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法定相続情報証明制度とは?利用するメリットや申請時の必要書類、費用などを解説

法定相続情報証明制度のメリット・デメリットと利用方法を徹底解説

不動産の相続登記や預金の払い出しなどの相続手続きでは、届け出先ごとに戸籍謄本を提出します。
これまでは、一つの手続きごとに戸籍謄本が返却されるのを待って次の手続きに移っていたため、スムーズに進まないこともありました。

そこで活用したいのが「法定相続情報証明制度」です。事前に法務局で承認された「法定相続情報一覧図の写し」を戸籍謄本の代わりに各機関に提出することで、手続きの負担を軽減できます。

本記事では、法定相続情報証明制度の内容やメリット、デメリットなどを相続税専門の税理士が解説します。

この記事の目次 [非表示]

1.法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度は、誰が相続人になるかを示した一覧図を法務局の登記官が認証する制度です。

平成29年(2017年)5月29日から運用が始められました。

1-1.法定相続情報一覧図で相続人を証明できる制度

法定相続情報証明制度とは、被相続人と法定相続人の関係を示した一覧図(法定相続情報一覧図)を法務局が証明する制度のことです。相続人などが作成した法定相続情報一覧図と戸籍謄本の束を法務局に届け出ると、登記官の認証分が付けられた「法定相続情報一覧図の写し」が発行されます。

発行された一覧図の写しは、戸籍謄本に代わるものとして、相続財産の名義変更や解約などさまざまな相続手続きに使うことができます。

法定相続情報証明制度の利用は強制されているわけではなく、これまでどおり戸籍謄本を提出して手続きを行うことも可能です。

「法定相続情報一覧図の写し」の例

法定相続情報一覧図の写し」の例

(引用:法務省発行資料 ~法定相続情報証明制度について~

法定相続情報一覧図は家系図のような「図形式」で作成するほか、名簿のように被相続人と相続人を列挙した「列挙形式」で作成することもできます。

図形式の例、列挙形式の例

法務局ホームページに掲載の記載例をもとに作成)

法定相続情報証明制度を利用できる人は、亡くなった被相続人の相続人に限られます(相続人の相続人も含まれます)。

利用の申請は、法定代理人(親権者、後見人)のほか、民法上の親族や資格者代理人(弁護士、司法書士、税理士、行政書士など)が代理で行うこともできます。

なお、被相続人または相続人が日本国籍でないなど戸籍謄本がない場合は、法定相続情報証明制度を利用することができません。

相続人の範囲については「相続人は誰?相続人の優先順位と相続分をケース別に詳しく解説!」をご覧ください。

1-2.「法定相続情報一覧図の写し」が利用できる相続手続き

法定相続情報証明制度で発行される「法定相続情報一覧図の写し」は、主に以下の相続手続きで利用できます。

  • 不動産の相続登記
  • 銀行口座・証券口座の名義変更
  • 相続税の申告
  • 死亡保険金の請求
  • 遺族年金の請求

被相続人の死亡による相続手続きや年金等の手続き以外の目的で利用することはできません。

2.法定相続情報証明制度の4つのメリット

法定相続情報証明制度を利用する主なメリットは、以下の4つです。

  • 申請や一覧図の写しの発行に費用がかからない
  • 複数の相続手続きを同時に進めることができる
  • 変更手続きの際に相続人を確認する手間が軽減される
  • 5年間は何度でも再発行が可能

メリットを一つずつみていきましょう。

2-1.申請や一覧図の写しの発行に費用がかからない

法定情報相続制度を申請する際に手数料はかかりません。また「法定相続情報一覧図の写し」は、何枚でも無料で発行されます。

相続手続きの届け出先が多い場合でも、手数料の負担がふくらむ心配はありません。

2-2.相続手続きの負担を軽減できる

相続手続きをする先は、財産の種類ごとに異なります。たとえば、預貯金の場合は、銀行や信用金庫などで被相続人が保有していた口座の解約または名義変更の手続きをしなければなりません。不動産の場合は、法務局で「相続登記」の手続きをし、名義を故人から相続人へと変更します。

