家の相続はどう進める?流れ・分け方・税金を徹底ガイド

「家を相続したら何をどうしたらいい?」
「家を相続したら税金はかかるの?」
この記事をご覧のみなさんは、このようにお悩みではないでしょうか。
結論を言うと、家を相続する場合は、遺産分割・相続税申告・相続登記(名義変更)など、複数の専門的な手続きを行う必要があります。
なお、家を相続した場合は相続税が課税される可能性がありますが、相続税評価額の計算方法や特例の適用可否の判定は難易度が高く、自力で申告義務判定をするのはおすすめしません。
また令和6年からは相続登記の義務化が施行されており、定められた期限までに申請手続きをしなくてはなりません。
家の相続手続きを確実かつスムーズに進めるためにも、税理士や司法書士の専門的なサポートを受けながら進めることをおすすめします。
この記事の目次 [表示]
1.家の相続手続きの流れ・手順を知ろう【5ステップ】
家(土地・建物)を相続した場合、「家だけの相続手続き」で完結する訳ではありません。
被相続人(亡くなった人)が残した財産全体の相続手続きの一部として、家(土地・建物)の相続手続きも進む仕組みです。
以下は遺言書がないケースを前提とした、家の相続手続きの流れですので参考にしてください(遺言書で遺言執行者が指定されていれば執行者が相続手続きを行います)。
よく「家を相続したらいつまでに手続きすべきですか?」という質問をいただきますが、最初に期限が訪れる「④相続税の申告・納付」を軸に考えましょう。
相続税の申告・納付期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」ですが、申告準備には時間がかかるため、①~③は相続開始から半年以内には完了させるのが理想です。
1-1.STEP①法定相続人の調査・確定
家を含むすべての相続手続きは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得して、「誰が法定相続人なのか」を確定するところから始まります。
法定相続人とは、民法で定められた「被相続人の財産を相続する権利がある親族」のことで、以下のように優先順位が定められています。
「家族なら調べなくても法定相続人が誰か分かる」と思われがちですが、前妻の子や認知した子など、想定外の相続人が判明するケースもあります。

法定相続人が1人でも漏れると、後の遺産分割協議が無効になってしまうため、早めの着手が必須です。
1-2.STEP②相続財産の調査・確定(家を含む)
次に、遺産分割協議の前提となる相続財産の調査・確定を行います。
この理由は、「どのようなプラスの財産がどこにいくらあるのか」だけではなく、「負債や未払金がどこにいくらあるのか」を把握する必要があるためです。

家(土地・建物)は権利証(登記識別情報)・固定資産税納税通知書・名寄帳などを基に、土地と建物の評価額・所在地・面積・権利関係を整理します。
相続財産の計上漏れがあると、その財産について遺産分割協議を行わなくてはならず、二度手間になってしまいます。入念な調査を行いましょう。
参考:【相続財産調査とは】誰がするの?かかる費用や調査方法をプロが解説
1-3.STEP③遺産分割協議を行う
STEP①②の前提条件が揃い次第、遺産分割協議を行って「誰が・どの財産を・どのくらい・どうやって取得するのか」を話し合って決めます。
遺産分割協議は法定相続人全員が合意しないと成立せず、法定相続人が1人でも欠けると無効になるのでご注意ください。

そして遺産分割協議書を作成して、法定相続人全員が合意した内容を書面化します。
遺産分割協議書はこの後の相続手続きで必須となりますので、「誰が家を取得するか」だけではなく、家の分割方法や代償金の有無などを明確に記載しておくことが重要です。
参考:【遺産分割とは】分割方法・割合・手続きの流れ!トラブル対処法も解説
1-4.STEP④相続税の申告・納付
家を含む「正味の遺産総額」が「相続税の基礎控除」を超える場合は、相続税の申告・納付が必要です。
正味の遺産総額とは、家を含むプラスの財産の総額からマイナスの財産を差し引き、さらに一定の範囲の生前贈与財産を持ち戻した後の価額のことです。
相続税の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算します。

「正味の遺産総額>基礎控除額」であれば、相続税がかかりますので、相続税の申告義務があります。
なお、家の土地部分に小規模宅地等の特例(最大80%減額)を使うことで、納税額が0円になるケースもありますが、相続税の申告は必要となりますのでご注意ください。
参考:相続税の申告義務の判断ポイント│誰が申告するのかも解説!
1-5.STEP⑤家の相続登記(名義変更)
遺産分割協議において家を取得することが決まった人は、法務局で相続登記(名義変更)の申請手続きを行います。
相続登記とは、被相続人名義の不動産(土地や建物)を、相続人の名義に変更する手続きのことです。

