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相続順位を一覧図で紹介!順位が変わるケースや相続割合なども解説

相続順位を一覧図で紹介!順位が変わるケースや相続割合なども解説

民法では、遺産を相続する権利を持つ人の範囲と優先順位が定められています。家族や親族が亡くなったときに遺産を相続できる人は、この民法の規定に準じて決まります。

遺産の分け方を決めるときや相続税の申告手続きなどをスムーズに済ませるためには、ルールをよく理解し、相続人を正しく確定することが大切です。

この記事では、相続人になれる人の優先順位や相続順位が変わるケースなどについて詳しく解説します。

この記事の目次 [表示]

1.【一覧図で紹介】民法で定められている法定相続人と相続順位

被相続人(亡くなった人)が残した遺産を相続する権利を持つ人のことを「法定相続人」といいます。

法定相続人になれるのは、被相続人の配偶者と血族(子供・親・祖父母・兄弟姉妹)です

亡くなった人の配偶者は常に法定相続人となり、それ以外の相続人(血族相続人)は以下の優先順位にしたがって決まります。

  • 第1順位:被相続人の子供(相続の開始時点で死亡している場合は孫やひ孫など)
  • 第2順位:被相続人の直系尊属(親や祖父母など)
  • 第3順位:兄弟姉妹(相続の開始時点で死亡している場合は甥・姪)

イメージは下記をご確認ください。

法定相続人と相続順位

相続の開始時点で先の順位に該当する人が存命の場合、後の順位の人物は法定相続人になることができません

ここでは、法定相続人になる権利がある人と相続順位を詳しく解説します。

1-1.【常に法定相続人】被相続人の配偶者

もっとも優先されるのは被相続人の配偶者です。

夫にとっての妻、妻にとっての夫というパートナーは、必ず法定相続人になります。遺産相続では、最優先される配偶者と、それ以外の優先順位の高い人で、遺された財産を分けることになるのです。

遺産を相続する権利があるのは、亡くなった人と入籍しており婚姻関係にあった配偶者です。内縁の妻や夫、相続の際にはすでに離婚している元妻や元夫など、相続時に法律上の婚姻関係になければ法定相続人にはなれません。

1-2.【第1順位】被相続人の子

配偶者以外でもっとも優先順位が高い第1順位の法定相続人に当たるのは、被相続人の子供です。子供が複数人いる場合は、その子供達全員が法定相続人となります。

相続開始の時点で被相続人の子供がすでに亡くなっている場合は、その子供(被相続人の孫)に相続権が移ります。

このように被相続人の子供や孫のような後の世代の親族は「直系卑属」といい、孫が子の代わりに財産を受け継ぐことを「代襲相続」といいます。

なお、被相続人と養子縁組をした養子も、実の子供と同様に第1順位の法定相続人となります。養子縁組をしており法律上の親子関係であれば、血のつながりがなくても遺産を相続する権利を得ます。配偶者の連れ子などで養子縁組をしていない場合、法定相続人になることはできません。

相続開始の時点でまだ生まれていない胎児については、民法ではすでに生まれたものとみなし、実子と同じく第1順位の法定相続人になることができます。

ただし、胎児が法定相続人となるのは、生きて生まれた場合に限られます。死産などで生まれなかった場合、法定相続人にはなりません。

代襲相続については、下記の記事をご参照ください。

(参考)代襲相続とは?死亡した相続人の代わりに相続できる人について解説

1-3.【第2順位】被相続人の直系尊属

相続が開始された時点で第1順位に該当する人物がいない場合には、第2順位である被相続人の直系尊属が法定相続人となります。

直系尊属とは、簡単にいえば親や祖父母など、その人よりも前の世代の人のことです。

直系尊属の場合、被相続人に近い世代から法定相続人となります。相続の開始時点で父母が存命の場合はその父母が、亡くなっている場合は祖父母が遺産を相続できます。

1-4.【第3順位】被相続人の兄弟姉妹

被相続人が亡くなったときに第1順位と第2順位の人がまったくいない場合には、第3順位である被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となります。

