相続手続きの相談は誰にすればいい?相談先フローチャート・かかる費用相場を解説
相続が起こると、たくさんの手続きが遺族に降りかかります。遺族が手続きを自分たちでおこなうことが大変であれば、専門家に依頼する方法もありますが、誰に相談すればよいのかわからず戸惑ってしまうこともあるでしょう。
なぜなら、相続に関係する専門家は、弁護士、司法書士、税理士、行政書士など多岐にわたっているためです。
そこで本記事では、相続にはどんな手続きがあるのか、手続きの内容ごとに誰に相談をすればよいのか、その際の費用はどれくらいかかるのかなどについて、具体的に解説します。
この記事の目次 [表示]
1.必要な相続手続きを相談できる専門家の候補
相続手続きについて相談できる代表的な専門家は、弁護士、司法書士、税理士、行政書士です。それぞれの専門家には、可能な業務の範囲が定められています。
まず、概要をまとめると、以下のようになります。
▼相続について相談できる専門家、相談できる主な内容
遺言書の作成、遺言書の内容の確認 | 相続人調査、戸籍謄本の収集など | 相続した不動産の登記 (相続登記) | 相続税申告書の作成、提出 | 遺産分割関連のトラブルなど | 遺産分割協議書の作成代行 | |
---|---|---|---|---|---|---|
弁護士 | ◯ | ◯ | △ | △ | ◯ | ◯ |
司法書士 | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | △ |
税理士 | △ | ◯ | × | ◯ | × | △ |
行政書士 | ◯ | ◯ | × | × | × | △ |
◯=可能
△=一部可能、または、資格上は可能
×=できない
2.相続発生後に必要な手続きとは?
相続が発生してから、ご遺族や相続人となる方がしなければならない手続きの内容、期限などの流れを見ていきましょう。これらの手続きのうち、一部は弁護士、司法書士、税理士、行政書士などに依頼することができます。
2-1.期限が定められている主な手続き
相続手続きの中には、期限があるものが存在します。期限がある手続きであるにもかかわらず期限を超過してしまえば、不利益をこうむることとなりかねません。
そのため、まずは期限のある手続きを確認することが、相続手続きのポイントです。
▼期限がある主な相続手続き
手続き | 期限 | 備考 |
---|---|---|
死亡届の提出 | 死亡を知った時から7日以内 | |
社会保険関係の届出 | 厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内 | |
相続放棄の家庭裁判所への申述 | 自己のための相続発生を知ってから3か月以内 | 被相続人に借金などがあり、マイナスの遺産のほうが多い場合、それを相続しないために重要 |
準確定申告 | 相続開始を知った日の翌日から4か月以内 | 被相続人の所得に関する確定申告 |
相続税申告 | 相続開始を知った日の翌日から10か月以内 | 原則として、申告までに遺産分割協議書の作成が必要(手続きをすれば例外あり) |
遺留分侵害額請求 | 相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内(ただし、相続開始から10年まで) | 遺言に遺留分を侵害する内容があった場合など |
相続した不動産の登記 (相続登記) | 相続や遺贈により不動産を取得したことを知った日から3年以内 | 令和6年4月1日から施行 (施行日より前に相続・遺贈により取得した不動産は施行日から3年以内に登記が必要) |
相続手続きやその期限について、くわしく知りたい方は、下記記事もあわせてご覧ください。
(参考):相続が発生したら…期限までに行うべき手続きと流れ
2-2.相続の各手続きの流れと概要
相続に関する個々の手続きの概要を時系列にそって説明していきます。
2-2-1.葬儀、火葬、自治体などへの各種届出
人が亡くなった時、ご遺族が最初にやらなければならないことは、死亡届の提出と、葬儀や火葬関係です。ただし、これらは、葬儀社に任せることも多いでしょう。
次に、健康保険、年金などの社会保険関係や、世帯主変更などの各種行政手続きをおこないます。これらの行政関係への手続きはさほど難しくないので、普通はご遺族が自分でおこないます。
2-2-2.遺言書の探索、確認
亡くなった方には、多かれ少なかれ、遺産(相続財産)があります。その遺産を、誰が、どれだけ、どうやって取得するのか、というのが「相続」の本題になります。
相続において、最初にやるべきことは、遺言書の有無の確認です。遺言書があるかどうかで、次の「遺産を取得する者の決定」方法が大きく変わることになるためです。遺言書を探索する主な方法としては次のものが挙げられます。
