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相続税申告に必要な資料収集方法をプロの税理士が解説!

相続税申告に必要な資料収集方法をプロの税理士が解説!

相続税申告は、相続の発生(被相続人の死亡)から10ヶ月以内に行わなければなりません。

そのため、申告のための書類を効率よく収集することがとても重要です。

この記事では、相続専門の税理士が、相続税申告に必要な資料の集め方をわかりやすく解説します。

なお、各書類について、くわしくは「相続税のための必要書類をプロが解説!【一覧表付】」も参考にしてください。

相続税の申告の必要書類チェックシートも公開しているので、併せてご参照ください。

この記事の目次 [表示]

1.身分関係

1-1.被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等

相続税申告書の添付書類として、また相続財産の名義変更の際に必ず必要となります。

転籍や婚姻などをされている場合、転籍前や婚姻前の除籍謄本や改製原戸籍を取得しなければなりません。
また、現在の戸籍謄本がコンピュータ化されている場合、コンピュータ化前の改製原戸籍も取得しなければなりません。
※ 転籍を多く繰り返していると、相続手続きの際に必要な除籍謄本は多くなるため注意が必要です。

○ 取得方法
【取得場所】市区役所・町村役場
配偶者、直系尊属(親)、直系卑属(子供)が取得する場合には、広域交付制度を利用して最寄りの市区役所・町村役場で申請できます。市町村所定の用紙に記入して、本人確認書類を提示すれば取得できます。
上記以外の方が取得する場合は、被相続人の本籍地で申請する必要があり、委任状も必要となります。他の市区町村から転籍してきた場合などは、その役所ではその時点までの戸籍しか取得できませんので、それ以前のものは転籍元の役所に申請しなければなりません。

1-2.被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 

住民票の除票とは、死亡等により削除された住民票のことです。戸籍の附票とは、住所の移り変わりを確かめることのできる書類です。
通常は住民票の除票で足りますが、相続時精算課税制度を選択している場合や、被相続人が老人ホームに入居していて小規模宅地等の特例の適用を受ける場合は、戸籍の附票が必要となります。

○ 取得方法
【取得場所】市区役所・町村役場
住民票の除票は、被相続人の住所地の市区役所・町村役場で取得します。戸籍の附票は、被相続人の本籍地の市区役所・町村役場で取得します。
郵送による請求もできますので、市区役所・町村役場に問い合わせてみましょう。

1-3.相続人全員の戸籍謄本

相続人の戸籍謄本は現在のものだけでよく、出生までさかのぼる必要はありません。また、被相続人の戸籍謄本に記載されている場合は、重ねて取得する必要はありません。

○ 取得方法
【取得場所】市区役所・町村役場
最寄りの市区役所・町村役場で取得できます。
郵送による請求もできますが、その場合は本籍地の市区役所・町村役場に請求する必要があります。

1-4.相続人全員の住民票

○ 取得方法
【取得場所】市区役所・町村役場
住所地の市区役所・町村役場で取得します。
郵送による請求もできますので、市区役所・町村役場に問い合わせてみましょう。

1-5.相続人の戸籍の附票

相続人の戸籍の附票は、小規模宅地等の特例を、いわゆる「家なき子」要件により適用する場合に必要になります。

○ 取得方法
【取得場所】市区役所・町村役場
本籍地の市区役所・町村役場で取得します。
郵送による請求もできますので、市区役所・町村役場に問い合わせてみましょう。

1-6.相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書への添付書類です。

○ 取得方法
【取得場所】市区役所・町村役場
印鑑を登録している市区町村の役所・役場で請求します。
遺産分割協議書に添付し、税務署に原本を提出する必要があります。
なお、下記書類については、マイナンバーカード等をお持ちの場合は、利用登録をすれば全国のコンビニエンスストア等で取得できます。

  • 住民票の写し
  • 住民票記載事項証明書
  • 印鑑登録証明書
  • 各種税証明書(課税証明書、納税証明書など)
  • 戸籍証明書(全部事項証明書、個人事項証明書)
  • 戸籍の附票の写し

2.不動産関係

2-1.登記簿謄本(全部事項証明書)