相続の開始時点で第3順位に当たる人が亡くなっていた場合には、代襲相続によりその子供である甥・姪が相続権を引き継ぎます。

しかし、第3順位の代襲は1回しか認められないので、甥や姪が亡くなって子供がいても、その人は相続人になれません

第3順位の相続人まで行くと相続の問題は複雑になってきます。下記の記事で詳しく解説していますのであわせてご確認ください。

(参考)【兄弟姉妹で遺産相続】相続割合は?トラブル対処法も解説

2.独身の場合の相続順位

独身の人が亡くなった場合は、被相続人に配偶者がいないため、血族相続人の優先順位にしたがって法定相続人が決まります

亡くなった独身者に子供がいる場合は、その子供が法定相続人となります。たとえば、離婚や死別をした元配偶者とのあいだに生まれた子供や、内縁の妻・夫とのあいだに生まれ認知をした子供、養子縁組により養子となった人などです。

相続の開始時点で子供がいない場合、第2順位である直系尊属の親や祖父母が法定相続人となります。父母が存命であれば、その父母が法定相続人となり、亡くなっている場合は祖父母に相続権が移ります。父母のどちらかが存命であれば、祖父母は法定相続人にはなりません。

直系尊属もいない場合、法定相続人になるのは第3順位の兄弟姉妹です。

兄弟姉妹が相続の開始時点で亡くなっている場合、代襲相続によりそれらの子供(甥・姪)が遺産を相続します。

独身の人が亡くなったときの遺産相続について詳しくは、下記記事をご確認ください。

(参考)【独身の相続】法定相続人は誰?今からできる対策も解説

3.子供がいない世帯の相続順位

亡くなった人に子供がいない場合、法定相続人は「配偶者」と「子供以外の血族相続人」です

相続の開始時点で被相続人の配偶者が存命であれば、その配偶者は必ず法定相続人となります。父母も存命であれば、法定相続人になるのは配偶者と父母です。

父母や祖父母などの直系尊属がおらず、兄弟姉妹が存命の場合は、配偶者と兄弟姉妹が相続権を得ます。兄弟姉妹が亡くなっており、甥や姪が存命の場合は、代襲相続により甥や姪が代襲相続人となり、配偶者とともに遺産を相続することが可能です。

相続が発生したときに直系尊属や兄弟姉妹がおらず、代襲相続人となる甥や姪も存在しない場合は、配偶者のみが相続権を持ちます。

亡くなった人に配偶者がいないときは、血族相続人の優先順位にしたがって決まります。

4.法定相続人が亡くなっている場合の相続順位

法定相続人に該当する人物が被相続人よりも先に亡くなっている場合「代襲相続」が発生し、その死亡した人の子供に相続権が移ることがあります。

また、相続欠格や相続廃除といった制度により相続権を喪失した場合も代襲相続が発生します。

4-1.子や兄弟姉妹が死亡している場合は「代襲相続」が発生する

代襲相続とは、本来であれば法定相続人となるはずの人物が相続の開始時点で死亡をしているとき、代わりにその人の子供が遺産を相続することです。

代わりに遺産を相続する人のことを「代襲相続人」、死亡した本来の法定相続人を「被代襲者」といいます。

相続の開始時点で被相続人の子供が亡くなっていても、代襲相続人となる人が存命であれば、第2順位の直系尊属(親・祖父母)や第3順位の兄弟姉妹は、法定相続人にはなれません

たとえば、被相続人が亡くなったとき、配偶者、父親、孫が存命であったとしましょう。被相続人には配偶者とのあいだに長男(孫の親)がいましたが、相続が開始される前に他界しています。

