になるかを調べます。
具体的には、被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて家族関係を確認します。戸籍は法改正などにより過去に何度か作り直されており、現在の戸籍だけでは家族関係を調べ切れない場合もあります。そのため、出生から死亡までの戸籍謄本をすべて確認する必要があります。
出生から死亡までの戸籍謄本は4~5通になることが一般的ですが、多い場合では10通を超えることもあります。また、たくさんある戸籍謄本から被相続人の家族関係を読み解くことは、難しい場合もあります。戸籍謄本の取り寄せや読み解きは、司法書士に依頼するとスムーズにできます。
あわせて、「法定相続情報一覧図」の作成も依頼できます。被相続人の家族関係を示す一覧図として法務局で認証を受けた公的な証明書であり、不動産の相続登記のほか、相続税の申告、金融機関の手続きなどで戸籍謄本の代わりに提出できます。法定相続情報一覧図があると、相続の手続きのたびに戸籍謄本の束を提出する必要がなくなり、便利に手続きができます。
法定相続情報一覧図について詳しい解説は、下記の記事をご覧ください。
1-2.遺産分割協議書の作成も依頼できる
相続人同士で遺産の分け方について話し合う「遺産分割協議」を行ったときは、その内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。必ず作る必要はありませんが、相続人全員が遺産の分け方に合意したことを書面で残しておくことは大切です。
下記のようなケースでは、早い段階で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成しましょう。
- 遺言書がない場合
- 遺言書とは異なる内容で遺産分割を行う場合
- 遺言書に記載されていない財産がある場合
- 相続税の申告を行う場合
遺産分割協議書は自分で作成することもできますが、司法書士に依頼すれば目的に応じた内容の遺産分割協議書を作成できます。
1-3.相続登記(不動産の名義変更)は司法書士の専門分野
遺産分割協議で合意ができれば、財産の種類ごとに相続手続きを実施します。相続手続きの中でも司法書士に依頼できる代表的な手続きは、不動産の「相続登記」です。
相続登記とは、亡くなった被相続人から相続人へ不動産の名義を変更する手続きで、法務局に申請して行います。自分で申請することもできますが、必要書類が多く、書類の漏れや記載の不備があると法務局から補正を求められます。
不動産の数が多い場合や、何代も前から名義変更されていない不動産がある場合は、司法書士に依頼する方がスムーズです。自分では難しい手続きも、司法書士なら安心して任せられます。
司法書士には相続登記のみ依頼することもできますが、遺産分割協議書の作成からの一連の流れを任せることが一般的です。
なお、相続登記は2024年4月から義務化されており、3年以内に登記申請をすることとされています。義務化より前に相続した不動産については、2027年3月31日までに申請する必要があります。心当たりがある方は、早めに確認しましょう。
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不動産の相続登記をはじめとする相続手続きは、相続専門の司法書士法人チェスターが承ります。相続税申告が必要な場合や、相続人同士で争いが起こっている場合も、チェスターグループであれば一つの窓口で対応できます。相続手続きでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
2.司法書士と税理士・弁護士の違いは?相談先の選び方

司法書士は幅広い範囲の相続手続きに対応できますが、司法書士だけでは対応できない手続きもあります。代表的なものは、相続税の申告と相続人同士の交渉です。
ここでは、相続手続きにおける司法書士と税理士・弁護士の役割の違いを確認します。
2-1.一目でわかる司法書士・税理士・弁護士の業務範囲比較表
相続にかかわる専門家は司法書士のほか、税理士と弁護士がいます。それぞれの専門家が対応できる業務は、おおむね次の表のとおりです。
| 業務内容 | 司法書士 | 税理士 | 弁護士 |
|---|---|---|---|
| 相続人・相続財産の調査 | ○ | △※1 | ○ |
| 遺産分割協議書の作成 | ○ | △※1 | ○ |
| 相続登記(不動産の名義変更) | ○ | × | △※2 |
| 相続税の申告 | × | ○ | × |
| 相続人同士の交渉・その代理 | × | × | ○ |
※1 税理士は付随業務として対応する場合がありますが、独占業務ではありません。
※2 弁護士は制度上、登記申請の代理が可能ですが、実務では司法書士が行うことが一般的です。
相続税の申告は税理士の独占業務であり、司法書士は制度に関する一般的な説明はできたとしても、申告の代理はできません。また、相続人同士の交渉や裁判所での調停・審判に対応できるのは弁護士だけであり、司法書士にはその権限がありません。
2-2.相談内容別のおすすめ専門家
相続について、相談内容ごとにおすすめできる専門家は下記のとおりです。
- 不動産の名義変更をしたい:司法書士
- 相続税がかかりそう:税理士
- 相続人同士でもめている、またはもめそう:弁護士
判断にあたっての最優先事項は、「相続人同士に争いがあるかどうか」です。争いがなく、不動産の名義変更や相続税の申告が中心であれば、司法書士または税理士に相談すれば十分です。
なお、司法書士事務所の多くは税理士・弁護士と提携しているため、まずは司法書士に相談して、必要に応じて他の専門家を紹介してもらうこともできます。相談を一か所で済ませたい場合は、提携の有無を事前に確認しておくとよいでしょう。
2-3.相続税がかかるなら司法書士より先に税理士に相談
先ほどは、まず司法書士に相談して必要に応じて他の専門家を紹介してもらう流れをご紹介しましたが、相続税がかかることが明らかな場合は、司法書士より先に税理士に相談することをおすすめします。相続税の申告期限は被相続人の死亡の10か月後であり、相続登記の期限(3年後)よりも早いためです。
なお、相続税は、遺産の総額が下記の金額(相続税の基礎控除額)を超える場合に課税されます。
- 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
たとえば、配偶者と子2人が相続人であれば、基礎控除額は4,800万円(=3,000万円+600万円×3人)となり、遺産総額がこれを上回る場合は相続税が課税されます。