所有者やその親族ではなくても、誰でも、登記事項証明書の交付を請求することができます。
登記事項証明書には、登記記録の全部を記載した全部事項証明書と、一部を記載した一部事項証明書、現在事項証明書などがありますが、取得の際には全部事項証明書を請求します。

○ 取得方法
【取得場所】不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)
基本的には不動産の正確な地番・家屋番号さえ分かれば、どなたでも請求することができます。地番・家屋番号は住所とは異なりますので注意が必要です。「地番」とは土地1筆毎、「家屋番号」とは、建物1棟毎(マンションのような区分建物ならば1専有部分毎)に独自に割り振られている番号です。
「地番」や「家屋番号」を調べるには、主に以下の方法があります。

  1. 「登記済権利証」の「不動産の表示」の部分を見る
    →土地ならば「所在、地番、地目、地積」、一戸建ての建物ならば「所在、家屋番号、種類、構造、床面積」という項目で記載されているはずです。マンションのような区分建物の場合は、「専有部分の建物の表示」のところに「家屋番号」が記載されているはずです。
  2. 固定資産税の納税通知書を見る
    →市区町村より毎年送られてくる「納税通知書」に、課税対象となっている不動産の地番、家屋番号が記載されています。
    また、法務局備え付けの地図(登記所備付地図)や市役所備え付けの地図(地番参考図)でも地番を確認できます。
  3. 不動産の所在地を管轄する法務局へ電話で問い合わせる
    →各法務局のホームページに電話による問合せ先一覧が掲載されていますのでご確認ください。

また、最近ではコンピュータ化された法務局で他の管轄の登記簿も取得できるようになりました(登記情報交換システム)。例えば、東京法務局港出張所で札幌法務局や那覇地方法務局管内の登記簿を取得することができるようになりました。遠くの法務局に行かなくても、近くの法務局で他の管轄の登記簿謄本を取得できます。
ただし、正確な地番・家屋番号がわからないと利用できませんのでご注意下さい。
また、全て郵送で済ませることもできます。その場合は、登記事項証明書交付請求書(民事局のホームページよりダウンロードできます)に申請事項を記載し、返信用の切手と封筒を同封して謄抄本を送付してもらいます。普通郵便で送ると、およそ一週間かかります。電話・FAX等で請求することはできません。
このほか、「登記・供託オンライン申請システム」の「かんたん証明書請求」では、インターネットで請求を行い、謄抄本を送付してもらうことができます。

2-2.地積測量図及び公図の写し

地積測量図とは、土地の登記簿に付随して法務局に備えられる図面で、その土地の形状、地積 (面積) と求積方法などが記されたものです。
ただし、地積測量図のない土地も数多く存在します。

公図とは、登記所に備え付けられた、土地の大まかな位置や形状を知るための参考資料です。

○ 取得方法
【取得場所】不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)
手数料を納めれば所有者に限らずどなたでも請求できます。
ただし、地積測量図については無いこともありますので、その場合は必要ありません。
登記簿謄本と同様、郵送による請求も可能です。

2-3.固定資産評価証明書

固定資産税評価額は、毎年4月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書に同封された、「課税明細書」に記載されています。
固定資産税評価額は「課税明細書」を見れば原則分かりますが、相続や売買、贈与、財産分与等で不動産の名義を変える登記を申請する際は、「固定資産評価証明書」は添付書類として必ず必要になります。

○ 取得方法
【取得場所】各都税事務所・各市町村役場

交付を受ける際に持参するものは、以下のとおりです。

  • 納税通知書
  • 「所有者の相続人」が請求する場合は、所有者の相続人であることが分かる書類(所有者が亡くなったことが分かる戸籍謄本及び相続人の戸籍謄本)と、相続人自身の身分証明書(運転免許証、健康保険証等)
  • 所有者の相続人の代理人が取りに行く場合は委任状も必要となります。

※発行する場所によって異なる場合もありますので、詳しくは管轄の都税事務所、または市町村役場へお問い合わせ下さい。

2-4.住宅地図

ゼンリン地図が有名です。

○ 取得方法
【取得場所】インターネットサイト等
法務局(管轄所在地分のみ)もしくは、国立国会図書館等の大きな図書館にてコピーを請求できます。まずは法務局に問い合わせてみるといいでしょう。
法務局には、通常、住宅地図が備え付けられています。著作権の問題もあるため、法務局の職員に確認のうえ、該当地部分のコピーを取得します。
⇒ 以下のインターネットサイトで取得することも可能です。
ゼンリン住宅地図プリントサービス|ZENRIN

