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アパートの相続税評価額は?計算方法や最新5年ルールを徹底解説

アパートの相続税評価額は?計算方法や最新5年ルールを徹底解説

「アパートの相続税評価額はどうやって計算するの?」
「賃貸アパートを相続したら税金はかかるの?」

この記事をご覧の皆さんは、このようにお悩みではないでしょうか。

結論を言うと、被相続人が所有していた賃貸アパートは相続税の課税対象となりますので、「貸家建付地」や「貸家」として相続税評価額を計算します

賃貸アパートは自用不動産としての相続税評価額よりも2~3割減額されることが多く、さらに小規模宅地等の特例を適用できれば最大200㎡まで50%減額できます。

この記事では、アパートの相続税評価額の計算方法や、相続する際の注意点等について解説します。賃貸アパートを活用した生前対策については、以下の記事をご覧ください。

参考:不動産を用いた相続税対策の具体的な方法と、メリット、デメリット、失敗例まで解説

この記事の目次 [表示]

1.賃貸アパートの相続税評価額の計算方法

被相続人が所有していた賃貸アパートは、相続税の課税対象となりますので、相続開始時の相続税評価額を計算しなくてはなりません。

賃貸アパートの敷地部分は「貸家建付地」、建物部分は「貸家」として相続税評価額を計算します

賃貸アパートの相続税評価額の計算方法

賃貸アパートなどの貸付用不動産は、借地借家法によって「入居者の権利(借家権)」が強く保護されているため、所有者が土地や建物を自由に使用・処分できません。

そのため、相続税評価額を計算する際には、借地権割合・借家権割合・賃貸割合などを適用して評価額を減額できます(借地権割合等の要素は次章で解説します)。

結果として、賃貸アパートは自用の不動産よりも、相続税評価額が2~3割程度減額されるケースが多いです。

1-1.【敷地部分】貸家建付地として相続税評価額を計算

賃貸アパートの敷地部分は、貸家建付地として相続税評価額を計算します

具体的な計算方法は以下の通りで、所有者の利用に制限がかかるため、借地権割合・借家権割合・賃貸割合を差し引くことが可能です。

アパート敷地部分の相続税評価額
=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

自用地価額とは、他人の権利が付いていない状態、つまり「自分で使う土地」の相続税評価額のことです。

自用の土地の相続税評価額は「路線価方式」または「倍率方式」で計算しますが、賃貸アパートであれば「路線価方式」を使うのが一般的です。

貸家建付地の相続税評価額の計算方法について、以下のページでも詳しく解説しております。

参考:貸家建付地の相続税評価とは?計算方法と併用できる特例を解説

1-2.【建物部分】貸家として相続税評価額を計算

賃貸アパートの建物部分は、貸家として相続税評価額を計算します

具体的な計算方法は以下の通りで、借主が住んでいることで所有者の利用が制限されるため、借家権割合や賃貸割合を差し引くことが可能です。

アパート建物部分の相続税評価額
=家屋の評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

家屋の評価額とは、所有者自身が家屋を使用する場合の評価額のことで、「固定資産税評価額×1.0」が基準となります。

固定資産税評価額は建築費の50~70%程度であり、貸家の評価減と合わせると、建築費の約50%程度が相続税評価額になることがほとんどです。

貸家の相続税評価額の計算方法について、以下のページで詳しく解説しております。

参考:貸家の相続税評価

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賃貸アパートの相続税評価額の計算方法は、非常に複雑で専門性が高くなります。
さらに令和9年からは賃貸不動産の5年ルールが導入される上に、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用も検討しなくてはなりません。
相続財産に賃貸アパートが含まれる方は、必ず相続税に強い税理士に相談をしましょう。

>>【相続税専門】税理士法人チェスターに相談する

2.賃貸アパートは相続税評価額が下がる!3つの減額要素

第三者に貸し出している賃貸アパートの相続税評価額を計算する際には、借地権割合・借家権割合・賃貸割合を適用できます

これらの3つの減額要素を適用すれば相続税評価額が下がるため、結果として課税される相続税も下がります。

この章では、この3つの減額要素の意味や割合について解説しますので、参考にしてください。

2-1.借地権割合(地域によって30~90%)

借地権割合とは、土地の権利のうち、借りている人が持つ権利の価値を示した割合のことです

借地権割合は、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で公表されている路線価図に、アルファベット(A=90%からG=30%)で記載されており、地域によって変動するという特徴があります(倍率方式の地域は倍率表に借地権割合の記載あり)。

