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相続の遺産分配の正しい進め方!揉めた場合の対処法や財産分与との違い

相続の遺産分配の正しい進め方!揉めた場合の対処法や財産分与との違い

「遺産相続ではどうやって財産を分配すれば良いの?」
「遺産相続の分配は自由にできるの?」

この記事をご覧のみなさんは、このようにお悩みではないでしょうか。

結論を言うと、相続が開始してから遺産分配をするまでの流れは、遺言書の有無によって大きく異なります

遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って遺産分配されます。

遺言書がない場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、法定相続分を目安として、遺産の分配割合や分配方法などを話し合わなくてはなりません。

この記事では、相続開始後の遺産分配の手順や注意点、遺産分配でありがちなトラブルの対処法について解説します。

この記事の目次 [表示]

1.相続発生!遺産分配の進め方は「遺言書の有無」で大きく変わる

複数の法定相続人がいる場合、被相続人の遺産(相続財産)は、共同相続人全員の共有財産となります(民法第898条)。

この共有財産(遺産)を各相続人の単独財産とすることを「遺産分割」と呼び、遺言書の有無によって、遺産を分配する流れが以下のように異なります

遺言書の有無

ただし、遺言書があるからといって、必ずしも指定された方法で遺産分配する義務はありません。

遺言書の形式を満たしていない場合や、遺言の内容が遺留分を侵害している場合などには、法定相続人・受遺者・遺言執行者の全員の合意のもと、遺産分割協議による遺産分配に変更できます。

また、遺言書で指定されていない遺産が見つかった場合も、その見つかった財産のみ、遺産分割協議による遺産分配をすることとなります。

1-1.【遺言書あり】遺言書で指定された方法で遺産分配する

遺言書がある場合は、原則として遺言書で指定された相続分によって、遺産分配がなされます(民法第902条

この理由は、遺言者(被相続人)の意思決定が、民法で定められている法定相続よりも優先されるためです。

遺言書による遺産分配では、法定相続人以外の人に遺言書で遺産分配することを「遺贈」、指定された法定相続人以外の人のことを「受遺者」と呼びます。

遺言書による遺産分配

遺言書には「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」がありますが、自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所の検認手続きが必要となりますのでご注意ください。

詳しくは、「遺言書の検認は必要?欠席できる?流れ・費用を税理士が解説」をご覧ください。

1-2.【遺言書なし】遺産分割協議をして遺産分配する

遺言書がない場合は、遺産分割協議によって法定相続人全員が合意した方法で、遺産分配がなされます

遺産分割協議とは、遺言書がなく法定相続人が2名以上いる場合に、誰が・何を・どれだけ・どのように相続するのかを決める話合いのことです。

遺産分割協議に参加できるのは法定相続人のみで、全員が合意することではじめて協議が成立します。

遺産分割協議

遺産分割協議では具体的な分配割合や分配方法を話し合って決めますが、必ずしも法定相続分で遺産分配する義務はありません。

法定相続分はあくまで目安となる相続割合ですので、法定相続人全員が合意するのであれば、法定相続分とは異なる具体的相続分による遺産分配が可能です。

\\POINT//

「遺産分配(遺産分割)」と似た言葉で、同じように財産を分ける「財産分与」があります。
財産分与とは、夫婦が離婚したときに、共同で生活する中で得た共有財産を、公平に分ける手続きのことをいいます。
遺産分配は、亡くなった人(被相続人)の遺産を分割することですので、両者を混同されないようご注意ください。

2.遺産分配の基本的なルールは民法で定められている

相続発生後の遺産分配に関する基本的なルールは、民法で定められています。

上記は遺言書の有無に関わらず、遺産分配する際に知っておかなければならないポイントですので、しっかり理解しておきましょう。

2-1.相続する権利があるのは「法定相続人」

法定相続人とは、被相続人の遺産を相続する権利がある、一定の範囲の親族のことです

つまり、遺言書なしで遺産分割協議をする場合、この法定相続人のみが協議に参加可能となります。

民法において法定相続人の優先順位が定められており、各ご家庭の家族構成によって「誰が法定相続人になるのか」が変わります。

法定相続人

被相続人の配偶者は、常に法定相続人になります(民法第890条)。

そして、被相続人に子がいれば第一順位の法定相続人となり、子がすでに他界している場合は代襲相続人である孫が代襲相続をします(民法第887条)。

被相続人に子がいなければ第二順位の父母が法定相続人となり、父母が他界していれば第三順位の兄弟姉妹が法定相続人になります(民法第889条)。

誰が法定相続人になるのかを知るためには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取り寄せ、相続人の調査・確定をしなくてはなりません。

