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空き家は相続放棄して終わりではない-残る管理義務と費用発生の可能性

空き家は相続放棄して終わりではない-残る管理義務と費用発生の可能性

亡くなった親が住んでいた田舎の実家を相続したとき、誰も住まないのであれば実家は空き家になってしまいます。その空き家については、適切に補修するなどの管理義務のほか固定資産税の納税義務があり、誰かがこれらの義務を負わなければなりません。

通常、これらの義務は相続人が負うことになりますが、相続人が全員相続放棄した場合には事情が少し複雑になります。

ここでは、誰も住まない空き家を相続した場合の管理義務と、空き家を相続放棄したときに起こる問題について解説します。

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1.空き家を相続した場合の管理義務

空き家を相続した場合は、その空き家を自分の財産として適切に管理する必要があります。ただし、自分が住むのと同じようにきれいに掃除までする必要はありません。あくまで自分のものとして、周囲に迷惑のかからない程度のメンテナンスをしておくべき、ということです。

たとえば、空き家が崩れるなどして近隣の人や家財を傷つけた場合、持ち主が責任を問われることになります。屋根や壁などが崩れないように補修するなど、日ごろから空き家のメンテナンスをしなければなりません。

また、空き家であっても、土地と家屋には固定資産税が課税されます。固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に納税の義務があります。

空き家は自分が住むものでもなければ、賃貸などをして活用するわけでもありません。上記のような管理義務や納税義務を負うと、お金が出ていくばかりになってしまいます。売却や賃貸ができれば大きな問題にはなりませんが、不動産の売買が活発でない地域であったり家屋が老朽化していたりすると、なかなか買い手や借り手も見つかりません。

活用が見込めない空き家がある場合は、これらの義務から逃れるために全員で相続放棄をするという方法があります。しかし、相続放棄すればそれでよいかと言えばそうとも言い切れません。相続放棄をしても財産の管理義務が残る場合があるのです。

2.空き家を相続放棄しても財産管理義務が残る場合がある

相続放棄をして、「やっと肩の荷が下りた」と安心する方は多いでしょう。しかし、相続放棄をしただけで、相続に関わるすべての義務から解放されたとはいえません。財産を引き継がなくても「財産管理義務」が残る場合があります

民法第940条では、相続財産のうち相続人が現に占有しているものがある場合には、相続放棄をしても次に相続人となる人または相続財産清算人に引き渡すまで、引き続きその財産を管理しなければならないと定められています。

2-1.現に占有している財産の管理義務は放棄できない

空き家を含めて相続放棄しても、現に占有しているものについては財産を管理する義務が継続します。ただし、財産の所有者が変わって新しい所有者に財産を引き渡せば、財産管理義務は自分の手から離れます。

なお、相続放棄をしても引き続き相続財産を管理する義務は以前からありましたが、その発生要件や内容はあいまいでした。相続放棄をしたにもかかわらず、財産管理義務によって過剰な負担を強いられることもありました。そこで民法が改正され、令和5年4月1日以降は、相続人が現に占有しているものに限定されるようになりました。

2-2.自分の財産と同程度の注意をして管理をする義務がある

財産管理義務については、民法第940条において以下のように定められています。

自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

引用:民法940条|e-Gov法令検索

上記は、相続義務の対象となる財産を自分のものと同じように管理するよう定めた一文です。

改正前の民法では「その財産の管理を継続しなければならない」と規定されていましたが、令和5年4月1日以降は「その財産を保存しなければならない」と改められています。ただし、空き家の管理という実質的な部分では、「管理」と「保存」に大きな違いはないと考えられています。

2-3.管理義務をなくすためは相続財産清算人の選任が必要

相続人が全員相続放棄している場合は、「相続財産清算人選任」を家庭裁判所に申し立てれば財産管理義務をなくせます。申し立て先は、被相続人が亡くなった時の住所を管轄する家庭裁判所です。

相続財産清算人が選任されると、本来の相続人に代わって財産を管理し、適切に処分します。空き家を含む財産を換価し、債権者がいる場合は返済します。余る財産があれば、国庫に納める手続きを取ります。

3.空き家を相続放棄した後に発生する費用

空き家を相続放棄した後も、状況によっては費用がかかる可能性があります。相続放棄を済ませたからといっても、財産管理義務があるうちは安心できません。また、お金の用意ができないと相続財産清算人選任の申し立てまでに時間がかかってしまいます。スムーズに財産管理義務を手放すためにも、費用についてはあらかじめ把握しておきましょう。

3-1.相続財産清算人の選任の際に裁判所に納める費用-数十万円~100万円

相続財産清算人選任にかかる事務手数料は、以下のとおりです。

相続財産清算人選任にかかる事務手数料

郵便切手代

裁判所によって異なる

収入印紙代

800円

公告料

5075円

このほか、相続財産清算人に支払う報酬が月1~5万円程度かかります。財産管理の手続きを1年と想定すると安くても13万円、高ければ60万円以上する場合もあります

相続財産清算人の報酬など、相続財産を管理するための費用は相続財産から支払われますが、財産そのものに価値がない場合は、申立人が不足分を「予納金」として裁判所に支払います。なお、親族が相続財産清算人になれば報酬を支払う必要はありません。