相続を専門にしている税理士であれば司法書士と提携していることが多いため、必要なときにスムーズにつないでもらうことができます。
3.司法書士報酬はいくら?費用の相場と内訳を解説

司法書士に相続手続きを依頼する場合、費用はいくらかかるか不安な方も多いでしょう。ここでは、相続登記のみを依頼する場合と、相続手続きをまとめて依頼する場合の司法書士報酬と費用の目安をご紹介します。
司法書士の報酬や費用については下記の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。
参考:相続登記にかかる司法書士の報酬はいくら?その他の費用の相場も徹底紹介
3-1.相続登記のみを依頼する場合の相場
司法書士に相続登記のみを依頼する場合、司法書士に支払う報酬の相場は、おおむね7万円~10万円です。対象の不動産の数や相続人の数が多い場合のほか、不動産の価格が高い場合には、報酬が加算されるケースがあります。
司法書士への報酬とは別に、法務局へ納める登録免許税や戸籍謄本などの取得費用といった実費もかかります。これは司法書士に依頼しない場合でもかかる費用です。
登録免許税は不動産の固定資産税評価額の0.4%の金額です。戸籍謄本などの取得費用は1通あたり300円~750円程度で、通数が多くなるほど費用がかかります。
3-2.相続手続きをまとめて依頼する場合の相場
司法書士事務所によっては、あらゆる相続手続きをまとめて任せられる「おまかせパック」といったサービスを提供しています。
たとえば、下記のような業務をまとめて依頼することができます。
- 相続人の調査
- 法定相続情報一覧図の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 登記申請書類一式の作成
- 登記申請の代理
- 登記完了書類の代理受領・納品
「おまかせパック」の報酬は事務所によって異なりますが、約20万円を基本に相続財産の価額に応じて加算されることが一般的です。登録免許税や戸籍謄本の取得費などの実費は、別途支払う必要があります。
3-3.不動産相続登記の司法書士報酬・実費のシミュレーション
司法書士の費用について具体的なイメージを持てるよう、持ち家がある場合を想定したモデルケースをもとに司法書士報酬と実費の例をご紹介します。
【モデルケース】
故人の自宅(土地・家屋をあわせた固定資産税評価額5,000万円)を相続する場合。
このケースで相続登記のみを司法書士に依頼した場合は、7万円~10万円の報酬がかかります。
相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額に対して0.4%の税率で課され、このケースでは下記のとおり20万円となります。
- 登録免許税の金額:5,000万円×0.4%=20万円
このほか、戸籍謄本の取得費などとして実費1万円を見込むと、合計で28万円~31万円程度が目安となります。
なお、この金額はあくまでも想定される報酬および実費の目安です。実際に依頼する場合は、司法書士事務所にご確認ください。
4.相続手続きを司法書士に依頼するメリット

相続人の調査や遺産分割協議書の作成、相続登記といった手続きは、自分で行うこともできます。「費用をかけてまで司法書士に頼む必要があるの?」と思う人もいるかもしれません。しかし、慣れない手続きは相続人の負担になり、手続きができたとしても手間と時間がかかってしまいます。
また、いくつかの相続手続きをそれぞれ異なる専門家に依頼するのではなく、1回の依頼で済ませてしまいたいという人もいるでしょう。
ここでは、相続手続きを司法書士に依頼するメリットを2点ご紹介します。
4-1.手続きの手間と時間を大幅に軽減できる
戸籍謄本などの収集、遺産分割協議書の作成、法務局とのやり取りなど、相続手続きには多くの作業が必要です。また、法務局や市区町村役場など、平日の日中にしか開いていない場所での手続きも伴います。
そのため、仕事や家事と並行して1人で相続手続きを進めることは大きな負担になります。司法書士に依頼すれば、こうした作業の多くを代行してもらえます。
また、複数の手続きが必要な場合は、まとめて依頼できると手間がかかりません。司法書士は幅広い範囲の相続手続きに対応するほか、他の専門家と提携している場合が多いです。まずは司法書士に相談して、必要に応じて他の専門家を紹介してもらうこともできます。
4-2.専門的な知識でトラブル回避が期待できる
相続手続きで提出書類に不備があると、提出先から修正や追加の書類提出を求められ、手続きをやり直す必要があります。司法書士に依頼すれば、こうした手戻りを防ぐことができます。
また相続では、遺産の分け方によって相続税の額が変わることがあります。さまざまな特例を効果的に適用することで、税額を軽減することもできます。司法書士から税理士への連携によって、必要以上の納税を防げる可能性もあります。
5.司法書士選びで失敗しないための4つのポイント