亡くなった人が、株式や投資信託などの金融商品を持っていた場合は、口座の開設先である証券会社、自動車を保有していた場合は、運輸局などで手続きが必要となります。

相続手続きをする際は、亡くなった人と相続人の関係性を証明するために、戸籍謄本や改正原戸籍、除籍謄本などの提出が必要です。また、手続き先ごとに書類を提出する必要があったため、従来は、一つの相続手続きが終わって戸籍謄本が返却されるまで、他の手続きはできませんでした。

「法定相続情報一覧図の写し」を発行してもらえば、各手続き先に戸籍謄本などの束を提出しなくてよくなります。また、写しは無料で必要な枚数を発行でき、複数の相続手続きを同時に進めることもできるため、相続人の負担が大きく軽減されるでしょう。

法定相続情報証明制度の概要

(画像引用:法務省ホームページ 法定相続情報証明制度の手続の流れ

2-3.変更手続きの際に相続人を確認する手間が軽減される

法定相続情報証明制度のメリットは、相続手続きを行う相続人の負担を軽減するだけではありません。
金融機関など手続きを受け付ける機関でも、相続人を確認する手間が大幅に軽減されます。

相続手続きを受け付ける機関では、戸籍謄本だけを手掛かりに見ず知らずの人の相続関係を読み解くことが大きな負担になっていました。とくに、昔の戸籍謄本は専門家でも解読は難しく、手続き先だけでなく相続人自身も読み間違えてしまうケースが多々ありました。

その点「法定相続情報一覧図の写し」は亡くなった被相続人と相続人の関係が一覧図で示されているため、手続き先の担当者は戸籍謄本などを読み解くよりも相続関係を把握しやすくなるといえます。

また、法務局による認証も受けられているため信頼性が高く、戸籍謄本を読み間違えたことで手続きをしたあとに新たな相続人が発覚する事態も発生しにくいといえます。

2-4.申請から5年間は何度でも再発行が可能

提出した法定相続情報一覧図は、申出日の翌年から5年間、法務局で保管されます。5年以内であれば法定相続情報一覧図の写しの再発行を何度でも申請できます。

相続の手続きを段階的に進めたいときや、手続きを失念していた相続財産が見つかったときも対処しやすいといえるでしょう。

なお、一覧図の写しを再交付できるのは、原則として法定相続情報証明制度の申出をした人に限られます。申出人ではない相続人が再交付を希望する場合は、当初の申出人から委任が必要です。

3.法定相続情報証明制度のデメリット4つ

法定相続情報証明制度の主なデメリットは、以下の4つです。

  • 家族の関係図の作成に手間と時間がかかる
  • 戸籍謄本の収集を省略できるわけではない
  • 相続手続きが少ない場合は利用価値が低い
  • 法定相続情報証明書を受け付けてもらえないケースもある

3-1.家族の関係図の作成に手間と時間がかかる

法定相続情報証明制度を利用するためには、自分で家族関係の一覧図(法定相続情報一覧図)を作成しなければなりません。また、法定相続情報一覧図は所定のルールにしたがって作成する必要があります。

何も準備をしないで法務局の窓口に行っても、「法定相続情報一覧図の写し」は発行してもらえません。

法務局はあくまでも提出された法定相続情報一覧図に認証を与える立場にあります。

戸籍謄本を一式集めて家族の関係図を正確に作成する必要があります。家族関係が複雑である場合、法定相続情報一覧図の作成は、相続人にとって負担となってしまうかもしれません。

3-2.戸籍謄本の収集を省略できるわけではない

法定相続情報一覧図の写しがあれば、相続手続きをする際に戸籍謄本などを提出する必要はなくなります。しかし、法定相続情報一覧数を作成する際や法務局に相続人であることを証明する際は、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が必要になるため、戸籍の収集そのものを省略できるわけではありません。

結婚や離婚、引っ越しなどでなくなった人が転籍を繰り返している場合は、本籍地であったそれぞれの区町村役場に問い合わせをして戸籍謄本を取得する必要があります。戸籍が複数作成されていると、収集に時間がかかるかもしれません。