- 被相続人の家の中や関係先を探す(自筆証書遺言の場合)
- 生前付き合いのあった専門家(弁護士、税理士)や、信託銀行に確認する(自筆証書遺言の場合)
- 最寄りの公証役場で調べてもらう(公正証書遺言の場合)
- 最寄りの法務局で調べてもらう(法務局での保管制度を活用していた自筆証書遺言の場合)
なお、公証役場や法務局で遺言書の有無を調べてもらうためには、被相続人が亡くなったことのわかる書類、また、自分が相続人などであることを証明する書類などが必要です。あらかじめ電話などで必要書類や手続き方法を確認してから出向くとよいでしょう。
2-2-3.相続人と遺産額の確定
遺言書の調査と並行して、相続人や遺産額の調査、確認をおこないます。原則的に、相続人や遺産額が確定しないと、相続の手続きを進めることはできませんし、もし後から相続人が見つかったら、手続きがやり直しになってしまいます。
相続人の調査は、戸籍謄本や除籍謄本を取り寄せておこないますが、離婚歴がある人や本籍地の移動がある人の場合は、これらを集めることが意外と大変です。また古い戸籍謄本は手書きのため読みにくいことがよくあります。
そのため、戸籍謄本等の収集と相続人調査を専門家に代行してもらうことが多くなります。行政書士でも代行可能です。
また、被相続人の遺産についても、被相続人の資産が多い場合のほか、被相続人が会社経営者などで、資産のほかに債務保証などをおこなっていた可能性がある場合なども、調査に手間がかかることがあります。こういった場合は、専門家に依頼するほうが安心でしょう。
2-2-4.遺産を取得する者の決定
相続人と遺産の総額が確定したら、次に遺産分割、つまり、誰が、どれだけの遺産を取得するのかを決めます。
被相続人が有効な遺言書を残していた場合には、原則としてその遺言書に従って遺産を分けることになります(相続人全員の合意がある場合は、遺言書と異なる遺産分割をすることも可能です)。
一方、遺言書がなかった場合には、相続人全員で遺産分割協議をおこない、相続人全員の合意により、遺産の分け方を決めなければなりません。合意ができたら、その結果を記した「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が実印での押印と署名をします。
この遺産分割協議書は相続人同士の「いった」「いわない」のトラブルを防ぐ役割を持つほか、相続税申告や各遺産の名義変更手続きなどで必要となる、重要な書類です。そのため、正しい内容、書式で記載することが大切です。
なお、相続人の中に認知症等により判断能力が失われた人や、行方不明者などがいる場合には、遺産分割協議をおこなう前に、これらの人の代わりに協議に参加する「成年後見人」や「不在者財産管理人」を選任してもらう手続きが必要です。これらの手続きは家庭裁判所でおこないますが、自分で手続きすることが難しい場合には、弁護士や司法書士に代行してもらうことが可能です。
また、相続人同士で遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所での話し合いである「調停」や、家庭裁判所に分け方を決めてもらう「審判」へと移行します。審判での決定には、強制力がありますが、審判が出されるまでには時間がかかりますので、遺産分割協議が難航している場合には、早期に弁護士へ相談するとよいでしょう。
2-2-5.相続税の申告・納税
遺産額が一定金額以上ある場合は、相続税の申告・納税が必要となります。
遺産額を計算して、相続税の申告が必要であるとわかった場合には、相続開始を知った日(通常は、被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内に、相続税の申告と納税をおこないます。
相続税の申告が必要となるケースは、遺産総額から一定の債務や葬儀費用を控除し、被相続人がおこなった過去の一定の贈与を足し戻した金額(「正味の遺産額」といいます)が、次の基礎控除額を超える場合です。
例えば、法定相続人が2名である場合の基礎控除額は4,200万円、法定相続人が3人である場合の基礎控除額は4,800万円です。原則として、遺産が基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。
ただし、実際のケースでは不動産の評価額が不明だったりして、正味の遺産額が基礎控除額を超えているかどうかわからない場合が多いものです。
相続税申告が必要かどうか判断に迷う場合には、早期に税理士へ相談することをおすすめします。
なお、相続税額は、遺産の分割の仕方によっても変わってきます。したがって、遺産分割協議がまとまって、遺産分割協議書が作成されないと、正確な相続税額はわかりません。
