相続の際に納税証明書が必要な理由。種類を確認して請求しよう
相続の手続きをするときには、納税証明書が必要になるケースもあります。具体的にどのようなときに用意しなければいけないのでしょうか?また納税証明書には税金の種類があり、それぞれ請求先が異なります。種類ごとの取得方法も確認しましょう。
この記事の目次 [表示]
1.相続で必要となる納税証明書とは
納税証明書は相続の手続きで使います。具体的にどのようなケースで提出を求められるのでしょうか?相続手続きの中でも、納税証明書が必要なケースについて解説します。
1-1.納税を証明する書類
納税証明書とは、納付すべき税額や、納付済みの税額を証明する書類を指します。記載されている代表的な項目は下記の通りです。
- 納税義務者の住所
- 氏名
- 税目
- 年度
- 納税すべき税額
- 納付済みの税額
- 未納額
- 課税事務所
納税証明書は税金の種類ごとに存在します。税金の納入先によって、請求先が異なる点も要注意です。
1-2.被相続人の借入金を引き継ぐ場合に使う
相続時に納税証明書が必要なシーンとして、被相続人の『借入金』を引き継ぐときが挙げられます。相続で引き継ぐのは、預貯金や不動産などプラスの資産だけではありません。
中にはマイナスの資産を引き継がなければいけないケースもあるでしょう。被相続人が金融機関から借入している場合、相続人が引き継ぐには名義変更の手続きが必要です。このとき、被相続人・相続人の納税証明書の提出を求められる場合があります。
金融機関で融資を受けると、融資目的以外の用途で資金を使うのは基本的に禁止されています。もし税金の滞納があれば、借入金を税金の支払いに使われる恐れがあるでしょう。
金融機関は納税証明書で税金の滞納がないことを確認し、リスクの程度を判断していると考えられます。
1-3.相続税支払いのための融資審査にも
相続が発生すると、相続税の支払いが必要なケースもあります。相続財産によっては多額の納税が必要となり、手持ちの預貯金のみでは対応しきれないかもしれません。
払えないからと放置していると、納付期限が過ぎ加算税や延滞税を課される可能性があります。加算税や延滞税の負担は大きいため、金融機関から融資を受けて相続税を支払おうと考える人もいるでしょう。
このようなときにも納税証明書が必要です。融資を受ける際に金融機関が納税証明書を確認するのは、期限を守った返済が可能な人物かを判断するという目的があります。
2.国税の納税証明書取得は税務署へ
税金の種類ごとに納税証明書があり、取得する際の請求先が異なります。国税の納税証明書が必要な場合には『税務署』で手続きしましょう。取得できる納税証明書の種類も知っておくと、必要な証明書を確実に用意できます。
2-1.納税証明書の種類
税務署で発行できる納税証明書は、国税である『所得税』に関するものです。納税額・所得額・未納の税額がないことなどの証明に利用できます。
国税の納税証明書には大きく分けて下記の4種類があるため、取得するときにはどの証明書が必要なのか確認しておきましょう。
- その1:納付すべき税額・納付した税額・未納税額などの証明
- その2:所得金額の証明
- その3:未納税額がないことの証明(『その3の2』は申告所得税及復興特別所得税と消費税及地方消費税、『その3の3』は法人税と消費税及地方消費税)
- その4:証明を受ける期間中に滞納処分を受けていないことの証明
2-2.必要書類を郵送、または窓口で提出
取得するときには、必要書類を税務署へ提出しましょう。郵送で手続きする場合にそろえるものは下記の通りです。必要なものが正しくそろった状態で郵送すれば、返信用封筒で証明書が届きます。
- 納税証明書交付請求書
- 手数料分の収入印紙
- 切手を貼った返信用封筒
- マイナンバー確認書類の写し
- 本人確認書類の写し
税務署の窓口に直接行き、手続きするときに必要なものも確認しましょう。
- 納税証明書交付請求書
- 手数料分の収入印紙もしくは現金
- マイナンバーの確認書類
- 本人確認書類
代理人が出向く場合は、代理人の本人確認書類も持参します。窓口への提出なら、当日中に証明書が必要な場合にも対応可能です。
2-3.e-Taxを使った請求も可能
『e-Tax』を使えば、オンラインで発行を依頼し、書面や電子ファイルで受け取れます。オンラインで交付請求するときでも、税務署の窓口で納税証明書の受け取りをする場合には本人の証明となる電子証明書が不要です。
受取時には『本人確認書類』『マイナンバー確認書類』『手数料(収入印紙か現金)』を用意しましょう。代理人による受け取りであれば、『委任状』と『代理人の本人確認書類』も必要です。