また、戸籍謄本などを取得する際に所定の手数料がかかります。手数料の目安は、以下のとおりです。

  • 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書):1通あたり450円
  • 除籍謄本(除籍全部事項証明書):1通あたり750円
  • 改製原戸籍謄本:1通あたり750円

複数の戸籍が作成されていると、その分手数料もかかることになります。

3-3.相続手続きが少ない場合は利用価値が低い

遺産が銀行口座一つと不動産一つだけというように相続手続きが少ない場合は、あえて法定相続情報証明制度を利用する必要性は低いといえます。

相続の手続きが必要な財産が少ない場合は、法定相続情報証明制度を利用しようとするかえって一覧図の作成や申請に手間や時間がかかるため、役所で被相続人と相続人の戸籍謄本を集めて、それらを提出すればよいといえます。      

3-4.法定相続情報証明書を受け付けてもらえないケースもある

法定相続情報一覧図の写しは、すべての相続手続きに利用できるとは限りません。銀行や証券会社などによっては、受け付けてもらえない場合もあります。

そのため、相続財産の解約や名義変更などの手続きをする際は、法定相続情報一覧図の写しが利用できるかどうかを事前に確認しておくとよいでしょう。また、万が一法定相続情報一覧図の写しが利用できなかったときのために、収集した戸籍謄本などの束をいつでも提出できるように準備しておくことも大切です。

4.法定相続情報証明制度を利用する手順

法定相続情報証明制度を利用する際の手順は、次の通りです。

  1. 戸籍謄本など必要書類を準備する
  2. 法定相続情報一覧図を作成する
  3. 申請書に必要事項を記入し法務局で手続きをする
  4. 「法定相続情報一覧図の写し」が発行される
  5. 相続手続き時に一覧図の写しを提出する

手順を一つずつ解説します。

4-1.戸籍謄本など必要書類を準備する

法定相続情報証明制度を利用するには次の書類が必要です。    

  • 被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本も含む)
  • 被相続人の住民票の除票(取得できない場合は戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本(被相続人が死亡した日以後のもの)
  • 申出人の住所・氏名が確認できる公的書類(住民票の写し、運転免許証・マイナンバーカードのコピーなど)

このほか、場合によっては次の書類も必要になります。

  • 【法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合】各相続人の住民票の写し
  • 【親族が代理で手続きをする場合】委任状、申出人と代理人が親族であることがわかる戸籍謄本
  • 【資格者代理人が手続きをする場合】委任状、資格があることがわかる身分証明書の写し

