死亡届に関する手続きは葬儀屋に任せられる?費用、注意点などを解説
身近な人が亡くなったときに真っ先にしなければならないのが『死亡届の提出』です。葬儀屋に代行を頼むことも可能ですが、手続きの流れや提出期限、必要書類に関しては遺族側がきちんと把握しておく必要があります。
この記事の目次 [表示]
1.亡くなった後は速やかに死亡届を提出する
親族や同居人などが亡くなった際は、すぐに『死亡届』を提出しなければなりません。戸籍法で『提出期限』が決まっているため、葬儀の手配と同時に提出準備を進めましょう。
1-1.死亡届は病院で受け取るのが一般的
『死亡届』とは、人が亡くなったことを法的に証明する書類で、正式名称を『死亡届書』と呼びます。死亡届を出してはじめて戸籍や住民票に死亡の事実が反映されるため、親族や同居人は速やかに提出準備を進める必要があります。
死亡届は、『死亡診断書(死体検案書)』との2部構成で、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書(死体検案書)です。
病院で亡くなったときは、医師が先に死亡診断書を記載するため、自分で用紙を準備する必要はないと考えましょう。
病院以外では、役所(市役所・区役所・町役場)で死亡届が入手できます。HPからのダウンロードも可能ですが、印刷時に規格を誤ると受理されない恐れがあります。基本的に、用紙のサイズは『A3』で、白紙以外の使用は認められていません。
1-2.決められた自治体の役所に提出する
提出先は、役所(市役所・区役所・町村役場)です。ただし、どの役所でもよいわけではなく、戸籍法第86条・87条で提出先が定められています。
- 死亡地にある役所
- 故人の本籍地にある役所
- 届出人の所在地にある役所
提出書類は、『診断書または検案書を添付した死亡届(1通)』です。同時に『火埋葬許可申請』を行う場合は斎場の使用料が必要になる場合があります。詳しくは各自治体のHPを確認しましょう。
死亡届の提出のみであれば、365日・24時間いつでも提出が可能です(一部を除く)。早朝や深夜などの『役所窓口の営業時間外』に提出した場合は、『時間外受付窓口』や『宿直室』で一時的に預かってもらう形になります。
参考:死亡届|法務省
1-3.死亡の事実を知った日から7日以内に
死亡届の提出期限は、『死亡の事実を知った日から7日以内』が原則です。届出義務者は、7日以内に死亡診断書や死体検案書を作成してもらい、速やかに役所に提出をしなければなりません。
国外で死亡した場合は、『事実を知った日から3カ月以内』が期限です。
やむを得ない事情で添付書類がすぐに得られないときは、提出先の役所に連絡をして指示を仰ぎましょう。正当な理由がないのにもかかわらず、期限内の提出を怠ると、戸籍法により5万円以下の過料に処されます。
2.死亡届の提出は葬儀屋がしてくれる?
死亡届の届出義務があるのは、親族や同居人などですが、葬儀の一環として、葬儀屋に手続き代行を依頼することはできるのでしょうか?提出までの流れや注意点を確認しましょう。
2-1.原則、使者の提出が認められている
届出人が役所に足を運べない場合は、『使者』への委託が可能です。使者とは、命令や依頼を受けて使いをする人を指します。代理人と混同されやすいですが、使者には『意思決定権』はなく、決定事項を伝達する役割のみを担います。
実際は、『死亡届の提出』と『火埋葬許可の申請』は葬儀屋が代行して行うケースがほとんどです。手続きが遅れるとその後の葬儀にも影響が及ぶため、初めての人はプロに依頼した方が安心でしょう。
ただし、葬儀屋はあくまでも使者のため、書類に誤りや不備があった場合はその場で訂正ができません。提出時は隅々まで確認をするように心掛けましょう。
2-2.記入は葬儀屋ではなく親族などが行う
死亡届の記入は、葬儀屋ではなく、戸籍法で定められている『届出人(届出義務者)』が行うのが原則です。死亡届には『届出人』の項目があり、『死亡者との間柄』『届出人の住所』『本籍』『署名』などを記載します。
- 第1:同居の親族
- 第2:その他の同居人
- 第3:家主、地主、家屋・土地の管理人
届出人には『優先順番』がありますが、順番にかかわらず提出が可能です。上記のほかに、同居の親族以外の親族・後見人・保佐人・補助人・任意後見人・任意後見受任者も届出人として認められています。
これまでは、届書に届出人の『押印』が必要でしたが、戸籍法の改正に伴い、2021年9月からは押印は任意となりました。
2-3.亡くなった後、葬儀屋に早めに連絡を入れる
病院で亡くなった場合、霊安室で一時的に遺体を保管しますが、いつまでも置いてもらえるわけではありません。できるだけ早く葬儀屋に連絡をし、斎場や自宅に搬送を行いましょう。
