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遺言が招く悲しいトラブル!具体的な事例と避けるために気をつけたい点

遺言がきっかけに、トラブルが発生する可能性があるというのを知っていますか?遺言で親族間にいさかいがあっては悲しいものですね。それではいったいどんなケースにトラブルとなるのか、事例を掘り下げながら気をつけたい点をお話します。

1.認知症に宗教絡みも?無理やり書かせた可能性

署名の画像

(1)無理やり認知症の親に遺言を書かせる

例えば、長男と次男、そして認知症の父親(母親はすでに他界)がいる家庭を例に挙げてみましょう。この次男は金銭的に困っており、父親の財産に期待していました。そこで次男は「自分の財産をすべて次男に渡す」といった内容の遺言を、父親にむりやり書かせたのです。これを知った長男は、遺言は無効だとして裁判を申し立て、次男と争いました。

こういったケースでは、次男が父親に強制的に遺言を書かせたことが認められれば、長男は裁判で勝つことができるでしょう。

もし遺言は妥当と判断されても、長男は財産を最低限相続できる割合「遺留分」を主張することができるので、裁判で遺留分減殺請求を行うことも可能です。

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(2)宗教団体が遺産を狙うケースも

また宗教団体が財産相続に絡む事例もあります。

例えば一人暮らしをしている年配の方の寂しさにつけ込んで、宗教団体が親切や親しみを装って近づき、信頼させた後に「自分の財産をすべて宗教団体に寄付する」と遺言を書かせたという事例もありました。

こちらのケースも、もちろん宗教団体が強制的に書かせたことが認められれば、裁判で勝つ可能性は十分にあります。

2.遺産を家族以外へ渡すと家族にトラブルが…

財産相続というと、親族間のやり取りと思われがちですが、実は家族以外に財産を相続する人は少なくなりません。

例えば一人暮らしをしている高齢者の方の中には、身の回りの世話をしてくれるヘルパーさんや、家族より顔を合わせる機会の多い近所の方に財産を渡したいと考える人もいるでしょう。

例えば遺言で相続財産全体の10分の1をヘルパーさんに渡すと記載した場合、これがきっかけで遺族にトラブルが起きてしまう場合もあります。そのケースとして特に考えられるのが、相続財産が不動産だった場合や、相続の理由が書いていないケースです。

トラブル要因1とトラブル要因2

財産が金銭だった場合はすぐに分けることができますが、不動産だと10分の1にすることはなかなか難しいものです。こうしたトラブルにならないためにも、遺言には「現金○万円」「車1台」を渡すなどとより具体的に書いたほうがいいでしょう。またなぜこの人に相続するかも、遺族がしっかり納得できるよう記しておくことも大切です。このほか生前のうちに家族に話しておくことで、争いを避けることもできます。

3.遺産分割の協議後に遺言書が出てきてトラブルに!

遺言がない場合は相続人全員が合意して、遺産の分け方を決める遺産分割協議をおこなってから分配を決めます。しかし遺産分配を終えた後に実は遺言があった、という場合は遺言を優先しなければならないので非常に手間となります。協議内容で遺言に反する部分があれば、その協議部分は無効となってしまうからです。

遺産分割協議後に遺言が発見されたら遺言が優先となる

最悪、裁判沙汰になってしまうこともあります。例えば協議でAさんに不動産を相続することとなったとしましょう。Aさんはその後不動産を売ってしまいますが、売却後に遺言が出てきて、実は不動産はBさんが受け取るものだった場合、Bさんが財産返還を求める裁判を起こす可能性もあります。

次のようなトラブル事例もあります。一つ目は遺言で子どもを認知していたのに、この子どもを無視して遺産分割協議を行った場合です。このケースでは、その子どもを含めて再度協議を行わなければなりません。二つ目は遺言に廃除があったのに、その人を入れて遺産分割協議をしていなかった場合です。こうしたケースでは廃除になった人を除いてもう一度協議を行いましょう。

4.日付が間違っていたことで遺言が無効!?

正確な日付が必要

遺言を書く際は署名だけでなく、いつ書いたのかはっきりさせる正確な日付を記さなければ、遺言自体が無効になってしまう可能性があります。日付がないだけではなく、例えば「3月吉日」「4月31日」などと、いつか分からない日付だったり、誤った日付を書いたりするのもNGです。せっかく書いた遺言が無効にならないよう、書く際には正確な日付を確認してから書きましょう。

5.字が読めないと鑑定解読が必要に

字が読めないとダメ

中には文字の癖が強かったり、草書体だったりなどして遺言が読解しにくい場合もあります。そういったケースでは、文字を解読するために鑑定に出す必要があります。

もし鑑定に出しても遺言が読み取れなかった場合は無効となってしまいます。

6.遺言を映像で残す場合は認められない?

携帯電話やタブレットでも気軽に映像を残すことができますし、遺言を映像で残そうと考えている方もいるかもしれません。

しかし法律上、遺言をビデオなどの映像に残すのは認められていないため、ビデオだけの遺言は無効になります。遺言を残す場合は紙に書くようにしましょう。

7.相続するのは子ども2人だけだから…と遺言を残さないのはNG!