2-5.名寄帳(固定資産課税台帳)

名寄帳とは、市区町村毎に発行される書類で、ある人が持っている不動産の一覧表です。名寄帳には、不動産の所在地、地目、面積、固定資産税評価額、課税標準額などが記載されています。名寄帳を見ることにより、当該市区町村で所有されている不動産を網羅的に把握することができます。

○ 取得方法
【取得場所】各都税事務所・各市町村役場
いくつもの市区町村に不動産を所有している場合には、その市区町村ごとに取得してください。また、共有の不動産は、個人のものとは、別の名寄帳になりますので、注意して取得してください。

2-6.賃貸借契約書

貸地・借地・貸家・借家がある場合に必要です。

2-7.農業委員会の証明書

他人の農地を借りて小作している場合に必要です。

3.上場株式関係

3-1.証券会社の預り証明書(残高証明書)

○ 取得方法
【取得場所】証券会社
ご契約の証券会社へお問い合わせ下さい。
なお、必ず「被相続人の死亡日現在」の預り証明書を取得することにご注意下さい。

3-2.登録証明書(残高証明書)

端株、単元未満株式の有無などの確認をします。

○ 取得方法
【取得場所】名簿管理人
保有されていた上場株式の名簿管理人(信託銀行証券代行部等)へお問い合わせください。保有されている銘柄の会社ごとに名簿管理人が異なります。詳しくは株式の発行会社にお問い合わせ下さい。
なお、必ず「被相続人の死亡日現在」の残高証明書を取得することにご注意下さい。

3-3.配当金の支払通知書

配当金の金額や、端株、単元未満株式の有無を確認するために必要です。お手元にあるものを用意します。

3-4.被相続人の最近5年間の取引明細

顧客口座元帳や顧客勘定元帳と呼んだりもします。

○ 取得方法
【取得場所】証券会社

4.非上場株式関係

4-1.決算書・税務申告書など

まずは、過去3期分の決算書(勘定内訳書等の添付書類を含む)、税務申告書(法人税、地方税、消費税等)の写しを用意します。
詳細に評価する際は、会社の規模や保有する資産内容によって必要な資料が異なります。

5.投資信託、その他金融商品関係

5-1.残高証明書

投資信託、公債・社債、外貨預金やその他ファンドなどの金融商品に関するものを用意します。

○ 取得方法
【取得場所】金融機関
ご契約の金融機関へお問い合わせ下さい。
なお、必ず「被相続人の死亡日現在の解約価額」の残高証明書を取得することにご注意下さい。(※ 基準価額ではなく解約価額です。)

5-2.投資信託についての信託財産留保額及び個別元本額

信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に、解約によるコストを投資家が負担する仕組みです。相続開始日現在の個別元本額も調べます。

○ 取得方法
【取得場所】金融機関
投資信託については、「(相続開始日の基準価額)-(課税時期において解約請求等した場合に源泉徴収されるべき所得税相当額)-(信託財産留保額及び解約手数料)」で評価します。
※なお、上記で解約価額の証明がある場合、こちらは必要ありません。

6.現金預金関係

6-1.預金残高証明書

○ 取得方法
【取得場所】金融機関
なお必ず「被相続人の死亡日現在」の残高証明書(定期預金の場合は経過利息込み)を取得することにご注意下さい。

6-2.過去5年分の通帳・定期預金の証書

過去に相続人様への預金の異動があった場合は、相続人様の通帳も用意します。(配偶者名義の通帳は極力用意します。)

○ 取得方法
【取得場所】お手元にあるものを用意します。
なお、不足部分がある場合には、金融機関で不足箇所の取引明細(入出金明細)のご請求が必要になる可能性があります。

6-3.既経過利息計算書

定期預金の利息計算書です。
相続開始日現在に未収となっている預金受取利息の額を知るためのものです。なお、残高証明書に経過利息の記載がある場合、こちらは必要ありません。