戸籍謄本は被相続人・相続人の本籍地の市区町村役場で取得します。
過去に被相続人の本籍が変わっている場合は、変わる前の本籍地でも取得する必要があります。

戸籍謄本を取得する方法については下記の記事も参照してください。
本籍地が遠い場合は郵送で取り寄せることもできます。

(参考)
相続手続きに必要な戸籍謄本の種類と取得方法を徹底解説!どのような時に必要で有効期限はある?
戸籍謄本は郵送でも取り寄せられる!その具体的な方法を解説

なお、令和元年(2019年)5月に戸籍法が改正され、令和5年度中に本籍地以外の市区町村でも戸籍謄本を取得できるようになる予定です。

1か所で戸籍謄本が取得でき、相続人の負担が軽くなると期待されます。

4-2.法定相続情報一覧図を作成する

法定相続情報証明制度を利用するには、戸籍謄本から被相続人と相続人の関係を読み取り、自身で「法定相続情報一覧図」を作成する必要があります。

様式は家系図のような「図形式」のほか名簿のような「列挙形式」がありますが、ここでは図形式の作成方法をご紹介します。

用紙A4サイズの白い紙を縦長に使用。
被相続人氏名、最後の住所、出生年月日、死亡年月日を記載。
最後の住所は住民票の除票(または戸籍の附票)をもとに記載。
最後の本籍地を記載することもできる(住民票の除票等がない場合は必ず記載)。
相続人氏名、出生年月日、被相続人から見た続柄を記載。
住所を記載することもできるが、記載した場合は住民票の写しの提出が必要。
続柄は戸籍のとおりに記載するが、「(子)」と書くこともできる。
(ただし、続柄を「(子)」とすると相続税の申告などで使うことができない)
申出人法務局に申し出る人の氏名の横に「(申出人)」と記載。
その他記載上の注意点被相続人と相続人の関係がわかるように線で結ぶ。
末尾に作成日と作成者の住所を記載して署名または記名押印する。
相続人が多い場合は複数ページにわたってもよい。
認証文を記載するスペースとして用紙の下から5cm程度は空白にする。
手書き(黒色インク、黒色ボールペン)で作成してもよい。

法務局のホームページでは、家族構成に応じた様式と記載例が公開されています。

(参考)法務局ホームページ 主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例

法定相続情報一覧図の記載例

法定相続情報一覧図の記載例

(引用:法務省発行資料 ~法定相続情報証明制度について~

4-3.申請書に必要事項を記入し法務局で手続きをする

戸籍謄本など必要書類と法定相続情報一覧図が準備できれば、申出書に必要事項を記載して法務局(登記所)に申し出ます。

法務局に申し出るため、不動産の相続登記をしなければ法定相続情報証明制度を利用できないのではないかと心配されるかもしれません。しかし、相続財産が預貯金のみといったように不動産の相続登記がない場合でも、この制度を利用することができます。

法務局での具体的な手続き内容は以下のとおりです。

申出人亡くなった人の相続人(相続人の相続人も含む)またはその代理人
(代理人は法定代理人、民法上の親族、資格者代理人に限られます)
申出先

次のいずれかを管轄する法務局(登記所)

  • 被相続人の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地(管轄の登記所は法務局ホームページ「管轄のご案内」を参照)
必要書類
  • 作成した法定相続情報一覧図
  • 法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書
  • 被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本も含む)
  • 被相続人の住民票の除票(取得できない場合は戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本(被相続人が死亡した日以後のもの)
  • 申出人の住所・氏名が確認できる公的書類(住民票の写し、運転免許証(表裏両面)・マイナンバーカード(表面)のコピーなど。コピーには原本と相違ないことを記載のうえ記名押印する)
  • 【相続人の住所を記載する場合】各相続人の住民票の写し
  • 【親族が代理で手続きをする場合】委任状、申出人と代理人が親族であることがわかる戸籍謄本
  • 【資格者代理人が手続きをする場合】委任状、資格があることがわかる身分証明書の写し
手数料なし
その他
  • 郵送で申し出ることもできる(返信用の切手と封筒の同封が必要)
  • 法定相続情報一覧図の原本は法務局で5年間保管される

「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」の様式は、法務局ホームページに掲載されています。

(参考)法務局ホームページ
▶法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の様式(Word形式)
▶申出書の記入例(PDF形式)

「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」の記入例

「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」の記入例

(引用:法務局ホームページ 申出書の記入例

4-4.「法定相続情報一覧図の写し」が発行される

法務局で法定相続情報一覧図の認証を申し出ると、登記官が内容を確認します。
提出書類の不足や誤りがないことが確認されれば、「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。

法定相続情報一覧図の写しは偽造防止対策がされた専用の用紙で発行され、登記官による認証文が記載されます。

再発行が必要な場合は、当初の申出人が当初申し出をした法務局で申請します。
再発行の申請には、申出人の本人確認書類が必要です。

法定相続情報一覧図の写し」の例

(引用:法務省発行資料 ~法定相続情報証明制度について~

法定相続情報一覧図と相続関係説明図の違いについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【テンプレート付】相続関係説明図とは?目的や書き方、記載例を紹介

4-5.相続手続き時に一覧図の写しを提出する

交付された法定相続情報一覧図の写しを、金融機関や法務局、運輸局などに提出することで、戸籍謄本などの束が不要となります。

5.法定相続情報証明制度を利用する際の注意点

法定相続情報証明制度を利用する際の主な注意点は、以下のとおりです。

  1. 一覧図の写しが交付されるまでに数日かかる
  2. 相続税の申告で利用する場合は子の続柄は「実子」と「養子」を区別し図形式で作成する
  3. 数次相続では二つの一覧図が必要

