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iDeCoは相続できる?死亡一時金の受取人と非課税枠を解説

iDeCoは相続できる?死亡一時金の受取人と非課税枠を解説

iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者が亡くなった場合、積み立ててきた資産は「死亡一時金」として遺族へ支払われます。iDeCoの資産は原則として60歳まで引き出せない仕組みですが、加入者が亡くなったときには例外として遺族が受け取ることが可能です。

ただし、死亡一時金には「亡くなった日から5年」という請求期限があります。また、iDeCoの加入者が死亡してから請求までの期間が3年を過ぎているかどうかで課税される税金が変わる点にも注意が必要です。

この記事では、iDeCoを相続する際に押さえておきたい死亡一時金の仕組みや請求方法、税金の取り扱い、相続対策のポイントについて相続税専門の税理士が解説します。

この記事の目次 [表示]

1.iDeCoの加入者が死亡したら積立資産は「死亡一時金」として遺族へ

iDeCoに加入している人が亡くなった場合、遺族が請求手続きをするとそれまで積み立てられた資産を払い出してもらうことができます。遺族へ支払われるお金を「死亡一時金」と呼びます。

以下では、iDeCoの加入者の遺族が請求できる死亡一時金についての基本的な仕組みを解説します。

1-1.60歳前の死亡でも積み立てた資産は遺族に承継される

そもそもiDeCoは、自身で掛金を支払って投資信託や生命保険などで運用して老後資産を準備する制度です。原則としてiDeCo加入者が60歳になるまで資産を引き出すことはできません。

しかし、iDeCoの加入者が亡くなったときは、例外として遺族が請求することにより「死亡一時金」という形で積み立てられている資産を払い出してもらえます

死亡一時金の金額の決まり方は以下のとおりです。

〇死亡一時金の受取額の決まり方

  • 年金を受け取る前にiDeCo加入者が死亡した場合:個人別管理資産の全額
  • すでに年金を受け取っている途中で亡くなった場合:残りの資産額

加入者だけでなく、運用指図者(掛金の拠出を停止して運用のみをする人)や自動移換者(手続き未了で国民年金基金連合会に資産が移された人)が亡くなった場合も、同様に遺族は死亡一時金を請求できます。

注意したいのは、死亡一時金は自動的に支払われる仕組みではない点です

遺族が運営管理機関(証券会社や銀行などiDeCoを取り扱う金融機関)へ裁定請求(給付を受けるための申請手続き)をしなければ受け取れません。

1-2.受取額は「運用資産を売却した時価」で決まる

死亡一時金として受け取れる金額は、原則として加入者の個人別管理資産を売却したときの時価となります

iDeCoは投資信託や定期預金などの金融商品で資産を保有しているため、それを売却して現金化したタイミングで受取額が決まる仕組みです。

価格変動リスクがある投資信託で掛金を運用している場合、運用成果によっては死亡一時金の受取額が掛金の総額を上回るケースもあれば下回るケースもあります。

ただし、亡くなった日の時価が受取額になるわけではありません。死亡一時金の支給が決定したあとに規約等で定められたスケジュールにしたがって運用商品が売却・現金化されて指定の口座に振り込まれます。

亡くなってから請求・売却までに期間が空いてしまったことで運用商品の評価額が変動した場合、それに応じて死亡一時金の受取金額も変わります。

1-3.死亡一時金は一括払いのみ

死亡一時金は一括での支払いに限られており、年金形式での受給は認められていません

加入者本人が年金の受給中に亡くなった場合も、遺族が引き続き年金を受け取れるわけではなく、残額が一時金として支給されます。

1-4.【要注意】死亡から5年を超えると死亡一時金は請求できない

遺族がiDeCoの死亡一時金を請求できるのは、加入者が亡くなった日から5年以内です。これは、確定拠出年金法第41条5項で定められています。

亡くなった日から5年を経過すると遺族は死亡一時金を請求できません。また、iDeCoの運用資産が亡くなった人の本来の相続財産として扱われるようになるため、以下のようなデメリットも生じます。

  • みなし相続財産の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用されなくなる
  • 受取人固有の財産ではなくなり、遺産分割協議の対象になる
  • 相続放棄をすると受け取れなくなる

5年が経過した後も請求がない場合は、資産が法務局へ供託されます。

2.死亡一時金の受取人は通常の相続順位とは異なる

通常の遺産相続では、原則として民法で定められる「法定相続人」が遺産を取得できます。

具体的には、配偶者は常に法定相続人となり、それ以外の親族については第1順位は死亡した人の子、第2順位は親や祖父母などの直系尊属、第3順位は兄弟姉妹という優先順位にしたがって決まる仕組みです。