しかし、仮に申告期限までに遺産分割協議がまとまらなかったとしても、相続税申告の期限が伸長してもらえるわけではありません。申告が必要であるにもかかわらず期限内に申告をしなければ、無申告加算税などペナルティの対象となる可能性があるほか、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」など、大きな減税効果が得られる特例が使えなくなってしまいます。
そのため、そういった場合には、まず申告期限内に仮の申告と納税をおこない、その後、遺産分割協議がまとまった段階で、申告をし直すこととなります。
相続税申告についてよりくわしく知りたい場合には、次の記事もご参照ください。
(参考):『相続』の手続きと流れ ~必要な知識と実務のすべて~
2-2-6.各遺産の名義変更・解約
遺産分割協議がまとまり、遺産を取得する人が決まったら、預金口座、証券口座、不動産、など、各遺産の解約手続き、名義変更をおこないます。
不動産などは、登記の手続きが複雑な場合もあるので、司法書士などに相談をして代行してもらうことが一般的です。
なお、相続税申告と遺産の解約手続きはどちらが先であってもよく、相続税申告の期限までに余裕がある場合には、相続税申告よりも前に解約手続きなどをおこなってもかまいません。
3.相続手続き相談先のフローチャート
以上の相続手続きの各場面において、相続人が自分で手続きをすることが難しいと感じられたり、あるいは、時間がなくて任せたかったりする場合は、本記事の最初に掲げた専門家のいずれかに相談しましょう。
適切な相談先は、相談したい内容によって異なります。相談先の基本的な考え方は、次の通りです。
▼専門家選びフローチャート
なお、相談する専門家は、1人に限る必要はありません。例えば、相続税の申告については、税理士に相談し、不動産の登記に関しては、別の司法書士に相談してもかまいません。
また、相続手続きを取り扱う専門家同士が、相互に連携をとっていることが少なくありません。例えばメインの相談が相続税申告であるものの、相続登記についても相談したい場合には、まず税理士に相談をして、相続登記については連携先の司法書士を紹介してもらう方法もあります。
4.相続手続きの内容により相談先の専門家が異なる
次に、各専門家が、相続の場面でどんな業務をおこなってくれるのか、また、各専門家への相談を依頼したほうがいいのはどんな場合なのかを確認しましょう。
4-1.弁護士への相談
弁護士は、依頼者の権利保護のために、法律上の紛争解決や法的手続きなどをおこなう専門家です。
すでに法的なトラブルが起きている場合や法的なトラブルが起こりそうな場合に、弁護士は依頼者の「代理人」となって交渉したり、話し合いをまとめたり、まとまらない場合に裁判所への調停や訴訟の手続きを担当したりできます。
相続の場面では、遺産分けの話し合いである「遺産分割協議」がまとまらない場合の交渉代理や、被相続人が残した遺言が無効であると思われる場合、遺言に遺留分の侵害が疑われる場合などの紛争処理などに関わることが多いでしょう。
なお、弁護士は、資格上は不動産登記、相続税申告書の提出などもおこなうことができますが、実務上は、それぞれ司法書士、税理士が専門となるので、それらの実務にくわしい弁護士は少数派です。
4-1-1.弁護士への相談を検討したほうがいいケース
次の場合など紛争が生じている場合の相談先は、原則として弁護士の一択となります。
- 遺産分割協議でもめており解決をはかりたい
- 遺産分割協議でもめそうなので仲裁してほしい
- 相続人の一部が遺産を使い込んだので責任を追及したい
- 遺言書が残されていたが、筆跡など不審な点があり無効にしたい
- 遺言書で自分の取り分が少ないので、遺留分侵害額請求をしたい
なお、遺留分侵害額請求とは、配偶者や子など一定の相続人が遺産の最低限の取り分を遺言などで侵害された際に、遺産を多く受け取った相手に対して、侵害された遺留分相当の金銭の支払いを請求することを指します。
4-2.司法書士への相談
司法書士は、登記手続き、法務局や裁判所に提出する書類の作成などをおこなう専門家です。特に不動産の登記業務は司法書士の独占業務であり、原則として司法書士以外の者がおこなうことはできません(弁護士も可能)。
相続の場面では、被相続人が持っていた不動産を相続人に名義変更(「相続登記」といいます)をする手続きや、相続放棄の手続きなどをおこなうことが多いでしょう。それ以外にも、遺産分割で、特に不動産が関係する相続においては、司法書士が遺産分割協議書を作成することがあります。
4-2-1.司法書士への相談を検討したほうがいいケース
