【証券会社の相続手続き】必要書類・日数・わからない場合の対処法

「証券会社での相続手続きはどうすればいい?」
「証券会社の相続手続きにかかる日数は?」
この記事をご覧のみなさんは、このような疑問や不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、証券会社での相続手続きは、銀行の窓口のように一括処理できず、必要書類の準備や証券口座の移管など、複数のステップを踏む必要があります。
さらに、書類不備による差し戻しや、対面証券・ネット証券による対応スピードの違いから、手続き完了までに時間がかかるという特徴もあります。
この記事では、証券会社での相続手続きの流れ・必要書類・かかる日数、証券会社がわからない場合の調べ方や相続税評価の注意点まで、相続税専門の税理士が解説します。
この記事の目次 [表示]
1.証券会社での相続手続きは「相続人の証券口座への移管」が原則
証券会社で行う相続手続きでは、銀行の預金口座のように「払い戻し(現金化して解約)」はできません。
相続で取得した株式や投資信託は、そのままの銘柄の状態で、相続人の証券口座へ移管されるのが原則となります。

被相続人(亡くなった方)の証券口座は、死亡が判明した時点で凍結されます。
凍結後は売買や出金が一切できなくなるため、相続人が口座移管の手続きを完了させるまでは、相続した株式や投資信託を動かすことができません。
相続した株式等を現金化したい場合は、相続人の証券口座を新たに開設し、移管完了後にはじめて売却手続きを行うこととなります。
そのため、相続税の納税資金や代償金を確保したいケースなどでは、相続人の証券口座の開設を進めておくことが重要です(相続人がすでに口座を保有していれば新たな開設は不要)。
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証券会社の相続手続きをスムーズに進めるためにも、専門家に相続手続きの代行を依頼するという方法もあります。
チェスターグループでは、証券口座の残高証明書等の取得から相続人名義の証券口座への移管サポートを行う「まるっとおまかせ相続手続きパック」をご提案しています。
すでに相続が発生しているお客様は、初回面談が無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。
2.証券会社での相続手続きの流れ・手順【5ステップ】
証券会社での相続手続きは、銀行のように窓口で一括処理できるわけではありません。
以下のような流れ・手順で進めることとなります。
この章では、証券会社での一般的な相続手続きの流れを、5つのステップに分けて解説します。
2-1.STEP①証券会社を確定して連絡する
まずは被相続人(亡くなった方)が、どの証券会社で取引していたかを確定させます。
自宅等で保管されている取引残高報告書や郵便物を探して、証券会社・取引店名・口座番号を確認しましょう。
そして該当する証券会社へ連絡すると、相続手続きの案内書類一式が郵送されます。
この案内に沿って、「残高証明書の取得」や「口座移管の必要書類の準備」を進めていく流れとなります。
2-2.STEP②残高証明書を取得する
次に「残高証明書」を取得して、保有している株式の銘柄・数量・評価額、投資信託の種類などを把握します。
この理由は、証券会社は個人情報保護の観点から、相続人に口座内容を口頭で伝えることはできないためです。
証券会社での相続手続きは、「誰が・どの銘柄を・どれだけ相続するか」が決まらなければ次のステップには進めません。
まずは証券会社に連絡して残高証明書を取得、財産内容を把握してから遺産分割協議を行い、全員が合意した内容を書面化した遺産分割協議書を作成しましょう。
参考:【遺産分割とは】分割方法・割合・手続きの流れ!トラブル対処法も解説
2-3.STEP③必要書類を確認・準備する
残高証明書で財産内容を把握したら、次に口座移管の必要書類を準備します。
遺言書の有無や遺産分割協議の状況によって提出書類が異なるため、次章を参考にしてください。
必要書類に不備があると差し戻しが発生し、手続きが長引く原因となります。案内書類を確認しながら、漏れのないよう準備しましょう。
2-4.STEP④相続人名義の証券口座を開設する(未保有の場合)
株式等を取得する相続人が、被相続人と同じ証券会社に口座を持っていない場合は、新規口座の開設を行いましょう。
口座の開設には数日~数週間かかることがあるため、早めに進めておくとスムーズです。
なお、相続人が被相続人と同じ証券会社で口座を保有している場合は、新規開設は不要です。