○ 取得方法
【取得場所】金融機関

7.生命保険関係

7-1.生命保険金支払通知書

ご契約の生命保険会社へ問い合わせます。

7-2.生命保険証書のコピー

お手元にあるものを用意します。

7-3.火災保険等の保険証書コピー

お手元にあるものを用意します。

7-4.解約返戻金の分かる資料

保険金の支払いがあったもの以外の保険については、相続開始日時点での解約返戻金額で評価します。

○ 取得方法
【取得場所】保険会社

8.その他の資産

8-1.自動車

車検証のコピー、車種、色、走行距離をお調べ下さい。

8-2.退職金

支払通知書(源泉徴収票)を用意します。お手元にあるものをご用意になるか、もしくは勤務先へお問い合わせ下さい。

8-3.ゴルフ会員権・リゾート会員権

お手元にある預託金証書または証券のコピーを用意します。

8-4.貸付金、前払金等

金銭消費貸借契約書及び残高のわかるもののコピーを用意します。

8-5.貴金属、書画、骨董など

一覧表に査定価額等を記載する形で用意します。

8-6.未収となっている給与、地代、家賃

契約書や支払予定の分かる証憑を用意します。

8-7.その他

金銭的価値のあるものについて、調べます。

9.過去3年以内に贈与をされている場合

9-1.贈与税申告書

過去3年分の贈与税申告書を用意します。

9-2.贈与契約書

贈与を実施した際に作成した贈与契約書を用意します。

10.相続時精算課税制度の適用を受けている場合

10-1.相続時精算課税制度選択届出書

選択の届出を行った際のお手元の届出書を用意します。

10-2.贈与税申告書

選択時以降のお手元にある贈与税申告書を用意します。

10-3.贈与契約書

同制度の届出を行った際に作成した、お手元にある贈与契約書を用意します。

11.債務・葬式費用関係

11-1.金融機関からの借入金

銀行などの金融機関からの借入がある場合は、ご契約の金融機関にお問い合わせの上、借入残高証明書及び返済予定表を用意します。
なお、必ず「被相続人の死亡日現在」の残高証明書を取得することにご注意下さい。

11-2.その他借入

金融機関以外からの借入がある場合は、金銭消費貸借契約書及び返済予定表を用意します。

11-3.未納租税公課等

相続開始前に発生した費用で本来は被相続人が払うべきもので、相続開始後に支払われたものは相続財産より債務として控除することができます。
住民税、固定資産税、事業税、国民年金保険料、国民健康保険料、介護保険料等の納付通知書を用意します。
※相続開始後に支払ったもの及び支払うことになるものです。

11-4.その他債務

相続開始前に発生した費用で本来は被相続人が払うべきもので、相続開始後に支払われたものは相続財産より債務として控除することができます。
医療費、公共料金等の請求書、領収書を用意します。
※相続開始後に支払ったもの及び支払うことになるものです。

11-5.葬儀費用

相続財産から控除できるものがあります。
葬儀関係費用(葬儀代、食事代、お布施、心付けなど)の領収書を用意します。領収書がない場合には、メモでも結構です。
※通夜、葬儀、初七日、納骨などの日程も同時にお調べ下さい。

11-6.被相続人の過去3年分の確定申告書

お手元にあるものを用意します。
※既に準確定申告がお済みの場合には、合わせて準確定申告書も用意します。

11-7.遺言書のコピー

遺言書がある場合には遺言の写しを用意します。自筆証書遺言について、家庭裁判所の検認を受けている場合には、検認の証明書も用意します。
税務署への提出が必要です。

11-8.名義資産、負債

被相続人の名義にはなっていなくても、実質的には被相続人の資産及び負債であるもののことです。典型的なものに名義預金があり、被相続人が他人(配偶者や子供等)名義の口座に預金を預けているものなどがあります。また、被相続人が資金を拠出して購入した不動産で名義は被相続人以外のものなども含みます。

11-9.障害者手帳のコピー

法定相続人に障害者の方がいる場合には、相続税額より一定額の控除があります。
お手元にあるものを用意します。

11-10.過去の相続税申告書

被相続人が過去に相続人の立場となり財産を取得し、相続税申告書を提出している場合は当時の相続税申告書を用意します。
過去10年以内の場合には一定の控除があります。
お手元にあるものを用意します。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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