主に相談したい相続手続きが次のことである場合には、司法書士に相談するとよいでしょう。
- 相続登記手続き
- 相続放棄手続き
- 遺産に不動産がある場合の遺産分割協議書作成
- 相続人の中に重い認知症の人がいる場合における、成年後見人の選任手続き
- 相続人の中に行方不明者がいる場合における、不在者財産管理人の選任手続き
- 相続人の中に未成年者がいる場合における、特別代理人の選任手続き
- 被相続人が自筆の遺言書を残していた場合における、遺言書の検認手続き
検認とは、法務局での保管制度を使っていない自筆証書遺言などがあった場合に、相続人が家庭裁判所でおこなう手続きです。遺言書の有効性を判断するものではなく、遺言書の偽造や変造を防ぐ目的でおこなわれます。
4-3.税理士への相談
税理士は、税金の計算や税務申告に関する専門家です。税務に関する相談や税務申告書の作成は税理士の独占業務であり、原則として他の者がおこなうことはできません(弁護士も可能)。また、相続税申告に関連する遺産分割協議書の作成などもおこなうことができます。
ただし、遺産分割を巡るトラブルが生じている場合に、交渉して遺産分割協議をまとめたりすることは税理士にはできません。
4-3-1.税理士への相談を検討したほうがいいケース
相談したい内容が次のような場合には、税理士に相談するとよいでしょう。
- 相続財産の評価額の算定
- 相続税申告
- 相続税対策、納税資金対策の相談
- 準確定申告(被相続人に関する確定申告)
なお、準確定申告とは、被相続人に関する所得税の確定申告です。通常の確定申告とは期限が異なり、原則として死亡の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。
4-4.行政書士への相談
行政書士は、官公署(行政)に提出する書類作成や、権利義務に関する書類作成の専門家です。相続の場面では、相続人の調査や遺産分割協議書の作成、自動車の名義変更などをおこなうことが多いでしょう。
4-4-1.行政書士への相談を検討したほうがいいケース
次の場合には、行政書士に相談するとよいでしょう。
- 相続人調査、戸籍などの収集
- 相続人の調査をして相続関係説明図を作成してほしい場合
- 遺産分割協議の内容は定まっており、遺産分割協議書の書面を作成してほしい場合
- 銀行手続きや証券口座の契約などまでを依頼したい場合
上記の内容は、他の専門家でもおこなうことができます。ただし、一般的に行政書士への依頼費用は他の士業者に比べて低額となるため、他の専門家に他に依頼する内容がなく、上記の内容のみを、費用を重視しておこないたい場合は、行政書士に依頼を検討するとよいでしょう。
4-5.信託銀行への相談
信託銀行は近年、相続手続きに力を入れています。ただし、信託銀行の行員が直接、相続の手続きなどに関与することは少なく、税理士や司法書士などと提携して、手続きの取りまとめをおこなうことが一般的です。
信託銀行に依頼した場合には費用が高額となる傾向にあるものの、自分で専門家を探す時間がない場合や、信頼できる専門家を見つけられるか不安な場合は、まず信託銀行の窓口で相談することも1つの手です。
4-5-1.信託銀行への相談を検討したほうがいいケース
被相続人が信託銀行の遺言信託を利用していた場合には、まずはその信託銀行に被相続人の死亡を伝え、相談するのがよいでしょう。信託銀行自体が各種手続きを代行してくれる場合もありますし、適切な専門家を紹介してくれることもあります。
なお、「遺言信託」とは信託銀行の商品名であり、一般的には、信託銀行が遺言書の作成支援や保管、遺言書の実現(「遺言の執行」といいます)をおこなうサービスを指します。
4-6.無料で相談したい場合は、公的機関も選択肢になる
上記のような専門家に手続きを依頼した場合、当然、費用がかかります。無料で相談をしたい場合や、手続きを自分でやることを前提に「やり方だけ教えてほしい」という場合には、自治体や法務局、税務署などの公的機関へ相談するとよいでしょう。
お住まいの地域の税理士会や司法書士会、行政書士会などが、市役所などで無料相談会をおこなっている場合もあるので、お住まいの地域の役所でたずねてみましょう。
また、法律的な紛争の相談の場合、法務省が管轄する「法テラス」(日本司法支援センター)を利用すれば、初回の相談は無料です。
5.相続手続きの相談先でかかる費用の目安
各専門家に相続手続きを依頼した場合の費用の目安を以下に示します。
いずれの専門家であっても報酬は自由化されているため、あくまでも参考です。業務の内容によっても異なります。
初回相談は無料、もしくは安価であることが多いので、初回の相談時に具体的な見積もりを依頼し、見積もりを確認したうえで、正式に依頼するかどうかを検討するとよいでしょう。
