相続税の予納とは?税務調査で不備が見つかった場合に延滞税を減らせる

税務調査で相続税申告の不備が見つかり納税が必要となった場合は、不足していた相続税のほか加算税や延滞税も納めなければなりません。ただし、「予納」をすれば延滞税を減らすことができます。
「予納制度」とは、修正申告をするよりも前に納税することです。場合によっては、税務調査を行う調査官から予納をするかどうか聞かれることもあります。予納に応じれば負担を軽減できるため、資金に余裕があれば応じるほうがよいでしょう。
この記事では、相続税の予納制度の概要とメリット、予納手続きの流れについて解説します。
この記事の目次 [表示]
1.相続税の「予納」とは?
はじめに、相続税の予納制度の概要とメリットについて解説します。
この記事では「相続税の予納制度」として解説しますが、予納制度は国税全般に共通するものです。
1-1.税務調査で申告漏れを指摘された際の制度
「予納」とは、税務調査で申告漏れを指摘され、おおむね6か月以内に納付すべき税額の確定が見込まれる場合に、修正申告書を提出する前に税務署に申し出て、納付すべき税額の見込み金額をあらかじめ納付できる制度のことです。
税務調査が長引くと、修正申告までの期間が延びることで延滞税の負担が重くなるおそれがあります。相続税の追徴課税が確実視されているものの、税額が確定して修正申告までに詳細な調査や集計が必要なケースなどでは、予納することも選択肢になります。
(期限内申告でも予納はでき、その場合はおおむね12か月以内に納付すべき税額の確定が見込まれる場合に申請できます。)
1-2.メリットは延滞税の軽減
予納制度を利用して税額を早く納めるメリットは、延滞税を軽減できることです。
延滞税は納税が遅れたことに対するペナルティで、法定納期限の翌日から完納の日までの日数に応じて課されます。相続税の法定納期限は通常、被相続人の死亡の10か月後の日であるため、その翌日から納税するまでの日数に応じて延滞税が課されます。
予納をすると、延滞税の計算は予納をした日で止まるため、修正申告の日まで待って納付する場合に比べて延滞税が軽減されることになります。
引用:国税庁「予納制度を利用した納税のご案内」
ただし、法定申告期限から1年以上経過して修正申告を行う場合は、予納しても延滞税が軽減されない場合があります。延滞税の計算は、1年を経過した後の期間は延滞税の計算が止まる「除算期間」があるためです。なお、1年を経過した後の期間であっても、重加算税が課された場合は除算期間はありませんから、延滞税の軽減の対象となります。
予納によって延滞税が軽減されるケースとされないケースを分類すると、下記の表のとおりです。
| 修正申告までの期間等 | 予納による延滞税の軽減 |
|---|---|
| 法定申告期限から1年以内に修正申告を行う場合 | 軽減される |
| 法定申告期限から1年を経過して修正申告を行う場合で、重加算税が課されない場合 | 軽減されない (延滞税の除算期間があるため) |
| 法定申告期限から1年を経過して修正申告を行う場合で、重加算税が課される場合 | 軽減される |
申告期限から1年以上過ぎている場合でも、重加算税が課される場合には、予納をするほうが延滞税は軽減されます。
相続税の延滞税について詳しい解説は、下記の記事をご覧ください。延滞税の計算期間が長期にわたる場合の特例(延滞税の除算期間)についても解説があります。
参考:相続税の延滞税・加算税はいくら?税率・計算方法・免除特例も解説
2.相続税の予納手続きの具体的な流れ
続いて、相続税の予納手続きの流れについて解説します。
2-1.【手順1】調査官に予納の意思を伝える
税務調査の過程において、重加算税の賦課が確実視される場合、追加で納めるべき税額が明らかになった段階で、調査官に予納したい旨を伝えます。調査官から予納を促される場合もあります。
2-2.【手順2】税務署に「国税の予納申出書」を提出する
予納を行うには、事前の申請が必要です。「国税の予納申出書」に必要事項を記入して、修正申告書の提出前に所轄の税務署に提出します。
「国税の予納申出書」の様式は、下記のリンクからダウンロードできます。
国税庁「国税の予納申出書」
相続税を予納する場合は、「年分(事業年度)」の欄に「相続開始年月日(被相続人の死亡日)」を記入し、「備考」の欄には、「被相続人(被相続人の氏名)」のように記入します。
その他の欄は、次の記載例に従って記入します。「還付金等の受取場所」は、予納する人の名義の口座を指定します。

※国税庁「国税の予納申出書」を加工して作成
なお、一度予納をすると、修正申告をして税額が確定するまでは、その還付を求めることはできません。したがって、予納で払いすぎないよう注意が必要です。
2-3.【手順3】金融機関で納付手続きを行う
次に、予納する税額の納付手続きを行います。
「国税の予納申出書」の提出と同時に税務署で納付するか、提出とは別に金融機関(日本銀行歳入代理店に限ります)で納付するか、いずれの方法でも差し支えありません。
2-4.【手順4】差額があれば精算する
予納をしたのちに税務調査が終了して修正申告を実施したときに、実際の税額が予納額とずれる場合があります。
予納額が実際の追徴税額に満たない場合は、不足分を納付します。予納額が実際の追徴税額より多い場合は、まず他の未納の国税(加算税・延滞税を含む)に充当され、それでも余れば「国税の予納申出書」で指定した口座に還付されます。
3.税務調査で困ったら税理士に相談を
相続税の申告に不備があり税務調査が行われるときは、相続税に強い税理士にご相談ください。
3-1.税務調査の対応経験が豊富な税理士を選ぶ
相続税の申告は、他の税にも増して高い専門性が求められます。しかし、税理士の多くは所得税や法人税を中心に扱っており、相続税の申告実務に精通しているケースは決して多くはありません。
経験の少ない税理士に依頼した場合、本来受けることができる控除を見落とすなど税額に過不足が生じるリスクがあります。また、税務調査の立ち会いにおいても、適切な主張ができず、多額の追徴課税を招いた事例も少なくありません。
税務調査についての相談は、相続税の深い知識を持ち、かつ税務調査の現場経験が豊富な税理士を選ぶことをおすすめします。
3-2.相続税専門のチェスターにご相談を
相続税専門の税理士法人チェスターは、年間の相続税申告件数が3,000件を超え、業界随一の実績があります。国税OBの税理士が在籍しており、税務調査への対応も安心してお任せいただけます。
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