令和6年4月1日から相続登記の義務化が施行され、相続の開始と不動産の取得を知った日(遺産分割協議が成立した日)から3年以内に申請手続きを行う必要があります。
正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となってしまいます。
なお、令和6年3月31日までに相続が開始している場合も義務化の対象となるため、猶予期間である令和9年3月31日までに申請手続きを行う必要があります。
参考:相続登記とは?期限・必要書類・費用・手続きの流れを解説
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一般的な家の相続では、税理士と司法書士のサポートを受けながら手続きを進めることとなります。
チェスターグループであれば、相続税を軽減する分割方法のアドバイスはもちろん、相続税申告や相続登記の手続きまでワンストップで対応できます。
すでに相続が発生しているお客様でしたら、初回面談が無料となりますのでまずはお気軽にご相談ください。
2.家はどうやって相続する?遺産分割協議で知るべき3つのポイント
家は現金のように物理的な分割ができないため、法定相続人間で公平性を保つのが難しい財産です。
そのため、遺産分割協議では「誰が家を取得するか」だけでなく、「どの分割方法を採用するのか」まで決めなくてはなりません。
ここが曖昧なままだと遺産分割協議が長期化し、相続税申告や相続登記など、他の相続手続きにも影響が出てしまいます。
なお、親の家(実家)の相続である場合、「住む・貸す・売却する」のいずれかを検討した上で遺産分割協議を進めなくてはなりません。以下ページで注意ポイントを解説しているのであわせてご覧ください。
参考:親の家は相続すべき?相続税の計算方法・手続きの流れを解説
2-1.ポイント①遺産分割の目安となるのが「法定相続分」
法定相続分とは、民法で定められた「各法定相続人が相続できる割合」のことです。
法定相続分の割合は、「誰が法定相続人になるのか」で変動します(同順位の法定相続人が複数いる場合は相続分を人数で按分)。

遺産分割協議ではこの法定相続分を「目安」として、誰が・何を・どれだけ相続するのか(具体的相続分)を決めます。
ただし、必ずしも法定相続分どおりに分割する義務はありませんので、全員が納得するのであれば、特定の法定相続人がすべての財産を単独相続することも可能です。
2-2.ポイント②家の分割方法は4種類から選択できる
家は現金のように「物理的な分割」ができないため、以下の4種類の分割方法からいずれかを選ばなくてはなりません。
| 現物分割 | 家をそのままの形で特定の相続人が単独で相続する方法 |
| 代償分割 | 家を相続する人が他の相続人に代償金を支払う方法 |
| 換価分割 | 家を売却して得た現金を分割する方法 |
| 共有分割 | 家を相続人全員の共有名義で相続する方法 |
法定相続人間の公平さを重視する場合は、「代償分割」や「換価分割」が選択されやすいです。
ただし、「被相続人と同居していた子」がいる場合、代償分割を選べば同居していた子は代償金の支払いが必須となり、換価分割を選べば同居していた子は家を追い出されることとなります。
公平さを重視しすぎると兄弟間で不公平感が生じやすく、トラブルに発展しやすいため注意が必要です。
参考:相続した不動産はどう分割する?フローチャートでわかる4つの方法
2-3.ポイント③配偶者居住権で「居住権」と「所有権」を分けることも可能
家の相続では、配偶者が「家に住み続けたい」と希望する一方で、他の法定相続人は公平な分割を求めるケースが少なくありません。
このような場面で役立つのが、「配偶者居住権」という制度です。
配偶者居住権とは
配偶者が無償で家に住み続ける権利(居住権)と、家そのものの所有権を分けて相続できる制度のこと
配偶者居住権を適用すれば、配偶者の生活を守りながら、法定相続人同士の不公平感を抑えることができます。
特に「家しかない遺産」の場合に有効な選択肢で、適用すれば相続税が軽減される可能性もあります。
参考:配偶者居住権とは?要件・登記からデメリットまでわかりやすく解説
3.家を相続したら税金はいくら?相続税の基礎控除と評価額の考え方
家の相続税は、「3,000万円の家を相続したから相続税は〇〇万円」と単純な計算はできません。
まずは家の相続税評価額を含むプラスの財産の総額から、マイナスの財産を差し引いて一定の範囲の生前贈与を持ち戻し、さらに基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いて「課税価格合計」を計算します。
そして、一旦法定相続分で分割して税率を乗じて控除額を差し引いた仮の税額を基に相続税の総額を計算し、実際の分割割合で按分して各種税額控除を適用し相続税の納税額を算出します。