以下は路線価「550D」である場合の、借地権割合の確認方法です(D=60%が適用)。

借地権割合の確認方法

引用:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」(※囲み線部は筆者による)

借地権割合は地域によって異なりますが、東京都心部では「B(80%)」や「C(70%)」、東京郊外や地方では「D(60%)」になることが多いです。

路線価にアルファベットの表示がない地域や、倍率表に借地権割合が記載されていない場合は、借地権の取引の慣行がない地域であるため、借地権の評価はしないこととされています。

参考:借地権割合とは?調べ方・相続税評価の計算方法をわかりやすく解説

2-2.借家権割合(全国一律30%)

借家権割合とは、建物を借りている人の権利を示した割合のことです

借家権割合は、令和8年現在「全国一律30%」で設定されています。

借家権割合は、賃貸アパートの敷地部分と建物部分の相続税評価額を計算する際に、それぞれ適用することができます。

2-3.賃貸割合(賃貸されている床面積の割合)

賃貸割合とは、賃貸アパートの全ての部屋の合計床面積に占める、賃貸中の床面積の割合のことです

賃貸割合の計算方法は以下の通りで、アパート1室ずつ(各独立部分)の床面積を用いて計算する仕組みです。

賃貸割合
=課税時期に賃貸されている各独立部分の床面積の合計÷各独立部分の床面積の合計

各独立部分の床面積は、法務局で取得できる登記簿謄本や登記事項証明書で確認できます。

各独立部分は隔壁・扉・天井・床など建物の構成部分によりほかの部分と遮断されており、独立した出入口があるのが特徴です。

それぞれの部分を別個に賃貸できる状態になっていれば、各独立部分といえます。

参考:貸家建付地評価の「賃貸割合」の具体的計算方法

2-3-1.一時的な空室である場合の賃貸割合の考え方

相続開始日に空室であれば、その空室の床面積については賃貸割合に含むことはできません。

ただし前の入居者と次の入居者が入れ替わる間に相続が発生した場合など、数週間~1ヶ月程度、一時的に空室になるケースもあります。

相続日前後の空室期間が1ヶ月程度で、なおかつ「継続的に賃貸されていた」と認められれば、賃貸割合に含めて計算できる可能性が高いです。

ただし、様々な事実関係から総合的な判断が必要となりますので、相続税に強い税理士に相談されることをおすすめします。

参考:国税庁「貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲

3.賃貸アパートの相続税評価額の計算シミュレーション

アパートの相続税評価額の計算方法について解説してきましたが、イメージしやすくなるよう、シミュレーションをしてみましょう。

今回のシミュレーションモデルは「首都圏にある10室アパート(路線価エリア)」とし、以下を前提とします。

賃貸アパートの相続税評価額の計算シミュレーション

なお、借地権割合は70%、借家権割合は全国一律30%、賃貸割合は100%(10室満室)とします。

3-1.アパート敷地部分の計算シミュレーション

まずはアパートの敷地ではなく、自用地であるとした場合の土地の相続税評価額を計算します

シミュレーションモデルのアパートは首都圏に所在しており、土地の評価方法は路線価方式(300C)となりますので、以下のように算出します(土地の形状などの減額要素は考慮していません)。