詳しくは、「法定相続人とは?【図解あり】範囲・順位・相続割合まで解説」をご覧ください。

2-2.遺産分配の目安となるのは「法定相続分」

法定相続分とは、法定相続人が有する相続割合のことです(民法900条)。

誰が法定相続人になるのかで、法定相続分が以下のように変動します(同順位の法定相続人が複数いる場合には人数で均等に按分)。

法定相続人

法定相続分は遺産分割協議において、目安として用いられる割合ですが、法定相続分で遺産分配する義務はありません。

法定相続分が用いられるのは、相続税額や遺留分の計算時などです。

詳しくは、「法定相続分とは何か?計算方法や遺留分との違いを解説!」をご覧ください。

2-3.遺産分配される最低限の割合は「遺留分」

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた、遺産を取得できる最低限の割合のことです(民法第1042条)。

遺留分の割合は、直系尊属のみが法定相続人である場合は遺産の1/3、それ以外の場合は遺産の1/2です。そして、各法定相続人の遺留分を計算する際には、遺留分の割合を法定相続分で按分します。

遺留分

遺言書の内容が明らかに不公平である場合、遺留分権利者(配偶者・子・父母など)の遺留分を侵害していることもあります。

この場合、自己の遺留分を侵害された遺留分権利者は、「遺留分侵害額請求」をすることで、侵害している人に対して、その遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できます。

詳しくは、「遺留分とは何のこと?「遺留分」を知って相続トラブルを最小限に-計算や万が一の対応まで」や「遺留分侵害額請求とは?手続き・時効・費用をわかりやすく解説」をご覧ください。

3.遺産分割協議による遺産分配の進め方【5ステップで解説】

遺言書がない場合や、遺言書の内容とは異なる遺産分割に利害関係者全員が合意する場合には、遺産分割協議を行って遺産を分配することとなります

遺産分割協議を実施して遺産分配をする手順は、以下の通りです。

詳しくは、「相続が発生したら…期限までに行うべき手続きと流れ」をご覧ください。

Step1:法定相続人の調査・確定

まずは遺産分割協議に参加する、法定相続人の調査・確定を行います

家族であれば「誰が法定相続人になるのか」は簡単に判定できますが、法定相続人が知らない、前妻との間の子や認知している子がいる可能性もあります。

そのため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取り寄せて、戸籍調査をしなくてはなりません。

出生から死亡までの連続した戸籍謄本

未成年の法定相続人には特別代理人の選任が必要となり、認知症・知的障害などで判断能力が乏しい人には成年後見人を付ける必要がありますので、必要な手続きをしておきましょう。

詳しくは、「戸籍調査で相続人を確定させる方法・手順をご紹介!」をご覧ください。

Step2:相続財産の調査・確定

STEP1と並行して、遺産分割協議の対象となる、被相続人の相続財産の調査・確定をします。

遺産分配の対象となる相続財産は、相続開始時点における、被相続人の財産に属した一切の権利義務です(民法第896条)。

預貯金・不動産・株式などのプラスの財産だけでなく、未払金・借入金・葬儀費用などのマイナスの財産も含まれます。

相続財産

生命保険から支払われる死亡保険金や、勤務先から支給された死亡退職金などは、受取人固有の財産です。

そのため、遺産分配の対象にはなりませんのでご注意ください(みなし相続財産として相続税の課税対象にはなります)。

どのような相続財産があるかを整理するためにも、相続財産の調査・確定が完了したら、財産目録を作成しましょう。

詳しくは、「相続財産とは?具体例で相続財産に含まれるもの含まれないものを解説」をご覧ください。

Step3:遺産分割協議(話し合い)