専門家に依頼するメリットを踏まえ、実際に司法書士に相談するときは、どのような基準で選べばよいでしょうか。ここでは、司法書士選びで失敗しないための4つのポイントをご紹介します。
5-1.「相続専門」の実績が豊富か
司法書士はあらゆる相続手続きに対応できますが、すべての司法書士が相続手続きを専門にしているわけではありません。不動産取引や会社設立、任意整理、成年後見などを専門とする司法書士もいます。
相続手続きを依頼するなら、相続を専門としている司法書士に依頼しましょう。司法書士事務所のホームページなどで、相続関連の相談件数や解決事例、口コミを確認しておくと安心です。
5-2.料金体系が明確で、事前に見積もりの提示があるか
相続手続きを正式に依頼する前に、報酬と実費を分けた明確な見積もりの提示があるかを確認しましょう。「3.司法書士報酬はいくら?費用の相場と内訳を解説」でご紹介した相場を参考にすると、報酬や実費が適正かどうかを判断できます。
あわせて、どのような場合に追加費用がかかるのかを確認しておくこともおすすめします。
5-3.他の専門家(税理士・弁護士)と提携しているか
相続では税理士や弁護士のサポートが必要になるケースも少なくありません。他の専門家と提携している司法書士事務所であれば、一つの窓口であらゆる手続きを進められます。
5-4.自分の地域で対応してもらえるか
インターネットでは、相続専門のさまざまな司法書士事務所を検索できます。しかし、事務所によっては対応エリアが限定されている場合があります。「相続 司法書士 ○○(お住まいの地名)」で検索すると、地域密着で対応している事務所を見つけられるでしょう。
なお、最近はオンライン相談を行う事務所もあり、地域を問わず相談できる機会も増えています。
6.司法書士の無料相談窓口の探し方
ここまで、相続手続きを司法書士に依頼した場合の費用をはじめ、司法書士の選び方をご紹介しました。しかし、「まずは無料で相談したい」という人も少なくないでしょう。
最後に、司法書士に無料で相談できる代表的な窓口をご紹介します。
6-1.司法書士会の無料相談窓口
日本司法書士会連合会や各都道府県の司法書士会は、相続登記に関する無料相談窓口(相続登記相談センターなど)を設けています。会場を設けて相談を受け付けるほか、電話相談を行う司法書士会もあります。
司法書士会の無料相談を利用したい場合は、お住まいの都道府県の司法書士会のホームページで、無料相談の実施日時や相談方法を確認するとよいでしょう。
6-2.市区町村役場の法律相談・法テラスの無料相談
市区町村役場でも、司法書士による無料相談会を定期的に実施しているケースがあります。ただし、1回あたり20分~30分程度と時間が限られており、その場で契約や具体的な手続きの依頼はできない点に注意が必要です。
法テラス(日本司法支援センター)は、収入や資産が一定基準以下の方を対象に無料相談を行っています。誰でも利用できるわけではないため、事前に利用条件を確認しておきましょう。
6-3.司法書士事務所が行う初回無料相談
司法書士会や市区町村役場の無料相談とは別に、個々の司法書士事務所が独自に「初回無料相談」を実施しているケースも多くあります。公的な窓口が時間制限を設けているのに対し、事務所が行う無料相談は比較的柔軟に時間を取ることができ、そのまま依頼を検討したい方におすすめできます。
ホームページに「初回相談無料」と記載している事務所も多いため、相談したい事務所が見つかれば、まずは無料相談の有無を確認してみるとよいでしょう。
7.相続の相談先に迷ったら司法書士へ相談を
この記事では、相続の相談で司法書士にどこまで依頼できるのかをはじめ、税理士・弁護士との違いや報酬・費用、司法書士の選び方などをご紹介しました。
実際に司法書士に相談するときは、事前相談で伝えた内容をもとに見積りが提示されます。業務内容や報酬の金額に納得できれば契約をして手続きが始まる、という流れで進むことが一般的です。司法書士に一度依頼すれば、相続人・相続財産の調査から不動産の名義変更まで、必要な手続きをまとめて任せることもできます。
ただし、相続税の申告が必要な場合は司法書士だけでは対応できないため、あわせて税理士への相談も検討しましょう。
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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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