自用地とした場合の土地の評価額
路線価30万円(㎡)×面積150㎡=4,500万円

自用地とした場合の土地の評価額を元に、3つの減額要素を適用させて、貸家建付地としての相続税評価額を計算します。

なお、路線価に記載されている借地権割合はC(70%)が適用され、借家権割合は全国一律30%、シミュレーションモデルの賃貸割合は100%です。

■貸家建付地の評価額の基本式

貸家建付地の評価額は、以下の計算式で求めます。

評価額 = 自用地価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

■シミュレーションによる計算

貸家建付地の評価額
自用地価額4,500万円×(1-借地権割合0.7×借家権割合0.3×賃貸割合1.0)=3,555万円

このシミュレーションモデルにおいて、アパートの敷地部分の相続税評価額は3,555万円となります。

自用地としての相続税評価額は4,500万円でしたので、945万円の減額がなされたこととなります(21%減額)。

3-2.アパート建物部分の計算シミュレーション

次に、アパートの建物部分の相続税評価額を計算します。

自用とした場合の家屋の評価額
固定資産税評価額4,800万円×1.0=4,800万円

自用とした場合の家屋の評価額を元に、2つの減額要素を適用させて、貸家としての相続税評価額を計算します。

借家権割合は全国一律30%、シミュレーションモデルの賃貸割合は100%です。

貸家の相続税評価額
家屋の評価額4,800万円×(1-借家権割合0.3×賃貸割合1.0)=3,360万円

このシミュレーションモデルにおいて、アパートの建物部分の相続税評価額は3,360万円となります。

自用とした場合の家屋の相続税評価額は4,800万円でしたので、1,440万円の減額がなされたこととなります(30%減額)。

3-3.相続税評価額の総額と節税効果

今回のシミュレーションモデルである、首都圏アパート(10室)の相続税評価額の総額は6,915万円です。
自用とした場合の相続税評価額は9,300万円ですので、2,385万円も減額されたこととなります。

 アパート評価自用評価
敷地部分3,555万円4,500万円
建物部分3,360万円4,800万円
相続税評価額(総額)6,915万円9,300万円

相続税は「超過累進課税」ですので、課税対象となる財産の価額が低くなれば、適用される税率も低くなります。

今回のシミュレーションモデルでは、相続税の課税対象となる財産の価額が、2,385万円低くなったため、家族全体に課税される相続税額も低くなります。

参考:相続税はいくらかかる?自分で計算するための仕組みと手順【税理士監修】

4.貸付用不動産の5年ルールに注意!アパートの評価方法が異なる可能性あり

令和8年度(2026年度)税制改正により、貸付用不動産の相続税評価額の適正化を目的として、「貸付用不動産の5年ルール」が創設されました。

貸付用不動産の5年ルールとは
課税時期から遡って5年以内に取得・新築した「貸付用不動産」は、原則として「取得価額(地価変動を考慮)の80%」で評価される

つまり、賃貸アパートを購入・新築してから5年以内に所有者の相続が発生した場合、そのアパートの相続税評価額は、取得価額の80%が適用されるということです。

路線価等ではなく実勢価格に近い価額での評価となり、購入直後の大幅な評価額の圧縮効果が制限されることとなります。

ただし、賃貸アパートの購入・新築から5年以上経過してから所有者の相続が発生した場合は、引き続き、従来の貸家建付地・貸家として相続税評価額を計算することとなります。

参考:財務省「令和8年度税制改正の大綱(52ページ)

4-1.令和9年1月1日以降の相続や贈与から適用

賃貸用不動産の5年ルールは、令和9年1月1日以降の相続や贈与から適用されることとなります。

つまり、賃貸アパートの購入・新築時期ではなく、相続のタイミングによって賃貸不動産の5年ルールが適用されます。

貸付用不動産の5年ルール

貸付用不動産の5年ルールが適用される場合でも、購入価格から2割は減額されます。

また、敷地部分には「小規模宅地等の特例」を適用できるため、預金や有価証券を相続するよりも、相続税の節税効果はあります。

5.アパートの敷地部分に小規模宅地等の特例を適用!評価額を50%減額できる

賃貸アパートの敷地部分は、「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります

小規模宅地等の特例とは、被相続人等の自宅や事業をしていた宅地等の相続税評価額を、最大80%減額できる特例のことです。

そして貸付事業用宅地等とは、相続開始時において、被相続人や同一生計の親族が貸付事業のために使用していた宅地等のことです。

アパートの敷地部分への小規模宅地等の特例の適用

引用:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(※囲み線部は筆者による)

アパートの敷地部分は「貸付事業用宅地」に該当するため、要件さえ満たすことができれば、限度面積200㎡まで相続税評価額を50%減額できます

なお、アパートの敷地などは「貸家建付地」として計算するため相続税評価額が自用地よりも減額されますが、さらに小規模宅地等の特例も併用できるため、節税効果がさらに高くなります。

参考:貸付事業用宅地等とは?小規模宅地等の特例を適用するための生前対策・注意点

5-1.小規模宅地等の特例の適用要件

貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります

適用要件

  • 相続税申告期限まで継続して貸付事業を行っていること
  • 相続税申告期限まで該当する宅地等を保有していること
  • 相続開始前3年以内に貸付事業を開始した宅地等でないこと

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内(応当日)です。

賃貸アパートを相続で取得したら、相続税の申告期限まで売却せず、継続して貸付事業を行う必要があります。

また、平成30年4月1日以降は、相続開始前3年を超えて貸付事業を行っているアパートでなければ、小規模宅地等の特例は適用できません。これを「3年縛り規制」と呼びます。

