死亡した際のNHKの解約方法|未払受信料の相続についても解説
NHKの受信契約をしていた契約者が亡くなり受信契約を解約する場合には、NHKに電話をして解約に必要な書類を送付してもらい、記入をして提出する必要があります。
その後も引き続きNHKを見るのであれば、名義変更の手続が必要です。ただし、手続をしても未払受信料がある場合は支払義務がなくならず、相続人に引き継がれます。
受信料の他にも公共料金や医療費、さらには高額になることもある入院費用・賃料など、被相続人の死亡時点で未払となっている費用は相続の際に債務として計上されます。未払金は相続財産の算定に影響するので、存在を証明するために金額がわかる書類を残しておくことが大切です。
この記事の目次 [表示]
1.死亡後のNHK利用状況により解約または名義変更が必要となる
公共放送であるNHKは民放と違い、地上波や衛星放送などテレビが見られる環境がある場合、契約義務が発生します。支払い義務は法律で定められていないものの、受信料と公共放送についての理解を深めてもらうために、NHKは訪問営業も実施。直接話を聞いて契約をする人も多くいます。
そのため亡くなった人が生前NHKを好んで視聴していない場合でも、NHKと契約している可能性は十分にあります。亡くなった人が一人暮らしをしていた場合、誰もいない家に請求書が届き続けている可能性もあるため確認しておきましょう。
また、NHKの契約は自動的に解約されることはありません。自ら解約を済ませるまで、支払いを続けなければならないのです。契約者本人が亡くなっている場合、相続人に支払い義務が発生します。相続人が損をしないためにも、契約者が亡くなった後の手続はしっかりと済ませておきましょう。
1-1.解約手続が必要となるケース-一人暮らしの場合
亡くなった人が一人暮らしで、テレビや家を引き継ぐ同居人などがいない場合は、相続人が契約者の代わりに解約手続を進めることが可能です。NHKのホームページでは、以下の場合に解約できると明記されています。
[解約の主な事由]
(1)受信機を設置した住居にどなたも居住しなくなる場合
・2つの世帯が1つになる場合※
・世帯消滅
・海外転居 など
※一人暮らしの解消、単身赴任の解消など、2つの世帯が1つになる場合は、いずれか一方の受信契約が解約の対象となります。
(2)廃棄、故障などにより、受信契約の対象となる受信機がすべてなくなった場合
・受信機の撤去
・受信機の故障
・受信機の譲渡 など
上記の内容から、NHKを解約できる条件は下記のどちらか、または両方に当てはまる場合となります。
- 契約者が何らかの理由でいなくなった
- 地上波や衛星放送を受信できる環境がなくなった
亡くなった人の家に誰も住まない場合、上記の両方を満たすため解約できます。また、誰かが亡くなった人の家に住むとしても、テレビを撤去または譲渡する場合は二つめの条件に当てはまるためNHKを解約できます。
契約者が亡くなったとき以外にも、二世帯が一世帯に統合して契約者が1名になる場合や、契約者が海外転居する場合などで解約が必要です。
1-2.名義変更手続が必要となるケース-同居していた場合
亡くなった人と同居していた人が元々の視聴環境を相続する場合、解約でなく「名義変更」の手続が必要です。放送を受信できる環境があり、そこに住む人がいる以上は、解約できません。
ただし、二世帯住宅で個々に受信契約を結んでいた場合、亡くなった人の契約だけを解除することはできます。また、引き続き亡くなった人と同じ家に住む場合でも、テレビを完全に撤去する場合には解約が可能です。
解約手続を放置すると受信料が請求され続ける
解約は面倒に思えるかもしれませんが、できるだけ早めに済ませておきましょう。なぜなら、解約手続をしないといつまでも受信料が請求され続けるからです。
解約のタイミングが遅れると、契約者が亡くなってから解約までの間の料金を支払う必要があるのか、という問題が発生します。
NHKは、亡くなった日を証明できる書類を提出すれば、無駄に支払った分の料金を返金する対応を取っています。しかし後になって時間をさかのぼって手続するよりも、亡くなってから日の浅いうちに解約を済ませた方が、スムーズかつ確実です。
また、解約を行わないまま支払いの滞納を続けると、裁判所を介して財産を差し押さえられる可能性もあるため注意しましょう。
2.契約者死亡によるNHKの受信契約の解約方法
NHKの解約方法は以下のとおりです。
