JAバンク(農協)の相続手続き|依頼書の書き方と必要書類
故人がJAバンクの貯金口座を持っていた場合、取引先のJAで相続手続きをおこなわなければなりません。
JAの相続手続きでは、一般的な銀行と同じように戸籍謄本や印鑑証明書などが必要になりますが、支店ごとに手続きの流れや必要書類が異なるケースもあります。また、出資金やJA共済の契約もあわせて確認しなければならない点にも注意が必要です。
この記事では、JAの相続手続きの流れや必要書類、貯金以外に確認したいJA特有の手続きについてわかりやすく解説します。
この記事の目次 [表示]
1.相続発生の連絡から払い戻しまで、JAバンク相続の手続き4ステップ
JAバンクにおける相続手続きのルールや手順は支店ごとに異なります。来店前に電話連絡や予約が必要な店舗もあるので注意しましょう。
また、相続手続きにより口座残高や出資金は払い戻しできますが、組合員が亡くなると資格は失効するため相続できません。
1-1.【ステップ1】相続発生をJAへ連絡する
相続が発生したら、まずは取引店舗に相続人などが連絡をします。電話連絡でよい店舗と来店が必要な店舗があるため、電話で取引店舗に確認するとよいでしょう。来店に際して、事前予約が必要な店舗もあるので注意が必要です。
JAへの連絡では、被相続人の氏名や住所、口座情報などを聞かれます。この連絡によって、被相続人の口座は相続手続き完了まで入出金が停止されます。
1-2.【ステップ2】必要書類の案内を受け取る
取引店舗に連絡後、相続の手続きの案内や書類を受け取ります。必要書類は故人と相続人との関係や状況によって異なります。一般的に必要となる書類は、被相続人の貯金通帳・証書・キャッシュカード、共済証書等のほか、JA所定の様式の相続手続依頼書です。
1-3.【ステップ3】必要書類・相続手続依頼書を揃えて提出する
必要書類をすべて揃えたらJAに出向いて提出します。この際も事前に来店予約が必要な場合があるので注意しましょう。
来店時は本人確認書類が必要なケースもあるため、運転免許証やマイナンバーカードを持参すると安心です。書類はすべて原本を準備しましょう。
1-4.【ステップ4】払い戻し・名義変更まで約1週間で手続きが完了する
提出した書類に不備がなければ、翌営業日~1週間程度で指定の口座に振り込まれます。出資や共済がある場合は別途手続きが必要となり、時間がかかることがあります。
2.JAバンクの相続手続きがほかの銀行と違う3つのポイント
JAバンクの相続手続きはほかの銀行と違うため、戸惑うことがあるかもしれません。一般的な金融機関と異なるポイントを3つご紹介します。
2-1.全国一括処理ではなく、支店ごとの対応だから確認が必須
JAバンクは全国に店舗がありますが、一括で処理されるわけではありません。支店ごとの対応となるため、手続きの流れや書類については取引のあった支店に確認しなければなりません。
また、相続の手続きは被相続人が取引していた支店でおこなうのが原則となっています。相続人が遠方に住んでいるなど特別な事情がある場合、支店によっては郵送での手続きをしてくれる場合もあるので、それを含めてまずは取引店舗に確認しましょう。
2-2.農協ならではの「出資金」は貯金と別扱いになりやすい
多くの場合、農協では口座を開設する際に出資金を支払って組合員になることがあります。出資金は解約によって戻ってきますが、貯金とは別扱いなので追加の手続きが必要です。
2-3.貯金以外に共済・融資がある場合は窓口・手続きが分かれる
建更(建物更生共済)などの共済契約がある場合は、共済担当窓口への届出が別途必要です。被相続人がJAでローン(融資)を利用していた場合も、返済免除特約の有無の確認や完済手続きが必要となります。
このように、貯金以外の手続きは窓口が分かれているため、手続きに手間がかかります。
3.相続手続依頼書のダウンロード方法と書き方
JAバンクの相続手続きに「相続手続依頼書」は必須です。ダウンロード方法と記入の仕方を解説します。
3-1.相続手続依頼書は公式サイトからPDFでダウンロードできることも
相続手続依頼書は公式サイトからダウンロード、もしくは相続発生の連絡でJAバンクに来店した際に受け取ることができます。最初におこなう相続発生の連絡を電話で受け付けている店舗では、ダウンロードが可能なので、ダウンロード後に自分で印刷して使用しましょう。
相続手続依頼書は以下からダウンロードできます。
3-2.相続手続依頼書は「両面印刷」が必須なJAも。ダウンロード時の注意点
相続手続依頼書を自分で印刷する際は、取引店舗が指定した形式に合わせる必要があります。店舗によっては、A4サイズの用紙を使うこと、両面印刷することなどが指定されているので事前に確認しましょう。
