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立て替えた葬儀費用の控除について

立て替えた葬儀費用の控除について

葬儀に関しては、現実的な問題として費用負担の問題が生じえます。

葬儀費用は、少なくとも数十万円から多い場合には数百万円がかかります。

この葬儀費用について、故人がしっかりと貯蓄されている場合や生命保険料から支払うなどの場合には問題が生じにくいと言えますが、「とりあえず」という形で、手持ち金がある方・故人の身近であった親族が負担されることもあります。

葬儀は緊急のことですので、とにかく必要なお金を用立てるという意識で支払ってしまうということがありえます。

このような相続人間で葬儀費用について特に定めないうちに誰かが葬儀費用を支出してしまった場合、法律的にはどのように扱うことになるのでしょうか。

この点に関しては税務と法務の面で理解が異なってきます。

葬儀費用の税務上の取り扱い

まず、税務においては、葬儀費用を相続人が支出した場合には、その費用は相続税申告の際に控除されるという扱いがされます。

もっともどこまでが葬儀費用として認められるかは、費用の内訳によって異なってきます。

お通夜や本葬の費用は葬儀費用となりますが、香典返しの費用や葬儀後の各種法要の費用などは葬儀費用としては認められません。

そのため、費用の請求書や明細書、領収書などは葬儀の当日の日付でしっかりと保管しておき、後日、税理士へ相談の際に持参することが重要です。

葬儀費用の法務上の取り扱い

一方、法務においては、誰が葬儀費用を負担するかという法律的な定めがないので、問題は大きくなる可能性があります。

一般的な考え方であれば、法律の基本理念からは平等な負担が望ましい(民法第1条)ということができますが、民法などには葬儀費用を誰が負担するかということについて定めた条文はありません。

また、香典を受け取る方、香典返しの費用負担者等の定めもありません。

このように、法律的には葬儀費用を支出した後の処理については解釈によることになります。

一般的には事務管理(民法第697条)として処理することが考えられますが、「義務なくして」ということができるかが問題となりますし、準委任契約(民法第656条)と理解する場合にはどの時点で葬儀費用建て替えの委任が成立したのかという点が問題となります。

このように葬儀費用を立て替えた場合には、税務上の処理は明確であるものの、法律的な処理は難しい問題を生じる可能性があります。

可能な限り、葬儀費用については後日の取り扱いについて相続人間で話し合うことが大切です。

また、ご自身のご葬儀の費用を貯蓄されることも、無用な相続トラブルを避けるためには大切なことです。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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