- NHKに連絡する
- 解約したい旨を伝えて解約書類を送ってもらう
- 解約書類に記入してNHKに返送する
できるだけ早くに解約手続を済ませれば、テレビを使っていないにもかかわらず支払いだけが無駄に発生する事態を防げます。また、解約手続は時間が経過すると忘れてしまう可能性も高くなるため、覚えているうちに済ませておくとよいでしょう。
2-1.NHKに連絡する
まずは下記の連絡先に問い合わせて、契約者が亡くなったことと解約を希望する旨を伝えましょう。
NHKふれあいセンター
ナビダイヤル:0570-077-077
ナビダイヤルが利用できない場合:050-3786-5003
受付時間:9時~18時(土・日・祝日も受付)※年末年始を除く
このとき、契約内容を確認するため亡くなった人の個人情報や「お客様番号」を聞かれます。お客様番号は亡くなった人に届いた請求書などに記載されているため、手元に用意しておくとスムーズです。
2-2.解約したい旨を伝えて解約書類を送ってもらう
解約したい旨を伝えると、NHKから「放送受信契約解約届」が郵送されてきます。このとき、契約者の死亡による解約の場合、契約者の死亡が証明できる書類が必要です。医師の死亡診断書や、戸籍又は除籍謄本などを用意しましょう。
2-3.解約書類に記入してNHKに返送する
▲死亡届・診断書
引用: 死亡届|法務省
放送受信契約解約届には解約する人の個人情報に加え、解約理由や解約する受信機の台数などを記入する欄があります。すべて誤りのないように、正確に記入しましょう。記入を終えたら同封の返信用封筒で、契約者の死亡を証明する書類とあわせて返送します。
後日、NHKから解約の受理を知らせる書類が届けば、解約は無事に完了です。以降、NHKからの請求書が届くことはありません。
3.契約者死亡によるNHKの受信契約の名義変更方法
亡くなった人のテレビや視聴環境を誰かが引き継ぐ場合、亡くなった人から相続人へ名義変更の手続が必要です。名義変更は電話での問い合わせのほか、インターネットでも手続できます。
電話での名義変更は、インターネット上の手続に不安のある人やオペレーターに聞きながら手続をすすめたい人におすすめです。またインターネットなら時間を問わず手続できるため、忙しい人にもおすすめの手続方法といえます。
3-1.NHKに連絡する
まずは以下の窓口に問い合わせ、名義変更したい旨を伝えましょう。
NHKふれあいセンター
ナビダイヤル:0570-077-077
ナビダイヤルが利用できない場合:050-3786-5003
受付時間:9時~18時(土・日・祝日も受付)※年末年始を除く
3-2.名義変更したい旨と新しい契約者の情報を伝える
名義変更したい旨を伝え、その後はガイダンスとオペレータの指示に従って新しい契約者の情報を伝えましょう。
このとき、必要書類等について聞いておくと安心です。場合によっては引き落とし口座変更の届出書の記入や、亡くなった人との関係が分かる書類(戸籍謄本など)の郵送を指示される場合もあります。
3-3.インターネットで名義変更手続をする
インターネットで名義変更手続をする場合、NHK受信料窓口の放送受信料 契約者氏名変更の手続きにアクセスします。
表示された画面の入力フォームに必要事項を記入し内容を送信するだけで、簡単に名義変更が可能です。
4.NHK受信料の未払金がある場合の相続時の取扱い
▲相続放棄をした後の相続権移行の順番
原則として亡くなった人の財産は、法定相続人の中で優先順位が高い人から相続することになります。最も優先順位が高いのは配偶者と子どもです。また、財産を相続するにあたり、マイナスの財産とプラスの財産を洗い出して計算する必要があります。
NHKの受信料がもし未払いになっている場合、マイナスの財産としてカウントされます。状況に応じて、相続人が損をしないように対応することが重要です。
4-1.未払金は相続債務として相続人が引き継ぐ
生前に滞納していたNHKの受信料も、相続の対象です。相続の対象となるマイナスの財産を「相続債務」と呼びます。NHKの未払い受信料に限らず、亡くなった人の借金なども相続債務の一種です。相続人は、こうしたマイナスの財産とプラスの財産を合算して相続することになります。
4-2.相続財産がプラスなら相続財産から支払うことができる
相続財産を合計してプラスになる場合は、未払いの受信料は相続財産から支払えます。ほかにも未払いの料金がある場合は、できるだけ早く支払っておきましょう。未払いの料金をそのまま放置しておくと、遅延損害金を請求されたり訴えられたりするリスクが高まります。