一方、iDeCoの死亡一時金の受取人は、民法上の法定相続人に関する規定ではなく、確定拠出年金法にもとづく独自のルールで決まります

ここでは、死亡一時金を受け取ることができる人の決まり方を解説します。

2-1.受取人を指定していた場合:指定された受取人が最優先

加入者が生前に受取人を指定していた場合、その指定された人が確定拠出年金法で定められるルールに優先して死亡一時金を受け取ることができます確定拠出年金法第41条第1項)。

受取人として指定できる親族の範囲は、以下のとおりです。

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

配偶者については、法律上の婚姻関係にある必要はなく、内縁関係や事実婚の状態などにある人も指定できます。

死亡一時金の受取人を指定する際は、加入者本人が運営管理機関へ届出をします。指定する人物を変更するときも、原則として加入者本人による届出が必要です。

複数人を指定していた場合は均等分配となり、請求の際は代表者を1名選任して手続きを進めます。

ただし、指定した受取人が加入者よりも先に亡くなっていた場合は、受取人の指定がなかったものとして扱われます。この場合は、後述する確定拠出年金法のルールにしたがって死亡一時金の受取人が決まる仕組みです。

2-2.受取人の指定がない場合:確定拠出年金法に基づく順位で決まる

受取人の指定がない場合、確定拠出年金法第41条で定められる以下の優先順位にしたがって死亡一時金の受取人が決まります

  • 第1順位:配偶者(事実婚・内縁関係にある人を含む)
  • 第2順位:亡くなった加入者の収入で主に生計を維持していた子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹
  • 第3順位:第2順位以外で加入者により生計を維持していた親族
  • 第4順位:第2順位に該当しない子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹

同じ順位に該当する人が複数いる場合は、原則として死亡一時金が均等に分配されます。

民法の法定相続人とiDeCoの死亡一時金の受取人の決まり方には異なる部分があります。主な違いは以下のとおりです。

民法の法定相続順位とiDeCoの死亡一時金受取順位の違い

順位民法の法定相続人iDeCoの死亡一時金受取人(指定なし)
常に該当配偶者
第1順位配偶者(事実婚・内縁含む)
第2順位直系尊属(父母・祖父母)故人に生計を維持されていた子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹
第3順位兄弟姉妹第2順位以外で生計を維持されていた親族
第4順位第2順位に該当しない子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹

亡くなった人の配偶者は常に法定相続人となり、子どもや父母など民法で定められる優先順位に該当する人とあわせて遺産を取得する権利を得られます。

一方、iDeCoの場合、亡くなった人に配偶者がいると子どもや親など他の親族は死亡一時金を受け取ることができません。この配偶者には、法律上の婚姻関係にある妻や夫だけでなく、内縁関係や事実婚の状態にある人も該当します

また、iDeCoでは亡くなった加入者によって生計を維持されていた親族(配偶者を除く)が優先して受取人となることができます。

たとえば、生計を共にしていた父母は生計を別にしていた独立した子よりも優先して受取人となることが可能です。

3.死亡一時金にかかる税金は請求時期で決まる

iDeCoの死亡一時金は、請求するタイミングによって課税される税金の種類が分かります。請求時期ごとの税金の取り扱いは、以下のとおりです。

請求時期別の税金の取り扱い

請求時期税金の種類非課税枠
死亡後3年以内相続税(みなし相続財産)500万円×法定相続人の数
死亡後3年超~5年以内所得税・住民税(一時所得)特別控除50万円
死亡後5年超相続税(本来の相続財産)適用なし

それぞれの税金の取り扱いを詳しく解説します。

3-1.死亡後3年以内の請求:みなし相続財産として相続税の対象

iDeCoの加入者が亡くなってから3年以内に請求した死亡一時金は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります

〇みなし相続財産とは

  • 民法上は相続財産にあたらないものの、相続税法上は相続財産とみなして課税する財産のこと。生命保険の死亡保険金や死亡退職金などがある

死亡一時金がみなし相続財産となる場合、「500万円×法定相続人の数」で計算される金額まで相続税がかかりません。

たとえば、法定相続人が3人(配偶者と子2人)の場合、500万円×3人=1,500万円までの死亡一時金は非課税となります。

非課税枠の計算に用いる法定相続人の数には、以下のようなルールがあります。

〇非課税枠の計算における法定相続人の数え方

  • 相続を放棄した人も含める
  • 法定相続人に含められる養子の数は、被相続人に実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人まで
  • 相続欠格や相続廃除に該当する人は含めない

