相続の税務調査の概要と心構え
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相続税の税務調査って聞くとどのようなことをイメージしますか?
・税務署の人が家に来てタンスや引き出しを虱潰しに調べる
・故人のプライベートなことまで色々聞かれる
・相続財産に漏れがあった場合に多額の追加税金がかかってしまう などなど
イメージしているものと実際は違うこともありますが、イメージ通りのこともあります。
相続税専門の税理士が実際の相続税の税務調査をわかりやすく簡潔にまとめました。
1)税務調査率
相続税の税務調査に入られる割合は毎年30%前後で推移しています。法人税は約4%、所得税は約1%であることに比べると非常に高い割合ということがわかります。
では、この税務調査に入られた30%のうちどのくらいの人が追加で相続税を納める(つまり、相続財産が漏れていた)ことになるのでしょう。
正解は、約80%です。
非常に高い割合です。ほとんどの相続税申告が間違っていたことになります。
違った見方をすると間違っている申告書に集中して税務調査が入られているということが言えます。
税務調査に入られたくなければ、最初に適正な相続税申告をすれば良いのです。
2)税務調査の時期
相続税の税務調査は、毎年8月から年末にかけて行われます。私達のような相続税専門の税理士も毎年夏が終わる頃になると「今年も税務調査の季節がやってくる」と若干緊張感を覚えます。
では、いつ提出した申告書が対象となるのでしょうか。 一般的には、調査年の前々年の相続開始案件が税務調査の対象となると言われています。 すなわち27年秋の税務調査に入る案件は、平成25年中に亡くなった方に係る相続税の申告書が対象となるわけです。 なお、上記はあくまで一般的な取扱いですので申告書を提出してから半年後や3年後に税務調査が来る場合も稀ですがありえます。
3)強制調査?
相続税の調査と聞くと家中をシッチャカメッチャカにされるのでは?と考えている方もいるかもしれません。
もちろんそのような強制調査(国税犯則取締法に基づく調査のことで、俗にいう“マル査”と言われるもの)も世の中にはありますが、税務調査のほとんどは強制調査ではなく任意調査となります。
したがって、家中をシッチャカメッチャカにされることはなく、引き出しや金庫の中を税務調査官が確認する際にも必ず納税者の承認が必要です。
プライベートな空間で第三者に見られたくないような部屋は税務調査官に見せなくても良いのです。 ただ、税務調査官には質問検査権という強い権利がありますので、調査の進行上必要なものまで執拗に隠したりすると納税者に罰則が科せられることもあります。
4)調査の現場ではどのようなことが聞かれるの?
相続税の税務調査は通常1日で終了します。午前中に調査官のヒアリングがあって、午後に実際に通帳や印鑑、不動産の権利証、保険証券等の相続財産の現物を確認します。
午前中のヒアリングでは主に下記のようなことを聞かれます。
○ 被相続人が相続財産をどのように築いたか
○ 被相続人の出身地や職業、結婚の時期、趣味、月々の生活費など
○ 被相続人や相続人は貸金庫を持っていますか
○ 相続人と税理士との関係は
○ 被相続人や相続人が取引のある金融機関と支店名は(過去に使っていたものを含めて)
○ 相続人の出身大学や職業、住まいなどについて
○ 相続人の家の購入金額や売却金額(過去に住んでいたものも含めて)
○ 相続人の家族(子供、配偶者)の年齢や学校名、職業など
○ 被相続人の死亡直前の財産管理は誰が行なっていたか(書類や通帳の管理)
○ 被相続人が亡くなったときの状況(入院の有無・時期や病院名など)
○ 相続開始直前で下ろした現金の具体的な使い道
○ 相続人の投資状況(証券口座を持っているか、どれ位株式や投資信託へ投資しているか等々)
○ 生前に贈与を受けたことがあるか
5)税務調査対応のポイント
相続税の税務調査対応の3つのポイントは下記のとおりです。
✔ あくまで調査に協力的に!
税務調査は納税者の協力が必要不可欠です。納税者が協力しないと調査が長引いたり、調査官から変な疑いをかけられたりしますので調査にはあくまで協力的に望みましょう。
✔ 余計なことは言わない!
税務調査は色々不安も多いと思います。人間不安になると多くをしゃべりすぎてしまいます。調査に協力す る必要はありますが、調査官の質問に対してはワンセンテンスでシンプルな回答を心がけましょう。
✔ 回答に迷った場合には即答はさける!
調査官の質問で何を意図しているのかわからないような場合、どのように回答したらよいかわからない場合、故人に関する質問で記憶に無い場合等はその場で即答する必要ありません。
「ちょっと覚えていない(わからない)ので、後日調べて回答します」
「記憶に無いのでわかりません」
などと回答し、いい加減な即答は避けましょう。
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