家を含む相続財産の相続税の計算は非常に複雑ですので、必ず相続税に強い税理士に計算してもらいましょう。
参考:相続税はいくらかかる?自分で計算するための仕組みと手順【税理士監修】
3-1.家の相続税評価額の計算方法
家の相続税評価額は、国税庁「財産評価基本通達」に基づいて計算します。
なお、「土地」と「建物」で相続税評価額の計算方法が異なるため、それぞれを正しく把握することが重要です。
| 評価方法 | |
|---|---|
| 土地部分 | (路線価×画地補正率)×面積 |
| 建物部分 | 固定資産税評価額×1.0 |
上記は、相続した家が「路線価が定められている地域」にある場合の、相続税評価額の計算方法です。
相続した家が面する道路に路線価が定められていない場合、土地の相続税評価額は「倍率方式(固定資産税評価額×評価倍率)」で計算することとなります。
また今回は「都市部の持ち家(一軒家)」をシミュレーションしましたが、マンションである場合は評価方法が異なりますのでご注意ください。
家の相続税評価額の計算方法については、以下記事をあわせてご覧ください。
参考:家(住宅)の相続税はいくら?評価額の出し方や特例を解説!
3-2.小規模宅地等の特例で土地の評価額を最大80%減額できる可能性あり
家の土地部分に「小規模宅地等の特例」が適用できれば、土地部分の評価額を減額できる可能性があります。
小規模宅地等の特例とは、被相続人が自宅や事業用として所有していた宅地等の評価額を、最大80%減額できる特例のことです。

家の土地部分の相続税評価額が大きいほど節税効果も大きくなるため、家の相続では必ず検討すべき特例です。
ただし、同居要件、居住の事実、持ち家の有無など、満たすべき要件が複雑なため、専門家による確認が不可欠です。
なお、被相続人と別居していても適用できる「家なき子特例」がありますが、適用要件がさらに複雑になる点には注意が必要です。
参考:【小規模宅地等の特例】相続税評価額を最大80%減額!適用要件・計算方法を解説
4.家を相続したら法務局で「相続登記(名義変更)」の申請手続きを
家を相続することが決まった人は、相続する家の所在地を管轄する法務局で、相続登記(名義変更)を行う必要があります。
相続登記をしないままでは、第三者に対して所有権を主張できず、家の売却・賃貸・担保設定などもできません。

