相続放棄は何時でも出来る?放棄すべき場合はどんな時?手続き方法は?
相続放棄は相続開始後、いつまでもできるわけではありません。
一定期間を経過すると相続放棄の手続きができなくなってしまいます。そのため場合によっては、急いで手続きをしなければならないこともあるので注意しましょう。
そこで相続放棄の手続きをする際のポイントを解説していきます。
1.手続き前に相続財産の内容を検討しましょう
相続放棄をする場合、相続財産の内容について検討する必要があるでしょう。

相続放棄の手続きは基本的に借金などのマイナス財産が多い場合(債務超過の場合)に利用します。
債務超過の場合、相続してしまうと自分が借金などの返済義務を負ってしまうからです。逆に現金、預貯金、不動産などのプラス財産が多い場合、相続すればよいので、相続放棄を考える必要はありません。
また借金がある場合でも、それ以上に相続できるプラス財産(現金や不動産など)があれば、そこから精算できるので、相続放棄をしなくてもよいでしょう。

2.相続放棄の手続き方法と流れ
相続放棄をする場合、ただその意思表示をするだけでは足りません。申述書や書類等を家庭裁判所へ提出し、申述する必要があります。その後、家庭裁判所に申述を受理してもらえれば、相続放棄の効力が発生します。
相続放棄の手続き方法とその流れは以下のとおりです。

(1)手続きする家庭裁判所の管轄について
被相続人、つまり死亡した人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述する必要があります。手続きする人が自分で申述先の家庭裁判所を選べるわけではありません。
(2)家庭裁判所へ提出するもの
相続放棄をするには、いくつかの書類を提出し、手続き費用を納めなければなりません。
提出する書類は、申述書、死亡した人の戸籍謄本(場合によっては除籍謄本や改製原戸籍)と除票(戸籍の附票)、相続放棄の申述する相続人の戸籍謄本などです。
この他、手続きによって追加で書類の提出を求められる場合があります。
また相続放棄の申述をする場合、手数料が必要となります。申述人一人につき800円必要になるので、収入印紙で納めます。それから相続放棄の手続き費用として郵券(郵便切手)を納めなければなりません。具体的な額は家庭裁判所によって違いますが、1000円程度です。

(3)書類の提出方法
手続きを管轄する家庭裁判所まで足を運び、提出するのが基本です。一般の人が手続きする場合、受付担当者が親切に教えてくれるので、不明な点があっても問題ありません。
(4)家庭裁判所からの照会
申述書や書類等を家庭裁判所へ提出し、相続放棄の申述手続きをした後、家庭裁判所から照会書が送られてきます。
本人の意思で手続きしているのか、どのような動機で申述したのかを確認するのが目的です。家庭裁判所からの照会内容は、手続きする状況によって違います。
照会書に必要事項を記載して署名押印をし、家庭裁判所へ返送しますが、場合によっては面談が発生することもあります。
(5)相続放棄の効力発生とその後の手続き
照会書を返送後、家庭裁判所は手続きの審査をします。その結果、相続放棄の申述が認められれば、その受理通知書が家庭裁判所から届きます。
また相続手続きをする場合、相続放棄をしたことを証明しなければならない場合があります。このような場合、家庭裁判所から相続放棄申述受理証明書を取得して対処します。発行手数料は1通150円です。
3.単純な場合であればあまり時間はかからない
相続放棄にかかる作業時間は、手続き内容によって異なりますが単純な場合であればあまり時間はかかりません。
具体的に見てみると、役所や郵便局への移動時間を除けば、戸籍や除票などの必要書類や収入印紙の用意は40分あれば可能です。
相続放棄の申述書の作成も10分程度あれば十分でしょう。相続放棄申述の手続き、照会書への回答も30分程で済みます。したがって相続放棄をするための実働作業時間は、2時間もかかりません。
もちろん流れがわかっていればこの程度の時間でもできますが、上記の時間の何倍も多くかかってしまう方も多くいらっしゃるでしょう。
4..相続放棄は何日でできる?
相続放棄の手続きは1週間程度あれば十分可能です。
・初日にすること
手続き開始初日に相続放棄の申述書を作成します。裁判所のホームページからダウンロードし、それに記入するだけです。また家庭裁判所に用紙が備えられているので、それを利用してもよいでしょう。それから戸籍や除票など提出しなければならない書類を集めたり、収入印紙を用意したりして、申述手続きができるような状態にします。
・次の日にすること
次の日に相続放棄の申述書と書類や収入印紙を家庭裁判所へ提出します。
・手続きを開始してから1週間
その後家庭裁判所からの照会を受け、相続放棄の申述が受理されるまで3~4日です。手続き開始から1週間程度で相続放棄は完了します。
5.いつまでもできるわけではない相続放棄の手続き
相続が発生した場合、相続放棄を考えているのであれば、早めに手続きを進める必要があります。相続放棄は、手続きの期限が定められているからです。
民法915条に相続放棄の手続き期間の規定があります。具体的には自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に相続放棄をしなければなりません。