この場合、遺産を相続する権利を持つのは配偶者と代襲相続人となる孫です。第2順位の父親も存命ですが、孫が代襲相続をするため、法定相続人にはなりません。

代襲相続は、第1順位の子供だけでなく、第3順位の兄弟姉妹が先に亡くなっており、その人に子供(被相続人の甥や姪)がいる場合も発生します

ただし、子供が亡くなったときの代襲相続は直系卑属の末代まで続くのに対し、兄弟姉妹の場合は一代限りである点が異なります

相続開始時に子供が亡くなっていた場合は孫が、孫も亡くなっている場合はひ孫のように末代まで代襲相続が起こりますが、兄弟姉妹の場合は甥や姪も先に亡くなっていた場合、その子(大甥や大姪)は代襲相続人にはなりません。

祖父母の遺産を孫が相続するケースについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

(参考)【祖父母からの相続】孫が相続するケースをプロが解説

4-2.相続欠格や相続排除の場合も代襲相続が発生する

相続廃除は、被相続人への虐待や著しい侮辱などをした人の相続する権利を失わせる制度です。被相続人が生前に家庭裁判所で手続きをするか、遺言を遺すことで相続権がはく奪されます。

相続欠格とは、被相続人を故意に殺害したり、遺言書を偽造・隠匿したりするなど、民法が定める重大な非行を行った相続人等の相続する権利をただちにはく奪する制度です。相続廃除は被相続人の意思表示が必要であるのに対し、相続欠格は被相続人の意志とは関係なく相続権がはく奪される点が異なります。

どちらも相続権がはく奪された人に子供がいた場合は、代襲相続が発生し、その子供(被相続人の孫)が代わりに遺産を相続します。

ただし、法定相続人が自らの意志で相続する権利を手放す「相続放棄」をした場合、代襲相続は発生せず、その放棄した人の子供や孫などに相続権は移りません

相続廃除や相続欠格について詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。

(参考)【簡単解説】相続欠格とは?欠格事由や相続廃除との違いについて
(参考)相続廃除とは?制度内容・仕組み・要件・手続き方法を解説【判例あり】

5.養子縁組の解消が相続順位に与える影響

養子縁組は、血統の続かない人のあいだに法的な親子関係を作る制度です。養子縁組によって親となった人を「養親」、子供となった人を「養子」といいます。

養子縁組には、養親との親子関係が成立しても実親との親子関係は維持される「普通養子縁組」と、実親との親子関係が解消される「特別養子縁組」があります。

このうち、普通養子縁組は話し合いによる協議離縁や家庭裁判所の調停・審判などによる解消が可能です。

養子縁組を解消すると、養親と養子の法律上の親子関係が消滅します。養親と生前に離縁をしていた場合、養子であった人は法定相続人にならなくなり、相続順位は養子縁組をする前の状態に戻ります

たとえば、Aさんに配偶者Bさん、養子Cさん、Aさんの兄Dさんがいるとしましょう。養子CさんとAさんは普通養子縁組をしており、両者のあいだに血の繋がりはありません。

この場合、養子縁組を解消せずにAさんが亡くなると、法定相続人になるのは配偶者Bさんと養子Cさんです。

一方、Aさんが生前に養子Cさんとの養子縁組を解消していた場合、Cさんは法定相続人にはならないため、配偶者Bさんと第3順位の兄Dさんが遺産を相続します。

このように、被相続人が生前に養子縁組を解消すると相続順位に影響を及ぼすことがあります。ただし、養親が亡くなったあとに離縁をしても、すでに発生した相続には影響せず、養子ではなくなったからといって受け取った遺産を返還する義務はありません。

6.相続順位ごとの法定相続分

民法では、法定相続人が相続できる財産の割合の目安が決められています。これを「法定相続分」と呼びます。

法定相続分は、法定相続人がどの順位に何人いるかで、相続分は変わります。

6-1.被相続人に配偶者がいる場合

被相続人に配偶者がいる場合、法定相続人と法定相続分は以下のとおりです。

被相続人に配偶者がいる場合の法定相続人と法定相続分

第1~3順位まで誰もおらず配偶者のみが法定相続人である場合、配偶者が財産のすべてを相続します

配偶者と第1順位の子供がいる場合は、財産の半分を配偶者が受け継ぎ、残りの半分を子供が相続します。配偶者がいなければ、子供(もしくは代襲相続人となる孫など)が全財産を受け継ぎます。

