死亡一時金とは誰が受け取れるお金?期限、金額、併給の条件など
死亡一時金とはどのようなときに受け取れるのでしょうか?対象となる条件を知り、まずは当てはまっているか確認しましょう。併せて請求方法や支給金額も解説します。同時には受け取れない年金もあるため、事前にチェックしましょう。
この記事の目次 [表示]
1.国民年金から死亡一時金が出る条件
国民年金から支払われる死亡一時金ですが、加入していれば誰でも受け取れるわけではありません。受給開始に必要な条件から確認していきましょう。
1-1.国民年金保険料を36カ月以上納めた
国民年金の加入者を第一号被保険者といいます。死亡一時金を受け取るには、亡くなった人が第一号被保険者として死亡の前月までに『36カ月以上』保険料を納付していなければいけません。
保険料を納付していたとしても、免除を受けていると月数の数え方が異なる点に注意しましょう。免除された月は下記のように計算します。
- 1/4免除:月数の3/4
- 半額免除:月数の1/2
- 3/4免除:月数の1/4
例えば納付済み期間の月数が100月、1/4免除期間で納付している期間が12月あるときには『100月+12月×3/4=109月』と計算します。
1-2.老齢基礎年金や障害基礎年金は未受給
同時に満たしていなければいけないのは、亡くなった人が年金を受けていないという点です。国民年金法で定められている老齢基礎年金や障害基礎年金を生前に受給していた場合、死亡一時金は受け取れません。
生前に年金の受給が開始していなければ、死亡一時金として受け取れます。
2.条件に当てはまる場合は請求を
36月以上の加入と年金未受給という二つの条件を満たしていても、何もしなければ死亡一時金は支払われません。受け取りには請求の手続きが必要です。
2-1.死亡一時金の請求方法
死亡一時金を請求する際には、下記の必要書類をそろえて年金事務所へ提出します。請求書は市区町村役場、もしくは年金事務所か年金相談センターに備え付けのものを使いましょう。
- 国民年金死亡一時金請求書
- 亡くなった人の年金手帳
- 戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
- 亡くなった人の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票の写し
- 受取先金融機関の通帳等(本人名義)
これらの書類のほかに、同居していなかった遺族は『生計同一証明』も提出が必要です。書類を提出すると、約105日で一時金支給決定通知書が届きます。さらに50日ほどで実際に受け取り可能です。
2-2.請求期限2年に注意しよう
請求には『2年』の期限があることにも注意しましょう。死亡日の翌日から2年が経過すると時効を迎えます。時効が成立した後は、条件を満たし請求したとしても受け取れません。
ただし失踪宣告を受けた人の場合、死亡日の翌日からではなく、失踪宣告の審判確定日から2年が時効です。いずれにしても時効になり受け取れなくなる前に、早めに請求しましょう。
3.誰がいくら受け取れるの?
請求者と亡くなった人の関係によっては、死亡一時金を受け取れない可能性もあります。請求手続きの前に、誰が受け取れるのか、いくら受け取れるのかも確認しておきましょう。
3-1.生計を共にしていた遺族
死亡一時金を受け取れるのは、同一生計で、亡くなった人によって生計を支えられていた遺族です。例えば父母と子どもの家族のうち、生計を支えていた父が死亡した場合、配偶者である母が受け取れます。
この例で父が単身赴任中で別居していても、生活費を負担しているのが父であれば対象です。ただし生計を支えているのが母で父が死亡した場合には、同居・別居どちらのケースでも受給できません。
また受け取れる遺族には優先順位が付けられています。配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順で、先の順位の人が受け取れないときに権利が繰り下がっていく仕組みです。
3-2.合計月数に応じた死亡一時金の額
受け取れる死亡一時金は、生前に保険料を納付した月数で決まります。先に挙げた方法で納付済み月数と免除を受けた月数を足し、下記に当てはめましょう。
- 36カ月~180カ月未満(3年以上15年未満):12万円
- 180カ月~240カ月未満(15年以上20年未満):14万5,000円
- 240カ月~300カ月未満(20年以上25年未満):17万円
- 300カ月~360カ月未満(25年以上30年未満):22万円
- 360カ月~420カ月未満(30年以上35年未満):27万円
- 420カ月~(35年以上):32万円
加えて付加保険料を36月以上納付していると、給付される金額に8,500円プラスされます。
4.死亡一時金と併給できない年金
年金の中には死亡一時金と同時に受け取れないものもあります。年金を受給するときには、仕組みを知り適切な選択をしましょう。
4-1.対象の子どもがいる場合の遺族基礎年金
『遺族基礎年金』を受けられる子どもがいる場合には、死亡一時金の受給はできません。遺族基礎年金の対象となるのは、同一生計で下記を満たしているケースです。
- 18歳の年度末を迎えていない
- 20歳未満で障害等級1級か2級
- 婚姻していない
- 前年の年収が850万円以下
これらの条件を満たしていれば、年間78万1,700円に子どもの人数分の加算額をプラスした遺族基礎年金を受け取れます。
4-2.妻が残されたときの寡婦年金
寡婦年金も死亡一時金と同時には受け取れません。第一号被保険者の中で、免除期間も含め10年以上保険料を納付している人が亡くなった場合に受給できます。
対象者は亡くなった人の妻で、継続した婚姻関係が10年以上あり、生計を夫が支えていたことも条件です。どちらの権利もある場合には、どちらを受給するか選びましょう。
5.国民年金以外の給付についても確認しよう
保険や年金の加入状況によっては、死亡時に受け取れるお金がほかにもあるかもしれません。その他の給付についてもチェックしましょう。
5-1.生命保険の死亡保険金を確認
生前に生命保険を契約していたなら、死亡保険金を受け取れるかもしれません。まずは保険会社へ連絡し、必要な書類や契約内容について確認しましょう。
一括で受け取るか年金として受け取るか選べるケースもありますが、受け取り方や契約内容によって、所得税・相続税・贈与税など納税が必要です。
また告知義務違反や故意に被保険者を死亡させた場合には、死亡保険金は給付されません。
5-2.厚生年金加入者は遺族厚生年金の確認
亡くなった人が厚生年金にも加入していたなら、遺族厚生年金についても確認しましょう。被保険者の状態で死亡した場合や、被保険者期間中の傷病がもとで5年以内に死亡した場合に対象です。
加えて25年間以上の老齢厚生年金受給資格がある人や、1級か2級の障害厚生年金を受けられる人が死亡した際にも受け取れます。ただし30歳未満の妻で子どもがいない場合、受け取れるのは5年間限定です。
また遺族厚生年金は厚生年金から、死亡一時金は国民年金から支給されるため、条件を満たしていれば併給もできます。
6.受け取れる権利のあるお金は忘れずに請求を
国民年金に36月以上加入しており、老齢基礎年金や障害年金を受給していない人が亡くなった際に、遺族は死亡一時金を受け取れます。同一生計の配偶者・子・親・孫・兄弟姉妹のいずれかが請求可能です。
ただし亡くなった日の翌日から2年で時効を迎えるため、できるだけ早いタイミングで支給しましょう。12~32万円の間で加入月数に応じて決められた金額を支給されます。
ただし遺族基礎年金や寡婦年金との併給はできません。一方、生命保険の死亡給付金や遺族厚生年金は同時に受け取れるため、加入状況に合わせて請求しましょう。
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