郵送で証明書を受け取るには、電子証明書を添付し交付請求します。このとき手数料+郵送料分の金額も、インターネットバンキングといった方法で支払いが必要です。
2-4.複数枚必要なときは電子納税証明書が便利
『電子署名』の付与と『電子証明書』の添付を行いe-Taxで交付申請すれば、PDFファイルかXMLファイルで証明書を受け取れます。メッセージボックスに格納後『90日間』保存され、その間であれば自由にダウンロード可能です。
ダウンロードしておけば、必要なタイミングで自由に印刷できます。必要枚数が多くても余計な料金がかからない点もポイントです。
3.市町村税の納税証明書を取得するには
市町村税の納税証明書は、どこで取得すればよいのでしょうか?納税証明書の手続きをする場所と、発行してもらうのに必要な書類を確認します。
3-1.役所の税務課で手続き
地方税は2種類に分けられます。都道府県に納める『都道府県税』と、市町村に納める『市町村税』です。市町村税の納税証明書を取得する場合には、市町村に請求しましょう。
役所の『税務課』や、税務を担当する窓口へ行くと手続きできます。自治体によっては、支所や出張所でも請求可能です。
3-2.必要書類
証明書を取得するときに必要な書類は『本人確認書類』です。代理人が手続きをする場合には、『委任状』も用意しましょう。
被相続人の証明書を相続人が請求するときには、下記の書類を用意します。
- 納税義務者(被相続人)の死亡を確認できる書類:戸籍謄本・住民票の除票など
- 納税義務者(被相続人)と相続人の関係が分かる書類:戸籍謄本・法定相続情報一覧図など
- 相続人の身分証明書:免許証・マイナンバーカードなど
請求に必要な書類は自治体ごとに違う点に注意しましょう。必要書類がほかにもあるかもしれないため、自治体に問い合わせておくとスムーズです。
4.都道府県税の納税証明書を取得するには
地方税の一種である、都道府県税の納税証明書を取得する手続きも確認しましょう。どこにどのような書類を提出すれば、証明書を交付してもらえるのでしょうか?
4-1.都道府県税を課する事務所で手続き
交付請求の手続きは、都道府県税を担当する事務所に申請します。県庁や府庁などでは手続きできない点に注意しましょう。ほかにも下記の場所で手続きできます。
- 都税事務所・道税事務所・府税事務所・県税事務所
- 支所
- 支庁
- 出張所
- 自動車税事務所 (※自動車税のみ)
また『未納がない』という証明書は発行していない都道府県もあります。
4-2.必要書類
都道府県税の納税証明書を請求するときには、本人または代理人が手続きする決まりです。本人が窓口に出向いて手続きするなら『本人確認書類』を持参しましょう。本人確認書類の種類は下記の通りです。
- 1点で確認:運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど
- 2点で確認(A):健康保険証・国民年金手帳など
- 2点で確認するもの(上記Aと組み合わせて確認):社員証・公共料金の領収書・クレジットカード
また相続人も本人扱いで交付申請できます。相続人が申請するときには、下記の書類を用意しましょう。
- 納税証明申請書
- 相続人の本人確認書類
- 相続人であることを確認できる書類(戸籍謄本・法定相続情報一覧図など)
- 被相続人の死亡を確認できる書類(戸籍謄本・除籍謄本など)
加えて必要書類と『返信用封筒』『手数料』を送付すれば、郵送でも証明書を請求できます。必要書類は都道府県によって異なる可能性があるため、あらかじめ問い合わせておきましょう。
5.必要な納税証明書を確認して請求しよう
相続をするとき、被相続人の借入金の名義変更や、相続税を支払うための借入に、納税証明書の提出を求められる可能性があります。税金の種類によって異なる証明書があるため、必要なものを取得しましょう。
国税なら税務署で、市町村税なら役所の税務課で、都道府県税なら担当の事務所で手続きします。必要書類は、申請する証明書によっても自治体ごとにも異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
相続の手続きが完了すると、相続税の納付が必要なケースもあります。相続税について疑問や質問があるなら『税理士法人チェスター』へ相談してみましょう。
相続時にはほかにもさまざまな書類を請求する機会があります。『資料の収集方法』を詳しく知るなら、下記もぜひご覧ください。
相続税申告に必要な資料収集方法|相続大辞典|相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】
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