法定相続人と相続財産の調査・確定が完了次第、遺産分割協議による話合いをします

遺産分割協議は、必ず相続人全員が参加した上で、遺産分配の割合や方法を決めなくてはなりません。

ただし、相続放棄をした法定相続人は、遺産分割協議には参加できませんのでご注意ください。

遺産分割調停

詳しくは、「遺産分割の進め方を解説。書面に残すときに気を付ける点を把握しよう」をご覧ください。

Step4:遺産分割協議書の作成

遺産分割協議が成立したら、法定相続人全員が合意した遺産の分配割合や分配方法を書面化した、遺産分割協議書を作成します

遺産分割協議書には、遺産分配方法に法定相続人全員が合意していることを、第三者に証明する役割があります。

そのため、不動産の名義変更(相続登記)や相続税申告など、様々な相続手続きで遺産分割協議書の提示を求められます。

遺産分割協議書

遺産分割協議書の作成自体は、どのタイミングで行っても構いません。

しかし、法定相続人の考えが変わったり、言った・言わないの水掛け論になったりして、相続トラブルに発展することも考えられます。

遺産分割協議が成立次第、速やかに遺産分割協議書を作成されることをおすすめします。

詳しくは、「【ひな型付】遺産分割協議書の書き方とは?基礎から応用まで詳しく解説」をご覧ください。

Step5:分配した財産の相続手続き(名義変更など)

遺産分割協議書の作成が終了次第、分配した財産の相続手続きを行います

以下は代表的な相続手続きの詳細ですので、参考にしてください。

財産の種類相続手続きの詳細
自動車移転登録の申請
※所有者となってから15日以内
不動産(土地や建物)法務局で相続登記
※取得を知ってから3年以内
預金口座金融機関で預金の払い戻し・解約
株式証券会社で名義変更手続き
非上場株式株式発行会社に株主名簿の書き換え請求

令和6年4月1日から相続登記が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に、相続時の申請手続きを行わなくてはなりません。

施行前に行われた相続にも相続登記の義務化が適用されるため、不動産を取得した方は速やかに申請手続きをしましょう。

詳しくは、「【相続登記】必要書類を自分で収集・手続きする方法を解説!」をご覧ください。

4.遺産分割協議による公平な遺産分配を行うための2つのポイント

遺産分割協議による遺産分配を行う際には、特別受益や寄与分などの個別の事情を加味することで、公平な遺産分配ができます

特別受益と寄与分

民法改正に伴い、令和5年4月1日以降は、相続開始から10年経過後の遺産分割においては、特別受益や寄与分の主張が原則としてできなくなります。

相続開始から10年経過する前に遺産分割調停の申立てをしないと、法定相続分による遺産分割がなされることとなりますのでご注意ください。

詳しくは「相続開始から10年経過後の遺産未分割の取扱い~民法改正による見直しが施行~」をご覧ください。

4-1.特別受益とは

特別受益とは、特定の相続人のみが、被相続人から特別に受けた利益(生前贈与や遺贈等)のことです(民法第903条

遺産分割協議による遺産分配では、法定相続人全員で具体的相続分を決めることになります。

しかし、被相続人から多額の生前贈与を受けた相続人と、何も贈与されていない相続人が同じ相続分というのは不公平です。

そこで、被相続人から特定の相続人になされた生前贈与財産などは、相続財産に持ち戻した上で、各相続人の取得分を決めることとなります。

生前贈与財産

ただし、法定相続人以外の人への生前贈与や遺贈は、実質的に相続人が利益を受けている等の特別な事情がない限り、特別受益の対象にはなりません。

また、被相続人が遺言書などで持ち戻し免除の意思を示している場合も、特別受益の対象から除外されます(民法第903条3項)。

詳しくは、「特別受益とは?時効・相続分の計算方法・持ち戻し免除規定について」をご覧ください。

4-2.寄与分とは

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について、特別の寄与(貢献)をした相続人に対して認められる、相続分を増額することです(民法第904条の2

遺産分割協議による遺産分配では、法定相続人全員で具体的相続分を決めることなります。

しかし、被相続人と同居して長年介護を無償でしてきた相続人と、何の貢献もしていない相続人が同じ相続分というのは不公平です。

そこで、特別の寄与をした相続人は、遺産分割協議において寄与分を主張することで、自己の相続分を増やすことができます。

寄与分

寄与分が認められるのは、被相続人の財産の維持や増加について、特別な貢献をしたケースに限られます。

ずっと同居していたとしても、扶養義務の範囲内であれば寄与分とはいえません。例えば、単に老人ホームに連絡したり病院への通院をサポートしていたりしただけでは、扶養義務の範囲内ですので、寄与分は認められません。