3-2.空き家が原因の事故によって請求される可能性のある損害賠償費用

「相続財産清算人の選任にもお金がかかるなら、空き家は放置しておけばよいだろう」と考える人もいます。しかし、誰も管理していない空き家をそのままにしておくのは危険です。たとえば台風や風災で部材が壊れ、近所の家や人に危害を加えれば損害賠償問題に発展します。

また、建物そのものに問題がなくても、放火や犯罪の温床になってしまうリスクもあります。伸び放題になった草木や沸いた虫などについて、近隣から苦情が来ることもあります。このような場合も、責任を問われる可能性があります。

3-3.特定空き家に指定され代執行された場合の解体費等

特定空き家とは、すぐにでも取り壊して環境の改善を図るべきだと判断された空き家のことで、以下のような場合に指定されます。

  • 倒壊寸前の空き家
  • 衛生上問題のある空き家
  • 周囲の景観を著しく損ねる空き家
  • そのほか近隣に悪影響をもたらす空き家

特定空き家に指定されることは稀です。しかし特定空き家に指定された建物は、管理者に代わって自治体が取り壊しや原状復帰を行います。そしてその代金を、財産管理義務のある相続人に請求する場合があるのです。

4.空き家を相続放棄することで得られるメリット

「相続放棄をするのは手続きも複雑で面倒だ」と感じることもあるでしょう。しかし、空き家の相続放棄には大きなメリットがあります。一度相続したものを後から放棄することはできないため、後悔しないためにもあらかじめ相続放棄のメリットを知っておきましょう。

4-1.不要な財産がある場合にそれを含めた全ての財産を放棄できる

負の財産がある場合にそれを含めた全ての財産を放棄できる

▲不要な財産を手放せる相続放棄

誰も使うあてのない空き家は、不要な財産となる場合があります。建物が古く、メンテナンスしなければ使えないような場合はなおさらです。修繕費やメンテナンス代、固定資産税などの費用ばかりがかさんで、結果的に損になることもしばしばです。

そんなときに活用できるのが、相続放棄です。相続放棄すれば、処理に困る空き家も含めてすべての財産を放棄できます。相続した財産のために無駄な出費がかさむこともありません

また、「限定承認」という方法もあります。限定承認は価値のある財産を限度に、負の財産も相続する方法です。たとえば相続財産として預貯金が500万円、借入金が1000万円あるとすれば、限定承認では500万円を限度に借入金を返済することになります。相続人が損せず、一部の財産を確実に引き継げる方法です。

参考:限定承認とは|相続放棄とは何が違う?所得税申告が必要になることも!|税理士法人チェスター

4-2.固定資産税の支払いが不要になる

相続放棄すれば、当然空き家にかかる固定資産税の支払いも不要になります。誰も住まない空き家にもかかわらず、税金ばかりかかることが不満な場合には相続放棄するのも1つの手段です。

ただし相続放棄はすべての財産を対象とする手続きであるため、空き家だけでなくほかの財産もすべて手放すことになります。相続放棄するかどうかは、慎重に検討しましょう。

5.相続放棄の手続をする際に知っておきたい注意点

相続放棄の手続きには、思わぬ落とし穴があります。特に初めての場合は手続きも複雑に感じ、不安を覚える人もいるでしょう。そんな不安を解消し、スムーズに相続放棄するためには、あらかじめおさえておきたいポイントがあります。

親族間のトラブルが起きるなどして後味の悪い相続放棄にならないためにも、注意点については正確に把握しておきましょう。

5-1.手続には期限がある-相続が始まったことを知ってから3か月

相続放棄はいつでもできるわけではないため、できるだけ早く手続きする必要があります。期限は、自分が財産を相続できることを知ってから3ヶ月以内です。仮に3ヶ月以内に財産の内訳が調査できないなどやむを得ない理由がある場合は、「相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立て」を家庭裁判所にすることで期間を延長できます。

なお相続放棄は、亡くなった方の最後の住所を管轄する家庭裁判所で手続きします。相続放棄の申述書のほか、亡くなった方の死亡の記載のある戸籍謄本等、亡くなった方の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本等が必要です。こうした提出書類の取得に時間がかかる場合もあるため、手続きの準備は早めに行っておきましょう。

参考:相続手続きは何から手をつける?手続きの流れや放棄する方法を解説|税理士法人チェスター

5-2.他に相続人がいる場合は配慮が必要

他に相続人がいる場合は配慮が必要

▲相続放棄をした後の相続権移行の順番

自分と同じ相続順位の人が全員相続放棄をすると、相続権は次に相続順位が高い人に移ります。正の財産が引き継がれるなら問題ないですが、空き家のほか負の財産の相続権が移転することで親族間トラブルになることもあるため注意しましょう。

