【相続登記】必要書類を自分で収集・手続きする方法を解説!
あなたが不動産を相続したときには、土地や建物をあなたの名義に変更する「相続登記」が必要となります。
実際に相続登記をするにはどういった手続きや書類が必要なのでしょうか?
専門家(司法書士)に依頼する場合は、原則“印鑑証明書”の1点のみで足りるのですが、ご自身で相続登記を行う場合にはすべての書類を自分で集める必要があります。
相続登記では、次の3つのケースによって必要になる書類が変わってきます。
- 法定相続分の割合通りに行う場合
- 遺産分割協議を行う場合
- 遺言通りに行う場合
ここでは、不動産の相続登記に必要な書類を網羅的に解説するとともに、それらの書類の収集方法も丁寧に解説しています。
最後まで読むと、相続登記に必要な書類が漏れなく集められ、手続きもスムーズにいくようになります。では、見ていきましょう。
この記事の目次 [表示]
1.相続登記の際に全ての人に共通して必要になる書類
まず、相続登記を行おうとする際に、全員に共通して必要な書類を解説します。それらの書類が以下の通りとなります。
【役所等で取得する書類】
- 相続登記を行う対象不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
- 被相続人の最後の戸籍(除籍)謄本(死亡の記載があるもの)
- 被相続人の住民票(除票)
- 不動産を取得する者の戸籍謄本
- 不動産を取得する者の住民票
- 固定資産評価証明書
【自身で記載し作成する書類】
- 登記申請書
- 相続関係説明図(法定相続情報一覧図の写し)
- 委任状(代理人が申請する場合)
順番に説明をしていきます。
【役所等で取得する書類】
・相続登記を行う対象不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
相続登記を行う対象不動産の登記簿謄本は、登記申請の際に添付が必要な書類ではありませんが、こちらに記載されている情報通りに登記申請書等を作成する必要がありますので、相続登記を行う際には必要な書類となります。なお、古い登記簿謄本がある場合でも、現在の状況を確認するために相続開始後(死亡後)に取得した登記簿謄本を使用しましょう。
これは、全国の最寄りの法務局(登記所)でどこでも取得することが可能です。また、登記簿謄本をインターネット上で取得できるサービス「かんたん証明書請求」を利用するほか、法務局へ郵送で登記簿謄本の取得申請を行うことも可能です。
・被相続人の最後の戸籍(除籍)謄本(死亡の記載があるもの)
戸籍(除籍)謄本は、最寄りの市区町村役場で取得することが可能です。
同一の戸籍に記載のある者(例えば夫婦や結婚していない子)であれば、本人が窓口に出向くことで身分証明書を提示すれば簡単に取得することができます。
また、直系の親族であれば、戸籍謄本等で親族関係が証明できれば取得することが可能です。なお、直系の親族ではない第三者が取得する場合には、被相続人(亡くなった方)の死亡時点の本籍地の市区町村役場で取得しなければなりません。この場合は、親族からの委任状等が必要です。
・被相続人の住民票(除票)
被相続人(亡くなった方)が死亡時点に住民票をおいていた市区町村役場で取得することが可能です。
なお、取得可能な者については、自身が利害関係人であり、権利行使や義務履行のために必要な場合または官公庁への提出が必要な場合などに限られています。
・不動産を取得する者の戸籍謄本
不動産を相続で取得し、相続登記を行おうとしている者の現在の戸籍謄本です。
転籍を繰り返している場合でも過去に遡る必要はなく、現在の最新の戸籍謄本のみで大丈夫です。
・不動産を取得する者の住民票
不動産を相続で取得し、相続登記を行おうとしている者の現在の住民票です。
登記の申請時点で住んでいる住所を証明するための書類として使用し、この提出した住民票に記載の住所が登記簿に記載されることとなります。
なお、現状では個人番号(マイナンバー)の記載のある住民票は受け付けてもらえませんので、記載のないものを用意するようにしましょう。
・固定資産評価証明書
相続登記を行う不動産の固定資産評価証明書が必要となり、市区町村役場で取得が可能です。この評価証明書に記載されている金額に従って、相続登記を行う際に納める必要がある登録免許税の金額を計算することとなります。原則は、こちらに記載の固定資産税評価額×0.4%の納税となりますが、詳しくは下記の記事を参考にしてください。
【自身で記載し作成する書類】
・登記申請書
登記申請書は、法務局のHPよりダウンロードして使用します。
ワードファイルの用意がありますのでPCで作成しても良いですし、プリントアウトして手書きで作成しても大丈夫です。以下の法務局のHPに記載方法等の解説もありますので参考にしてみてください。