配偶者と第2順位の人に相続権があれば、配偶者の法定相続分は2/3、直系尊属は1/3です。

配偶者と第3順位の兄弟姉妹が法定相続人となる場合、配偶者の法定相続分は3/4です。残り1/4を第3順位である被相続人の兄弟姉妹(もしくは代襲相続人となる甥姪)が相続します。

法定相続人となる配偶者は1人しかいませんが、血族相続人については同じ順位の人が複数人いることがあります。同順位の相続人が複数いる場合は、法定相続分を均等に分けるのが原則です。

たとえば、子供が2人いるなら、1/2の法定相続分を2人で分け合うため、1人あたりは1/4ずつとなります。

6-2.被相続人に配偶者がいないまたは死亡している場合

被相続人に配偶者がいない場合は、同じ順位に該当する法定相続人で法定相続分を均等に分けます

たとえば、法定相続人が長男、長女、次男の3人である場合、法定相続分は1人あたり1/3です。

配偶者がいる場合と同様に、先の順位に該当する法定相続人がいる場合、後の順位に該当する人は法定相続人とはならず、法定相続分もありません。

6-3.代襲相続が発生したときの相続分

代襲相続人の法定相続分は、法定相続人となる予定であった被代襲者と同じ割合です。

たとえば、被代襲者の法定相続分が1/3であった場合、代襲相続人の法定相続分も1/3となります。

被代襲者に複数人の子供がいた場合は、被代襲者の法定相続分を人数で均等に分けます。仮に被代襲者の法定相続分が1/3であり、代襲相続人となる子供が3人いた場合、1人あたりの法定相続分は1/3×1/3=1/9です。

7.具体例をもとに相続順位と法定相続分をシミュレーション

ここまで解説してきたとおり、相続順位や法定相続分は被相続人が亡くなったときの状況に応じて変わります。以降では、実際によくあるケースごとに法定相続人と法定相続分がどのようになるのかを解説します。

7-1.被相続人に配偶者・子供・孫がいるケース

被相続人に配偶者と2人の子供(たとえば長男・長女)がいて、長男・長女にもそれぞれ子供(被相続人からすれば孫)がいるとしましょう。

配偶者・長男・長女がいずれも存命であれば、配偶者と子供(長男・長女)が法定相続人となるため、孫は遺産を相続できません。法定相続分は、配偶者1/2、長男と長女は1/2を2人で均等に分けるため、1人あたり1/4です

被相続人に配偶者・子供・孫がいるケース

しかし、仮に長男が被相続人の死亡より前に亡くなっていた場合は、代襲相続が発生して長男に代わってその子供(孫)が相続人になります。

孫は、本来の相続人である長男が受け継ぐべきだった相続分を受け継ぎます。

たとえば、長男の子供が2人いれば、法定相続分は配偶者が1/2、長女が1/2×1/2=1/4、孫(長男の子供)は1人あたり1/2×1/2×1/2=1/8となります。

なお、配偶者がいなければ、法定相続分は長女が1/2、2人の孫(長男の子供)は1人あたり1/2×1/2=1/4です。

7-2.被相続人に配偶者・親・祖父母がいるケース

被相続人に子供がなく配偶者と親がいるケースでは、配偶者と第2順位の親が相続人になります。法定相続分は配偶者が2/3、親が1/3です。配偶者がいなければ、親にすべての財産を相続する権利(相続分)があります。