相続人が2人だけだと、「半分に分けるだけだから遺言を書かなくてもいいのでは」と思って遺言を書かない人も少なくありませんが、これが後にトラブルとなるケースもあります。

うさぎのケンカ画像

具体的な事例は、次の二点あります。

一点目は、介護が必要な父親と、長女、次女がいる家族のケースです。長女は2年ほど献身的に父親の介護をしていました。その後父親は遺言を残さず他界したため、長女と次女は遺産分割協議を行いましたが、長女は「2年も介護したのだから、次女より多く遺産をもらうのは当然」と主張し、次女は「姉妹だし折半しよう」と意見が食い違いました。
その後の話し合いで譲り合って着地点が見出せればいいのですが、互いに譲らない場合は、裁判沙汰となる可能性もあるのです。

二点目は、現金と不動産の財産を持つ人が遺言を残さなかったケースです。Aさんは、現金1千万円と3千万円の不動産を持っています。またAさんにはBとCの2人の相続人がいて、BはAさんの家に居住しています。この場合Aさんの財産遺産は総額4千万円で、もし2人で半分にするのであればBが住んでいる財産を売らなければなりません。そして仮にBが絶対に売りたくないと主張すれば、Bは代わりに現金をCに払う必要があります。Bに支払い能力がなければ、不動産をBとCの共有名義にすればいいのですが、Bは家族と住んでいたため「もし自分が次に亡くなれば、名義が複数あると権利関係が複雑になってしまう」と考え、共有名義にしたくないと主張すれば、こちらも裁判となる可能性があります。

このように、特に相続財産の多くが不動産だった場合はトラブルに発展しやすくなります。相続人が少なくても、たとえ財産が多くなくても、遺族が揉めないよう遺言は作成しましょう。

8.会ったことない離婚相手の子どもとの争い!?遺言がないとトラブルの元に

遺言がなかったために、これまで一度も面識のなかった人と急にトラブルになってしまう可能性もあります。

例えば10年前に離婚経験がある夫を亡くしたAさんの場合を例に挙げてみます。

前妻の子は相続の権利がある

Aさんの夫は前妻であるBさんとの間に子どもがいましたが、遺言を残さず他界しました。Bさんの子どもは、離婚が成立していても実は財産を相続する権利がありますが、AさんとBさんに面識がないとしたら、夫の死後にBさんの子どもが権利を相続すると主張した際にトラブルとなってしまうリスクがとても高くなってしまいます。

9.自筆証書遺言でトラブル発生することも

遺言には、公証役場で公証人に作ってもらう「公正証書遺言」と、パソコンではなく自分の手で作成する「自筆証書遺言」の2種類あります。

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この自筆証書遺言は、気軽に残すことができるという利点がありますが、トラブルの原因にもなりえます。例えば日付や印鑑など遺言の様式に不備があった場合ですが、書いてある遺言すべてが無効になります。

そのほか、例えば財産が総額現金5千万円あるのに、遺言には3千万円分しか記されていないなど、全相続財産について書かれていない場合です。
この場合は、記載されていない2千万円分の遺産分割協議を行わなければならないため、揉めるリスクがあります。

10.遺留分を無視した遺言は後の裁判トラブルに

殴られる男の人の画像

1段落目でも少しご説明しました遺留分も裁判トラブルのきっかけになる可能性があります。

もしこの遺留分を無視して遺言を残しても、遺言としては認められて有効とはなりますが、遺留分を無視された相続人が、遺留分減殺請求を主張して裁判に発展する可能性もあります。

11.遺言執行者が職務執行を怠った場合も問題に

遺言の内容を実現するために各種手続きを進める人のことを「遺言執行者」といい、相続人全員の代理人という立場になります。

遺言執行者の具体的な義務としては、

・遺言執行者の指定を受けた後、すぐに任務をおこなう義務

・相続財産について相続人がどれだけ財産があるのかを知る「財産目録」を作成する義務

・相続人への事務進捗を報告する義務

・相続人よりも財産取り扱いについて重大な責任を負う義務など

このように遺言執行者はとても大切な役割なので、しっかりとした責任感を持って取り組まなければなりません。

しかしこの遺言執行者がきっかけで遺産相続にトラブルが発生する恐れがあります。

具体的には、遺言執行者が手続きに協力しないなど任務を怠った場合や、けがや病気などで身動きが取れなくなるなど解任を正当化する理由ができた場合です。

財産相続は、相続税の納入期限についても考慮して進めなければならないため、手続きが滞るとトラブルの元となります。

そのため上記のケースでは財産相続がスムーズに行かなくなるため、遺言執行者を解任される可能性があります。

これまでお話してきたように、遺言はあってもなくても相続者のトラブルの元になります。被相続者が他界した後に遺族が揉めないよう、公正証書遺言を作成し、正確な遺言を残しておくのがベストでしょう。

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