相続登記の期限は「不動産の取得を知った日から3年以内」ですが、遺産分割協議を行った場合は「遺産分割協議が成立した日」を起算日と考えると良いでしょう。
義務化の施行により、期限を過ぎると10万円以下の過料の対象となる上に、手続きが複雑化するため注意が必要です。
参考:相続登記しないとどうなる?放置する8つのデメリットと申請手続きの流れ
4-1.家の相続登記の必要書類
相続した家の相続登記では、相続人や不動産の状況を証明するために複数の書類を揃える必要があります。
以下は遺産分割協議を行った場合の相続登記の必要書類ですので参考にしてください。
■必要書類一覧(遺産分割協議をした場合)
- 登記簿謄本
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
- 被相続人の住民票(除票)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 不動産を取得する人の住民票
- 固定資産評価証明書
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続登記申請書
役所等で取得する書類のみならず、自分で作成する書類もありますので、書類の収集・作成に時間がかかるということを念頭に置いて手続きを進めましょう。
なお、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本は、法務局の「法定相続情報一覧図」でも代用できます。
参考:相続登記の必要書類一覧│手続き・自分で収集する方法を解説
4-2.相続登記にかかる費用
相続登記に必要な費用は、書類取得の実費・登録免許税・司法書士報酬の3つに大きく分かれます。
家の評価額が高いほど登録免許税も高くなるため、事前に確認しておくと安心です。
| 登記簿謄本の取得 | 1通600円 |
| 書類取得の実費 | 5千~1万円 |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4%※ |
| 司法書士への報酬 | 10万円程度 |
※法定相続人以外の場合は税率2.0%
上記はあくまで一般的な家を相続した際に、相続登記にかかる費用目安です。
相続人が多数いるケースや、数次相続(相続が複数回発生している状態)など、手続きが複雑な場合は費用が増えやすい点にも注意が必要です。
参考:【相続登記の費用】不動産・土地の相続にかかる税金や司法書士報酬を解説
5.家を相続したら知っておきたい2つのポイント
家を相続すると、「所有権」だけでなく「家の管理義務」も引き継ぐことになります。
そのため、売却の判断を先送りすると税負担が重くなる可能性があるうえ、空き家のまま放置すると近隣トラブルなどのリスクも高まります。
この章では、家を相続した後に必ず押さえておきたいポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。
5-1.相続した家の売却は3年以内を目安に
相続した家を売却して利益(譲渡所得)が出る場合、譲渡所得税という税金が課税されます。
ただし、以下の特例を適用できれば、税負担を大きく軽減できる可能性があります。
譲渡所得税に係る特例
- 相続税の取得費加算の特例
- 空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除
- 居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除
これらの特例は、「〇〇から3年以内に売却すること」という適用期限が設けられている点が共通しています。
そのため、相続した家を売却する予定がある場合は、3年以内の売却を目安に動くのがおすすめです。
なお、土地の相続税評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」には、「相続税申告期限まで保有していること」という要件があるため、売却時期との整合性には注意が必要です。
参考:【相続した不動産を売却】手続きや特別控除・相続税も解説
5-2.空き家のまま放置するのはリスクが高い
相続した家を空き家のまま放置すると、税負担の増加・老朽化・近隣トラブルなど複数のリスクが発生します。
さらに市区町村から「管理不全空き家」に認定されると、固定資産税に関わる「住宅用地特例」が解除され、固定資産税が最大6倍に増える可能性があります。
空き家放置の主なリスク
- 固定資産税が最大6倍に増額
- 老朽化による倒壊・雨漏り・害獣被害
- 不法侵入・放火など治安悪化
- 近隣からの苦情・損害賠償リスク
空き家は放置するほど劣化が進み、管理コストも増えてしまいます。
相続した家を空き家のまま放置するのではなく、「住む・貸す・売る・解体する」のいずれかの判断を早めに行うことが重要です。
参考:【空き家を相続したら】税金・手続き・売却時の特例を解説
6.家の相続に関するよくある質問Q&A
家の相続に関するよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
6-1.Q1:家を相続放棄するとどうなる?
相続放棄は「相続財産すべて」を対象とするため、家を相続放棄すると預貯金などの他の財産も相続できなくなります。
相続放棄が受理されると、初めから法定相続人ではなかったものとみなされ、次順位の相続人へ相続権が移ります。
ただし、相続放棄をしても「現に占有している家」については、次の相続人へ引き渡すまで管理義務が残る点に注意が必要です。
参考:いらない土地だけ相続放棄はできない│手放す方法をプロが解説
6-2.Q2:相続放棄の予定だけど家の片付けはしても良い?
家財の処分・リフォーム・賃貸など、相続財産の処分とみなされる行為をすると「単純承認」と判断され、相続放棄ができなくなる可能性があるのでご注意ください。
一方、経済的価値の低いものを「形見分け」として受け取る程度であれば、単純承認とみなされないケースもあります。
ただし判断が難しいため、専門家への確認が推奨されます。
参考:相続放棄が受理されないケース│単純承認とみなされるNG行為と対策
6-3.Q3:家を生前贈与すると相続税を節税できる?
家を生前贈与すると相続財産が減るため、相続税の節税につながる可能性があります。
ただし、生前贈与には贈与税が課税されるため、家を取得する場合、生前贈与と相続のどちらが有利なのかはケースによって異なります。
贈与者と受贈者の関係性、家の評価額、他の財産状況などを踏まえ、専門家に試算してもらうことをおすすめします。
参考:土地の生前贈与と相続どちらが得?【プロが解説】生前贈与の注意点
7.家の相続手続きは税理士や司法書士のサポートが不可欠
家の相続では、遺産分割・相続税申告・相続登記という「税務と法務の両方の手続き」が必要になります。
特に家は相続税評価額の計算方法が複雑で、分割方法や特例の適用可否によって相続税額が大きく変わるため、一般の方が自力で相続税申告を進めるのは負担が大きいのが実情です。
また、相続登記の義務化により、期限内に名義変更を行わないと過料の対象となるため、遺産分割協議が成立次第で申請手続きをしなくてはなりません。
家の相続手続きをスムーズに進めるためにも、専門家である税理士や司法書士のサポートを受けることをおすすめします。
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