相続登記で手続きが完了するまでの期間は?必要な準備/期限/日数短縮の方法も
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1.相続登記にかかる期間はどのくらい?
相続登記には一体どのくらいの時間がかかるのでしょうか。
答えは、相続の内容によって異なります。相続人の数や相続財産の状況、必要書類をどこまで集めているかによって異なります。
例えば、相続不動産が自宅のみ、相続人が1人で戸籍謄本などの必要書類も手元にあるなら、1週間から2週間程度で登記が完了することがあります。
反対に、相続不動産が各地にあり、相続人も多数存在していて、必要書類をこれから集めるとなれば、何カ月もかかることがあります。
このように、相続の内容によって、相続登記にかかる期間は大幅に異なってきます。
1-1.登記申請から完了までの期間
相続の開始から登記申請までには、さまざまな準備が必要です。
相続財産の調査から始まって、相続人の調査や必要書類の取得、遺言書の検認、遺言書がなければ遺産分割協議で話し合いをするなど、登記申請に至るまでにすることは多岐に亘ります。
相続登記の申請ができる状態になれば、ほとんどの作業が終わっているといってもいいでしょう。
登記申請から完了までの期間は、登記官が登記申請の内容を審査している期間であり、おおよそ10日前後で登記が完了します(管轄の法務局の混み具合や、補正が必要ならもう少し時間がかかる場合があります。)。
2.相続登記にかかる期間と必要な準備
ここでは、相続登記にかかる期間を、必要な準備ごとに詳しく解説します。
①不動産の調査にかかる期間
相続財産の中に不動産がある場合は、相続不動産の調査をします。被相続人が持っていた登記識別情報通知書(登記済権利証)や固定資産税の納税通知書などをもとに調査します。
正確に被相続人の所有していた不動産を調査するために、名寄帳も調査します。
登記識別情報通知書や納税通知書を探して、名寄帳を取り寄せるなどの期間を入れて、不動産の調査にかかる期間は約1週間から2週間ぐらいです。
②戸籍謄本等の収集にかかる期間
相続登記をする場合、誰が相続人になるのかを確認しなければなりません。市区町村役場で被相続人の出生から死亡までの連続した全ての戸籍謄本を取り寄せて、相続人の範囲を確認します。
まずは、被相続人の最後の戸籍謄本をとり、そこから順次さかのぼっていき、出生までの全ての戸籍謄本をそろえます。改製原戸籍と言われる、戸籍法改正によって書き換えられる以前の謄本なども必要です。
また、被相続人に子供がいない場合や、子供が相続放棄をしている場合は、相続人が被相続人の父母や兄弟などの次順位に移っていきます。
このような場合、さらに除籍謄本などを取り寄せて確認します。法定相続人の範囲が広がると、その分集める戸籍謄本などが増えます。
兄弟姉妹間の相続や代襲相続など、相続関係が複雑になれば、より多くの手間がかかります。
特に、兄弟姉妹間の相続に必要な戸籍の収集にはかなりの時間と労力が必要です。兄弟姉妹の戸籍の取得は「第三者請求」の取り扱いとなり、簡単には取得できません。
この戸籍謄本などの収集作業には、時間を要することが多く、1カ月程度では完了しない場合があります。
本籍地が遠方の場合には、郵送で請求し収集するなど、さらにもっと時間がかかる場合があります。
戸籍謄本などの取得は、専門家である司法書士に依頼できます。専門家である司法書士に任せることで、時間と手間が節約できます。
③遺産分割協議書の作成/署名と捺印の手配にかかる期間
遺言書が存在せず、法定相続分とは異なる割合で遺産分割を行う場合は、遺産分割協議が必要です。
相続人全員が集まって話し合いができれば、すみやかに遺産分割協議が完了します。
しかし、相続人が遠方で、会ったことがない親戚だった場合は、初めから事情を説明して、理解してもらって合意に至る必要があります。その期間が、数カ月程度かかることも少なくありません。
最悪の場合は、遺産分割協議がもめて1年以上続いたり、遺産分割調停や遺産分割審判などに発展して、数年かかることもあります。
遺産分割協議がまとまれば、その内容を遺産分割協議書にして、相続人全員が署名押印し、印鑑証明書を添付します。
相続人全員が一堂に集まって、署名捺印をして印鑑証明書を集めることができれば、時間はあまりかかりませんが、遠方の相続人がいる場合は、郵送でやり取りするなどと、時間がかかる場合があります。
遺産分割協議書に誤りがあれば、再度、署名捺印してもらうために集まってもらうなど、さらに時間がかかります。遺産分割協議書の作成は、相続登記の専門家である司法書士にご相談されることをお勧めします。
④遺言書の検認にかかる期間
自筆証書遺言は、家庭裁判所に遺言書を提出して検認を請求しなければなりません。
検認とは、相続人に対し遺言書の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造や変造を防止するための手続きです。
遺言書の有効や無効を判断する手続きではありません。
検認手続きでは、相続人の立ち会いのうえ開封するものとされています。
自筆証書遺言の場合は、この検認の手続きを経た遺言書でないと、相続登記の申請ができません(法務局の保管制度を利用した遺言書であれば、検認の必要はありません。)。