自分以外にも相続人がいる場合は、相続放棄する旨をあらかじめ伝えておくのが無難です。なお相続順位は以下のとおりです。

相続順位

第一順位亡くなった人の子ども

常に相続人亡くなった人の配偶者
第二順位亡くなった人の父母・祖父母
第三順位亡くなった人の兄弟姉妹

亡くなった人の子どもが全員相続放棄をした場合、第二順位の父母・祖父母に相続権が移ります。

父母・祖父母の全員が存命でないまたは相続放棄をした場合、第三順位の兄弟姉妹に相続権が移ります。この場合、亡くなった人の兄弟姉妹とは子どもから見るとおじ・おばにあたります。

仮におじ・おばが亡くなっていたとしても、その子どもであるいとこが代襲相続できるため、親族には広く相続放棄のことを周知しておくとよいでしょう。

5-3.空き家を相続放棄するとその家には基本的に住めない

亡くなった人が所有していた空き家に住むということは、その財産を継承することになります。つまり、相続放棄をしたあとにその家に住み続けることはできません

ただし、相続財産清算人を選任して財産処分の手続きをしている間など一時的なら、住み続けられる場合もあります。このほか、空き家を相続した人と賃貸契約を結べば、相続とは違う形で住むことができます。

5-4.家庭裁判所での受理後は撤回や取消は難しい

相続放棄が受理されると、その後の撤回はできません。一定の事由がある場合には相続放棄の取消しができますが、申述人が未成年だった場合や脅されて手続きをしていた場合、財産に対する認識に錯誤があった場合などに限られます。

相続放棄を行うかどうかは、財産をすべて加味した上で慎重に検討する必要があります。

6.相続放棄以外の選択肢-空き家の処分・活用方法

「ほかの財産も考慮すると、空き家だけのために相続放棄するのはかえって損」というケースもあるでしょう。また、相続財産清算人の選任にも手間やお金がかかります。

このような場合、相続放棄以外の方法で空き家を処分・活用することも可能です。「できれば相続はしたいけど空き家を引き継ぐのが難点…。」という方は、以下の内容を参考にしてください。

6-1.寄付-受け入れ可能な自治体や法人がいないかリサーチ

場合によっては、空き家をもらい受けてくれる自治体や法人があるかもしれません。寄付は無償の譲渡であるものの、不要な財産を手放すには有効な手段です。自治体に寄付する場合は、役所の窓口で担当部署を問い合わせ、相談してみましょう。ただし自治体が寄付を受け入れるのにはさまざまな条件があり、必ず寄附できるとは限りません。

そこで次に検討するのが法人への寄付です。一般法人のほか、NPO法人や公益法人が空き家を探しているケースもあります。ただし、法人に寄付する場合は所有権移転登記費用や所得税がかかるため注意しましょう。

6-2.贈与・売却-近隣住民や地方移住希望者へ

個人に対して空き家を贈与、または売却することも可能です。相手を見つけるのはやや困難かもしれませんが、隣の家や土地を持っている住民や地方移住希望者なら貰い受けてくれる可能性があります。

ただし、贈与をした場合、相手には空き家の評価額に応じた贈与税が発生します。また、もし空き家を売却できた場合、利益が出れば売主に譲渡所得税と住民税が発生します。

6-3.賃貸-農地付建物や民泊施設として貸し出せることも

賃貸-農地付建物や民泊施設として貸し出せることも

▲企業を介した空き家貸し出しの仕組み

一度空き家を相続して、賃貸物件として貸し出すという手もあります。近年では都心に住む人のセカンドハウスとして田舎の家を貸し出すビジネスや、空き家をリノベーションして民泊として活用する事例も増えています

また、こうした賃貸をサポートする法人も増えているため、空き家活用に興味のある人は「空き家 賃貸」でリサーチしてみるとよいでしょう。

6-4.国へ納付-相続土地国庫帰属制度を利用

令和5年4月27日から相続土地国庫帰属制度が施行され、相続した土地を国に納めることができるようになりました。この制度は、不要な土地を相続することの負担を軽減するほか、土地の放置により所有者がわからなくなることを防止するために創設されました。

ただし、国に納めることができるのは土地だけなので、空き家は解体しなければなりません。土地に土壌汚染や埋設物がなく、担保になっていないことなども条件として定められています。

また、向こう10年間に必要とされる標準的な管理費用(宅地では20万円~)を負担金として納める必要があります。

参考:相続土地国庫帰属制度とは?メリット・デメリット・手続き方法や、相続放棄との違いを解説|税理士法人チェスター

7.相続方法を慎重に選択して不安を残さない相続を

後悔しないためにも、相続の方法は慎重に選択しましょう。相続する全財産を精査し、負の財産が多ければ相続放棄をすることで経済的な負担を避けられます。ただし、相続放棄は一度行うと自己都合での撤回はできません。

まずは相続財産をきちんと洗い出してみることが大切です。

すでに相続関連でトラブルが起きてしまった場合には、相続に強い法律事務所に相談するといいでしょう。

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