この期間のことを熟慮期間と呼びます。自己のために相続の開始を知ったとはどのような時なのでしょうか。
それは相続の発生を知り、自分がその相続人になったことを意味します。そのため被相続人が亡くなったから3カ月を経過してもその事実を知らなかった場合、まだ熟慮期間内にあるので相続放棄が可能です。また被相続人に死亡の事実を知った場合でも、自分が相続人になるという認識がない場合も同様の結果になります。
間違えやすいのが、相続放棄と同様の熟慮期間が定められている「限定承認」です。限定承認とは、相続した財産の限度で借金などのマイナス財産を負う相続の承認方法です。
家庭裁判所へ手続きする点も共通していますが、相違点も存在します。どちらも期限があるものですから、違いを把握したうえでどちらにするか決める必要があります。
相続放棄の場合相続は人一人で手続き可能ですが、限定承認の場合は相続人全員で手続きしなければなりません。そのため、早まって一人が相続放棄すると限定承認ができなくなりますので、注意が必要です。
限定承認についての詳細は、下記サイトをご参照ください。 |
6.家庭裁判所へ出向かなくても相続放棄手続き可能!
相続放棄は、家庭裁判所へ申述書と書類等を郵送して手続きすることも可能です。
そのため家庭裁判所へ足を運ばなくても手続きできます。ただ申述後、審理のために出頭を求められることがあり、この場合は家庭裁判所へ足を運ばなければなりません。
7.以下の条件に合致した方は、相続放棄を選択しよう!
相続が発生して、相続放棄を選択したほうがよい場合がいくつかあります。
まず被相続人(亡くなった方)に多額の借金がある場合です。
借金の保証人になっている可能性がある場合も多額の借金を負う可能性があるので、相続放棄をしたほうがよいでしょう。
相続人同士に争いがあり、いち早くそこから撤退したい場合も相続放棄の選択が考えられます。
相続放棄をすると相続人ではなくなるので、必然的に相続人同士の争いから逃れられます。被相続人の遺産に価値がなく、手続きや維持に無駄な費用を要する場合、相続放棄を選択して対処する場合があります。
それから特定の相続人に被相続人の遺産をすべて相続させたい場合、他の相続人が相続放棄をすれば、手続きがスムーズに進むことでしょう。
8.専門家はどのくらいで相続放棄の代行をしてくれる?
自分で相続放棄をすることも可能ですが、人によっては手続きする時間が取れない人もいるでしょう。
このような場合、専門家に相続放棄の手続きを代行してもらうこともできます。相続放棄の代行は裁判所へ提出する書類を作成する司法書士へお願いするのが一般的です。また場合によっては税理士が窓口になってくれることもあります。手続き費用の相場ですが、10万円程度が相場です。インターネットで調べてみると良質な専門家を見つけられるのではないでしょうか。
9.遺産に不動産がある場合の相続放棄について
被相続人が借金を抱えている場合、相続放棄を選択することになりますが、遺産に不動産がある場合、その判断が難しくなります。
不動産の価格が借金額を上回る場合、相続放棄をする必要がなくなるからです。
相続放棄には3カ月という期限があるので、遺産に不動産がある場合、すぐ価格を査定してもらわなければなりません。
不動産業者に頼めば即、査定をしてもらえます。それにより不動産の価格を把握することが可能です。不動産業者によって査定額に差が出るので、信用できるところにやってもらうとよいでしょう。
もし不動産業者の査定で出た価格から、遺産である不動産を高額で処分できそうだと判断できれば相続を承認したほうがよいです。
まとめ
どのような時に相続放棄をすべきかわかりましたか?
相続放棄の期限はあっという間に過ぎてしまいますので、相続放棄すべきか否かはすぐに検討することが必要になるでしょう!
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