5-2.相続開始前3年以内に賃貸開始でも例外的に適用できるケースもある

令和3年4月1日以降の相続は、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用するには「3年縛り規制」の対象となります

しかし、相続開始前3年以内に貸付を行っていても、以下の要件を満たすことができれば、例外的に小規模宅地等の特例を適用できます。

3年縛り規制の例外措置

  • 事業的規模で特定貸付事業を営んでいた場合
  • 相続開始前3年以内に建替えをした場合(建替え中も含む)
  • 3年以内に相次相続があった場合

10室以上の賃貸アパートである場合、事業的規模で特定貸付事業を営んでいると判定されるため、3年縛り規制の対象外です。

また、相続開始前3年以内に建替えをした場合でも、建替え後速やかに賃借人の募集が行われて賃貸されていれば、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用できます。

参考:小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)の“3年縛り規制”の例外的な取扱い

6.賃貸アパートを相続する前に確認!3つの選択肢

賃貸アパートが相続財産に含まれる場合、どうやって対処すれば良いのか分からない方もいらっしゃると思います。

賃貸アパートの相続においては、以下の3つの選択肢があります。

賃貸アパートを相続した場合、入居者との契約も継承されるため、売却するために退去を強制することはできません。

また、維持費や管理費で赤字になるリスクもありますし、賃貸アパート経営をする手間もかかります。

これらをすべて総合的に判断したうえで、相続する・しないを決めると良いでしょう。

参考:【賃貸の相続ガイド】維持・売却等の判断基準と手続きを税理士が解説

6-1.相続して賃貸経営をそのまま継続する

賃貸アパートが相続財産に含まれる場合の1つ目の選択肢は、相続して賃貸経営をそのまま継続することです

以下のようなメリット・デメリットがありますので、よく検討しなくてはなりません。

メリット

  • 毎月家賃収入を得ることができる
  • 賃貸アパートの価値が上がれば売却益が大きくなる

デメリット

  • 空室や家賃滞納リスクがある
  • 維持費や修繕費などの維持管理費が発生する
  • 管理の手間や管理委託費用がかかる

6-2.相続して賃貸アパートを売却する

賃貸アパートが相続財産に含まれる場合の2つ目の選択肢は、相続して賃貸アパートを売却することです

以下のようなメリット・デメリットがありますので、よく検討しましょう。

メリット

  • まとまった現金が手に入る
  • 賃貸経営のリスクや出費から解放される

デメリット

  • 毎月家賃収入を得られなくなる
  • 売却までに時間がかかる可能性がある
  • 希望価格で売却できない可能性がある
  • 売却益が出た場合は所得税や住民税がかかる
  • 売却に伴う仲介手数料などがかかる

なお、売却のタイミングによっては、小規模宅地等の特例を適用できなくなるので注意が必要です。

6-3.相続放棄をする

賃貸アパートが相続財産に含まれる場合の3つ目の選択肢は、相続放棄を選択することです

以下のようなメリット・デメリットがありますので、よく検討しましょう。

メリット

  • 赤字物件を相続しなくて済む
  • 維持管理や納税義務から解放される

デメリット

  • 他の相続財産も相続できなくなる
  • 相続放棄を選択したら撤回できない
  • 相続開始から3ヶ月以内に申述する必要がある

参考:【相続放棄とは】費用・流れ・注意点をわかりやすく解説!

7.賃貸アパートを相続する際の実務上の注意点

賃貸アパートは自用不動産よりも相続税評価額が低くなるため、相続税の節税効果があります。

しかし、実際に相続する場合はいくつか注意点もあるため、予め知っておかなくてはなりません。

7-1.注意①遺産分割トラブルに発展しやすい

賃貸アパートが相続財産に含まれる場合、遺産分割トラブルに発展しやすいです

賃貸アパートは物理的な分割ができないため、公平な遺産分割をするためには、換価分割・代償分割・共有分割などの分け方を選ばなくてはなりません。

換価分割財産を売却して得た現金を分割する
代償分割特定の相続人が財産を取得して他の相続人に代償金を支払う
共有分割複数の相続人の共有名義とする

換価分割を選択した場合、相続財産を手放す必要がある上に、売却にかかる仲介手数料や税金が発生します。

さらに賃貸アパートの売却には時間がかかる傾向があり、小規模宅地等の特例を適用させるためには申告期限までは保有をしなくてはなりません。

一方で、代償分割を選択すると、他の相続人に支払う代償金を準備する資力が求められますし、代償金を算定するための評価額を「時価」とするのか「相続税評価額」とするのかでもめやすいです。

