遺言検索システムとは?使い方・遺言書の見つけ方・利用方法や必要書類を解説
親の残した遺言が公正証書遺言なら遺言検索システムにより、また、自筆証書遺言で法務局に預けていれば遺言書保管事実証明書の交付請求により、探しても見つからなかった遺言書が見つかるかもしれません。
近くの公証役場及び法務局で検索・請求してみましょう。
ここでは、検索・確認に必要な書類や遺言内容の確認の仕方を解説します。
この記事の目次 [表示]
1.親の遺言書はどのように見つける?
親が亡くなると相続が発生します。スムーズに相続するためにも、まずは遺言書を探すケースもあるでしょう。しかし生前に遺言書の保管場所を聞いていなければ、見つけ出すのは至難の業です。遺言書はどのように探せばよいのでしょうか?
1-1.探す方法は主に3パターン
探し方は『公正証書遺言』と『自筆証書遺言』で異なります。公証役場で作成する公正証書遺言であれば、遺言検索システムを使えば見つかるはずです。
タイトル・本文・日付・署名などを全て自筆で書く自筆証書遺言は、基本的に遺言書の作成者が管理します。ただし2020年7月10日から、法務局の『遺言保管所』に預けられるようになりました。
そのため自筆証書遺言を探すときには、遺品の中から探す方法と、法務局で『遺言書情報証明書』を交付してもらう方法の2種類があります。
1-2.遺言登録・検索システムとは
遺言登録・検索システムは『日本公証人連合会』が1989年から運用している、公正証書遺言のデータを管理する仕組みです。遺言検索システムとも呼ばれます。
公正証書遺言を作成すると、遺言書を作成した人の氏名・生年月日・作成した公証人・作成年月日などの情報が一元管理されます。管理されている情報は検索も可能です。
一定の要件を満たす人であれば、システムを使い公正証書遺言の有無や内容を確認できます。
参考:日本公証人連合会
1-3.遺言書保管事実証明書の交付の請求について
自筆証書遺言は、遺品の中から出てくることもあります。しかしどれだけ探しても見つからないという場合は『遺言書保管事実証明書』の交付請求を行ってみるとよいでしょう。
『遺言書保管事実証明書』とは、亡くなった方が法務局に自筆証書遺言を預けているかどうか確認できる書類です。遺品を探しても遺言書が見つからない場合、当書類を確認することで調査してみましょう。
証明書の交付請求は、管轄内の遺言書保管所または郵送で可能です。下記に該当する人物であれば手続きができます。
- 相続人
- 受遺者
- 遺言執行者
- 上記の法定代理人
2.公正証書遺言の有無の調べ方
遺言検索システムは誰でも使えるわけではありません。公正証書遺言があるか確認できるのは誰なのでしょうか?利用方法を確認しておきましょう。
2-1.遺言検索システムが使えるのは誰か
公正証書遺言の有無をシステムで調べられるのは『利害関係者』です。前述したように具体的には下記に挙げる人物であれば使えます。
- 相続人
- 受遺者
- 遺言執行者
- 上記の代理人
例えば親の遺言書を探している子どもは、法定相続人のためシステムを使えます。ただしこの子どもの配偶者は、法定相続人ではないため利用できません。
子どもが仕事で公証役場へ行けないため、配偶者に頼むといったケースでは、代理人として手続きしてもらうことになります。また遺言書の作成者(遺言者)が存命の間は、システムを使えるのは本人か代理人のみです。
遺言者の死後に相続人となる人であっても、遺言者の生前は検索できません。
2-2.近くの公証役場で遺言検索を行う
検索は公証役場へ直接出向いて行います。全国どこにある公証役場でも構いません。ただし郵送やインターネットによる検索は不可能です。
システムを利用し検索するには20~30分かかります。また公証役場によっては、事前に予約が必要なケースもあるでしょう。あらかじめ訪れる予定の公証役場で確認しておくとスムーズです。
3.遺言検索システム利用に必要な書類
限られた人しか使えないシステムのため、利用時にはさまざまな書類が必要です。不備があると検索できないため、公証役場へ行く前に正しく用意できているか確認しましょう。代理人が手続きするときに必要な書類も解説します。
