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相続放棄の撤回(取り消し)は可能|できるケースとその方法を事例で確認

相続放棄の撤回(取り消し)は可能|できるケースとその方法を事例で確認

相続放棄は原則として撤回できません。しかし特定のケースに該当する場合は、例外的に「取消し」が認められています。

相続放棄の取消しは、決められた期間内での手続が必要です。取消しが認められているケースについて詳しく事例を確認して、注意しながら手続を進めましょう。

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1.相続放棄の撤回はできないが取消しはできるケースがある

相続放棄は原則撤回できません。容易に撤回できてしまうと、ほかの相続人に迷惑がかかってしまうためです。しかし、取消しが認められるケースもあります。撤回と取消しの違いについて確認しましょう。

1-1.撤回と取消しの違いとは

撤回と取消しの違いとは

▲撤回と取消しの違いは効果・効力を失わせなくてはならない事柄が生じた時期にある

撤回と取消しの違い

  • 撤回 :過去になされた行為の効果を将来に向かって消滅させること
  • 取消し:相続放棄した時点で問題ある法律行為の効力を当初に遡って失わせること

相続放棄をしたあとで新たな問題が発生し、その時点から相続放棄の効力が失われることを「撤回」といいます。一方、相続放棄した時点で問題があり、相続放棄をした時点に遡って効力を失わせることは「取消し」です。

1-2.まだ相続放棄申述書が裁判所で受理されていない場合

家庭裁判所で相続放棄が受理されるまでは、いつでも取下げできます。申立てから受理まで数週間から1か月程度かかるため、その間に取下書を家庭裁判所へ提出することで撤回可能です。受理されるまでは、いつでも取下げできるため早めに手続しましょう。

2.相続放棄を取り消せる2つのケースを事例で紹介

相続放棄を取り消せるケース

  • 判断能力に問題のある人が単独で実行した場合
  • 本意ではないまま実行したことを証明できる場合

相続放棄の申し出時点で問題が発生していた場合に認められるのが「取消し」です。どのようなケースで認められるか確認しましょう。

2-1.判断能力に問題のある者が適切な手順を踏まず単独で行ったケース

法律行為に制限のある人が単独で行った相続放棄は取り消せます。単独での法律行為が制限されている人を、制限行為能力者といいます。

制限行為能力者とは

  • 未成年者
  • 成年被後見人
  • 被保佐人
  • 被補助人

相続放棄の申し出は法律行為にあたるため、単独で行う場合は取消せます。制限行為能力者それぞれのケースで同意すべき人は異なるため、注意が必要です。

相続放棄が受理された時点で、すでに問題が生じているケースは取消しができます。

2-1-1.未成年者が法定代理人の同意を得ずに単独で行った場合

未成年者が法定代理人である親権者の同意を得ず、単独で相続放棄した場合は取り消せます。未成年者が法律行為を行う場合は、法定代理人である親権者の同意が必要です。同意のないまま、未成年者がひとりで行った相続放棄であれば取り消せます。

実際は申立時に戸籍謄本を提出して家庭裁判所でチェックするため、受理されることはほとんどありません。

2-1-2.成年被後見人・被保佐人・被補助人が定められた方法以外でおこなった場合

制限行為能力者同意や許可を得る対象
成年被後見人成年後見人
被保佐人保佐人の同意
家庭裁判所の許可
被補助人補助人の同意
家庭裁判所の許可

▲制限行為能力者に応じた同意や許可を得る対象

未成年者を除く制限行為能力者が単独で行った相続放棄は取り消せます。制限行為能力者はひとりでは正しい判断ができず、保護する必要があるためです。

重要な決定において裁判所が選任した成年後見人や保佐人が、判断をサポートする仕組みとなります。

2-2.相続放棄の判断が自分の本意ではなかったケース

判断が自分の本意でないケース

  • 詐欺
  • 強迫
  • 錯誤

相続放棄の判断が、自分の本意ではないことを証明できれば取り消せます。本意でないまま判断したケースを確認しましょう。

2-2-1.詐欺-人に騙されて勘違い・思い違いをしてしまった

兄に多額の借金があり相続放棄しないと莫大な借金を背負うと騙されたケース

父が他界し、相続人は私と兄の二人です。同居して晩年、父の財産を管理していた兄が中心となり、相続手続を進めることに。財産調査していた兄から、父には事業で失敗した多額の借金があり、相続放棄しないと莫大な借金を背負うことになると言われました。兄から渡された父の財産調査した資料を見たところ、財産以上に多額の借金があることは明らかだったため相続放棄しました。

ところが後日、兄が父の資産すべてを相続していることが判明。問い詰めたところ父には借金がなく、全財産を引き継ぐため財産調査の書類を偽造し、私が相続放棄するように仕向けていたことを白状しました。