2-5.STEP⑤必要書類を提出して移管を完了させる
相続手続きに関わる必要書類をすべて揃えたら、証券会社へ郵送します。
書類の確認が完了すると、株式や投資信託が相続人の証券口座へ移管されます。
なお、相続人の証券口座への移管後は、相続人自身が「売却」もしくは「保有」を選択できます。
相続税の納税資金を確保したい場合は、移管後に速やかに売却手続きを進めることが重要です。なお、被相続人が買付した際の取得価額(購入単価)は、そのまま相続人に引き継がれるため、売却時には譲渡所得税が発生する可能性があります。必ず税理士に相談しましょう。
3.証券会社での相続手続き(口座移管)の必要書類
証券会社での相続手続きでは、「共通の必要書類」と「状況に応じて追加される必要書類」があります。
すべてのケースで共通して提出を求められる必要書類は以下の通りですので、まずは把握しておきましょう。
共通の必要書類
- 相続手続依頼書(証券会社所定のもの)
- 被相続人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票(死亡診断書等)
- 相続人の証券口座情報(移管先の口座)
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、法定相続人を確定するための必須書類です。
様々な相続手続きで提出を求められるため、法務局で「法定相続情報一覧図(写し)」を取得されることをおすすめします。
法定相続情報一覧図は、無料で何度でも取得できるため、証券会社・銀行・不動産など複数の手続きを行う場合に非常に便利です。
3-1.遺言書がある場合
遺言書がある場合は、遺言の内容に沿って遺産分割を行いますので、以下の書類が追加で必要になります。
- 遺言書の写し
- 検認済証明書の写し(一部自筆証書遺言の場合)
遺言で遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者の印鑑証明書なども必要となります。
家庭裁判所において遺言執行者が選任された場合は、遺言執行者選任審判書の写しも必要となります。
3-2.遺産分割協議書がある場合(遺言書なし)
遺言書がない場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行ったことを証券会社に証明しなくてはならないため、以下の書類が追加で必要になります。
- 遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書は、「誰が・どの銘柄を・どれだけ相続するか」を証明する最重要書類です。
法定相続人全員の署名・実印がある遺産分割協議書を準備して、印鑑証明書(発行から6ヶ月以内が目安)の原本添付を行いましょう。
3-3.遺言書・遺産分割協議書のどちらもない場合
遺言書も遺産分割協議書もない場合は、法定相続分通りで相続手続きを進めることになりますので、以下の書類が追加で必要になります。
- 証券会社所定の同意書(名称は証券会社で異なる)
- 相続人全員の印鑑証明書
法定相続分で遺産分割をする場合、遺産分割協議書を作成しないケースも一定数あります(協議書の作成は推奨されますが)。
ただし、証券会社によっては、遺言書や遺産分割協議書の提出が必須となる場合もあります。
遺言書も遺産分割協議書もない場合は、確実に相続手続きを行うためにも、証券会社の相続専用窓口に確認することをおすすめします。
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証券会社の相続手続きでは、状況によって必要書類が異なります。
これらの書類を不備なく収集・作成するだけでも、かなりの手間がかかります。
書類収集や証券会社とのやり取りをまとめて依頼したい方は、チェスターグループにお任せください。
4.証券会社の相続手続きが遅いと言われる理由と日数の目安
証券会社での相続手続きは、銀行や保険会社と比べて「時間がかかる」と言われることが多いです。その背景には、以下のような理由があります。
遅いと言われる理由
- 書類のやり取りが郵送中心(ネット証券は特に遅い)
- 書類の不備による差し戻しが発生しやすい
- 証券会社ごとに必要書類や審査フローが異なる
さらに「対面証券」と「ネット証券」で対応スピードが大きく異なるため、証券会社の相続手続きは2週間~2ヶ月程度と幅が出るのが一般的です。
4-1.対面証券の場合(2~4週間が目安)
野村・大和・SMBC日興など「対面」の証券会社は、担当者が手続きの流れを丁寧に案内してくれるため、比較的スムーズに進みます。
- 必要書類の案内が明確