被相続人に配偶者・親・祖父母がいるケース

もし被相続人が養子であった場合、普通養子縁組であれば血の繋がりがある実親と育ての親である養親のどちらも第2順位の法定相続人となります。

一方、特別養子縁組をしていた場合は、実の親とは親子関係が解消されるため、法定相続人になるのは養親のみです。

被相続人に、親や祖父母などの直系尊属が複数いる場合はもっとも近い世代の人が法定相続人になります。

たとえば、被相続人が亡くなったとき、配偶者と故人の母親、父方の祖父母(父親はすでに死亡)が存命の場合は、法定相続人となるのは配偶者と母親です。父方の祖父母は法定相続人とはなりません。法定相続分は、配偶者が2/3、母親1/3となります。

7-3.被相続人に配偶者・兄弟姉妹・甥姪がいるケース

被相続人には子供がおらず、すでに親も亡くなっており、配偶者と被相続人の兄と妹が存命の場合、配偶者と第3順位の兄弟姉妹が法定相続人となります。法定相続分は、配偶者が3/4、兄と妹は1/4を1人で分けるため、1人あたり1/8です。

被相続人に配偶者・兄弟姉妹・甥姪がいるケース

仮に兄が被相続人の死亡より前に亡くなっており、その子供である甥と姪が存命の場合は、代襲相続が発生してその甥と姪が法定相続人になります。

この場合、相続分は配偶者が3/4、妹が1/4×1/2=1/8、甥と姪(兄の子供)は1/4×1/2×1/2=1/16ずつです。

配偶者がいなければ、法定相続分は兄弟姉妹(妹)が1/2、甥と姪(兄の子供)が1/2×1/2=1/4ずつとなります。

7-4.被相続人に前妻とその子供がいるケース

被相続人に離婚をした前妻がいる場合、前妻自身は法定相続人にはなりません。しかし前妻とのあいだに生まれた子供がいれば、その子供は第1順位の法定相続人として相続権を持ちます

たとえば、被相続人が亡くなったとき、前妻とそのあいだにできた子供2人(長男・長女)、被相続人の父親と母親が存命であったとしましょう。被相続人は再婚をしておらず配偶者はいません。この場合、法定相続人となるのは前妻とのあいだに授かった子供のみです。被相続人の父親と母親は法定相続人とはなりません。

法定相続分は、前妻との子供のみで分け合うことになるため、長男1/2、長女1/2となります。

前妻との子供の存在を見落としていると、相続順位が変わることがあります。また、遺産分割協議をしたあとにその子供の存在が発覚した場合、遺産分割協議をやり直さなければなりません。

相続が開始されたときは、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を早めに取得し、離婚歴や前妻とのあいだに子供がいないか入念に調査することが大切です。

7-5.被相続人に後妻とその子供がいるケース

後妻が法律上の配偶者であれば当然ながら法定相続人となります。さらに、後妻とのあいだに子供が生まれていれば、その子も第1順位として相続権を有します。

もし被相続人に前妻の子がいる場合も第1順位の法定相続人であるため、後妻の子供と同様に遺産を相続する権利を持ちます

たとえば、被相続人が亡くなったとき、配偶者(後妻)とそのあいだにできた子供1人の他に、前妻とのあいだに2人の子供がいたとしましょう。

この場合、法定相続分は、配偶者(後妻)が1/2となり、残り1/2を後妻との子供と前妻との子供2人の計3人で分けるため、1人あたり1/2×1/3=1/6となります。

前妻の子が成人しており、後妻の子がまだ幼い場合でも、相続順位や法定相続分は変わりません

7-6.被相続人に内縁の妻や子供がいるケース

法律上の婚姻をしていない内縁の妻(または夫)には、遺産を相続する権利はありません。一方、内縁の妻(または夫)とのあいだに産まれた子供については、認知されていれば法定相続人となります

たとえば、被相続人が亡くなったとき内縁の妻と認知された子供が3人おり、後妻やそのあいだに産まれた子供がいない場合、法定相続人となるのは認知された3人の子供のみです。法定相続分は、子供1人につき1/3です。

認知された子供は第1順位の法定相続人であるため、その子供がいる場合は被相続人の父母や兄弟姉妹など後の順位に該当する人は遺産を相続できません。

8.相続順位や法定相続分は自由に変更できる?