詳しくは、「相続における寄与分とは?認められる要件・計算方法を解説【判例付き】」をご覧ください。

5.遺産分配するのが難しい財産の分割方法は4種類ある

遺産分割協議では、遺産の分配割合だけではなく、どのように遺産を分配するのかも決めなくてはなりません。

ここで問題となるのは、物理的な分割が難しい不動産(土地や建物)が、遺産の多くを占めている場合です。

現金のように物理的な分配が難しい不動産は、以下の4つの分割方法のいずれかを選択しなくてはなりません

詳しくは、「【円滑に相続】兄弟で土地を相続・分割する方法と生前対策を解説」をご覧ください。

5-1.現物分割

現物分割とは、不動産などの相続財産を現物のまま、複数の相続人で分割する方法のことです

例えば、長男は土地Aと土地Cを取得して、長女は土地Bと預金を取得する…というケースが現物分割に該当します。

現物分割

現物分割は最もシンプルな遺産の分割方法です。

ただし、複数の相続人間で、公平な遺産の分配ができないというデメリットがあります。

5-2.換価分割

換価分割とは、相続財産である不動産を売却して得たお金を、複数の相続人で分割する方法のことです

換価分割

換価分割を選択すれば、分割が難しい不動産であっても、1円単位で均等に遺産を分配できます。

ただし、不動産を手放す必要がある上に、売却するための費用や手間がかかるというデメリットがあります。

詳しくは、「換価分割とは?遺産分割書の書き方やかかる税金を徹底解説」をご覧ください。

5-3.代償分割

代償分割とは、特定の相続人が相続財産である不動産を取得する代わりに、他の相続人に代償金を支払う分割方法のことです

代償分割

代償分割を選択すれば、不動産を手放すことなく、均等に遺産を分配できます。

ただし、代償金を支払うだけの資力が必要となり、不動産の評価額の基準でトラブルに発展しやすいというデメリットがあります。

詳しくは、「【代償分割とは】代償金の決め方・適したケース等プロが解説」をご覧ください。

5-4.共有分割

共有分割とは、複数の相続人で、遺産の一部や全部を共有する分割方法です

例えば、土地ABCがありこれらを長男と長女で共有分割する場合は、土地のすべてを1/2ずつの持分で取得することとなります。

共有分割

共有分割を選択すれば、公平な遺産分配が可能となり、不動産を手放したり代償金を支払ったりする必要もありません。

ただし、将来的に不動産を売却する場合は、共有者全員の同意が必要となります。

将来的に共有者同士でトラブルに発展することが多いため、共有分割は他の分割方法ができない場合の、最後の手段として用いると良いでしょう。

6.相続で遺産分配されたら税金が発生する可能性あり

相続や遺贈で遺産分配されたら、相続税が課税される可能性があります

相続税が課税されるのは、プラスの財産(不動産・預貯金・株式など)からマイナスの財産(債務・未払金・葬儀費用など)を差し引き、さらに一定の範囲の生前贈与財産を持ち戻した後の「課税遺産総額」です。