3-1.身分証明書や印鑑などが必要
遺言者の死後にシステムを使うには『遺言者が死亡している事実』『検索する人が利害関係者であること』『公証役場を訪れている人が利害関係者本人であること』の3点をチェックされます。
そこで下記3種類の書類を用意しましょう。
- 除籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 本人確認書類
本人確認書類として使えるのは、公的機関が発行した顔写真入りの身分証明書です。『運転免許証』や『パスポート』が該当します。
発行から3カ月以内の『印鑑登録証明書+実印』でも本人確認が可能です。加えて『認印』も持っていきましょう。
3-2.代理人が検索するときは委任状が必要
代理人に検索を任せるときには『委任状』が必要です。代理人に下記の権限を委任するという内容で作成し、委任者の住所・署名・実印の押捺があれば問題ありません。
- 遺言者の公正証書遺言の検索と照会
- 公正証書遺言が存在するときに、原本を保存する公証人への謄本請求と受取
- 上記に関連する一切について
委任状とともに、委任者の印鑑登録証明書・代理人の身分証明書も必要です。あとは利害関係者が利用するときと同様、遺言者の除籍謄本と利害関係者の戸籍謄本があれば手続きできます。
行政書士へ代理人を依頼するときの費用の相場は、公証役場1カ所への出張につき『1万円』です。
4.遺言の内容を確認する方法
検索した結果、公正証書遺言があると分かったときには、内容を確認しましょう。原本が保管されている公証役場へ行って請求する方法と、郵送で請求する方法があります。
4-1.遺言書を保管する公証役場で謄本交付請求
公正証書遺言の謄本の交付を請求できるのは、原本が保管されている公証役場のみです。訪問できる範囲の公証役場なら、直接行って請求しましょう。
手数料は1通につき『遺言書のページ数×250円』です。相続手続きを実施するときには、複数必要になるかもしれません。まとめて何通か請求しておくとよいでしょう。
また検索をするときと同じように『除籍謄本』『戸籍謄本』『本人確認書類』が必要です。
4-2.遠方の場合は郵送で謄本交付請求
原本が保管されている公証役場が遠方の場合には、『郵送』でも謄本の交付を請求できます。請求するには最寄りの公証役場で『公正証書謄本交付申請書』の署名認証を受けましょう。認証には2,500円の費用がかかります。
認証を受けたら原本が保管されている公証役場へ、謄本交付請求を申請します。申請するときには、下記をレターパックプラスもしくはレターパックライトに入れて送りましょう。
- 署名認証を受けた公正証書謄本交付申請書
- 除籍謄本・戸籍謄本・身分証明書
- 印鑑
- 返送用のレターパック
代理人が申請するときには、委任状と代理人の本人確認書類も必要です。請求先の公証役場からの連絡に従い謄本交付手数料を支払うと、謄本と領収書が届きます。
5.公正証書遺言の存在を検索して確認しよう
遺言書がどこにあるか分からないなら、遺言検索システムや遺言書保管事実証明書の交付の請求を利用しましょう。公正証書遺言を作成していれば、検索により見つけられるはずです。相続の利害関係者かその代理人が検索できます。また、自筆遺言書を法務局に預けていれば、その確認ができます。
原本が保管されている公証役場が分かったら、謄本の交付申請が可能です。遠方であれば郵送でも請求できます。
相続をするにあたっては遺言書の存在が手続きを大きく左右します。相続税にも関わるでしょう。相続税についての相談は、実績豊富な『税理法人チェスター』がおすすめです。
『公正証書遺言』について詳しく知るには、下記もご覧ください。
公正証書遺言とは?作り方・費用・必要書類を紹介|相続大辞典|相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】
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