遺言書の検認は、申立をしてから手続きが終わるまで、1カ月から2カ月程度の期間を要します。また、検認の申立てには、被相続人の出生時から死亡時までの連続した全ての戸籍謄本が必要になるので、戸籍謄本などを集める準備期間もかかります。
⑤相続登記申請書の作成/申請にかかる期間
相続登記申請書は、ご自身で作成することができます。
法務局のホームページに、雛形が用意されています。法務局では、相続登記を申請される方のために、「登記手続案内」をしています。この登記手続案内は、申請書の書き方や必要な書類などについて、一般的な説明を行うものです。
個別の具体的なアドバイスはしていませんので、もし相続登記に自信がなければ、相続登記を専門とする司法書士事務所にご相談されることをお勧めします。
申請書を作成してから申請するまでに要する期間は、簡単な相続内容で、公的機関に提出する書類の作成に慣れている方なら数日程度で済みます。
しかし、記載内容に誤りがあれば、法務局から問い合わせの電話があり、登記申請書の訂正や添付書類の取り直しが必要となり、何度も法務局に足を運ぶこともあります。
慣れていない方は、専門知識が分からず途中で挫折される方が多くいます。自信がなければ、専門家である司法書士に任せることをお勧めします。
⑥登記識別情報の受領/登記簿謄本の取得までにかかる期間
登記が完了すると、登記識別情報通知書という書面が発行されます。
(出典:法務省ホームページ 登記識別情報通知書の様式の変更等について)
登記識別情報とは、登記が申請された際に、その登記にかかる物件と登記の内容とともに、登記所から通知される12桁の符号のことをいいます。
登記識別情報は、不動産を管轄する登記所で発行され、窓口で受け取ることができます(郵送で受け取ることも可能です。)。
登記の内容が反映された登記簿謄本(登記事項証明書)は、登記の完了後、すぐに、全国どこの法務局からでも取得できます。
3.相続登記にかかる期間/日数を短縮させるポイント
相続登記をご自身で申請する場合は、今まで解説してきた作業の他に、手続の流れを調べたり、専門用語を理解する時間も必要です。
相続登記の内容によっては、多くの書類(遺産分割協議書、印鑑証明書、戸籍謄本、除籍謄本など)が必要となり、相当の労力と時間を要する場合があります。
専門家である司法書士と一緒に相続登記を進めることで、大幅に日数を短縮できます。専門家に確認してもらうことで、確実に相続登記の申請ができます。
相続登記にかかる日数を短縮したいのであれば、相続手続き専門の司法書士事務所にご依頼されることをお勧めします。
4.相続登記に期限はある?
これまで、相続登記の申請には期限はありませんでした。相続登記をしないで放っておくことも可能で、それによって何か罰則を受けるということもありませんでした。
しかし、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。過去に相続して相続登記がされていない不動産も義務化の対象になります。
4-1.相続登記を長期間行わずに放置するデメリット
相続登記を行わずに放置すると、その不動産を売却するときに改めて名義を変更しなければならず、売却するまでに時間がかかります。また、相続登記がされていない不動産は相続人全員で共有していることになるため、相続人の債権者がその人の持分を差し押さえることもあります。
さらに、年月の経過とともに相続人が増えて相続関係が複雑になるほか、相続人が高齢で判断力を欠くようになると後見制度を利用しなければ名義変更ができないといったことも懸念されます。
4-2.相続登記の期限は3年以内(2024年4月1日~)
相続登記を放置した結果、不動産の所有者がわからなくなることが問題になっています。このような所有者不明の不動産の発生を抑えるため、相続登記が義務づけられることになりました。
2024年4月1日以降、相続人は不動産を取得してから3年以内に相続登記をしなければなりません。
過去に相続して相続登記がされていない不動産も義務化の対象になり、2027年3月31日までに相続登記をしなければなりません。
正当な理由がなく違反した場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。
これまで相続登記を行っていなかった方は、早めに対策を検討しておくことをお勧めします。
相続登記については、「相続登記を放置するリスク/いつまでに行うべきか解説」の記事もご覧ください。
5.相続不動産の規模を正確に把握し、早めの行動を
相続登記にかかる期間は、相続の内容によって大幅に異なります。
複雑な相続関係であれば、戸籍謄本などを集める作業や遺産分割協議に時間がかかります。特に、遺産分割協議は、初動を誤って非常に長期にわたって揉めてしまうことがあります。
相続登記にかかる期間を短縮させたい(相続登記をスピーディーに済ませたい)場合には、相続手続き専門の司法書士法人チェスターにご相談ください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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