この時点で葬儀屋が決まっていない場合、病院と提携する葬儀屋を利用することも可能です。ただ、費用が予想よりも高くついたり、故人が望む葬儀ができなかったりするケースがあるため、入院した時点で葬儀屋を決めてしまう人も少なくありません。
臨終後は、公的手続きや葬儀の準備で慌ただしくなることが予想されますが、葬儀屋さえ決まっていれば、比較的スムーズに事が進みます。
3.葬儀屋に死亡届提出を依頼する理由
大切な人を失った悲しみの中、遺族は短期間でさまざまな決定をしなければなりません。事務手続きから葬儀の手配までを自分たちだけで行うのは難しく、慌てて行えば申請の不備や葬儀の遅れなどが生じる可能性もあります。
3-1.慌ただしい遺族に代わり手続きを進められる
葬儀屋に死亡届の提出を依頼すると、遺族側の負担が軽減されます。全てを自分たちでやる場合、死亡届や火埋葬許可申請などの公的手続きと同時に、葬儀の手配を進めなければなりません。
- 死亡診断書の作成依頼
- 死亡届の提出・埋火葬許可申請
- エンゼルケア
- 安置先への搬送
- 近親者への連絡・死亡通知状の郵送
- お通夜・葬儀・告別式・火葬
- 入院費・退院費・葬儀費用の支払い
死亡届を出すこと自体は簡単ですが、臨終後はやるべきことが山ほどあり、役所に足を運ぶ時間さえない場合があります。手続き漏れを防ぐ意味でも、忙しいときはプロに依頼するのが賢明といえます。
3-2.死亡届の提出と同時に埋火葬許可申請が可能
火葬・埋葬をする際は、自治体が発行する『埋火葬許可証』が必要です。
手続きを何度も行っているプロは、埋火葬許可の申請と死亡届の提出が同時に行えることを知っているため、書類に不備がなければ、死亡届を出したその日のうちに埋火葬許可証が発行されます。
一方で、手続きの手順やルールが分からない素人は、死亡届だけを先に役所に提出しようとし、二度手間になってしまうケースがあります。
なお、死亡届は基本的に24時間・365日提出が可能ですが、 埋火葬許可申請は窓口の営業時間内にしか手続きが行えないことがほとんどです。
4.葬儀屋に依頼するときの注意点
葬儀のプロに依頼すれば、遺族側の負担は軽くて済みますが、プラン内容や手続きの流れを把握しないまま契約を進めてしまうと、後にトラブルに発展します。手元に必ず原本のコピーを残しておくことも忘れないようにしましょう。
4-1.提出前に死亡診断書のコピーをとる
死亡診断書(死体検案書)の原本は死亡届とワンセットで提出します。生命保険や公的年金などの手続きや、クレジットカードやスマホの退会手続きでも死亡診断書が必要になるため、多めにコピーをとっておきましょう。
手続きの種類によって、『原本が必要な場合』『コピーが認められる場合』『死亡届記載事項証明書で済む場合』の3パターンがあります。
原本が必要な場合は、対象病院に死亡診断書の再発行を依頼しましょう。病院にもよりますが、数千円の発行手数料がかかります。
4-2.事務手続き代行などプラン内容の確認を
多くの葬儀屋では、遺族のニーズに合わせた複数のプランを用意しています。直葬のみを行うシンプルなプランもあれば、事務手続きからアフターサポートまでを一貫して行うプランもあるため、事前に詳細を確認しておきましょう。
よくあるのが、「サービスが次々にプラスされて請求が高額になった」というケースです。事前の話し合いが不十分だったり、気落ちして冷静な判断ができなかったりすると、思わぬ金銭トラブルに発展してしまいます。
もしものときに慌てずに済むように、普段から葬儀社の情報収集をしておくのがベターです。入院した時点で家族と話し合いをし、電話や訪問で葬儀屋の対応を確認しておくとよいでしょう。
5.亡くなった後の手続きを把握しておこう
死亡届の提出は、臨終後に早急にしなければならない公的手続きの一つです。 埋火葬許可証がなければ、火葬もできないため、遅延なく手続きを進めなければなりません。
実際のところ、これらの手続きは全てプロに依頼できるので、信頼できる葬儀屋さえ見つけておけば、もしものときも慌てることはないでしょう。
葬儀後は『遺産相続』に関する手続きが始まります。遺産リストを作成したり、相続人を調査したりと、死亡届の手続きとは比べ物にならないくらい煩雑になることが予想されます。
自分たちで進めていくのが難しい場合は、亡くなった後の各種手続きに詳しい『税理士法人チェスター』への相談を検討しましょう。
『死亡届』についての詳細な説明は下記もご覧ください。
死亡届の手続きや提出後の流れを解説 – 税務署からの連絡にも要注意。|相続大辞典|相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】
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