この課税遺産総額が相続税の基礎控除を超えていれば、相続税が課税されます。

小規模宅地等の特例が相続税にもたらす節税効果

相続税の基礎控除額の計算式は、3,000万円+(法定相続人の数×600万円)です。

法定相続人の数で基礎控除額は変動しますが、課税遺産総額が3,600万円に満たないなら、相続税は基本的にかかりません。

相続税額の計算方法は非常に複雑ですので、必ず相続税に強い税理士に相談をしましょう。

詳しくは、「相続税計算シミュレーション」をご覧ください。

6-1.遺産分配を工夫すれば相続税の負担を軽減できる

相続税には、相続税額を大幅に下げられる、以下のような特例や税額控除が設けられています。

  • 小規模宅地等の特例…土地の相続税評価額を最大80%減額できる特例
  • 配偶者控除…取得分が1億6,000万円以下であれば配偶者は相続税が非課税

これらの特例や税額控除を適用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

言い換えれば、適用要件を満たす相続人に財産を取得させれば、家族全体の相続税の負担を軽減できます

特に相続トラブルが発生しておらず、相続税の負担を軽減する遺産分配を検討されている方は、相続税に強い税理士に相談をしましょう。

詳しくは、「相続税の節税対策20選・生前贈与から相続発生後の対策まで一挙解説!」をご覧ください。

7.遺産分配でよくあるトラブル対処法

相続が発生して被相続人の遺産を分配する際には、以下のようなトラブルが発生することがあります。

相続トラブルについて、詳しくは「相続でもめる家族の特徴3つ!原因や予防対策・対処法を詳しく解説」でも解説しております。

7-1.遺産分割協議が成立しない

親族間のトラブルで遺産分割協議が成立しない場合は、弁護士に相談した上で、家庭裁判所の遺産分割調停の申立てをしましょう

特に被相続人の自宅不動産が遺産の多くを占めるケースにおいて、被相続人と同居している人がいる場合、不動産を含む分配方法でもめやすいです。

遺産分割

同居や介護を理由に遺産を独占されると、いつまでたっても遺産分割協議は成立しません。

家庭裁判所の遺産分割調停の申立てをして、裁判官や調停員の介入による話合いで合意を目指しましょう。

詳しくは、「遺産分割調停とは│解決までの流れと費用書類・費用を解説」をご覧ください。

7-2.遺言書で特定の相続人が遺産を独占した

遺言書で「○○に全財産を相続させる」などと指定されていた結果、特定の人が遺産を独占しても、遺言は無効になりませんので、指定された通りに遺産分配が行われます。

しかし、他の法定相続人が遺留分権利者であれば、遺留分侵害額請求を行うことで、自己の遺留分を取り戻すことができます。

遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求は、遺留分侵害額に相当する金銭を、遺言で遺産分配された人に対して請求する権利です。請求しないと遺留分を取り戻すことはできませんのでご注意ください。

なお、遺留分侵害額請求には時効が設けられており、相続開始から10年が経過すると、遺留分侵害額請求はできなくなりますのでご注意ください。

詳しくは、「遺言より遺留分が優先される!請求方法や時効などプロが解説」をご覧ください。

7-3.特定の相続人が財産を隠している可能性がある

被相続人と同居をしていた相続人などが、被相続人の財産を隠している可能性がある場合、弁護士に相談されることをおすすめします

まずは当事者間で解決を図りますが、財産隠しをしている可能性がある人が話合いに応じない場合は、金融機関などに直接問い合わせなどをして、遺産の調査・確定をしなくてはなりません。

もし隠されていた財産があった場合は、遺産分割協議や相続税申告をやり直す必要があります。

財産隠しのトラブルを解決するためにも、相続問題に特化した弁護士に相談されることをおすすめします。

詳しくは、「相続で財産隠しがあればどうすればよいか?相続の専門家が解説」をご覧ください。

7-4.特定の相続人が財産を使い込んだ

相続発生の前後を問わず、特定の相続人が被相続人の財産を使い込んだ場合は、不当利益返還請求で取り戻すことができます

不当利益返還請求とは、正当な理由なく他人に損失を与えて利益を得た人は、損失者に対して利益を返還しなければならないという規定のことです。

ただし、不当利益返還請求では、自己の法定相続分までしか取り戻すことはできませんのでご注意ください。

詳しくは、「不当利得返還請求とは?相続人が相続財産を使い込んでいた!お金は取り戻せる?」をご覧ください。

7-5.相続後に破産財団に組み込まれた

相続人が自己破産の手続きを取っていると、破産手続開始決定前に相続が発生する可能性があります

この場合、相続により受け取った遺産は、全て破産財団に組み込まれる決まりです。

破産財団は破産管財人が管理し、現金化した後に債権者へ配当される財産の総体を意味します。

破産財団に組み込まれた財産の処分権は相続人を離れるため、私有財産として保有できません。

詳しくは、「自己破産後に相続できるかはタイミング次第!?条件・注意点も解説」をご覧ください。

7-6.相続財産は原則「財産分与」の対象外になる

配偶者が相続をきっかけに得た財産は、配偶者が単独で取得した特有財産です

そのため、夫婦が離婚するときに行う財産分与の対象は共有財産のみですので、配偶者相続で得た特有財産は原則として財産分与の対象外です。

例えば、夫が相続で取得した家に夫婦で住んでいるなら、財産分与するのは家を除いた財産に限定されます。

ただし、相続により配偶者が財産を取得した後、財産の価値の維持にもう一方が尽力していたなら、財産分与が認められる可能性もあります。

詳しくは、「財産分与と贈与」をご覧ください。

8.まとめ

被相続人が遺言書を残していれば、いかなる内容であっても、原則として遺言で指定された方法で遺産分配がなされます(利害関係者全員が合意すれば変更可能)。

遺言書がないケースでは遺産分割協議によって遺産分配がなされますが、特別受益や寄与分を考慮した上で、不動産をどのように分配するのかを決めなくてはなりません。

相続税が課税されるケースでは、遺産分配の工夫をすれば、家族全体の相続税の負担を軽減することも可能です。

相続トラブルに発展している場合は弁護士、相続税が課税される可能性がある場合は税理士に相談をして、最適な遺産分配を行いましょう。

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