3-3.相続手続依頼書の書き方3つのポイント
相続手続依頼書を記入する際は3つのポイントがあります。以下のポイントに注意して書きましょう。
- 相続関係者の欄は各相続人が自筆する
- 相続関係者の押印には実印を使う
- 当該口座の残高すべてを振り込む際、「貯金等の解約金の振込先」の金額には「全額」と書くのが一般的
JAのホームページには相続手続依頼書の記入例が掲載されているので、参考にしながら記入するとよいでしょう。
4.【ケース別】遺言書・遺産分割協議書の有無で変わる必要書類
相続手続きに必要な書類は相続の状況によって異なります。取引先JAや取引内容によっては、追加で書類が必要になる場合もありますが、ここでは主なものをケース別にご紹介します。
4-1.遺言書・協議書の有無で必要書類は5パターンに分かれる
相続手続きに必要な書類は、遺言書や遺産分割協議書の有無によって5つのパターンに分けられます。ケース別の必要書類をご紹介します。
4-1-1.遺言書があり、遺言執行者がいる場合
故人が作成した遺言書があり、かつ遺言執行者がいる場合、必要な書類は以下のとおりです。
- 被相続人(故人)の戸籍謄本等、もしくは認証文付きの法定相続情報一覧図
- 遺言書(※)
- 遺言執行者の印鑑証明書(6カ月以内のもの)
- 遺言執行者の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 被相続人の貯金通帳・証書・キャッシュカード・共済証書等
- 相続等に関する手続依頼書(記入者全員の実印の押印が必要)
※自宅などで保管されていた自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は、検認済証明書または検認調書謄本が必要です。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合、検認は不要です。
4-1-2.遺言書があるが、遺言執行者がいない場合
故人が作成した遺言書があるものの、遺言執行者が選任されていない場合、必要な書類は以下のとおりです。
- 被相続人(故人)の戸籍謄本等、もしくは認証文付きの法定相続情報一覧図
- 遺言書(※)
- 遺言により財産を取得する人の印鑑証明書(6カ月以内のもの)
- 手続きする人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 被相続人の貯金通帳・証書・キャッシュカード・共済証書等
- 相続等に関する手続依頼書(記入者全員の実印の押印が必要)
※自宅などで保管されていた自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は、検認済証明書または検認調書謄本が必要です。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合、検認は不要です。
4-1-3.遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合、必要な書類は以下のとおりです。
- 被相続人(故人)の戸籍謄本等、もしくは認証文付きの法定相続情報一覧図
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(6カ月以内のもの)
- 遺産分割協議書
- 被相続人の貯金通帳・証書・キャッシュカード・共済証書等
- 相続等に関する手続依頼書(記入者全員の実印の押印が必要)
4-1-4.遺言書も遺産分割協議書もない場合
遺言書がなく遺産分割協議書もない場合、必要な書類は以下のとおりです。
- 被相続人(故人)の戸籍謄本等、もしくは認証文付きの法定相続情報一覧図
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(6カ月以内のもの)
- 被相続人の貯金通帳・証書・キャッシュカード・共済証書等
- 相続等に関する手続依頼書(記入者全員の実印の押印が必要)
4-1-5.家庭裁判所の調停・審判をおこなった場合
家庭裁判所での調停・審判をおこなった場合、必要な書類は以下のとおりです。
- 調停の場合:調停調書正本または謄本
- 審判の場合:審判書正本または謄本、審判確定証明書
- 手続きする人の印鑑証明書(6カ月以内のもの)
- 手続きする人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 被相続人の貯金通帳・証書・キャッシュカード・共済証書等
- 相続等に関する手続依頼書
4-2.法定相続情報一覧図があれば戸籍謄本等の提出を省略できる場合がある