なお、この非課税枠は死亡退職金や生命保険金などとは別枠となります。

みなし相続財産について詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:【相続税】みなし相続財産とは?課税対象になる種類と非課税枠の計算方法

3-2.死亡後3年超5年以内の請求:一時所得として所得税の対象

亡くなってから3年を超え5年以内に請求した死亡一時金は、受け取った遺族の一時所得として所得税・住民税の課税対象となります。相続税の課税対象とはならず、みなし相続財産にも該当しないため、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠は使えません。

一時所得の計算式は以下のとおりです。

〇一時所得の計算式

  • 総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最高50万円)

上記の計算式で求められた金額の1/2が所得税や住民税の課税対象となります。一時所得は「総合課税」の対象であるため、給与所得など他の所得と合算して税額を求めます。

iDeCoの場合、課税の対象となるのは死亡一時金の受取額から特別控除額50万円を差し引いた残りの半分です。

故人が支払っていた掛金は、通常は収入を得るために支出した金額とはみなされません。

たとえば、死亡一時金500万円を受け取った場合、(500万円−50万円)×1/2=225万円が他の所得と合算され、所得税・住民税が課税されます。

所得税は累進課税であり、受取人の他の所得が多いほど税率も上がり、税負担が重くなります。

3-3.死亡後5年超の請求:本来の相続財産として相続税の対象

先述のとおり、亡くなってから5年を超えると、死亡一時金の請求権が消滅します。そのため、iDeCoの資産は預貯金や不動産などと同様に亡くなった方の本来の相続財産として、相続税の課税対象となります

この場合、みなし相続財産の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用されません。

また、みなし相続財産であれば受取人が相続放棄をしても受け取ることができますが、通常の相続財産となる場合は相続放棄をするとiDeCoの資産を受け取ることもできなくなってしまいます。

iDeCoの資産が相続財産となった後も請求がない場合、その資産は法務局へ供託されます。供託された資産を受け取るためには、供託所に対して供託物の払戻しを請求する手続きが必要です。

4.死亡一時金の請求方法と必要書類

iDeCoの死亡一時金を受け取るためには、遺族が裁定請求の手続きをする必要があります

請求先は以下の2つです。

  • 運営管理機関:iDeCoの窓口となる銀行・証券会社などの金融機関
  • 記録関連運営管理機関:加入者ごとの記録管理を担う専門機関

ここでは、死亡一時金の請求方法と必要書類について解説します。

4-1.請求の流れと受け取りまでにかかる期間

死亡一時金の請求方法は以下のとおりです。

 死亡一時金の請求方法
亡くなった方がiDeCoの加入者・運用指図者
  • iDeCoの運営管理機関へ加入者等死亡届(K-014)を提出
  • 死亡一時金裁定請求書(K-017)を記録関連運営管理機関へ提出
亡くなった方がiDeCoの自動移換者
  • 死亡一時金裁定請求書(K-017)を運営管理機関へ提出

記録関連運営管理機関は国内に4社あり、加入者がどの金融機関(運営管理機関)でiDeCoに加入していたかによって変わります。

国内の記録関連運営管理機関一覧

記録関連運営管理機関取引金融機関の例
日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー(JIS&T)野村證券、楽天証券、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行
日本記録運営管理機関(NRK)日本生命、明治安田生命、三井住友信託銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行
損保ジャパンDC証券荘内銀行、栃木銀行、筑波銀行、千葉興業銀行、名古屋銀行
SBIベネフィット・システムズSBI証券、大和証券、三井住友信託銀行、スルガ銀行、東海東京証券

書類提出から振込までおおむね1~2ヶ月かかります。書類に不備があると審査が長引き、振込までに3ヶ月以上かかることもあるため、請求の際は必要書類や書き方をよく確認することが大切です。

4-2.請求に必要な書類一覧

死亡一時金の請求に必要な書類は以下のとおりです。

死亡一時金の請求に必要な書類一覧

書類名備考
加入者等死亡届(K-014)運営管理機関に連絡して取り寄せる
死亡診断書(死体検案書)写しでも可。医師の署名または捺印があるもの
死亡一時金裁定請求書(K-017)記録関連運営管理機関または運営管理機関に連絡して取り寄せる
死亡した人の戸籍謄本請求者(受取人)と死亡した人の続柄を確認できる戸籍謄本
発行から3ヶ月以内のもの
死亡した人の戸籍謄本(除籍謄本)で続柄が確認できない場合は、続柄が確認できる戸籍謄本、または改製原戸籍が必要
受取人の印鑑証明書発行から3ヶ月以内のもの
請求者のマイナンバー確認書類個人番号カードを持っている場合