他の相続人に騙されたために相続放棄した場合であれば、取り消せる可能性があります。偽造した書類や発言をもって、自分の本意とは異なると判断した場合は確認してみましょう。本事例のように、財産をひとり占めするために明らかに騙す意図をもって相続放棄するよう誘導したことを証明できれば、取消しが認められます。

2-2-2.強迫-人に脅され恐怖心から相続を放棄してしまった

義理の母から相続放棄しないと家族に危害を加えると脅されたケース

父が他界し、相続人は私と晩年再婚した義理の母の2人でした。反対を押し切って再婚した父とは疎遠になっていましたが、唯一の子どもである私も財産を引き継ぐ権利はあると主張したところ、いまある父の財産は再婚してから築いたものなので、すべて私が引き継ぐと義母に言われました。

当然反論しましたが、次第にエスカレートする義理の母。放棄しないと私の家族に危害を加えるとまで言われました。家族の安全が第一と考えた私は、仕方なく相続放棄しました。

強迫による相続放棄は、取り消せる可能性があります。家族に危害を加えるような発言に恐怖を感じ、自分の本意とは異なる選択をしたと判断できる場合は確認してみましょう。本事例のように義理の母の発言や行動により命の危険を感じ、相続放棄せざるを得なかったことが証明できれば取消しが認められます。

2-2-3.錯誤-自分の勝手な勘違いで相続を放棄してしまった

父には負債しかないと思い込んでおり全員で相続放棄したケース

父は多額の借金があり、母と私(長女)は相続放棄しなければいけないものと思い込んでいました。預金などの財産は少しありましたが、到底返済できる金額ではありませんでした。母と相談し、借金を背負いたくなかったため相続放棄しました。

数年後、父の遺品を整理していたときに見慣れない通帳を発見。確認したところ借金をはるかに超える預金があるとわかりました。

勝手な勘違いによる相続放棄は、取消せる可能性があります。民法において相続放棄という重要な意思決定は「取り消されるほど重大な錯誤があった場合であれば取り消せる」とあるためです。ただし、相続放棄した人が十分に財産調査していた場合は、判断に対して重大な過失がなかったことを証明する必要もあります。

取消しを認めてもらいたくても、初心者には高いハードルです。法律の専門知識がないと取消し手続を進めることは困難であるため、不安を感じる場合は専門の弁護士に依頼してみましょう。

3.相続放棄が無効になる2つの事例

相続放棄が無効になる2つの事例

相続放棄が無効となるケースもあります。

相続放棄が無効になるケース

  • 知らぬ間に勝手に相続放棄されていたケース
  • 相続財産を使ってしまったケース

相続放棄の効果を消滅させる手続において、無効の意味合いは撤回や取消しとも異なります。無効とは、相続放棄そのものが有効ではないことを主張する行為です。取消しのように定められた手続がなく、有効かどうかを裁判で争うことになります。どのようなケースが無効になるか確認しておきましょう。

3-1.知らない間に無断で相続放棄されていた場合

知らない間に無断で手続した相続放棄は無効になります。本人の意思に反する手続であるからです。

たとえば、偽造の書類に署名・押印した場合は無効となる可能性があります。無効にするためには、有効を主張する人に対する裁判が必要です。無効を争うための裁判は、専門知識のない素人が行うのは大変なため、不安を感じる場合は専門家に相談しましょう。

3-2.故人の財産を使ってしまった場合

故人の財産を少しでも使った場合は相続放棄が無効です。財産を使ったことでプラスの財産も借金もすべて相続する「単純承認」したものとみなされ、相続放棄できなくなります。

たとえば、故人の財産から葬儀費用を支払った場合や故人が所有していた車などを勝手に処分した場合も、単純承認に該当するため相続放棄できません。

単に故人の財産を使うだけでなく処分した場合も、相続する意思がある単純承認とみなされるため相続放棄できなくなります。

4.取消しできる期間には限りがある?手続は難しいのか

取消しできる期間には限りがある?手続は難しいのか

期間内に定められた手続を行わなければ、相続放棄の取消しは認められません。

相続放棄における取消権の期間

  • 追認できるときから6ヶ月以内
  • 相続放棄が受理された日から10年以内

(追認の要件)

第百二十四条 取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。

2 次に掲げる場合には、前項の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない。

一 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をするとき。

二 制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき。

引用:民法第124条|法令検索

期日を超過すると、取消権が時効によって消滅します。受理した相続放棄を取り消すためには、家庭裁判所へ取下書の提出が必要です。期間や手続に注意して相続放棄を取り下げましょう。