注意点を一つずつ解説します。

5-1.一覧図の写しが交付されるまでに日数がかかる

法定相続情報一覧図の写しが発行されるまで、申出から1〜2週間ほどかかります。すぐに発行されるわけではないため、スケジュールに余裕をもって申請をすることが大切です。

5-2.相続税の申告で利用する場合は子の続柄は「実子」と「養子」を区別し図形式で作成する

平成30年(2018年)4月1日からは、相続税の申告でも「法定相続情報一覧図の写し」を利用できるようになっています

ただし、次の条件を満たしていることが必要です。

  • 子の続柄が「実子」と「養子」で区別されていること
  • 図形式で作成されたものであること

相続税の基礎控除額(3,000万円+(600万円×法定相続人の数))や生命保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)などの計算では、相続人に含められる養子の数に制限があります。具体的には、被相続人に実の子供がいる場合、法定相続人に含められるのは1人まで、実の子供がいない場合は2人までとなります。

そのため、法定相続情報一覧図の写しは、相続人が実子であるか養子であるかを確認できるものでなければなりません。

また、列挙形式では相続人の法定相続分を確認できない場合があるため、相続税の申告に使用する法定相続情報一覧図は必ず図形式で作成する必要があります。

5-3.数次相続では二つの一覧図が必要

被相続人が死亡して間もなく相続人が死亡したときのように、2人分の相続を同時に進めることを数次相続といいます。

数次相続では、2人分の相続関係を一つの法定相続情報一覧図にまとめることはできません。

死亡した人ごとに、次の二つの法定相続情報一覧図を作成する必要があります。

  1. はじめに死亡した被相続人に関する法定相続情報一覧図
  2. 次に死亡した相続人に関する法定相続情報一覧図
数次相続では法定相続情報一覧図が2つに分かれる

5-4.一覧図に住所が書かれていないと手続き時の必要書類が増えることも

法定相続情報一覧図には、被相続人の住所は必ず記載しなければなりません。その一方で、相続人の住所については記載が任意となっています。

法定相続情報一覧図に住所を記載しない場合、その分作成の手間を省くことができます。相続人の数が多いのであれば、一覧作成の負担は大幅に軽減されるでしょう。またプライバシー上の理由により、一覧図に住所の記載をしてほしくない相続人もいるかもしれません。

しかし、一覧図に相続人の住所を記載しないと、相続人の居住地を証明できません。そのため、不動産の相続登記や遺言書の検認手続きなどをする際に、相続人の住所を証明する書類(住民票や戸籍の附票、住民票記載事項証明書)の提出が必要です。

相続手続きをする先が多ければ多いほど、住所を証明する書類の提出先が多岐にわたり、かえって手間となる可能性があります。

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載すると、制度の申請をする際に相続人の住所を証明する書類を提出するのみで良くなります。とくに、名義変更や解約などの手続きが必要な財産が複数あるのであれば、法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載するのがよいでしょう。

6.法定相続情報証明制度の申請は専門家に依頼できる

法定相続情報証明制度を利用するには、戸籍謄本を取り寄せて自分で「法定相続情報一覧図」を作成する必要があります。

一覧図を作成するためには、戸籍謄本から相続関係を正確に読み解かなければなりません。

家族関係が複雑であれば、相続人が自分で必要な戸籍謄本をもれなくそろえて一覧図を作成することが困難な場合もあるでしょう。

そこで、一覧図の作成が難しい場合や時間に余裕がない場合は、一覧図の作成や法務局での手続きを専門家に依頼することをおすすめします。

戸籍の収集や一覧図の作成を依頼できる専門家の例は、以下のとおりです。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 土地家屋調査士
  • 税理士
  • 社会保険労務士
  • 弁理士
  • 行政書士 など