法定相続人となる人の優先順位は、民法で定められており、変更できません。一方、法定相続分については、相続人全員の合意があれば異なる配分で遺産を相続することも可能です。

8-1.法定相続人の順位は原則として変更できない

民法では、配偶者は常に法定相続人となり、血族相続人については子供、直系尊属(親や祖父母など)、兄弟姉妹という優先順位にしたがって相続する権利を得ることが厳格に規定されています。

この順序は、法定相続人の話し合いなどで簡単に変更できるものではありません。また、被相続人が生前に「財産は親ではなく兄弟に相続してほしい」などと意思表示をしていたとしても、相続順位は変更されないのです。

8-2.法定相続分は変更が可能

法定相続分は、あくまで各相続人の標準的な取り分を示すものです。相続においては、法定相続分のとおりに分割することが義務付けられているわけではありません。

相続人全員が合意することで、遺産の分割方法や割合を自由に変えることができます

たとえば、被相続人に配偶者と2人の子供がいる場合、法定相続分は配偶者1/2、子供は1人につき1/4ですが、全員の合意があれば遺産のすべてを配偶者に相続することも可能です。

また、同じ順位にあたる法定相続人で異なる割合で遺産を相続しても法律上は問題ありません。先ほどのケースでいえば、全員の合意があれば片方の子供が多くの遺産を相続できます。

8-2-1.被相続人の財産の維持や増加に貢献した人は「寄与分」を主張できる

被相続人の財産を維持したり増えたりするような貢献をした相続人は、相続分を増額できることがあります。この制度を「寄与分」といいます。

寄与分が認められる可能性があるのは、被相続人を長年にわたり献身的に介護した場合や、被相続人の家業を無償で手伝い事業を大きく育てた場合などです。

寄与分は自動で適用されるわけではなく、原則として遺産分割協議で主張して相続人全員の合意を得る必要があります。合意を得られない場合は、家庭裁判所の調停や審判での判断となります。

寄与分についての詳細は、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

(参考)相続における寄与分とは?認められる要件・計算方法を解説【判例付き】

8-2-2.生前贈与を受けた相続人がいるときは「特別受益」が考慮されることも

特別受益とは、被相続人が生前に相続人の一部に対して行った贈与や遺贈などの利益のことです

たとえば、結婚持参金や住宅購入資金、学費、開業資金などを扶養の範囲を超えて多額に贈与してもらっていた場合は、特別受益に該当する可能性があります。

特別受益の対象となる財産がある場合は、それを相続財産に持ち戻しをしたうえで各相続人の相続分を決めることになります。これは、特別受益を受けた相続人と他の相続人とのあいだで不公平が生じないようにするための決まりです。

被相続人の生前に被相続人から多額の財産をもらっていた相続人がいる場合、特別受益の持ち戻しによりその相続人の相続分は減らされます。一方、他の相続人の相続分は増えることになるため、結果として法定相続分とは異なる割合で遺産を相続することになります。

特別受益について詳しくは下記のケースで解説していますので、あわせてご確認ください。

(参考)特別受益とは?時効・相続分の計算方法・持ち戻し免除規定について

9.相続順位が変わることがあるケース

相続順位は民法で厳格に定められており変更できませんが、被相続人の遺言があった場合や相続放棄をする相続人がいる場合は、必ずしもそのとおりにはならないことがあります。

9-1.遺言書で遺産を取得する人が指定されている場合

遺言は、被相続人の最終意思を書面で示したものです。

遺言で法定相続人ではない人に遺産を残すこと(遺贈)や、法定相続分とは異なる割合で遺産を分けることが指定されている場合は、原則としてその内容に則って遺産分割が行われます。