JAの相続手続きでは、被相続人の戸籍謄本等の代わりに認証文付きの法定相続情報一覧図を提出できる場合があります。
法定相続情報一覧図とは、被相続人と法定相続人の関係を一覧にした図に、法務局の登記官が認証文を付した書類です。法務局で法定相続情報一覧図の写しの交付を受けておくと、相続手続きの際に戸籍謄本等の束を何度も提出する負担を減らせます。
▼「法定相続情報一覧図の写し」の例
引用:法務省「~法定相続情報証明制度について~」
法定相続情報一覧図は「法定相続情報証明制度」によって、2017年5月29日から運用が開始されました。この制度や法定相続情報一覧図の取得方法については「法定相続情報証明制度は必要?利用手順・費用・デメリットも解説」をご確認ください。
JAだけでなく、銀行や証券会社、不動産の相続登記など、複数の相続手続きを同時に進める場合は、法定相続情報一覧図を取得しておくと便利です。ただし、法定相続情報一覧図でどこまで書類を代用できるかについては、手続きの内容や取引先JAの案内によって異なる場合があります。
相続人の印鑑証明書や遺産分割協議書、遺言書などは別途必要になるため、事前に取引先JAへ確認しましょう。
5.残高証明書を取得したいときに追加で必要な書類
残高証明書とは金融機関の残高を証明するためのもので、相続税申告の手続きに必須の書類です。
口座の払い戻しと同時に残高証明書を取得したいときは、以下の書類を準備しましょう。
- 被相続人の死亡が確認できる書類(除籍の記載がある戸籍謄本等)
- 手続きをする人が相続人・遺言執行者・相続財産清算人であることを確認できる公的書類(戸籍謄本・遺言書・審判書謄本など)
- 手続きをする人の本人確認書類(運転免許証・各種健康保険の資格確認書など)
- 実印および印鑑証明書(6カ月以内)
- 残高証明書発行手数料(1件につき770円)
JAバンク以外の金融機関でも残高証明書を取得したい場合の手順は、「相続で残高証明書は必須!取得方法と注意点を銀行別にわかりやすく解説」でご確認ください。
6.出資金・JA共済は貯金と別の手続きが必要
JAで相続手続きをおこなう際は、貯金口座だけでなく、出資金やJA共済の契約がないかも確認しましょう。出資金については、取引店舗に組合員が亡くなったことを伝え、相続加入や法定脱退というJA特有の手続きが必要になることがあります。
JA共済のなかでも建物更生共済(建更)とは、建物や家財の火災・自然災害などに備える共済で、積立型の性質もあります。被相続人が建更に加入していた場合、契約内容によっては契約者変更や解約、共済金・満期共済金の請求などの手続きが必要になることがあるので注意しましょう。
そのほか、終身共済や養老生命共済、医療共済、介護共済、自動車共済など、建更以外のJA共済に加入している場合も、相続発生後に確認が必要です。死亡共済金や給付金の請求ができるケースもあれば、契約者変更や解約の手続きが必要になるケースもあります。
必要な手続きは共済の種類や契約者・被共済者・受取人の関係によって異なるため、貯金の相続手続きとあわせて、取引先JAに共済契約の有無を確認しておきましょう。
7.JAバンク(農協)の貯金相続手続きをスムーズに終えるためのポイント
JAバンクでは店舗ごとに相続の手続きが異なる場合があります。故人がJAの貯金口座を保有していた場合、まずは取引店舗に連絡をして手続きの流れや必要な書類を確認しましょう。手続きの方法も店舗ごとに異なり、何度か来店が必要になる場合もあります。
また、故人がJAバンクの口座を利用していた場合、組合員として出資している可能性もあります。出資金がある場合は、貯金の相続手続きとは別に、相続加入や法定脱退などの手続きが必要になることがあるため注意しましょう。
そのほか、JA共済に加入している場合も、貯金の払い戻しとは別の手続きが必要です。貯金口座だけでなく、出資金や共済契約の有無も確認し、必要な手続きを忘れずに進めましょう。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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相続手続きはとにかくやることが多く、自分の足で動くことも多いものです。
例えば、必要な書類収集・口座解約は行政書士、相続税申告は税理士、相続登記は司法書士、遺産分割は弁護士、不動産売却は不動産業へ…。
慣れない手続きの中で、これら多くの窓口を一つひとつご自身で探し、調整するのは精神的にも時間的にも大きな負担となります。
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