夢の国?海外移住すると相続税を支払う義務がなくなるって本当?
財産を相続する際、日本では相続税の負担が大きいですが、実はこれを逃れることができるケースもあります。それは相続税がかからない国に移住することです。今回は海外に移住することで相続税がかからなくなる仕組みと注意点についてご説明します。
1.どうして海外移住すると相続税がゼロになるの?
財産を相続する場合、相続した人はどれくらいの税金を支払わなければならないか知っていますか?なんと最高税率は55%にも上るため、受け継いだ財産の半分も支払わなければならない可能性もあるのです。
しかし世界には、シンガポールやカナダ、オーストラリアなど相続税がまったくかからない国があります。こうした国に財産をすべて移すことができれば、日本では半分近くかかっていた相続税がゼロになるのです。それではすべての財産を海外に移すことは可能なのか、またその方法についてご説明します。
2.海外に住み、相続税をゼロにする要件とは
日本で納税義務のある人は決まっています。それは
「財産を相続するときに日本国籍である」
「被相続人が亡くなってから10年以内に日本に住んだことがある」
「相続財産が日本にある」
「被相続人が日本国内に住所を所有している」
といった要件に当てはまる人です。要するにこれらの要件に当てはまらなければ日本の納税義務者ではないため、相続税を払う義務はなくなります。そのため、例えば日本国籍のある人がただ海外に移住した場合や、相続人に外国国籍があっても被相続人が日本国籍である場合は、相続税がなくなるわけではありません。
また、もし外国籍になって海外で10年以上生活していたとしても、相続財産が日本国内にあると納税の義務が発生するので相続税を支払わなければなりません。こういった要件なので、海外に移住して相続税が免除となるのはとてもハードルが高く、実現するのは非常に大変でしょう。
納税義務者の範囲に関しては下記の記事に詳しく記載しています。併せてご確認ください。
平成29年に改正された相続税の納税義務者の範囲を確認しましょう
3.日本の財産を海外に移す方法とは?
日本にある財産を海外に移すには、まず海外国籍を取得する必要があります。
その後、10年以上住む予定の国で口座を開設し、日本の財産をこの海外口座に移すのです。もしくは外国株式を購入することで移すこともできます。しかし財産が現金のみの方であればこの方法はできるかもしれませんが、例えば不動産として財産を日本国内に複数持っている方は、もちろん財産を海外に移すことはできないので売却などの手続きが必要になります。多数の不動産を持ち、本気で海外に財産を移したいという方は、相続専門の税理士などに相談してみましょう。
まとめ
海外に財産を移しただけでは相続税の節税を逃れることはできないので、十分にご注意ください。今回ご説明したように、相続税をゼロにするには国籍や海外在住歴など難しい要件をクリアしなければなりません。財産を海外に移しただけでは免税の対象にはなりませんので、間違って覚えていた方は注意してくださいね。
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