遺言は法定相続(民法が定める相続人の範囲や順位、相続割合に基づいて財産を引き継ぐこと)よりも優先されるためです。

被相続人が遺言書を作成していると、相続人の優先順位や相続分に優先されます

たとえば、遺言書に「遺産のすべてを孫に遺贈する」と書かれていた場合、相続の開始時点で配偶者や子供(孫の親)が存命でも、孫が優先的に遺産を得ることが可能です。

また、内縁の妻や夫、認知されていない子供など通常は法定相続人にならない人に遺産をわたすこともできます。

しかし、被相続人の意思で遺産の分け方を自由に決められるとはいえ、一定の法定相続人には最低限取得できる遺産の割合(遺留分)が民法で定められています。

遺留分が認められる法定相続人は配偶者と直系卑属・直系尊属のみです。遺留分の割合は法定相続分の1/2(ただし、直系尊属のみが相続人となる場合は1/3)になります。

遺言によってもこの遺留分を侵害することはできないとされていますので、もし仮に遺留分を侵害する遺言があった場合、前述した相続人であれば「遺留分侵害額請求」によって侵害された遺留分を取り戻すことが可能です。

遺留分、遺留分侵害額請求については下記の記事をご参照ください。

(参考)遺留分とは何のこと?「遺留分」を知って相続トラブルを最小限に-計算や万が一の対応まで
(参考)遺留分侵害額請求とは?手続き・時効・費用をわかりやすく解説

9-2.相続放棄をする法定相続人がいる場合

相続放棄とは、亡くなった人が残した財産や負債を相続する権利を放棄する手続きのことです。相続放棄をした人は最初から相続人ではなかったとみなされます。

相続放棄をしても代襲相続は発生せず、放棄した人の子供が代わりに相続することはありません。そのため、相続放棄をした人がいると後の順位に該当する人が繰り上がりで法定相続人になることがあります

たとえば、被相続人の子供が全員相続を放棄すると、次の順位である親や祖父母などの直系尊属が相続権を獲得します。父母も相続放棄をした場合は、同じ順位の祖父母に相続権が移ります。祖父母がすでに他界しているか相続放棄をしたことで直系尊属がいない場合、法定相続人となるのは第3順位の兄弟姉妹です。

相続放棄について詳しくは下記の記事で解説していますので、あわせてご確認ください。

(参考)【相続放棄とは】費用・流れ・注意点をわかりやすく解説!

10.相続順位に関するQ&A

最後に、相続順位に関するよくある疑問とそれに対する回答をご紹介します。

10-1.被相続人に非嫡出子がいると相続順位はどうなる?

非嫡出子とは、法律上の結婚関係にない男女のあいだに生まれた子供のことです。かつては嫡出子よりも法定相続分が少ない時代もありましたが、現在では法改正によって「認知された非嫡出子は、嫡出子と同じ相続分を有する」という決まりに変更されました。

つまり、認知を受けている限り、被相続人の子供として同様に第1順位の法定相続人になるということです。

一方、認知されていない子は、法的には被相続人との親子関係が確認されていないため法定相続人にはなりません。

もし非嫡出子に遺産を相続する権利を与えたい場合は、被相続人が生前に認知手続きを行うか、遺言書で指定しておく必要があります。

10-2.法定相続人に行方不明者がいる場合は?