・相続関係説明図(法定相続情報一覧図の写し)
相続関係説明図とは、いわゆる「家系図」です。
被相続人とすべての相続人の身分関係を記載した書類となります。なお、申請手続き終了後に戸籍謄本関係の書類の還付を受けるためには、この相続関係説明図を必ず作成する必要があります。
特に厳密な要件はなく、手書きで作成しても問題ありませんので、以下のサイトを参考に作成してみましょう。
参考:【テンプレート付】相続関係説明図とは?目的や書き方、記載例を紹介
相続関係説明図の代わりに、法定相続情報一覧図の写しを利用することも可能です。
法定相続情報一覧図は、相続関係説明図と同じく被相続人とすべての相続人の身分関係を記載した書類となりますが、法務局で登記官による認証が行われる点が異なります。認証を受けた法定相続情報一覧図の写しは、相続関係説明図や戸籍に関する書類に代えて、相続登記などさまざまな相続手続きに使用することが可能です。詳しくは、以下のサイトを参考にしてください。
・委任状(代理人が申請する場合)
相続で不動産を取得する者が自身で申請を行わずに代理人が申請手続きを行う場合には、委任状が必要となります。詳しくは下記の記事を参考にしてください。
参考:相続登記に委任状が必要となる場合や作成方法を解説【実印は必要?】
さらに、相続をどのように行ったのかによって上記に加え追加で必要な書類があります。具体的には、「法定相続分通りに相続登記を行う場合」「遺産分割協議書の記載通りに相続登記を行う場合」「遺言書の記載通りに相続登記を行う場合」の三つのパターンに分類されますので、以下はあなたが該当する箇所を参照してください。
2.相続登記の3つのケース別追加書類
相続登記を行う際に、必ず必要となる書類は前述の通りで、さらに、相続をする方法によって以下の追加書類が必要となります。
2-1.法定相続分通りに相続登記を行う場合の追加資料
法定相続分通りに相続登記を行う場合には、他の相続人の同意や許可は必要ありません。遺産分割で争っていて分割がまとまっていない場合でも、相続人のうちの一人が法定相続分通りに相続登記を行うことが可能です。
- 被相続人の出生までさかのぼる除籍謄本・改製原戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本(不動産を取得しない者のものも含む)
【役所等で取得する書類】
・被相続人の出生までさかのぼる除籍謄本・改製原戸籍謄本
法務局側で、相続人の網羅性(他に相続人はいないか)を確認するために必要となります。
被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した一続きの戸籍謄本等が必要となります。最寄りの市区町村役場で取得できない場合は、過去の本籍があった複数の市区町村役場を回り、取得していく必要があります。
・相続人全員の戸籍謄本(不動産を取得しない者のものも含む)
相続人全員の存在を確かめるために必要となります。
転籍を繰り返している場合でも過去に遡る必要はなく、現在の最新の戸籍謄本のみで大丈夫です。
2-2.遺産分割協議の通りに相続登記を行う場合の追加資料
- 被相続人の出生までさかのぼる除籍謄本・改製原戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本(不動産を取得しない者のものも含む)
- 相続人全員の印鑑証明書
【自身で用意する書類】
- 遺産分割協議書(原本)
【役所等で取得する書類】
・被相続人の出生までさかのぼる除籍謄本・改製原戸籍謄本
法務局側で、相続人の網羅性(他に相続人はいないか)を確認するために必要となります。
被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した一続きの戸籍謄本等が必要となります。最寄りの市区町村役場で取得できない場合は、過去の本籍があった複数の市区町村役場を回り、取得していく必要があります。
・相続人全員の戸籍謄本(不動産を取得しない者のものも含む)
相続人全員の存在を確かめるために必要となります。
転籍を繰り返している場合でも過去に遡る必要はなく、現在の最新の戸籍謄本のみで大丈夫です。
・相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書に押印した実印の印鑑証明書が、相続人全員分必要となります。
相続人本人が、自分の意思で遺産分割協議書に押印したことを確認するための書類となります。
【自身で用意する書類】
・遺産分割協議書(原本)
自身で作成した遺産分割協議書の原本を提出する必要があります。なお、手続きが終われば原本の返却を受けることができます。まだ作成をされてない方については、「遺産分割協議書の書き方は?ひな形を使って自分で作成する方法!」を参照して下さい。