  • 番号確認書類:個人番号カードの裏面のコピー
  • 写真付き身元確認書類:個人番号カードの表面それぞれのコピー

個人番号カードを持っていない場合

  • 番号確認書類:通知カードのコピーまたは個人番号が記載された住民票の原本1通(発行日より3ヶ月以内)
  • 写真付き身元確認書類:運転免許証・パスポートなどいずれかのコピー

提出書類には有効期限が設けられており、戸籍謄本や印鑑証明書、住民票は発行から3ヶ月以内のものを提出する必要があります。

請求者によっては、上記の他にも提出書類が必要な場合もあるため、死亡一時金を請求する際は故人がiDeCoの口座を開設していた金融機関に問い合わせて確認しましょう。

5.相続放棄をしても死亡一時金は受け取れるのか

相続放棄とは、相続人が被相続人の権利義務を一切引き継がないことを家庭裁判所に申し立てる手続きのことです。

相続放棄をすると、預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借入金や未払金なども一切相続しなくなります。

iDeCoの加入者が亡くなった日から5年以内であれば、相続放棄をしても死亡一時金を受け取ることが可能です。一方で5年を超えている場合、相続放棄をすると死亡一時金は受け取れません。

参考:【相続放棄とは】費用・流れ・注意点をわかりやすく解説!

5-1.死亡後5年以内なら受取人固有の財産として受給可能

亡くなってから5年以内に請求する死亡一時金は、受取人固有の財産として扱われます。そのため、受取人が相続放棄をした場合でも、受取人固有の財産である死亡一時金は受け取ることが可能です

この場合の死亡一時金は、確定拠出年金法にもとづいて受取人へ直接支払われる給付金であり、亡くなった方の本来の相続財産には含まれません。

遺産分割協議(相続人全員で遺産の分け方を決める話し合い)も対象外となります。

ただし、税務上はみなし相続財産として相続税の課税対象となります。相続放棄をしたとしても、死亡一時金を含むみなし相続財産の評価額などによっては相続税が課せられる可能性がある点には注意が必要です。

また、相続放棄をした人は相続人ではなくなるため、「500万円×法定相続人の数」で求められる非課税枠を適用できません。

相続放棄の期限は、相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内です。相続放棄をすべきかどうかは、iDeCoの死亡一時金などみなし相続財産の評価額や相続税額も調べたうえで慎重に検討しましょう。

判断に迷うときは、早めに相続税専門の税理士へ相談することをおすすめします。

5-2.死亡後5年を超えると相続放棄の際に受け取れなくなる

亡くなってから5年を超えると、死亡一時金は本来の相続財産として扱われます。相続放棄をした場合、iDeCoの資産も含めて相続財産を受け取る権利を失います。

また、相続放棄をしない場合でも「相続税を計算する際にみなし相続財産の非課税枠が適用されない」「遺産分割協議の対象となる」などのデメリットが生じます。

遺族がiDeCoへの加入を知らないまま加入者の死亡から5年が経過してしまうと、さまざまな不都合が生じてしまいます。相続が開始されたときは、亡くなった方がiDeCoに加入していなかったか速やかに調査しましょう。

6.iDeCoを活用した相続対策のポイント

iDeCoの死亡一時金が加入者の死亡から3年以内に請求された場合、その死亡一時金はみなし相続財産となり、「500万円×法定相続人の数」で計算される非課税枠も受けられます

そのため、相続対策の一環としてiDeCoを活用するのも1つの方法です。相続対策に活用する際は以下3つのポイントを押さえておくとよいでしょう。

  • 死亡一時金の受取人を指定しておく
  • iDeCoに加入している事実と必要な情報を家族に共有する
  • 非課税枠による税負担の軽減効果を試算する

6-1.死亡一時金の受取人を指定しておく

iDeCoを用いて相続対策をする場合は、加入者が健在であるうちに受取人を指定しておくとよいでしょう。受取人の指定には以下2点のメリットがあるためです。

  • 配偶者(事実婚や内縁含む)・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の中から優先して財産を渡したい人を指定できる
  • 「法定相続人だから当然受け取れると思っていた」といった誤認を防ぎやすくなる
  • 死亡一時金を請求する際の書類が少なくて済むため受取人の負担を軽減しやすい