被相続人に遺言書がない場合、遺産の分け方を相続人全員で協議して決めなければなりません。これを遺産分割協議といいますが、相続人のうち1人でも参加していない人がいればその協議は無効です。しかし、もし法定相続人の中に行方不明者がいたら連絡を取ることができないため、相続人全員で話し合うことはできません。

そのような場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任」を申し立てるか、「失踪宣告の手続き」を行う必要があります。

不在者財産管理人とは、行方不明の法定相続人の代わりにその人の財産を管理する人のことです。家庭裁判所の許可があれば遺産分割協議に参加することができます。

失踪宣告とは、ある人が一定期間生死不明となっている場合に、家庭裁判所への申立てによって死亡したものとみなし、行方不明者の財産関係や身分関係について死亡と同じ効果を発生させる制度です。

この手続きを行えば、行方不明となっている法定相続人は死亡した場合と同じ扱いになるため、他の法定相続人だけで有効な遺産分割協議を行うことができます。

不在者財産管理人や失踪宣告については、下記サイトをご参照ください。

(参考)不在者財産管理人とは?必要なケース・選任申立ての流れ・費用について
(参考)【失踪宣告とは】条件や申立方法、相続への影響をプロが解説

行方不明の法定相続人が生存している可能性が高い場合は不在者財産管理人の選任手続きをし、生存の見込みがない場合は失踪宣告の手続きを行います。

10-3.相続人がまったくいないときはどうなる?

被相続人に財産があるにもかかわらず、相続人がいない場合があります。たとえば、次のようなケースです。

  • 被相続人に配偶者がおらず、子、両親、兄弟姉妹もいない(代襲相続する人もいない)
  • 相続人が全員相続放棄した

相続人がいないからといって周囲の人が勝手に財産を処分することは認められません。亡くなった人の財産が残っており、相続人が不在の場合は、下記の手順で管理・清算を進めます。

  1. 相続財産清算人が選ばれる
  2. 債権者と受遺者に弁済する
  3. 相続人がいないことが確定
  4. 特別縁故者への財産分与

まず、家庭裁判所が被相続人の利害関係者(債権者、特定遺贈を受けた人(特定受遺者)、療養看護に努めた人(特別縁故者))や検察官の請求を受けて、相続財産清算人を選びます。

相続財産清算人は、弁護士や司法書士から選出されるのが一般的です

家庭裁判所は選出と同時に、相続財産清算人が選ばれた旨ともし相続人がいるなら名乗り出るよう知らせる公告を官報に掲載します。この公告の期間は6か月以上です。

相続財産清算人は公告と並行して、被相続人に金銭を貸している人(債権者)や、遺言により特定の財産を受け取ることを指定されている人(受遺者)がいれば申し出るよう公告を行います。

この公告の期間は2か月以上ですが、相続人が名乗り出るように知らせる公告の終了の期間までに終える必要があります。

債権者や遺言を受けた受遺者が名乗り出れば、相続財産清算人は公告期間を過ぎてから弁済の手続きを始めます。

公告の終了までに相続人が名乗り出なければ、財産の相続人はいないことが確定します。

しかし、相続人がいなくても、財産を受け取る資格のある人はいるかもしれません。被相続人と一緒に生活して生計を共にしていた、介護などで被相続人に献身的に尽くしていた人などがそれにあたります。

このような特別な関係の人は特別縁故者と呼ばれ、相続人がいないことが確定してから3か月以内に家庭裁判所に申し出て認められれば、財産を分けてもらえるのです。

債権者・受遺者への支払や特別縁故者への分与をしても財産が残った場合は、その分は国庫に納められます。

(参考)【独身の相続】法定相続人は誰?今からできる対策も解説
(参考)特別縁故者とは?要件や相続財産分与手続きの流れ、必要書類まで解説

11.遺産相続時のトラブルを回避するためには相続順位の理解が不可欠

相続順位を正しく把握していないと、本来であれば相続人となるはずの人を見落として遺産分割協議をやり直すなどのトラブルにつながる恐れがあります。とくに、被相続人の家族関係が複雑な場合は、相続人の特定を誤りやすいです。

そこで、誰が相続人となるか正確に把握したい場合は、相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。

税理士法人チェスターは、年間3,000件以上の申告実績を誇る相続税専門の税理士法人です。遺産相続や相続税申告に関する豊富な実績とノウハウをもとにサポートいたしますので、相続順位でお悩みの方は、ぜひ税理士法人チェスターにお問い合わせください。

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