なお、いずれの専門家に依頼する場合でも、相談料や報酬などとは別に、交通費や出張日当、印紙税、その他役所へ支払う手数料などの実費が必要です。
5-1.弁護士
相続に関して弁護士に相談をした場合、相談料は30分あたり5,000円程度となることが一般的です。ただし、初回の相談を無料としている弁護士事務所もあります。
初回の相談後に、正式に弁護士に依頼することとなった場合、日本弁護士連合会の旧報酬規程に基づいて「着手金」と「報酬金」の額が設定されていることが多いでしょう。着手金と報酬金は、依頼者が受け取る経済的利益によって異なります。
▼日本弁護士連合会旧報酬規程による着手金、報酬の例
経済的利益 | 着手金(最低10万円) | 報酬額 |
---|---|---|
300万円以下 | 経済的利益の8% | 経済的利益の16% |
300万円超~3,000万円以下 | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
3,000万円超~3億円以下 | 3%+69万円 | 6%+138万円 |
3億円超 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
5-2.司法書士
司法書士の相談料は、初回無料であることが多いでしょう。
相談を経て、実際に依頼することになる場合の例は、下記の通りです(実費は含みません)。
- 相続登記申請報酬:4万円~12万円程度(不動産評価額によっても変わります)。
- 遺産分割協議書の作成:5万円~10万円程度
5-3.税理士
相続税申告などの相続手続きに関して税理士に相談した場合、初回相談料は無料としている税理士事務所が多いでしょう。有料の場合、1時間あたり5,000円程度が目安です。
相談を経て、税理士に相続税の計算、相続税申告書の作成、申告業務を依頼した場合、税理士報酬は、遺産総額の0.5~1.0%が相場です。そのプランの中に、遺産分割協議書の作成なども含むのが一般的です。
5-4.行政書士
相続手続きについて行政書士に相談した場合、初回の相談料は無料としていることが多いでしょう。
実際に各種手続きを依頼する場合の目安は以下の通りです。
いくつかの業務をまとめて依頼すれば、個別に依頼するよりも割安な金額で依頼できることもあります。
- 相続人調査:3万円~
- 相続財産調査・遺産目録作成:3万円~
- 戸籍等の公的書類取得の代行:2万円~
- 相続関係図の作成:2万円~
- 遺産分割協議書の作成:3万円~
- 銀行口座などの解約:3万円~
- 自動車の名義変更:3万円~
6.相続手続きを相談する時の必要書類
専門家への初回の相談は、30分程度に限られていることが一般的です。限られた時間でスムーズに相談できるよう、できる限り資料を揃えていきましょう。
最低でも、何を相談したいのかをメモにまとめておくようにしましょう。
その他、下記のような資料をできるだけ用意しておくと安心です。
6-1.親族関係がわかる資料
親族関係を口頭で説明するのは難しいため、簡単な相続関係説明図を作成しておくとスムーズに相談が進みます。相続関係図とは、相続関係を簡略化して表した次のような図です。ここまで丁寧なものでなくとも、手書きなどで簡単に作成したもので問題ありません。
あわせて、次の書類を取得している場合には、持っていくとよいでしょう。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相談者、他の相続人の戸籍謄本
6-2.被相続人の遺産がわかる資料
相談内容が遺産分割に関係するものである場合は、被相続人の遺産内容がわかる、下記の資料も、あると話が進みやすくなります。
- 不動産:固定資産税課税明細書(固定資産税納付書に同封されている、不動産の一覧が記載された書類)、全部事項証明書(法務局で取得可能)など
- 預貯金:通帳、残高証明書など
- 有価証券:証券会社から届いた取引履歴明細書など
- 車:車検証など
- 借入金や貸付金:契約書やローン残高証明書など
- ゴルフ会員権やリゾート会員権:会員権証券など
- 生命保険:保険証券など
6-3.遺言書、その他遺産の分け方に関する資料
遺言書がある場合は、遺言書を持っていきましょう。ない場合でも、相談をする時点ですでに遺産の分け方がある程度決まっている場合には、その内容をメモにまとめておきましょう。
- 遺言書があった場合:その遺言書
- 遺言書がなかった場合:遺産の分け方について相続人間で合意した内容のメモ、作成済の場合には遺産分割協議書など
7.相続手続きの相談についてのよくある質問
最後に、相続手続きに関するよくある質問を確認しましょう。
7-1.うちはたいした遺産がないので、専門家に相談する必要はないですよね?