賃貸アパートは遺産分割トラブルに発展しやすいため、冷静な話し合いを心がけましょう。

参考:相続でもめる家族の特徴3つ!原因や予防対策・対処法を詳しく解説

7-2.注意②相続税の納税資金が必要になる

賃貸アパートが相続財産に含まれる場合、納める相続税額が高額になりがちです。

遺産のほとんどを賃貸アパートが占める場合、納税資金を準備できない…ということも考えられます。しかし、相続税の納付方法は、「現金一括納付」が原則です。

相続税の納税資金がない場合は、賃貸アパートの売却や、銀行等からの借入を検討しなくてはなりません。

延納・物納という制度を利用することもできますが、担保提供した上で許可を得る必要があります。

参考:【相続税の納税資金対策】納税資金準備の方法をプロが解説

8.賃貸アパートを相続!必要な手続きと期限

賃貸アパートを相続する際は、賃貸経営の引継ぎや相続税以外の税務処理も行う必要があります。

以下は賃貸アパートを相続する際の手続きの流れですので、期限を守って漏れなく手続きを行いましょう。

参考:相続が発生したら…期限までに行うべき手続きと流れ

8-1.住宅ローンの契約内容を確認する

まずは賃貸アパートに関わる、住宅ローンの契約状況を確認しましょう

この理由は、団体信用生命保険(団信)に加入していれば、団信の死亡保険金でローンの残額が返済される可能性があるためです。

団体信用生命保険とは
住宅ローンを契約するときに同時加入する生命保険のこと。
ローン契約の条件として、団信への加入が必須となるケースがほとんど。

住宅ローンの契約者が死亡した場合等は、団信から金融機関に住宅ローンの残額と同額の保険金が支払われます。

そして、住宅ローンの返済に充てられるため、住宅ローンは完済されます。

参考:相続時に住宅ローンが残っている場合は返済不要?団体信用生命保険とは?

8-2.家賃の振込先の変更と通知

次に、賃貸アパートの家賃の振込先を変更して、管理会社や入居者に通知しなくてはなりません

この理由は、賃貸アパートの所有者が亡くなると、その人名義の銀行口座が凍結されるため、入金・出金ができなくなるためです。

賃貸アパートの所有者が亡くなった際の銀行口座の凍結

相続開始日までに発生する家賃は、被相続人に帰属するため、相続税申告の際に相続財産として計上します。

そして、相続開始後に発生する家賃は、法定相続人全員の共有財産であり、相続人の相続割合(法定相続分)に応じて分割するのが一般的です。

そして賃貸アパートを取得する相続人が決まってから発生する家賃は、そのアパートを取得した相続人に帰属します。

参考:家賃収入に相続税はかかる?かかる税金と確定申告を徹底解説

8-3.遺産の分割方法を決める

法定相続人や相続財産の調査・確定が終わり次第、賃貸アパートを含む遺産の分割方法を決めることとなります

被相続人が法的に有効な遺言書を残していた場合は、その遺言内容に従って遺産を分割します。

しかし、遺言書がない場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が・どの財産を・どれだけ・どうやって取得するのかを決めなくてはなりません。

遺産分割協議の対象

そして法定相続人全員が合意した内容を、遺産分割協議書に書面化します。

遺産分割協議書の作成は義務ではありませんが、各種相続手続きで提示を求められますので、作成されることをおすすめします。

参考:【遺産分割とは】分割方法・割合・手続きの流れ!トラブル対処法も解説

8-4.準確定申告をする(相続開始から4ヶ月以内)

賃貸アパートの所有者が亡くなった場合、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に、準確定申告をしなくてはなりません

所得税の確定申告は、所得が発生した翌年2月16日~3月15日の間に行いますが、亡くなった人は確定申告ができません。

そのため、被相続人の代わりに、相続人等が確定申告をしなくてはなりません。これを「準確定申告」と呼びます。

所有者が亡くなった場合の準確定申告の期限

なお、被相続人が前年分の確定申告をする前に死亡した場合は、前年分と本年分の準確定申告が必要になります。

詳しくは、相続に強い税理士に相談されることをおすすめします。

参考:【準確定申告とは】必要・不要の判断方法、記入例などを解説

8-5.相続税の申告・納付をする(相続開始から10ヶ月以内)

賃貸アパートの所有者の相続が発生したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、相続税の申告と納付の両方を済ませなくてはなりません

相続税が課税されるのは、アパートの相続税評価額を含む遺産総額から、相続税の基礎控除を差し引いた後の、課税遺産総額です。

基礎控除額は【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】で計算します。

相続税の申告と基礎控除額

被相続人が賃貸アパートの所有者であった場合は、相続税の申告義務がある確率が高いです。

必ず相続税に強い税理士に相談した上で、適切な税務処理を行いましょう。

参考:相続税の申告義務の判断ポイント│誰が申告するのかも解説!

