国民年金の死亡一時金請求とは。対象者の要件、請求に必要な書類など
国民年金の死亡一時金請求は、配偶者や子どもなどの遺族が手続きをしなければ受け取れません。手続きに期限があるため、できるだけ早いタイミングで行い確実に受け取りましょう。対象者の要件や必要書類を押さえておけば、スムーズな手続きが可能です。
この記事の目次 [表示]
1.国民年金死亡一時金が受け取れるケース
死亡した人が国民年金に加入しており、条件を満たしていれば『国民年金死亡一時金』を受け取れます。具体的にどのようなケースで受け取れるのでしょうか?
1-1.第1号被保険者の対象者が亡くなったとき
国民年金死亡一時金を受け取れるのは、亡くなった対象者が自営業者や農業・漁業などの『第1号被保険者』の場合です。ただし保険料納付済月数が、亡くなった日の前日までで『36カ月以上』なければいけません。
保険料を免除された月は計算に入れず、減額された月は減額の割合に応じて『保険料納付済月数+(4分の1納付月数×1/4)+(半額納付月数×1/2)+(4分の3納付月数×3/4)』と計算します。
例えば保険料納付済月数25カ月・半額納付月数24カ月なら『25カ月+(24カ月×1/2)=37カ月』です。加えて老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取っていないことも条件です。
1-2.12万円~32万円を遺族が受け取る
受け取れる死亡一時金は、保険料納付済月数に応じて『12万~32万円』です。金額は下記の通り決まっています。
- 36カ月以上180カ月未満:12万円
- 180カ月以上240カ月未満:14万5,000円
- 240カ月以上300カ月未満:17万円
- 300カ月以上360カ月未満:22万円
- 360カ月以上420カ月未満:27万円
- 420カ月以上:32万円
将来受け取る年金額を上乗せできる『付加保険料』の月額400円も36カ月以上納めていると、一時金は『8,500円』上乗せされます。
1-3.受取人となれる遺族の順位
一時金を受け取れる遺族は、死亡日に対象者と『同一生計』の人です。加えて受け取れる順位も下記の通り決まっています。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
この順位が上の人から受け取れるルールです。ただし受取人が配偶者で子どもがいる、もしくは子ども自身で『遺族基礎年金』を受け取れる場合、一時金は受け取れません。
また対象者の妻で、対象者が亡くなったときに40歳以上60歳未満で同一生計の子どもがいない人や、子どもが18歳の年度末になり遺族基礎年金が受け取れなくなった人は『中高齢寡婦加算』の対象です。
この場合はどちらか一方を選んで受け取ります。
2.国民年金死亡一時金請求書以外に必要な書類
対象者や受取人の要件を満たしているからといって、自動的に死亡一時金が支給されるわけではありません。『国民年金死亡一時金請求書』やその他の必要書類を用意し手続きが必要です。書類をあらかじめ用意しておけば、スムーズに請求できます。
2-1.故人の年金手帳
国民年金死亡一時金請求書の中には、基礎年金番号を記載する欄があります。その確認のために『故人の年金手帳』が必要です。『基礎年金番号通知書』『年金証書』でも確認できます。
中には、探したけれど見つけられなかった、故人が紛失したままにしており手元にないといった事情で、故人の年金手帳を提出できない人もいるでしょう。そのような場合には、提出できないことへの『理由書』を提出します。
加えて故人の氏名・生年月日がわかる証明書を持参しましょう。
2-2.故人との関係性がわかる書類
一時金を受け取れるのは、故人と同一生計であった配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。そのため故人との関係性がわかる書類が必要です。
故人との続柄がわかる書類として『戸籍謄本(記載事項証明書)』を用意しましょう。加えて、同一生計であることの確認のために『故人の住民票(除票)』および『請求者の世帯全員の住民票の写し』も用意します。
2-3.死亡一時金を受け取る口座の通帳
受取人名義の『通帳』も持参しましょう。同一生計であっても、受取人以外の名義では手続きできないため注意が必要です。
一時金は金融機関の口座に振り込まれます。そのため振込先のカナ氏名・金融機関名・支店番号・口座番号が記載されている通帳やキャッシュカードが必要です。
3.国民年金死亡一時金の請求方法
必要な書類を漏れなくそろえたら、一時金を請求しましょう。請求から一時金の受け取りまでは時間がかかることに加え、請求には期限もあります。できるだけ早めに手続きするのがおすすめです。
3-1.住所地の役所、年金事務所などで手続き
請求書を提出できるのは『市区町村役場』や『年金事務所』『街角の年金相談センター』です。書類をそろえ持参し、手続きしましょう。
一時金の請求から実際に振り込まれるまでには、『約155日』かかります。請求から一時金支給決定通知書の送付までが『105日』程度、通知書の送付から一時金の受け取りまでが『50日』程度です。
早めに請求しておけば、それだけ早いタイミングで受け取れるでしょう。
3-2.請求期限は死亡日の翌日から2年
同一生計で受取人になれる条件を満たしていても、請求期限を過ぎると死亡一時金は受け取れません。請求期限は死亡日の翌日から『2年』です。
例えば2021年10月14日が死亡日なら、2023年10月15日が期限です。ただし対象者が失踪宣告を受けた人の場合は、実際の死亡日とされる日と請求期限に関係はありません。
失踪宣告の審判の確定日から2年以内が期限です。
4.要件を確認して早めに請求しよう
死亡した人が36カ月以上保険料を納付している国民年金の第1号被保険者で、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取っていないなら、国民年金死亡一時金を受け取れます。
受取人は同一生計の配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹が条件です。一時金の請求は死亡日の翌日から2年という期限があるため、早めに要件を確認し必要書類をそろえ請求しましょう。
一時金の受取人であれば相続人でもあるはずです。相続財産によっては相続税の納付が必要かもしれません。相続税に対して不明点があるなら『税理士法人チェスター』へ相談しましょう。
『死亡一時金』について詳しく知りたいなら下記もご覧ください。
死亡一時金とは誰が受け取れるお金?期限、金額、併給の条件など|相続大辞典|相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】
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