NHKの場合、未払いの受信料がある人には郵送で督促状が送られてきます。未払い分の支払いは督促状の内容に従って進めましょう。相続人が立て替えるより、亡くなった人の財産から直接支払ったほうが、遺産分割をスムーズにできます。
4-3.未払金を立て替えて支払うときは証明できる書類を保管しておく
亡くなった人の口座が凍結されている場合は、相続人が一時的に立て替えて支払う必要があります。このとき、後の遺産分割をスムーズにするためにも領収書を取っておきましょう。
また、未払金の立て替え分は債務控除に含まれます。債務控除とは、相続財産から相続人が負担した亡くなった人の債務や葬儀費用などを差し引いて、相続税を算出できる制度のことです。
少しでも相続税の額を抑えるためにも、立て替えた分は領収書を取って記録しておきましょう。葬儀費用など、亡くなった人にかかるその他の出費についても同様です。納税額を葬儀費用で減らす仕組みや方法については、下記の記事をご覧ください。
参考: 相続税の納税額は葬儀費用で減らすことができる |相続税のチェスター
4-4.未払金は相続放棄すれば支払不要-放棄しても支払う責任が発生する場合もあるため注意
財産を整理した結果、マイナスの財産の方が多いために相続したくない場合は「相続放棄」を行えば、相続人がNHKの未払金を支払う必要はありません。
ただし、以下の未払いについては相続放棄をしても支払い義務からは逃れられないので注意しましょう。
相続放棄をしても支払い義務が発生する未払金
- 公共料金
- 家賃
- 食費や生活用品の購入料金など生活にかかる費用
- 医療費
- 養育費
- 娯楽費
- 交際費 など
上記は「日常家事債務」と呼ばれ、亡くなった人と生活する上で深い関わりのあった人が連帯して支払い義務を負うものです。未払いの公共料金や、相続放棄については下記の記事をご覧ください。
参考 : 相続放棄をした際の未払公共料金 |相続税のチェスター
参考 : 相続放棄って何?判断基準から手続き方法・期限など、相続放棄の基礎知識 |相続税のチェスター
5.未払金は相続税の計算の際に債務控除の対象となる
財産にはプラスとマイナスのものがあり、それらを合算した額から基礎控除額や非課税財産の価額を差し引いた金額に対して相続税が課税されます。NHK受信料の未払金はマイナスの財産に該当するため、債務控除の対象となるのです。
なお債務控除するには、該当の財産が以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
- 被相続人が死亡した時点で確実に発生していた債務
- 葬儀費用
死亡後に発生した債務や、相続人の責任によって生じた債務は債務控除の対象になりません。
5-1.相続税の債務控除ができる未払金の例
相続人が支払わなければならない未払金のうち、以下の未払金は債務控除の対象となります。
債務控除の対象となる未払金
- 公租公課
- 公共料金
- 医療費
- クレジットカード代金
- 事業経営や不動産運用上の債務
- その他サービスに対する料金 など
5-2.相続税の債務控除ができない未払金の例
▲債務控除ができる未払金とできない未払金
被相続人が亡くなった時点で発生していても、例外的に債務控除の対象とならない未払金があります。それはお墓や仏壇の購入にかかる代金の未払いです。相続税法第12条では、お墓や仏壇など、神仏を祀るための財産の課税について以下のとおり定めています。
第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
お墓や仏壇は「祭祀財産」と呼ばれ、課税の対象となりません。
6.死亡後のNHKの解約手続と未払金の相続財産への計上は忘れずに
家族が亡くなると、葬儀の準備や遺品整理などさまざまな手続に追われ、NHKの解約手続などは後回しにしてしまうこともあるかもしれません。しかし、解約が遅れれば遅れるほど請求は続き、支払わなければならない額が大きくなります。
2021年2月に、NHK受信料の未納に対し割増金の徴収が可能になる放送法改正案が閣議決定されました。電話やインターネットでできる手続は早く済ませ、無駄な料金を払うことがないようにしておきましょう。
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