2-3.遺言書の通りに相続登記を行う場合の追加資料
- 遺言書(原本)
遺言書の通りに相続登記を行う場合は、遺言書(原本)を提出する必要があります。
なお、遺言書が手書きの自筆証書遺言の場合には家庭裁判所にて検認手続を済ましておく必要があります。公正証書遺言の場合や、自筆証書遺言が法務局で保管されていた場合はその必要はありません。
遺言書で相続登記を行う場合には、これ以外の追加書類が必要ありませんので必要書類を収集する負担が少なくて済みます。
なお、自筆証書遺言の検認手続きについて詳しく知りたい方は「自宅で遺言書を見つけたら検認が必要!検認手続きについて解説します」をご覧ください。
3.相続登記の必要書類の取得代行を専門家に依頼することも可能
- 印鑑証明書
- 遺言書(※ある場合)
ここまで相続登記の申請の際に必要となる書類を説明していきましたが、これらの書類をすべて自身で収集し、自身で作成することは骨の折れる作業です。
これらの作業をすべて、専門家である司法書士に依頼することもできますのでご紹介したいと思います。司法書士に依頼する場合には、印鑑証明書と遺言書以外の書類についてはすべて、司法書士が代理取得若しくは代理で作成をしてくれます。あなたが法務局へ出向く必要もありません。
依頼するとなると気になるのは費用ですが、登記申請を行う物件の数等によって変わってきます。例えば、自宅1か所を相続人1人が相続するといった単純なケースの場合には、約5万円程度が報酬相場になってきます。
自身で作業する手間や交通費等と比較して、相続登記を専門家に依頼されることも検討されてみては如何でしょうか。
【コラム】長年放置していた相続登記をするのは大変です
相続登記がされないまま長年放置されていた場合に、いざ相続登記をしようと思うとなかなか大変な場合があります。例えば、当時の相続人が既に亡くなっていた場合には、その当時の相続人のさらに相続人全員の実印や印鑑証明書等の書類が必要となります。そのため、普段付き合いのない親族に連絡をとり協力を求める必要がでてきます。当時の相続人の子供の子供…、人数がどんどん増え、例えばそのうちの一人から協力が得られなかったら、相続登記が行えなくなってしまいます。こうならないように、相続が終わったら速やかに手続きを行われることをお勧めします。なお、令和6年4月1日から相続登記は義務化され、相続から3年以内に手続きをしなければなりません。過去に相続した不動産でまだ登記していないものも、さかのぼって登記する必要があります。
4.まずは相続税申告から始めましょう
不動産を相続した場合、相続登記を行う際に必要となる書類を説明してきました。
ここで説明してきた必要書類はシンプルな場合のものに限られます。例えば、不動産を共有で相続する場合、被相続人の出生時からの戸籍が役所にない場合、相続人の協力が得られない場合など、特殊なケースについては、個別に法務局に相談するしか方法がありません。
相続登記については、自身で手続きを行っている方も大勢おられることは事実ですが、限界を感じたら専門家である司法書士への依頼も検討してみると良いでしょう。
なお、相続税申告が必要な方については、まずは相続税申告の手続きから始めることをお勧めします。なぜなら、相続税申告の手続きの過程で、相続登記に必要な資料の収集が同様に必要になるからです。戸籍謄本関係や遺産分割協議書等、相続税申告手続きで使用したものがそのまま相続登記においても使えます。
相続登記をしてから相続税申告をすると二度手間になり、費用も余分にかかってしまう可能性もあるため、相続税申告が必要な方については、まずは、税理士に相談すると良いでしょう。
5.税理士法人チェスターでは1件1件丁寧に相続税申告を致します
税理士法人チェスターは相続税のみを専門に取り扱う税理士事務所です。申告件数は年間2,300件超、税務調査率は0.6%という実績があります。
相続税申告に欠かせない土地の評価や二次相続を見越しての申告など、これまで培ってきたノウハウやスキルがありますので、「相続」分野に関しましては実力があります。
相続税に関して何か少しでもご不安な点がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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相続手続きはとにかくやることが多く、自分の足で動くことも多いものです。
例えば、必要な書類収集・口座解約は行政書士、相続税申告は税理士、相続登記は司法書士、争族関係は法律事務所、不動産売却は不動産業へ…。
相続に関する様々な手続きにおいてプロの力を必要とされる方はそれぞれの専門家を探してこれだけの対応をしなければなりません。
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