遺産の額が少なくても、相続人が複数いる場合、「遺産分割」を巡るトラブルは生じます。たとえ遺産が100万円でも、争いになる時はあるのです。「兄は過去に自宅建築の費用を出してもらった」「妹は海外留学費用を出してもらった」など、生前に受けた利益をどう評価するのかなどを巡って争いとなる場合もあります。他にも、被相続人と同居していた家族が、被相続人の財産を使い込んでいたのではないかという疑いから生じるトラブルなどもよくあります。
さらに、自宅不動産は、小規模宅地特例などを使えば、相続税がかからない場合が多いですが、その取得を巡って争いになることがあります。
これらの兆候がある場合は、専門家に早めに相談するほうがいいでしょう。
7-2.遺言を残しておけば、トラブルになりませんか?
公正証書遺言の場合は、作成の段階で公証人が確認しているため、法的に無効な遺言は基本的にありえません。しかし、自筆証書遺言の場合、日付が記載されていないなど、遺言の書式に不備があり、法的に有効ではない遺言となっていることもあります。すると、せっかく書いた遺言が使えなくなります。
また、残された遺言書の筆跡が明らかに被相続人のものとは違っていたり、遺言書を作成した日付が被相続人の認知症が悪化した後であったりと、遺言書に不審な点があることもあります。
さらに、遺言の内容が、「長男に全財産を相続させる」など、遺留分を無視した、極端にかたよったものである場合にも、トラブルに発展する可能性があります。
こういった場合、いずれも専門家への相談が必要でしょう。
7-3.相続税の支払いに関するトラブルにはどんなものがありますか?
例えば、遺産総額が多額で相応の相続税を納税しなければならないものの、遺産の大半が不動産や非上場株式など現金以外であるため、相続税の支払いに苦労するケースはよくあります。相続税の支払い方法は、期限までの現金一括払いが原則とされているためです。専門家と相談して納税方法を検討する必要があるでしょう。
7-4.相続手続きは何から手をつければいいのでしょうか?
まずは、期限のある手続きのスケジュールを確認してください。例えば、相続放棄などは期限内におこなわないと、借金を引き継ぐことになる場合があるので、十分注意が必要です。その他にも期限がある手続きを期限内におこなわないと不利益を被ることがあります。
この記事の「3.相続手続き相談先のフローチャート」を参考に、適切な相談先を調べて、早めに専門家に相談しましょう。
7-5.専門家に相談をしたら、依頼しなければ悪い気がするのですが?
無料相談などで相談しても、必ず依頼をしなければならないということはありません。専門家のほうでも、そのように考えていることはほとんどありません。相談して、依頼の必要がないと思えば依頼しなくても大丈夫です。また、相性が合わないと感じたら、他の専門家に依頼しても問題ありません。
7-6.相続人は自分だけですが、遺産分割協議書作成などは必要ですか?
相続人が1名の場合、遺言がなくても、遺産分割協議書の作成は必要ありません。
まとめ:適切な専門家を活用することで、相続手続きの労力、時間、不安を減らそう
相続手続きは、やろうと思えば、相続人がすべて自分でおこなうこともできるでしょう。しかし、慣れない人がそれらの業務をおこなうのは、非常に大きな労力と時間が必要であり、また、間違いがあるのではないかという不安がつきまといます。
専門家に依頼すれば、報酬などの費用はかかるものの、労力、時間、余計な心配をすべて無くすことができます。
ただし、専門家ではあっても、相続手続きの実務経験が少ないケースもあります。実際に業務を依頼する場合は、相続実務の経験が豊富な専門家を選ばなければなりません。とはいえ、それぞれの専門家を探して対応をするのは大変です。
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