なお「法定相続情報一覧図の写し」は、相続税の申告でも利用することができます。

相続税の申告が必要でその他の相続手続きが多い方は、税理士に相談されてはいかがでしょうか。

7.法定相続情報証明制度の委任状の書き方

法定相続情報証明制度の申出を、税理士や司法書士などの専門家に依頼する際は「委任状」を作成します。委任状に記載する項目は、以下のとおりです。

  • 申出を任せられる人(代理人)の住所と氏名
  • 被相続人の最後の住所(または本籍)・氏名・死亡年月日
  • 委任する人(委任者)の住所・氏名
  • 委任状を作成した日付

法務局で公開されている委任状の記載例は、以下のとおりです。

委任状

※画像引用:法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例

委任状のフォーマットや記載例は、法務局のホームページで公開されています。

(参考)法務局ホームページ
▶委任状(Word形式)
▶委任状の記載例(Word形式)

8.法定相続情報証明制度に関するQ&A

最後に、法定相続情報証明制度に関するよくある質問とそれに対する回答をご紹介します。

8-1.法定相続情報証明制度が創設された背景とは?

法定相続情報証明制度が創設された背景には、不動産の相続登記が行われず、所有者がわからない不動産が多くなっていることがあげられます。

相続登記は手続きが煩わしいことから、不動産を相続しても登記をしない人がいます。

相続登記をしなければ、相続人全員の共有となって権利関係が複雑になるほか、所有者がわからなくなって土地活用に支障をきたす恐れがあります。

法定相続情報証明制度によって相続登記の手続きを簡単にすることで、これらの問題の解決を図っています。

なお、令和6年(2024年)4月1日から相続登記が義務化されます。義務化後は、相続や遺贈(遺言書によって指定された人に財産をおくること)で不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。 

正当な理由なく、期限内に相続登記をしなかった場合は10万円以下の過料に処される可能性があります。不動産を相続したときは、必要に応じて法定相続情報証明制度を利用のうえ、忘れずに相続登記をしましょう。

相続登記の申請方法については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

(参考)相続登記の申請書作成を徹底解説!様式/書き方/綴じ方/作成時の必要書類

8-2.相続放棄・欠格・廃除がある場合は一覧図にどう記載する?

相続を放棄した人や相続欠格になった人、相続廃除された人は、遺産を相続することができません。

被相続人の家族にこれらの人がいるときは、法定相続情報一覧図には次のように記載します。

  • 【相続放棄した人】氏名、続柄などを記載する(相続放棄したことは記載しない)
  • 【相続欠格になった人】氏名、続柄などを記載する(相続欠格になったことは記載しない)
  • 【相続廃除された人】記載しない

相続放棄や欠格がある場合は、法定相続情報一覧図に記載される相続人と実際に相続できる相続人が異なる点に注意しなければなりません。

8-3.法定相続情報証明制度の有効期限は?

法定相続情報証明制度で発行される「法定相続情報一覧図の写し」に有効期限はありません。

ただし、住民票の写しなどと同様に届け出先ごとに有効期限が定められている場合があります。

届け出先が定める有効期限を過ぎてしまった場合は、「法定相続情報一覧図の写し」の再発行を受けて提出します。

9.法定相続情報証明制度は相続税専門の税理士に相談を

法定相続情報証明制度を利用すると、相続手続きのたびに戸籍謄本などの束を提出しなくてよくなるため、相続人の負担が軽減される有用な制度といえます。

ただし、法定相続情報証明制度を利用するとしても、戸籍謄本などの必要書類は集めなければなりません。また、法定相続情報一覧図の作成や申請書の作成などで専門的な知識が求められます。

相続人がやるべきことは、遺産の評価や相続税の計算など多岐に渡ります。そこで、法定相続情報証明制度を利用する際は、相続税専門の税理士にサポートを依頼するとよいでしょう。

税理士法人チェスターは、法定相続情報証明制度の申出だけでなく、戸籍謄本の収集や総続財産の評価、相続税の計算、申告など幅広くお手伝いいたします。相続に関する手続きでお困りの方は、ぜひ一度税理士法人チェスターにお問い合わせください

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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