4-1.取消しできる期間が過ぎていないか確認する

取消しは追認できるときから6ヶ月、相続放棄が受理されたときから10年以内に手続しましょう。期間を超過してしまうと、取消しできる権利が時効により消滅します。

「追認できるとき」は、相続放棄を取り消さなければならない状況が消滅したときを起点とするのが一般的です。たとえば強迫を受けた場合、その状況から抜け出し正しい判断ができる状況に達した時点が該当します。

期日が過ぎてしまうと、相続放棄を取り消せなくなってしまうため注意しましょう。

4-2.相続放棄をした人が家庭裁判所に相続放棄取消申述書を提出する

手続の流れ備考
1.家庭裁判所へ
相続放棄の取消しを伝達
取消しに必要な書類が郵送される。取消し申立てに必要な書類を準備する
2.家庭裁判所へ
相続放棄取消しのための書類を提出
必要書類一式を家庭裁判所へ提出
3.家庭裁判所による審理書類審査だけでなく、取消しに至った経緯について口頭で質問されることもある
4.相続放棄取消申述受理通知書を受理相続放棄の取り下げが受理

▲相続放棄取消し手続の流れ

表に示す手続の流れのとおり、相続放棄した本人が期間内に家庭裁判所に申立てる必要があるため、確認しながら進めましょう。

5.取消しが認められるとどうなる?問題はすべて解決するのか

取消しが認められるとどうなる?問題はすべて解決するのか

取消しが認められると、相続放棄が最初からなかったものとして扱われます。ただし、相続放棄を前提に行われた遺産分割や相続財産の処分などは、なかったこととして扱われるわけではありません。

遺産分割協議のやり直しや不動産登記の修正、財産の引渡しを受けるには、他の相続人の協力が必要です。協力が得られない場合は、裁判で争うことになります。取消しが認められた場合でも、解決すべき問題が残っている可能性があることを認識しておきましょう。

6.相続放棄の取消しを避けるためにできること

相続放棄の取消しを避けるために、できる準備や選択肢があります。

相続放棄の取消しを避ける手段

  • 財産や借金の内容をしっかり調査する
  • 限定承認を選択する

相続放棄の取消しは、相続の経験や法律の知識がない人にとって大変な手続です。取消しに該当するケースであっても、自分の意思ではないことを証明するための時間と労力が必要となります。また、裁判になった場合は、弁護士に依頼する時間と費用も必要です。

誤った判断で相続放棄しなければ、取り消す必要がありません。相続放棄を決断する前に、準備できることや選択肢を確認しましょう。

6-1.専門家に依頼して相続財産の内容を徹底的に調査する

専門家に依頼して相続財産の内容を徹底的に調査しましょう。財産や借金の内容をしっかり調査して判断することで、後々相続放棄を取消すといった事態を避けられます。また専門家に依頼することで、第三者による財産調査が行われるため安心です。ただし依頼先により異なりますが、費用が30万円〜100万円ほどかかることに注意しましょう。

また相続方法の判断は、死亡後3ヶ月以内に行うためスピードが重要です。あとから手間のかかることがないように、不安を感じる場合は財産調査を専門家に依頼してみてください。

6-2.限定承認ならば借金は相続せずに後に多額の財産が見つかった場合に相続する

限定承認で財産を引き継ぐことも検討してみましょう。限定承認とは、財産の範囲内で借金を返済する相続方法です。財産も借金も一切引き継がない相続放棄とは異なります。

3つの相続方法

  • 単純承認(財産も借金もすべて引き継ぐ)
  • 限定承認(引き継いだ財産の範囲内で借金を返済する)
  • 相続放棄(財産も借金も一切引き継ぎしない)

限定承認は遺産と借金を比べてどちらが多いかはっきりしない場合や、借金を返すことになっても相続したい財産があるときに選択するのが一般的です。ただし、手続が複雑なので場合によっては所得税の申告も必要となります。選択を検討する場合は、専門家への相談がおすすめです。

7.相続放棄の取消しは慎重に

相続放棄の撤回は不可能ですが、取消しであればできる可能性があります。ただし「取消しできるケースなのか」「申立てできる期間内なのか」の判断が難しく、慎重に行わなくてはなりません。取消しできるケースであっても、一旦受理された相続放棄を取り消す根拠の証明が必要であり、法律知識のない人が単独で行うことは困難です。

また、相続手続全体を考慮して対処する必要があり、相続に関する知識も必要です。相続放棄の取消しを検討したい人は、相続専門の法律家に相談することをおすすめします。

チェスターグループの法律事務所は、法律の専門家だけでなく数多くの相続案件をサポートしており、相続放棄に関する多くの経験とノウハウ、知見を持ち合わせています。相続放棄の取消しだけでなく、取消し後のスムーズな相続手続に対するアドバイスも充実。一旦放棄してしまった大切な人から受け取る財産をもう一度引き継ぎたい、と考えたときにはぜひお問合せください。気持ちに寄り添い、希望が叶うようお手伝いいたします。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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