相続税の時効
相続税の時効について
相続税は国税であり、国の債権です。国税債権は国税通則法の定めに従い、原則として5年で時効にかかります。
つまり、5年間相続税を納付しないことで相続税の負担から免れることとなります。この時効制度の存在理由(趣旨)については、様々な考え方があり、一定の固まった見解が存在しているわけではありませんが、一般には国の財務処理の迅速性・決済の簡易性などを考慮したものですので、時効期間を経過してなお請求されるということは法治行政の原則からあり得ません。
また、時効期間は、偽りその他不正の行為によって免れ又は還付を受けた場合には2年間時効の進行がストップすることから7年となります。この場合でも7年の経過により時効が完成すれば、相続税の負担は消滅することとなります。
なお、時効については、民法等私法上の制度の時効もあり、民法上の時効制度との比較で考えると、国税通則法上の時効制度の場合には、時効の援用(制度を利用するという意思表示。民法第145条)を要せず、時効の利益を放棄することができないという特徴があります。
そのため、時効完成後に納税した場合には、過誤納として還付されます。さらに、時効完成の効力は起算日まで遡りますから、以降の利子税、延滞税も同様に消滅します。
事実認定と時効の不成立判断
ただ、現実の運用として相続税が時効によって消滅する可能性を期待することは、ナンセンスということができます。
つまり、相続税は近年の国の財政状況からして、大きな収益の柱であるので相続税額が大きい場合に徴税がされないということは考えられません。
また、相続税額が少ないとしても、ケースによっては、重加算税による高い税率での課税がされることとなります。平成27年からの最高税率の引き上げも考慮すると、相続税の時効を期待して、相続税の申告をしないという事態は、大変法的リスクが高く全く意味のないことと行っても過言ではないということができます。
相続税・贈与税の時効は期待しないことが重要
時効との関係では、相続税の申告にあたって贈与税を指摘される可能性もあります。
贈与税は原則として1年間で110万円が基礎控除額となりますが、この贈与の事実は、用意には判明することはありません。
しかし、相続税の納付や相談の際などに、預貯金の記録から贈与が疑われる場合には税務調査が行われることがあります。
この場合には、贈与税の時効については、時効期間内の贈与とそれ以前の贈与を一括して1つの贈与行為と判断するなどの事実評価によって贈与税の時効は容易には認めないのが税務署の姿勢です。
このように制度上、時効はありますが、実際の運用として時効は念頭から外しておくことが良いということができます。
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