8-6.アパートの相続登記をする(取得を知ってから3年以内)

賃貸アパートを取得することを知った日から3年以内に、その賃貸アパートの相続登記をしなくてはなりません

相続登記とは、相続等で取得した不動産の、所有権の移転登記(名義変更)のことです。

不動産の相続登記

令和6年4月1日から相続登記の義務化が施行されたため、正当な理由なく申請を怠れば、10万円以下の過料が課せられます。

また、相続登記をしないと売却もできませんし、担保設定もできずに融資も受けられません。

将来的に権利関係が複雑化することも考えられますので、賃貸アパートを取得することが決まれば、速やかに相続登記を行いましょう。

参考:法務局で相続登記をする全手順!申請先・必要書類や費用まで解説

9.アパートの相続税評価額に関するよくある疑問(Q&A)

アパートの相続税評価額に関する、よくある質問をまとめたので参考にしてください。

9-1.アパートのローン残債は債務控除できる?

賃貸アパートのローンが団体信用生命保険に未加入であり、そのローン返済も相続人が引き継いだのであれば、借入残高を相続財産から控除(債務控除)できます

ただし、団体信用生命保険に加入している住宅ローンについては、債務控除の対象外となります。

参考:相続税申告で住宅ローンを債務控除する際の注意点

9-2.アパートのエアコン等の附属設備の評価はどうなりますか?

賃貸アパートにあるエアコン等の附属設備(給排水設備、電気設備など)は、原則として建物(家屋)の一部として固定資産税評価額に含まれているため、個別で評価する必要はありません

家屋と構造上一体となっていないエアコンである場合には、一般動産として相続税評価額を算定することとなります。

ただし1個あたりの単価が5万円以下である場合は「家庭用動産」としてまとめて評価額を算定することもできます。

参考:エアコンの相続税評価は原則個別にする必要なし

9-3.預かっている敷金・保証金は相続税の計算に含まれる?

賃貸アパートの入居者から預かっている敷金や保証金は、賃貸借契約が終了したら返金するため、相続税申告においては「マイナスの財産」として扱います

ただし、額面をそのまま評価額として反映するのではなく、相応期間の実質的な経済的利益(複利現価率)を考慮する必要があります。

参考:額面のままではダメ!預かり保証金・預かり敷金の相続税評価

9-4.令和6年税制改正の「区分所有補正率」は適用されないの?

令和6年1月1日以後に、相続等で取得した「居住用の区分所有財産(分譲マンション)」の価額は、新たに定められた個別通達により評価します。

具体的には、建物部分や敷地部分(敷地利用権)の価額に、それぞれ「区分所有補正率」を乗じて相続税評価額を算出することとなります。

しかし、これは「分譲マンション一室」の評価方法です。賃貸アパートは一棟所有であるため、区分所有補正率は適用されません

参考:新たな居住用区分所有財産の評価の考え方~定義や適用外となるケース~

10.まとめ

賃貸アパートは「貸家建付地」や「貸家」として相続税評価額を計算するため、自用不動産よりも評価額が2~3割減額されます。

そして要件さえ満たすことができれば、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用でき、最大200㎡まで相続税評価額が50%減額できます。

賃貸アパートの相続税評価額の計算方法を間違えると、相続税の課税対象となる遺産総額が高くなり、結果として課税される相続税額も高額になってしまいます。

必ず相続税に強い税理士に相談して、適切な税務処理を行いましょう。

10-1.税理士法人チェスターにご相談ください

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賃貸アパートの相続税評価額の計算時には、土地の減額要素や賃貸不動産としての減額要素のみならず、小規模宅地等の特例の適用判定もさせていただきます。

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※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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1円でも相続税を低く、そして税務署に指摘を受けないように、
また円滑な相続手続きを親身にサポートします。

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