- 書類の不備があればすぐ連絡が来る
- 書類提出後の処理も早い
そのため、必要書類が揃っていれば、2~4週間程度で相続手続き(移管)が完了するケースが多いです。
4-2.ネット証券の場合(1~2ヶ月が目安)
SBI・楽天・マネックスなどのネット証券は、書類のやり取りがほぼ郵送となるため、対面証券よりも時間がかかる傾向にあります。
- 書類案内はWeb中心
- 書類の不備は郵送で差し戻し
- 問い合わせはコールセンター経由
- 書類の往復に日数がかかる
そのため、相続手続き(移管)が完了するまで、1~2ヶ月程度かかるのが一般的です。
5.相続する証券会社がわからないときの調べ方
証券会社で相続手続きをするためには、被相続人の自宅などで保管されている「取引残高報告書」や「郵便物」を確認して、証券会社を確定しなくてはなりません。
しかし、書類が見つからない・複数の証券会社を利用していた可能性があるなど、証券会社を特定できないケースも少なくありません。
そのような場合は、証券保管振替機構(通称:ほふり)に対して「登録済加入者情報の開示請求」を行うことで、被相続人が口座を開設していた証券会社を調べることができます。
ただし、開示でわかるのは「口座を開設している証券会社名のみ」ですので、各証券会社に具体的な銘柄や残高を直接問い合わせる必要があります。
5-1.ほふりへの開示請求のやり方
証券保管振替機構(通称:ほふり)への「登録済加入者情報の開示請求」は、郵送のみで受け付けられています。
以下の必要書類(相続人等が請求する場合)を揃えて郵送すると、「登録済加入者情報通知書」が代金引換で届きます。
相続人等が請求する場合の必要書類
- 開示請求書(ほふり指定様式)
- 法定相続情報一覧図または戸籍謄本等の写し
- 法定相続人の本人確認書類の写し
相続人等が開示請求した場合の費用は6,050円(税込)で、該当がない場合でも開示費用は発生します。
開示結果が届くまで1~2ヶ月かかるため、早めに手続きを進めることをおすすめします。
参考:証券保管振替機構「ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合」
6.証券口座の相続税評価と相続税申告の注意点
証券会社での相続手続き(移管)が完了しても、それで終わりではありません。
相続した株式や投資信託には相続税がかかる場合があり、証券会社への手続きとは別に、相続税評価額を計算して申告の要否判定をしなくてはなりません。
この章では、上場株式・投資信託の評価方法と、見落としやすい財産について解説します。
参考:相続税の申告義務の判断ポイント|誰が申告するのかも解説!
6-1.上場株式の相続税評価額の計算方法
上場株式の相続税評価額は、以下の4つの中から、最も低い価格を選択することができます。
上場株式の相続税評価額
- ①相続開始日(死亡日)の終値
- ②死亡した月の毎日の終値の平均額
- ③死亡した月の前月の毎日の終値の平均額
- ④死亡した月の前々月の毎日の終値の平均額
例えば、相続開始日の終値が2,000円であっても、前月の平均終値が1,800円であれば、1,800円を相続税評価額として選択できます。
これは、相続開始直後の一時的な株価上昇によって、相続税の負担が不当に重くなることを防ぐためのものです。
なお、複数の銘柄を保有していた場合は、銘柄ごとに①~④のうち最も低い価格を個別に判定します。
参考:相続した株式の評価を解説!上場株式・非上場株式の評価額の計算方法と注意点
6-2.配当金や端株も相続財産に含まれる【見落としがち】
株式そのものだけでなく、「配当金」や「端株(単元未満株式)」も相続財産に含まれます。
申告漏れが起きやすいポイントですので、注意しましょう。
証券会社から届く支払通知書等で基準日や確定日を確認し、配当金を相続財産に含めるべきかどうかを判断する必要があります。
また、1株~99株といった単元未満の端株も、少額であるため見落とされやすいですが、相続財産として申告が必要です。
証券会社または株式発行会社に買い取り請求を行い、相続税評価額を算定します。
これらの評価・判断は専門的な知識を要するため、自己判断で進めると評価誤りによる申告漏れ・追徴課税につながるリスクがあります。
証券口座の相続税評価は、相続に強い税理士へ相談することをおすすめします。
7.証券会社での相続手続きでよくある疑問まとめ【Q&A】
ここまで解説した内容以外にも、証券会社の相続手続きでは細かい疑問が生じやすいものです。
この章では、よくある疑問をQ&A形式でまとめたので、参考にしてください。
7-1.Q1:相続した株は違う証券会社に移せる?