受取人に指定された人は、確定拠出年金法で定められるルールに優先して、死亡一時金を受け取ることができます。

また、亡くなった人によって生計が維持されたことを証明する書類などの提出も不要となるため、請求手続きをスムーズに進めやすくなります。

特定の親族に資産を引き継ぎたい場合は、あらかじめその親族を死亡一時金の受取人に指定することも検討しましょう。

受取人を指定する手続きは、運営管理機関へ所定の届出書を提出するだけで完了します。生活背景や事情、考え方などが変わったときは、受取人をその都度変更することも可能です。

ただし、法律上の婚姻関係にない配偶者を受取人に指定すると、相続税の負担が重くなるケースがある点には注意が必要です。

法律上の婚姻関係にない配偶者は法定相続人には該当しないため、500万円×法定相続人の数の非課税枠の対象外となり、相続税額が2割増しとなる「2割加算」の対象にもなります。

参考:相続税の2割加算とは?対象者は誰?相続税の計算方法や注意点【税理士解説

6-2.iDeCoに加入している事実と必要な情報を家族に共有する

iDeCoの死亡一時金は、遺族からの裁定請求があってはじめて支払われる仕組みです

相続対策も踏まえてiDeCoに加入していたとしても、その事実を家族が知らないままであると請求漏れが発生してしまいかねません。

亡くなってから5年が経過すると、死亡一時金として受け取れなくなり、相続対策としての効果が薄れてしまうでしょう。

iDeCoを用いて相続対策をする場合は、以下の情報を家族に共有することが重要です。

  • 加入している運営管理機関名(銀行名・証券会社名など)
  • 運営管理機関の電話番号
  • 加入者番号・基礎年金番号など、問い合わせ時に必要となる情報の保管場所
  • iDeCoの資産残高や主な運用商品の概要
  • 掛金の引き落とし口座
  • 受取人指定の有無と指定した受取人の氏名 など

エンディングノートなどにiDeCoの情報を記載するとともに、家族と定期的に遺産の分け方に関する希望や考え方を共有する機会も設けておくと効果的です。

6-3.非課税枠による税負担の軽減効果を試算する

iDeCoの死亡一時金がみなし相続財産となる場合、500万円×法定相続人の数の非課税枠が適用されるため、同じ金額を現預金で相続するよりも、相続税の負担を抑える効果が期待できます。

死亡退職金や生命保険金とは別枠で非課税枠を受けられるため、組み合わせて活用すると税負担の軽減効果をさらに高めることも可能です。

ただし、前述のとおり相続放棄をした人や法律上の婚姻関係にない人は非課税枠の対象外です。さらに、後者が死亡一時金を受け取ると、相続税額が2割増しとなる2割加算の対象となります。

具体的な税額は、家族構成・他の相続財産などで変わります。iDeCoを相続対策に活用する場合は、相続税専門の税理士に相談し、税負担の軽減効果を試算してもらうとよいでしょう。

7.iDeCoの相続に関するよくある質問

最後に、iDeCoの相続に関してよくある質問に回答します。

7-1.iDeCoの年金は死亡したらどうなる?

iDeCoの加入者が年金を受給している間に亡くなった場合、残った積立資産は死亡一時金として遺族へ支給されます。国から支給される老齢年金とは異なり、死亡を理由に受け取れなくなることはありません。

ただし、年金形式での継続受給は認められておらず、必ず一括で支払われる仕組みです。

ただし、自動的に支払われるわけではなく、遺族からの裁定請求が必要となります。死亡一時金の請求期限は亡くなった日から5年と定められているため、iDeCoに加入している場合はその事実を家族で共有しておきましょう。

7-2.iDeCoの死亡一時金はいくら?

死亡一時金の支給額は、支給決定後に運営管理機関が指定した日に加入者が積み立ててきた個人別管理資産を売却して現金化したときの金額で決まります。

亡くなった時点の時価で受取額が決まるわけではない点にご注意ください。

亡くなってから請求・売却までに数ヶ月かかる場合、その間に運用商品の価格が下がると死亡一時金の受取額も減ってしまいます。

8.iDeCoの相続でお困りなら相続税専門の税理士へご相談ください

iDeCoの相続では、請求時期による税金の違いや非課税枠の適用判定、相続放棄をする場合の受け取りの可否などさまざまな点に注意しなければなりません。

判断を誤ると適切に税金を申告できず、加算税や延滞税の対象になる可能性もあるため、iDeCoを相続するケースについては相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。

税理士法人チェスターは、年間相続税申告件数3,000件を超える相続税専門の税理士法人です。創業以来、相続税の申告と相続対策に特化してサービスを提供してきました。

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