証券会社での相続手続きは、被相続人と同じ証券会社に開設した相続人名義の口座への移管が原則です。
しかし、証券会社によっては、いったん被相続人と同じ証券会社の相続人口座へ移管してから、あらためて他社への移管(出庫)手続きを行う運用としているところもあります。
そのため、他の証券会社へ資産を移したい場合は、まず被相続人が取引していた証券会社での相続手続きを完了させ、その後に通常の移管(出庫)手続きを行う流れとなります。
なお、移管先の証券会社によっては、株式や投資信託の出庫手数料がかかる場合があります。
主要なネット証券では、国内株式の出庫手数料を無料としているケースが多い一方、投資信託の出庫では1銘柄あたり3,300円程度の手数料がかかることが一般的です。
対面証券では取引単位数に応じた手数料体系となっている場合もあるため、事前に各社に確認しましょう。
7-2.Q2:NISAやiDeCoも同じように相続人に引き継げる?
NISAやiDeCoは、通常の証券口座とは取り扱いが異なります。
NISA口座は、口座を開設した本人専用の非課税制度であるため、相続人のNISA口座にそのまま引き継ぐことはできません。
相続人は「非課税口座開設者死亡届出書」等を証券会社へ提出し、NISA口座内の商品は相続人の特定口座または一般口座へ移管されます。
iDeCoは老後資金のための積立制度であり、相続人のiDeCo口座に引き継がれるものではありません。
加入者が死亡した場合は「死亡一時金」として、指定された受取人または遺族へ支払われます。
参考:【NISAの相続】口座は引き継げる?手続き、相続税評価も解説
7-3.Q3:配当所得があった場合は準確定申告が必要?
被相続人に配当所得や株式の譲渡所得があった場合は、相続人が代わりに所得税の準確定申告を行う必要があります。
準確定申告の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内です。
相続税の申告期限(10ヶ月以内)とは別の手続き・別の期限ですので、混同しないよう注意しましょう。
参考:準確定申告とは?必要かどうかの判断・期限・申告書の書き方を解説
7-4.Q4:相続人が未成年の場合、証券会社の手続きはどうなる?
未成年者本人が単独で証券会社の相続手続きを行うことはできませんので、親権者が法定代理人として、本人に代わって手続きを進めることになります。
そのため、証券会社での相続手続きでは、親権者の本人確認書類や、親権者であることを証明する戸籍謄本などの追加書類が求められることがあります。
なお、未成年者と親権者がともに相続人となる遺産分割協議では、双方の利益が対立する「利益相反」にあたるため、家庭裁判所で「特別代理人」の選任が必要になるケースもあります。
参考:未成年者は遺産相続できるの?特別代理人の要否や未成年者控除について
7-5.Q5:相続放棄した場合、証券会社の手続きはどうなる?
相続放棄をした方は、はじめから相続人でなかったものとして扱われるため、証券会社の相続手続きには関与しません。
相続放棄した方の証券口座への移管手続きは発生せず、必要書類の提出義務もありません。
株式や投資信託は、相続放棄をしなかった他の相続人が、法定相続分などに応じて相続することになります。
参考:相続放棄とは?期限・手続きの流れ・費用をわかりやすく解説
8.証券会社の相続手続きは相続専門の税理士にご相談を
証券会社での相続手続き(口座移管)そのものは、必要書類さえ揃えればご自身でもしていただけます。
しかし、株式や投資信託の評価額を正しく算定し、申告漏れなく相続税の申告を行うには、専門的な知識が欠かせません。
特に、複数の証券会社に口座が分散しているケースや、配当金・端株といった見落としやすい財産があるケースでは、自己判断での評価・申告が思わぬ追徴課税につながることもあります。
上場株式等を相続された方は、相続税評価額の算定や相続税申告の要否判定などを見越して、相続税に強い税理士に相談されることをおすすめします。
8-1.税理士法人チェスターにご相談を
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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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